Planeshift リミテッドレヴュー:白

更新日 Feature

それぞれのブロックのベースとなるセットとは違って、 Plainshift (以下「 PS 」という。)を評価していくときには、このセットの導入が、すでに存在するドラフト環境をどのように変化させる意味合いを持つか、そこのところをよく考えながらそれ ぞれのカードを見ていく必要がある。
PS のカードは、 Invasion (以下「 IV 」という。)を念頭においてデザインされているわけで、いかなるカードも PS 単体で評 価することはできない。また、 PS のそれぞれのカードは、 IV にくらべて出現頻度が 2 倍以上あるわけだが、 PS 1パックあたり IV 2 パックの割合でドラフトされることを考慮すると、 IV のカードにくらべて過剰にも評価できないし、逆におろそかにしていいわけでもない。
つまり、両者は同じぐらい重要なわけで、一度は確立されたこれまでの評価も、 PTQ までには見直しておく必要があるだろう。

今日の本題に入る前に念のため言っておくが、そもそも俺の判断は絶対確実というものではないし、この文章は、みんなが参考にできるようなたたき台として、Sideboard に載せているだけのこと。
他の人と同様、俺も1回1回のドラフトを通じて学習しているわけで、それはつまり、 PS についての経験値を上げているだけではなくて、 IV についても同じように、引き続き経験値を上げつつある状況だと思ってもらいたい。
まあ、このセットについてなにもかも知りつくしているいるなんてことは、そもそもあり得ないんだが。この一連の連載は、ただ読むだけではなくて、ここから学習したことを実戦で繰り返し応用しないと、本当には身につかない。だから、これを読み終わったらすぐにドラフトをしに行ってほしいし、さらに、それを踏まえてドラフトを重ねてほしい。
読んだ内容のどの部分が自分に合う部分で、どの部分が自分には合わない部分なのかを見つけ出して、自分自身の評価として確立しなおしてほしい。
経験を通してのみ、俺のこのたたき台から、なにかしら学ぶことができるだろう。

WHITE ~白~

メタゲームという概念はほとんどの場合、構築の世界に適用されるコンセプトだが、今日は「メタゲームに基づく色の選択」という話からはじめようじゃないか。 IV オンリーのシールドでは、猫も杓子も青黒赤だったのは記憶に新しいところだが、これらの色は純粋に強かった。まあどう考えても、 terminatemagma burst はこの状況を悪化させるだろう。
グランプリボストンの 1 日目のある時点では、トップ 9 卓の 18 人の全員が Mountain と Swamp をプレイしていたぐらいだから、白は論外という話になるのも無理はないが、実際には必ずしもそうではない。
PS の白のコモンは、赤や黒の 1 枚 1 枚のカードと比較するとやや落ちるものの、どの卓にも必ずいるであろう黒赤や青黒のパワーデッキに対して、メタゲームに基づく強烈な対抗策を作り上げるための手段として使用することが可能だ。2 種の Acolyte に PS からのダメージ軽減手段を組み合わせれば、白青、緑白や 3 色のデッキは、バーン / Dark Banishing デッキの前に、強大な壁として立ちはだかることもできる。
さて、それを本当に可能にするための、それぞれのカードを見ていこう。

Commons ~コモン~

aura blast
Aura Blast
Aura Blast は、サイドボードに絶対にほしいカードの一つではある。そこで、どのくらい早い順目で取るかだが、これは armadillo cloak が自分の前を流れていったかどうか、あるいは、 aura shardsdismantling blowaura mutation のような効果的なエンチャントメント対策カードを既に拾っているかどうかにもよる。
Aura Blast は青白デッキにとっては最強のエンチャントメント対策カード(白緑では Aura Mutation の方がいい。)だが、どれだけの必要性があるかというと、実際にはたいしたことはない。
言ってしまえば、 Armadillo Cloak がついた相手の 2/2 がいたとして、そいつを 2/4 でブロックする前に、戦闘中に Armadillo Cloak を割ってからカードを引くのはとても気分がいい、というぐらいの必要性だ。
どうせ遅い順目で取れるので、あまり早い順目では取りにいかない。

