イゼットvsゴルガリの体験

更新日 Feature on 2012年 8月 27日

By Trick Jarrett

Patrick "Trick" Jarrett oversees web content and social media for Magic, and acts as the publisher of DailyMTG.com and Magic content on the web. He's an ardent Commander player and lover of the game he's played since Ice Age.

やること:イゼットvsゴルガリで遊ぶ。

 この仕事に就いて楽しいことはたくさんあるが、その内の一つは、未来のマジックのカードを世界の誰よりも早く見ることができるということだ。ここ数年の間、私は鼻をウィザーズ社のガラス窓に押し付けるようにして、その向こう側にあると思われるものを覗き、その煌めくような眩しさからは目を覆いながら、何かしら紹介できるような新しい点を見つけようとしていた。――とはいえ、今の私はガラス窓の内側にいて、外にいるプレイヤー達に対して陽気に手を振っているような立場なのだが。それがちょっと格好良いとさえ思っている。

 さて、私がワールド・マジック・カップから帰ってきた後に残っていた主な仕事は、社内にいる様々な人と座ってマジックをプレイすることだった。いや、別にクビになって暇になったわけじゃない。


 もちろん、ゲームの中心になったのは、ラヴニカ次元の代表である2つのギルドが特集されている新デュエルデッキ、『イゼットvsゴルガリ』だ。このデュエルデッキには『ラヴニカへの回帰』から6枚のカードが新規に収録されている。この記事では、秋に発売される『ラヴニカへの回帰』から先行収録された6枚のカード全てを紹介しよう。

 1つ目のカードは、既にお披露目済みである〈ゴルガリの死者の王、ジャラド〉だ。ジャラドはゴルガリ・ギルドのリーダーであり、彼に関しては翌週の「プレインズウォーカーのためのラヴニカへの回帰案内」記事の中でより詳しく語られるだろう。


 このデュエルデッキを使用したゲームにおいて、ジャラドは強力なカードだ。私がジャラド側をプレイしていない時は、ジャラドについて常に注意を払っていた。手札の《雲散霧消/Dissipate》を唱えられるだけのマナが私に準備されていて、相手がジャラドを唱えてくれるのを祈ったり、《追憶/Reminisce》を使って相手の墓地をライブラリーに混ぜ入れてしまえるように祈ったりしていた。どちらも叶えられない場合、だいたい私は負けた。

 ツイッター上で「イゼットvsゴルガリ」について話したい場合、ハッシュタグ #MTGIVG を使おう。

深き闇のエルフ》 アート:Justin Sweet

マーク・パーヴィス

 オフィス内での第1戦目は、我が宿敵 私の上司であるマーク・パーヴィスとだった。マークは私の上司で我々のシニア・ブランド・マネージャーでもある。私がウィザーズ社に入社後、彼には繰り返し負け続けているように振舞っていて、5ヶ月もの雇われの間、彼を負かしたことがないのだ。

 互いにデッキを手にとって座り、ゲームを開始した。私はイゼット側で彼はゴルガリ側だ。第1ゲームは素直にゲームが進行した。特に記憶に残るようなプレイも無い。私が《火想者ニヴ=ミゼット》に《水銀の短剣》をつけて起動型能力を強化したことくらいだ。

 イゼット側のデッキはその全てがインスタントやソーサリーを良く利用できるようになっているが、その中でも特に便利なのが、『ラヴニカへの回帰』の新メカニズムである『超過』だ。読者の中には、最初の 「グレート・デザイナー・サーチ」に参加していたケン・ネーグルを思い出したかもしれない。実際、超過/Overload は、彼が「グレート・デザイナー・サーチ」の中で提唱したメカニズムだ。ケンはエピソード第2章(リンク先は英語)の中で、その能力を「dispersion(離散、ばらつき)」と呼んでいた。さて、これ以上は話すより見たほうが早いだろう。ラヴニカへの回帰からの新しいイゼットのカード、〈通りのひきつけ〉だ!


