闇の腹心

更新日 Feature on 2013年 5月 22日

By Bob Maher

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 やあ、みんな。みんなも僕と同じように『Modern Masters』に興奮してると信じてるよ。僕はグランプリ・ラスベガスにも参加するつもりなんだ。最近は以前のようにグランプリ巡りもしなくなったから、これは僕にとっては大きなことなんだ。もっとマジックをプレイしたいとは思うけど、僕の奥さんはそれより週末は自分と、4人の可愛い子供たちと一緒にいて欲しいって言うんだ。もちろん、僕も一緒に居たいと思うしね。

 それはともかく、今日来たのは、『Modern Masters』の中でも非常に重要だと思われるカードについてアナウンスをするためなんだ。そう、《闇の腹心》が『Modern Masters』に入るんだよ。このカードはもちろん僕にとって本当に大事なカードだ。これから、このカードの歴史についてちょっと触れて、『Modern Masters』に入ることの影響について話したいと思う。


 ここで立ち止まって、謝罪しなけりゃならないことがあるんだ。

 ごめん。アップキープの処理を忘れたことで無数の警告を受けたプレイヤーみんなに謝るよ。それに、警告を処理し、警告を処理し、さらにはゲームの敗北を出さなければならなかったジャッジみんなに謝るよ。もし《闇の腹心》の能力が「してもよい」というものだったらもっとよかったんだろうけど、そんなことをしたら強すぎて、しかもカードのフレイバーに合わないとマーク・ローズウォーターは判断したんだと思う。僕の競技マジックの経験から言って、誘発忘れでこんなに何回も何回もゲームが決まるようなことは誰も望んでいないと思うよ。

 《闇の腹心》は僕がマジックの中で一番好きなものの一つだ。むしろ一番好きであるべきものだ。《闇の腹心》は僕のインビテーショナル・カードで、2004年のマジック・インビテーショナルに優勝した特典として僕の好きなようにデザインされたものなんだということを知っておいて欲しい。《闇の腹心》は僕がマジックの中で一番好きなものの一つだけど、それはマジックのカードになるというものすごい機会だけのせいじゃない。このカードそのものが僕のマジックの中での一番好きなものになったのは、デザイン中から他に例を見ないマジックやいろいろな人々との関わりを経たからで、そして僕にとって本当に特別なものになったんだ。

 《闇の腹心》に関して最大の功労者はと言われたら、マーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterだろう。僕は実際にはこのカードのデザインをしたわけじゃない。彼が僕から「チャンプ・ブロックには使いたくない」「カードを引きたい」「2マナか、そうじゃなかったら3マナ」などいろいろなコメントを引き出して、今日の《闇の腹心》ができたんだ。マークはすごく巧くやってくれて、僕が望んでいたものを知っていたかのようだった。ほんとにありがとう。

 このカードが世に出てからも本当に楽しかった。気に入ったという人、嫌いだという人、みんなからの話を聞くのは楽しかった。《闇の腹心》にサインをして欲しいと何度も何度も言われて申し訳ない気持ちにもなった。もちろん、僕には僕の話がある。Gen Conのヴィンテージ選手権の決勝で、自分の《闇の腹心》で死んだことは絶対に忘れられないだろうね。これは僕が何年にもわたって没頭してきたこの趣味への新しい接し方だったんだ。これはマジックに、僕の知り得なかった要素を加えてくれたんだ。

 過去の話はこれぐらいにして、これからは今の《闇の腹心》について話そう。《闇の腹心》はカード・アドバンテージの塊だ。価値は一定じゃなく、その信頼性も入れるデッキによって異なる。僕自身、《墨溜まりのリバイアサン》をアップキープに公開してしまったことは一度じゃ済まない。『Modern Masters』のリミテッドをプレイする人の中に、同じような体験をする人がいるのは間違いないね。グランプリ・ラスベガスでもいるだろうし、ドラフト中にも、シールド中にもいるだろう。