Aurora Griffin

aurora griffin

多くのデッキにとって「熊」(訳注:2 マナ 2/2)の獲得が重要な要素となっている現状で、「4 マナ 2/2 飛行」がデッキに入るためには、よっぽど手堅い能力が必要だ。
Aurora Griffin は興味深い能力を持ってはいるが、同じ白の glimmering angelrazorfoot griffin と比較すると、デッキに入らないわけではないものの、今ひとつ物足りない。
Aurora Griffin の能力は、一見、用途があまりにも限定されているように思えるかもしれないが、現環境においては、ゲーティングすべき適当なクリーチャーがいない時に色が合わないクリーチャーを白にして戻してみたり、相手のクリーチャーの色を白にしてゲーティングを妨害するなど、ゲーティングがらみでの操作ができるということを踏まえて、有用な場合も確かにある。デッキの中にあまりにも 4 マナスペルが多い場合には落したくもなるだろうが、おおむねデッキに入れても問題はないレベルだ。

Disciple of Kangee

disciple of kangee

ある意味 Aurora Griffin よりも俺の好みなのだが、やはり普通は飛行を取るだろ う。色変え能力は、時に非常に重要だが、こいつの能力にはそれなりのコストを伴 う。
slingshot goblin が入っているデッキでひどいコンボができるのは当然だとしても、より現実的な路線で、緑のクリーチャーを hunting drakeslay から守ったり、黒や赤のクリーチャーを 2 種の Acolyte から守ったり、また、相手の黒いクリーチャーを Dark Banishing できるようになるというのは、それほど悪くない。こいつも、早い順目のドラフトはないが、一般的に考えられているよりは強い。

Heroic Defiance

heroic defiance

この程度のカードのためだけに白を混ぜるのは意味がないし、メインカラーで使うと 効果が発生しないというのは問題だ。有体に言うと、良くない。あまり良くわかって いない連中が、このカードを使って、それなりにうまく行くこともあるだろうが、実 は +0/+0 の強化になっていることの方が多いだろう。

hobble
Hobble
こいつは PS 最強の白コモンだ。
だが、ゲーティングがないフォーマットに入っていたら、一段と強かった。いったん場に出てしまったあとに相手が何をしようとも、既に Hobble を使った分の手札を補充してしまっているというのは、どうにも詐欺っぽい。
一方で、クリーチャーそのものがゲーティングされてしまう可能性によって、相手のクリーチャーをエンチャントするいかなるカードも、その有用性を限定されるというのも、また真。
すなわち、その比較的低いコストにより、 Hobble はどのデッキに対しても有用であり、黒の強力デッキに対してはさらに良い、ということになる。
だとすると、かなり早い順目でとるべきだろう。

Honorable Scout

honorable scout

「1 マナ、タップ能力なし」のクリーチャーで、デッキに入るやつはほとんどいない が、 Honorable Scout もその例外ではない。だが、非常に攻撃的な赤黒デッキに対 するサイドボードとして、こいつをゲーティング用に必要とする場合もあるかもしれ ない。ゲーティングで4ライフ獲得して、しかるのちに urborg phantom と相打ちに なる、13 順目ピックの 1 マナクリーチャーだと考えると、それほどひどいわけでも ないので、サイドボード要員としての可能性を完全に捨て去ってしまうのは得策では ない。

Pollen Remedy

pollen remedy

このセットの中で、俺の好みのカードのうちの1枚なんだが、ものすごく遅い順目で 回ってきて驚いたこともあったな。 Remedy は、昔々の Mirarge / Visions / Weatherlight ドラフトではかなりの高得点カードだったが、 Pollen Remedy の方が、必要とされるマナが少なくて軽減の上限も高いので、より強いと考えられる。 simoon や Magma Burst に対抗したり、戦闘中のトリックでクリーチャーを殺したり は言うに及ばず、単に本体を 6 点軽減するだけでも、それをたった 1 マナでやっての けるというのは、なかなか侮れない。デッキに 3 枚以上は入らないだろうが、1 枚は 絶対にほしい。