 マークとの第2ゲームにおいて、私は〈通りのひきつけ〉を超過コストの方で唱えた。そうしたら、彼の場はきれいサッパリ無くなってしまった。まあその後確かに、彼は《永遠の証人》でジャラドを回収したわけだが。それでも、〈通りのひきつけ〉で彼のクリーチャーを4体ほど破壊したことに変わりはなく、それによって第2ゲームも私が勝った。

 私はマークとこれらのカードとデッキについて大いに話した。彼の言った幾つかのことは、私にとって真実のように思えた。「新しいプレイヤーは、ゴルガリ側のデッキについて、ゴルガリのカードがなぜ墓地に行きたがるのか不思議に思うだろうね。」そう、これは的を射ている。墓地をリソースとして使用するのは直感的ではない。イニストラードにあったフラッシュバックを用いてカードの再利用をするために、発掘デッキっぽく《思考掃き》やそれに似たカードを使用して、自分のライブラリーを墓地に落としていくのは、初心者にとっては余り見慣れないことだろう。

 新しいプレイヤー向けに言っておこう。ドローステップのドローを無しにするかわりに、墓地から発掘カードを手に入れるという行為は、しばしばそれが「正しい」プレイではあるのだが、常に行うべきことではない。マークはゴルガリ側のデッキにある《悪夢の虚空》を素晴らしくうまく使って、私の手札の脅威を除去するとともに、ゴルガリの流儀に従い、墓地を肥やしていった。

 マークとのゲームで他に特筆すべきことは、マークの唱えた《破滅裂け口》を《抗い難い知力》で打ち消したことだ。良い感じだった。まさしく良い感じだった。

Feast or Famine》 アート:Chase Stone

サム・スタッダート

 マークに勝った後、私はR&Dに直行して、抜け目なくサムをとっつかまえてゲームをすることにした。サムはR&Dに在籍しているにもかかわらず、『イゼットvsゴルガリ』のデッキをよく知らなかったので、ゲームに登場した多くのカードが彼にとって初めてであった。マークとのゲームと同じく、私はイゼット側を使用し、サムはゴルガリ側を使った。

 サムはR&Dの実習生であり、これから行われる複数のプロジェクトに開発者として参加している。彼はその昔、私に対して、そのうちDailyMTGの臨時寄稿者として採用されるんじゃないかと書いたこともあった。私達2人は着席してゲームをしつつ、デュエルデッキや、ラヴニカへの回帰や、その他マジックに関することを喋りあった。

 サムとのゲーム中に、私はジャラドを《雲散霧消/Dissipate》するという喜びを初めて味わった。サムの目は大きく見開き、ショックのあまり紅潮し、その後の自分が不利になったことを悟って、にやりと笑った。「面白くなってきたな」と、私のプレイに対して彼は言った。

 もっとも、無念なことに、私が体制を立て直すまでに、彼のあやつる〈屑肉の刻み獣〉がガンガン私を殴っていた。


 〈屑肉の刻み獣〉は3マナで3/3のクリーチャーであり、死んだあとは5マナでそれを活用できる。活用/Scavenge はラヴニカへの回帰でのゴルガリの新メカニズムだ。また、基本的な動きから見ると、フラッシュバックの亜種でもある。このクリーチャーが墓地にある間に、5マナを払って墓地からこいつを追放することにより、そのクリーチャーのパワーに等しい数の+1/+1カウンターを戦場のクリーチャーに置く。これはソーサリーを唱えられるときのみ行うことができる。つまりこれはコンバット・トリックとしては使えない。が、それでもこの能力は、クリーチャーをより大型にすることができる。

 とはいえ、デュエルデッキのイゼット側には、活用によって大型になったクリーチャーに対して、いくつものバウンス呪文が存在し、容易にクリーチャーのカウンターを無くし、さらにそれをもう一度唱えるという行動を強いらせることができる。

 第2ゲームは、サムのデッキがブン回って、ジャラドのクリーチャーを生け贄にする能力が私を散々に打ちのめした。あまりの残忍さゆえ、私は多くを語ることはしない。惨劇のあとにスクリーンに残された血糊が、全ての恐怖を示しているだろう。


