本気プレイヤーの水槽からマナ・プールへ

更新日 Feature on 2004年 9月 15日

By Mike Flores

Michael Flores is the author of Deckade and The Official Miser's Guide; the designer of numerous State, Regional, Grand Prix, National, and Pro Tour–winning decks; and the onetime editor-in-chief of The Magic Dojo. He'd claim allegiance to Dimir (if such a Guild existed)… but instead will just shrug "Simic."

 今週は、様々な変化をお目にかけます。第一に、これはわかりやすいですが、内容の変化です。今回はいつもの「本気プレイヤーと泳ぐ」のコラムではなくプレビューカードをやっています。これは非常に興味深く、多くの可能性を持ち、世間の興味も引いてくれるでしょう……しかし、おそらく、このカードを次の PTQ のメインデッキで見ることは無いでしょう。こいつは《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》じゃないんです――神に感謝いたしますとも! 第二の変化は、長い時間をかけて少しずつ変わってきた定番カードの最新の姿を意味します。そして最後の変化は……その……わがパワーカード・ゲーマー軍団の皆さん、喜んでください。移民帰化局に並ぶ不法入国の労働者のように、あなたたちにもついに緑のカードが来たのです!

 いやいや。騙してるわけじゃないですよ。これは、本当に、第5版以来姿を見なくなったとあるカードとまったく同じものです。

mana flare

 まあ、確かに完璧に同じってわけじゃないですね。それに、こいつはアイスエイジ週にアーロン・フォーサイスが書いていた同型再版ってわけでもありません。いやらしい緑マナが、またその葉っぱだらけの頭を持ち上げてきたって事です。進化の過程から言えば、《春の鼓動/Heartbeat of Spring》はこんなルートをたどってきたんじゃないでしょうか。

 まずはご先祖様の《ほとばしる魔力/Mana Flare》です。確かのその効果は強力ですが、《ほとばしる魔力》は本気プレイヤーの隙間に入ることもできなかったですし、構築フォーマットを席巻することもありませんでした。しかし、無色マナを1つ緑マナにした《過ぎたる実り/Overabundance》のコンセプトは、もう少し使い道がありました。《過ぎたる実り》はインベイジョンブロック構築において典型的なサイドボードでした。PT 東京に酸化した多くの緑赤デッキでは、《過ぎたる実り》は単なる《ほとばしる魔力》ではなく、そのままダメージ源ともなったのです。確かに、《ほとばしる魔力》的な側面で《スキジック/Skizzik》や《シヴのワーム/Shivan Wurm》のような巨大な脅威を出したり、様々な夢を巨大な《ギトゥの火/Ghitu Fire》や《ウルザの激怒/Urza's Rage》で顔面に叩きつけたりすることもできましたが、一方で《魔力のとげ/Manabarbs》的な部分は対戦相手が防御的なカードを使うことを面倒にする。緑赤デッキは対戦相手よりも攻撃的であるため、“自分も痛い”半分は通常は自分たちにとってのアドバンテージとなります。これは、バーンデッキがゲームを巨大な《断層/Fault Line》で決着付けるのと同じ考え方です。

 そうは言っても、《過ぎたる実り》を見たときに、赤いほうの半分がマナの半分だと思ってくれる人はそう多くはないでしょう。このカードは、半分は《ほとばしる魔力》で半分は《魔力のとげ》です。《魔力のとげ》は、《地震/Earthquake》や《火炎崩れ/Flamebreak》のようなもので、非常に赤的効果です。しかし、《ほとばしる魔力》は、元々は赤だったとはいえ、極めて緑的な能力です。何しろ、緑は《極楽鳥/Birds of Paradise》や《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》や《繁茂/Wild Growth》の色なのです。この色の得意な点を一つ挙げるとすれば、マナを積み重ねていくことでしょう。このカードは、古くからのカードを色の分割の正しい位置に納めたものなのです。

 開発部は、《春の鼓動》のようなカードの登場に向けて、我々に実際の準備をさせてくれています。似たような効果の2枚のカードは、ここ2年間の構築トーナメントを席巻しています。《ミラーリの目覚め/Mirari's Wake》は非常に強力で、プレイヤーをして「《ミラーリの目覚め》がある状態でアンタップしたら負けは無い」とまで言わしめましたし、《花盛りの春/Vernal Bloom》はこの夏の全米選手権を優勝しましたから、この手の効果の強さもはっきりとわかってもらえるでしょう。