Samite Pilgrim

samite pilgrim

このリストの中でもかなり良い方の部類に入る。
Samite Pilgrim が防衛線を築いている間に、ブロックしにくいクリーチャーで相手を殴り殺す、という感じに使う。本体へのダメージを軽減できると誤解してはいけないが、できないからといって、コストパフォーマンスが悪いというわけではない。普通は 1 回のタップで 2 から 3 ダメージ軽減するだろうし、能力の起動をちらつかせるだけで、こちらのクリーチャーの攻撃の支援から防衛線の構築までやってのけるのには十分だ。
実際には、相手との均衡をやぶるためのカードがむしろ必要になってくるため、 Pollen Remedy と同様、あまり何枚もデッキに必要なわけではないが、ほとんどの白いデッキには 1、2 枚必要だろう。

sunscape familiar
Sunscape Familiar
セットの他のカードに比べても、 Familiar の価値は、どんなカードをドラフトしてきたかによって左右される割合が大きい。もしデッキが Hunting Drake や serpentine kavu の塊なら、 Sunscape Familiar はすばらしい働きをするだろうし、 llanowar knightangelic shield だらけなら、重い wall of wood と大して変わらないだろう。 さらに、 Sunscape Familiar 特有の機能について言えば、デッキを加速するのに役立つだけではなく、大きくて強いクリーチャーを展開するまでの間に相手の 2/2 かなにかを止めて、重要な数点のライフの損失を食い止めるのにも役に立つ。 デッキによっては絶対に必要な 1 枚だろうし、逆に、全く不要な場合もあるだろうから、それによって選択すればいい。

Uncommons ~アンコモン~

Guard Dogs

guard dogs

入るセットを間違えたと思っているのは俺だけだろうか。
4 マナ 2/2 としては起動コストとキャスティングコストが高すぎで、結局のところ本体を軽減しているようではなんともならない。Homelands の昔を思いおこさせるようなカードだ。
起動コストが、「2 白、タップ」の代わりに「タップ」だったら、なかなか興味深いサイドボードカードになり得たんだが、そうではないので、遅い同系対決の時ぐらいにしか 必要とされないだろう。

lashknife barrier
Lashknife Barrier
PS 関係での一番多い質問は、たぶん「そのカードにキャントリップがついているかどうか」というところだろう。こいつは 3 マナのキャントリップカードだ。仮定の話をしていても仕方がないが、もしそれがなかったとしても、 Lashknife Barrier が戦闘に及ぼす絶大な効果は、早い順目のピックに値するものだ。
実際、「カードを引く」と書いてあるので、このカードは馬鹿みたいに強いと考えていい。 このカードが場に出たとたん、こちらの 2/2 クリーチャーは相手の同サイズのクリーチャーを気にせず突っ込んでいけるし、 Simoon 、 reckless assaultplague spitter のようなカードは紙同然、しかも、直接ダメージの効果も弱くなる。
Lashknife Barrierより強いカードは、 2 枚の Lashknife Barrier だけだ。この夢が実現できれば、いくらでも勝ちを計算できるだろう。

Sunscape Battlemage

sunscape battlemage

ていうか、ドラゴンを殺しつつカードを 2 枚引いて、かつ 2/2 が出るっていうのは どうよ。
俺のお気に入りの Battlemage だ。両方の能力のマナが出る場合に、これ以外の PS の白いカードを取るなんてことはあり得ない。
ゲーティングから派生する効果は抜きにしても、5,6,8 マナのオプションそれぞれが持つ適応性の高さと、なによりもそのキッカー能力の高さは、このカードをとてつもなく強力なものにしている。
Sunscape Battlemage は、白青か緑白なら初手候補。 3 色全部出るなら、他のカードを見る必要なし。