ブライアン・トランク

 2試合ともイゼット側を使い、これで勝敗は1勝1敗となった。良き友ブライアンとゲームを行うことになったので、使うデッキを変えることにした。ブライアンはラテンアメリカのブランド・マネージャーを手伝っている。ブライアンと私はよくゲームをし、電話で連絡をとりあっては毎週のように食事とボードゲームに興じるのが常なのだ。

 半時間ほど、私たちはゲームを行った。この時、私はゴルガリ側を、ブライアンはイゼット側をプレイしていた。私はプレイ意識を緑と黒のほうに移行していった。

 私は、『ラヴニカへの回帰』の新しいゴルガリギルド魔道士である、〈コロズダのギルド魔道士〉を2ターン目に唱えて着地させた。ターンをパスし、ブライアンの第2ターン。2枚目の土地を置いて、彼は〈イゼットの魔除け〉を〈コロズダのギルド魔道士〉に対して唱えた。「残念だったね。」と言って、彼は微笑んだ。

 そう、それぞれのギルドには魔除けと新しいギルド魔道士がいる。各1つずつはすでに上に挙げた通りだ。〈コロズダのギルド魔道士〉は見たまんま強力で、2番めの起動型能力は多くのクリーチャー・トークンをもたらす。〈イゼットの魔除け〉も良い呪文で、R&Dによれば、構築戦でも見かけることになるだろうと言っていた。私は全てのゲームにおいて、3つの効果全てから選んでプレイすることができたのだ。

 良い感じだ。

 ブライアンとのゲームで、私はすでにイゼット側のデッキを動かすコツを知っていたが、その全てを知っているわけではなかった。私はイゼット側のデッキをどう動かせば良いかを知っていたが、ブライアンは私よりもうまくデッキを動かすことができた。私も接戦したが、結局は2ゲームともブライアンの勝利に終わった。第2ゲームでは、私のライフは1点まで減らされ、そこから善戦したが、彼の出した《小柄な竜装者》という飛行持ちに対抗する手段がなく、私は敗北した。

 残念なことに1勝2敗と負け越してしまった。しかし、紹介すべき最後の1枚がまだゲームに登場していない。ということは、その1枚を登場させるためにもう1戦やらなきゃいけないわけだ。

 ゲームの間にはいろんなことについて話した。大抵はこのデュエルデッキについてだったが、ワールド・マジック・カップにおけるラテンアメリカの実績も話題になった。ブライアンは陽気で、いつもいい雰囲気にさせくれる良い奴だ。――マジックで私は彼に大抵負けてしまうんだけどね。そんなわけで、ゲームには負けたが、私は笑ってそのゲームを楽しむことができた。

予言の稲妻》 アート:Slawomir Maniak

ロバート

 ロバートはゲームサポート部というあまり馴染みのない部署に所属している。とはいえ、その部署は無くてはならないものである。数週間後には、マジック・オンラインの動作に協力している他の3人とともに、お目にかかる機会もあるだろう。

 ロバートと着座し、ゲームを始めた。彼は上手なプレイヤーで、私は彼にすべてのフォーマットとゲームで敗北記録を更新中である。私は彼にイゼット側のデッキを使わせ、私はゴルガリ側のデッキを使うことにした。

 第1ゲームにおいて、彼の立ち上がりが遅く、私は彼を倒すために先んじて動くことにした。3ターン目に発掘エンジンを動かし始めるため、《病に倒れたルサルカ》の能力を《ゴルガリの凶漢》を生贄に捧げて起動した。ロバートはこの時点でクリーチャーをコントロールしていなかったため、-1/-1の修整を《病に倒れたルサルカ》自身に与えて墓地送りにした。なぜこんなことをしたかというと、私の手札には《骨塚のワーム》があって、かつ、次のターンには《ゴルガリの凶漢》を発掘し始めることができるからだ。

 このプレイングはうまくいき、私の墓地を肥やすことに成功した。6ターン目に私が唱えたジャラドを、ロバートが《抗い難い知力》で打ち消した。ロバートは4枚のカードを引き、私はなんとか手遅れになる前に彼のライフを減らそうとした。彼のライフは2まで減ったが、そこからゲームは硬直した。