 シールドやドラフトのプールでは、《闇の腹心》をプレイするのは危険すぎることが多い。でも、『Modern Masters』の有力カードはかなり軽いマナ・コストのものが多いので、『Modern Masters』では巧く働く機会があるよ。アップキープに2点のライフを払うだけで《タルモゴイフ》を手に入れられるなら幸せだ。まあ、リミテッドでは《闇の腹心》を使うならご用心あれってところ。僕は旧ラヴニカのドラフトで《闇の腹心》が超強力だという声も、使い物にならないという声も、その中間の声も聞いたことがある。それでいいと思う。結局のところ、元の文章は「どんなコストでもすごい」ってことだ。

 モダンでは、《闇の腹心》は多くのデッキの有力カードであり続けると思う。この強力なカードは多くのデッキで相手を圧倒するのに必要となる長期的なアドバンテージをもたらす。対戦相手が対処法を用意していないなら、あるいは用意していても引けなければ、ゲームの序盤に多大なアドバンテージを手に入れられることになる。高レベルのモダンのイベントのカバレージを見たことがあれば、《闇の腹心》がプレイされていること、そして死んでいることは日常だとわかっているはずだ。それが近い将来に変わるという理由があるとは思えないね。《闇の腹心》が上位デッキに使われていないときがあるとしても、次のモダンのデッキには入れようと思うはずだ。プレイするかしないかに関わらず、無視するにはそのアドバンテージは大きすぎるのさ。《闇の腹心》が新イラストで再録されたのを見るのは残念だけどね。

闇の腹心》 アート:Scott M. Fischer

 新イラストと言えば、このカードの最大の、僕から見て最大の変化を無視するわけにはいかないね。旧イラストの《闇の腹心》がなくなるのは本当に残念だ。僕にとっては、そもそも本当に特別なものだったんだ。インビテーショナルで勝利できる幸運にあずかった僕たちは、カードのイラストが変わって再録されるなんて想像もしなかった。イラストが変わらないなんて約束はされていなかったけど、変わるなんて予想できなかったんだ。つまり、僕もそうだけど、この変更を残念に思った誰もが、それだけが唯一の方法だったんだと認識しなければならない。正直に言うと、他のどんな方法も公正とは言えない。クリス・ピキュラ/Chris Pikuraやイェンス・ソーレン/Jens Thorenのイラストが変わって、僕のだけが元通りだったら彼らはどう思うだろう? それじゃ、古傷をこじ開けるようなものだ。この点において、前例が定まっていると思う。もし、将来ウィザーズが他のインビテーショナル・カードを元のイラストで再録するとしたら、また僕の意見も変わるかも知れない。今のところは、これが唯一の方法なんだ。

 旧枠で再録された自分のカードを手にしたということも隠さずに書いておこう。レイ・デ・ガズマン/Ray De Guzmanがそのイメージのコピーを送ってきた日のことは今でも覚えているよ。昔は彼とよくプレイしたもので、当時タイプ1と呼ばれていたヴィンテージをプレイしていて、彼は僕が旧枠カードを大好きだって知っていたんだ。僕はこのカードの再録によって元のバージョンを手に入れるのが少し簡単になるんじゃないかと願ってる。僕がサインして誰かに送りたいことは何度もあったけど、手に入れるのがどんどん難しくなっていったんだ。Mizewell Gamesのネイル・リーヴズ/Neil Reeesは手に持ちきれないほどの《闇の腹心》を集め、それら全部を僕にくれたことがある。それからしばらくの間は、本当に助かった。今も少しだけ予備に持っているかも。

 最後に、悪い印象を与えたいんじゃないってことを言っておくよ。僕は今でも《闇の腹心》にすごく思い入れを持っているんだ。このカードを「ボブ」と呼んでくれているみんなは、これからもそう呼んで欲しい。サインして欲しければ、そう言って欲しい。カードのイラストはどれでも構わない。はっきり言っておくと、僕はこの空位の玉座に僕が座っている絵を描くかもしれない。吹き出しも書くかもしれない。「Greatness, at any cost.」ってね。

――ボブより。


(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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