Surprise Deployment

surprise deployment

こいつの登場までは、なかなかいい感じで来ていたが、それもこれまで。コストが高いは、カードアドバンテージは失うは、色制限はあるはで、こんなものだめに決まっているだろう。白くないドラゴンを 3,4 枚でも持っていれば使い物にもなるだろうが、そうでなければデッキに入れる気にはならない。

voice of all
Voice of All
2/2 飛行には、何かしら平均以上の能力が必要だというのは前にも書いたが、このカードは、「平均」どころの騒ぎではない。
オリジナルの Voice シリーズは、どれもなかなか手堅かったが、この娘の比較の対象としては役不足。どの色を指定すればいいかはっきりするまでプレイを控えておきさえすれば、 Voice of All は、相手がどの色をプレイしていようとも、効果的に作用する。
いったん防衛ラインを支えることができれば、あとは勝つためのの最後の数点を入れる役目を担ってくれるだろう。
例の 3 色 Battlemage があればそっちを取るだろうが、そうでなければこいつを取る。

Rares ~レア~

Dominaria's Judgment

dominarias judgment

は、特にクリーチャーのにらみ合いになりやすい同系対決で、なかなか興味深いサイドボードとして機能するが、なんと言っても、 harrow が 2,3 枚入った 5 色デッキにおいては、かなりのやり手になる。この状況下では、distorting wake をカウンターしたり、相手の breath of darigaaz を「ひどいflame rift 」におとしめたり、自分のクリーチャーをアーティファクトクリーチャー以外ではブロック不能にしたりできる。
強力だが使いにくいということは、つまり、それなりに構築されたデッキにしか入らないわけで、どうぜだれも取らないのなら遅い順目まで残しておくべきだろう。

march of souls
March of Souls
このカードには失望させられる。一見 wrath of god のようにも見えるが、「afterlife×たくさん」と構造的には同様の問題を抱えている。
つまり、使えないわけではないが使いどころが難しい、ということだ。
うまく使うための鍵は、「堅い」クリーチャーを出して手札をためている間に、相手に攻撃クリーチャーを展開させることにある。それが benalish heralds であれば、文句なしに、相手に疑われることなく手札を充実させることができるだろう。
この作戦は、相手の側によりたくさんの 1/1 を残すことになるが、こちらは、手札から大型のクリーチャーをプレイすることによってすばやくバランスを回復することができるはずだ。まあ、とはいうものの、 March of Souls との組み合わせにおいて Lashknife Barrier に勝るものはない。
もし Lashknife Barrier を 1 枚でも持っていれば、 March of Souls の価値は急上昇する。

Orim's Chant

orims chant

構築では見るべきものもあるが、リミテッドでは holy day より少しだけ上。コレク ションに加えるために取るならまだしも、勝つために取るカードではない。

Planeswalker's Mirth

planeswalkers mirth

何かの間違いで Orim's Chant と同じパックに入っていたら、 Orim's Chant をとる言い訳もできようというものだ。出すのにかなりのマナがかかるし、さらに起動するにはもっとたくさんのマナがかかる。そこまでさせておいて、効果が不安定。
効果といってもたいしたことではなくて、相手が 2 体クリーチャーを出している間に、1 回ライフを回復するだけ。まさに時間の無駄。

samite elder
Samite Elder
このカードはなかなか興味深い。カード単体では、同系対決の時だけしか役立たないようにも見えるが、他の特定のカードと組み合わさると、とたんに強くなる。
例えば、 tidal visionary でもかまわないが、 rainbow crow ならもっといいし、metathran transport や Aurora Griffin との組み合わせに至っては正気の沙汰ではない。
Samite Elder は、状況さえ整えば、クリーチャー除去を止めるだけではなく、こちらのクリーチャーをブロックされにくくもし、また相手のクリーチャーエンチャントメントをかわすのにも使える。
使い手の判断が問われるカードの一つではあるだろうが、正しいデッキに入れれば場を制圧することが出来る。

白についてはこんな感じだ。次回はこのセットの青いカードについて、フォーマット への影響を考えていくことにしよう。質問は気軽に「JgaryWise@yahoo.com」までど うぞ。(訳注:英語のみ。)
じゃあ、ドラフトがんばれよ。

Translation by Moro

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