 私はジャラドの起動型能力を起動し、5枚の土地(1枚は《ゴルガリの腐敗農場》)から《》と《》の2枚を生け贄にした。ジャラドは私の手札に戻り、私はそのジャラドを唱えて彼を困らせた。私がどうやって彼にとどめを刺そうか考えていると、ロバートは自分のターンに《追憶》を唱えて私の墓地を空にし、ジャラドのパワー/タフネスを減少させ、そして、〈通りのひきつけ〉を超過コストで唱えて私のクリーチャーを一掃した。ぐぬぬ。

 その後、ロバートは《渦まく知識》で見つけた〈ゴブリンの電術師〉を戦場に出した。


 〈ゴブリンの電術師〉はゲームの早期からでも唱える呪文のコストを安くしてくれるという強みがある。しかし、イゼット側のデッキは呪文に多くのマナをつぎ込みたいので、〈ゴブリンの電術師〉があるからといって、劇的にコストが安くなるわけではない。〈ゴブリンの電術師〉は複製コスト自体を減らすわけではないので、無くても{1}しか変わらないからだ。できることはもっとたくさんある。

 〈ゴブリンの電術師〉が戦場に出た後、ロバートは素早く私を倒しにきた。複製コストを支払った《真空溶》を唱えて、私のクリーチャーと彼の《イゼットの時術師》を手札に戻し、《イゼットの時術師》を出し直して《渦まく知識》を回収した。私は〈ゴブリンの電術師〉に《化膿》を唱えてそれを破壊することができたが、後に控えているであろうさらなる脅威のためにとっておくことにした。

 結局、ロバートのライフが2のままでゲームが硬直した後、彼の《明敏な雛》を始めとしたクリーチャー群で私が倒されるまで、私は彼の残りライフを減らすことはできなかった。

 第2ゲーム。私は重たい2枚の呪文と5枚の土地という手札をマリガンした。第1ターンと第2ターンを何もせず過ごして、《ダクムーアの回収場》を捨ててから発掘を開始して墓地を肥やすという恐ろしいプランも頭にかすめたが、賢明にも私はそれを採用せず、次の手札に賭けた。マリガン後の手札は、3枚の土地と気軽に使える発掘持ちのクリーチャーという良いものだった。

 ロバートの手札も数枚の打ち消し呪文とドロー呪文があり、良いものだった。第4ターンに私が唱えたジャラドは《雲散霧消》されてしまったが、私は《壌土からの生命》を使って墓地を肥やし始めていたので、まだ勝負はわからなかった。

 《火想者ニヴ=ミゼット》が戦場に登場した時点で、私は大変なことになったことに気づいた。《棘投げの蜘蛛》で《火想者ニヴ=ミゼット》を対象にして破壊しようとしたが、ロバートは《後追いの呼び声》でこれを防いだ。その後、ロバートは《明敏な雛》で攻撃してきたが、能力は起動せず、私はそれを《棘投げの蜘蛛》でブロックすることが許された。次のターン、《火想者ニヴ=ミゼット》が再び降臨した。私は手札に《黄昏の呼び声》を持っていたので、次のターンにさっき墓地に行った《棘投げの蜘蛛》をもう一度戦場に出せると考えた。あとは相手が打ち消し呪文を構えていないことを祈るだけだったが、幸いにも持っておらず、私は《火想者ニヴ=ミゼット》を倒すことができた。しかし、もう遅い、遅すぎたのだ。私が墓地を肥え太らすよりも早く、ロバートは手札を順調に貯める方法を確立させ、次から次へと質の良いクリーチャーが出てくるようになっていたのだ。

 デュエルデッキのそれぞれのデッキは、面白さの深みが2段階存在する。それぞれのデッキはごく一般的な戦術を用いて遊ぶことができる。しかし、それぞれのデッキにある深い戦略とそれらのメカニズムを知った上で戦うと、それまでとは全く違うゲームを楽しむことができるように作成されている。

 『デュエルデッキ:イゼットvsゴルガリ』は9月7日発売で、メーカー小売希望価格1,800円(税別)となっている。こちらが、価値あるその中身だ!

『デュエルデッキ:イゼットvsゴルガリ』商品ページ

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