《ミラーリの目覚め》 イラスト:デヴィッド・マーチン]

 これらの家計図の半分から《春の鼓動》に至る行程の中で、マナ・コストは5から4に、そして最も軽い3にと減っていきました。しかし、マナ・コストが減るに従って、相手もその《ほとばしる魔力》効果に乗ってきやすくなるのです。《ミラーリの目覚め》の場合、恩恵にあずかれるのはあくまで自分だけでした。《ミラーリの目覚め》デッキはそのアドバンテージをフルに生かし、非常に強力な――そして重い――脅威をプレイして、ゲームをあっという間に終わらせるのです。《火猫の襲撃/Firecat Blitz》で襲い掛かってきたり、《時間の伸長/Time Stretch》で数ターンを立て続けに行ったり、あるいは単純に《ミラーリ/Mirari》と《狡猾な願い/Cunning Wish》のトリックで無限にカードを引いたり無限のダメージを軽減したりします……そりゃ、プレイヤーだってアンタップしたら負けないなんてジョークもしばしば口に出ますよね。

 一方、《花盛りの春》のデッキには構造的な制約があります。《花盛りの春》の恩恵を受けようとするなら、森しかプレイできないことです。しかし、この制限は諸刃の剣で、森しかプレイしていない対戦相手も、《花盛りの春》の恩恵に乗ってこれるのです。しかしその場合でも、《花盛りの春》プレイヤーと同じ効果を得られるのは緑単色の相手だけでしょう。相手のデッキの一部が緑だった場合は、《花盛りの春》プレイヤーはリードを生かせます。

 さて、今回のコラムがいつもの「本気プレイヤーと泳ぐ」だったなら、ここで《春の鼓動》がどれだけ危険な諸刃の剣で、あなたがどれだけ安定して、その緑の祖先よりもすばやく場に出すことができても、それを叩き割る選択権を先に持つのは対戦相手だということを語ることでしょう。あるいは、それにより6マナなり8マナなりを先に得るのは相手のほうで、一方あなたは次のターンにそれを得ることもなく、あるいは前のブロックからの親和デッキの普及のおかげであなたは大量のメインデッキからの《帰化/Naturalize》と戦わなくちゃいけない羽目になる、とか言うことになるでしょうか。しかし、ご存知でしたか? 今回はいつもの「本気プレイヤーと泳ぐ」じゃないんですよ。

 代わりに、《春の鼓動》がもたらす自由と可能性を見ていくことにしましょう。《花盛りの春》とは異なり、どのタイプの土地をマナのためにタップしてもかまいません。森だけにこだわる――あるいは緑白にこだわる――必要性は無いのです。望むなら、《春の鼓動》をタッチすることすら可能なんです。青タッチ緑の《パリンクロン/Palinchron》デッキに入れて、《天才のひらめき/Stroke of Genius》で一撃で倒すのも、お望みなら可能でしょう。別な考えとして、他のプレイヤーが《春の鼓動》を先に使うのをよしとするのもあります……それが君の側のプレイヤーならね。多人数ゲームでは、《春の鼓動》はチームメイトに対し強力な成功要素となります。あなたは《春の鼓動》をプレイして、6マナで巨大場化け物を呼ぶはずのチームメイトにウィンクをすればいいのですから。そうして、彼が次のチームメイトに帽子の端を挙げて合図すると、そのプレイヤーは《極楽鳥/Birds of Paradise》と土地3枚から《滅殺の命令/Decree of Annihilation》をサイクリングするのです。相手はこの強力なカードの効果の端っこにあずかることもできないでしょう!

 私の読者の多くも、今や《春の鼓動》デッキのアイデアによだれをたらさんばかりでしょう。通常ではベンチを暖めっぱなしの巨大クリーチャーを呼ぶ方法を試してみる人もいるでしょうし、チームメイトと協力して完璧なタッグチームとなるデッキを準備する人もいるでしょう。最も意地の悪い人なら、《春の鼓動》を出したターンに、相手のアンタップが来る前に勝ってしまう方法を見つけ出すでしょう。最後に、このカードは数多くの扉を開く強力なものです。春そのものと同様に、《春の鼓動》も変化をもたらすもので、赤から緑への変更の先触れをしながら、使う人のマナを2倍にしていってくれるのです。

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