Week In Review 7 月 6 日号

更新日 Feature

復活

今までの 32 回の連載が評価されているのか、なぜ数週間も新しくアップされないのかと思った読者もいたようだ。中にはこのコラムがどうなるのかとメールで聞いてくる読者もいた。ごらんのとおり Week In Review は復活した。

ここ数週間は Sideboard の記事のためにクアラルンプールとミラノでコンチネンタルチャンピオンシップ(大陸選手権)の取材をしていた。そのほかにもここでは述べないがマジック以外で私自身に重要な事がいくつかあった。その結果普段よりも文章を書く量がかなり少なくなってしまった(ここ二回の週末に書いた 15000 語以上という普段は簡潔な文章を書いているつもりの人間としては非常に多い取材記事を考えなければのことだが)。ようやく家に戻ってきてわけなのだが、今後数週間は旅行に出かけないつもりだ。だから Week In Review は普段どおりのペースで更新されるだろうし、もしかしたら近いうちに他の記事もいくつか書くことになるかもしれない。

アジア太平洋選手権

今年最初の大陸選手権、APAC のメタゲームはスタンダードでは全米選手権と日本選手権の影響を大きく受けると思われていた。その予想通り上位陣は Fires 、青白コントロール、青単コントロールでいっぱいだった。青白コントロールが上位 8 名の中で一番多いデッキタイプで、決勝戦は非常によく似たデッキ同士の対決となった。その結果、岡本尋が GP (グランプリ)常連の信下淳を破り優勝した。

今年はアジアから 2 人のプロツアートップ 8 が出るなど、アジア・太平洋地域のプレイヤーにとって飛躍の年となっている。アジア・太平洋地域のプロプレイヤーたちは自分たちの中に Kai Budde や Jon Finkel らに負けない力のあるプレイヤーがいることを証明したがっている。APAC はそういったプレイヤーたちの志気を高めるのに重要な舞台であるわけなのだが、今回もまさしくそのとおりとなった。参加者のほとんどが堅実なプレイとすばらしいスポーツマンシップを見せてくれたものだ。トップ 8 で試合結果の共謀という事態が起こってしまい、 3 選手が失格になってしまったのだが、それ以外は問題なく進行したものだった。

PT シーンには知られた日本人プレイヤーも出てくるほどとなっており、アジア・太平洋地域の他のプレイヤーも彼らと肩を並べようとがんばっている。ただ、マジックはアジアの他のどの地域よりも早くから日本でプレイされ、注目もされてきたものであり、競技者が少ない国々のプレイヤーにとっては苦しい状況だろう。和やかな雰囲気ではあるのだが、APAC はいつも日本人プロプレイヤーとシンガポール、台湾、香港からのプレイヤーの対戦となっている。今年もトップ 8 に 6 人を送り込んだ日本勢の圧勝だった。

ヨーロッパ選手権

日本が APAC のトップだとすれば、ヨーロッパ選手権のトップはノルウェーだ。今年の Eivind Nitter を含め、これまでの欧州選手権 4 大会のうち 3 回までをノルウェーのプレイヤーが優勝している。Nitter はカウンターレベルデッキを使い、決勝では赤単の Burning Bridge の変形デッキを破って優勝した。彼のこれまでの最高成績は今シーズンのチーム PT ニューヨーク 5 位だ。

ところで、今回のヨーロッパ選手権ではカナダ人プレイヤーが優勝するかもしれないという、ちょっと変わった事態が起こった。Dave Montreuil はカナダからスイスに引っ越して 4 ヶ月と経っていないミュージシャンなのである。その短い期間における戦績がフライデー・ナイト・トーナメントで何度かの優勝を遂げているというプレイヤーがスイス・ナショナルチャンピオンシップで優勝し、さらにはヨーロッパ選手権の決勝まで駒を進めたのだ。地元カナダでの世界選手権ではどうなるだろうか。

プレイヤーの真の力を他の誰よりも早く見抜ける人がいるようだ。
Sideboard のレポーターで Nitter と同じノルウェー人の Kim Eikefet は Nitter の力を以前から認めていて、GP イェーテボリの取材記事で賞賛の詩を書いていたほどである。

南米選手権

ヨーロッパ選手権と同様南米選手権でもカウンターレベルが優勝した。Scott Richards がカウンターレベルを使って決勝で Orb-Opposition デッキを破ってウルグアイに初のタイトルをもたらした。その場にいなかったので残念ながら面白い記事を書くことができないが、参加したプレイヤーから話を聞けたら何か書いてみたいと思っているところだ。

マジック雑学クイズ(Magic Trivia)

terror
先週の問題: アルファで間違って横向きに印刷されてしまい、その後もそのままで使われているカードは何か?

マジックの初期からのカードのひとつ、 Terror のイラストは人気アーティスト Ron Spencer によるものだが、アルファ版で横向きに印刷されてしまった。元のイラストがどういうものかを見たければカードを横に倒せばいい。最初のミスプリントの後でその状態のほうが見た目がいいということで後のセットでもミスプリントは修正されていない。

今回の問題: マジックのプロプレイヤーの中でオンライン RPG の EverQuest で最高のレベル 60 に最初に到達したのは誰か?

正解は次週のコラムで発表するので、答えをメールで送らないで欲しい。

プレイ・オブ・ザ・ウィーク(今週の名プレイ)

dromar the banisher
Bram Snepvangers はヨーロッパ選手権の第二ポッドでとんでもない五色デッキをドラフトした。Karniel Cornelissen とのフィーチャーマッチは二人とも土地を出しつづけ、ほかには特に何もおきないまましばらくがすぎた。Snepvangers は基本地形をすべてタップし、Irrigation Ditch などの Invasion の特殊地形をいくつかいけにえにささげそれぞれ 2 マナを出した。全部で出たマナはなんと 13 マナ! Snepvangers は Obliterate で場のパーマネントをすべて破壊し、土地を出してタップした。残りは 6 マナ。そして Dromar, the Banisher を召喚したのだ。ほどなくして Cornelissen は投了した。

バッド・プレイ・オブ・ザ・ウィーク(今週のヘマ)

信下淳と森勝洋という日本人プロプレイヤー 2 人が APAC の準決勝で対戦した。信下のデッキは青白コントロールで、Mahamoti Djinn をサイドボード後のフィニッシャーとしていた。

misdirection
二ゲーム目、双方とも残りライフが少なくなった。残り 2 ライフの信下は Mahamoti Djinn を場に出した。森の場には Kavu ChameleonThunderscape Battlemage がいて次のターンの攻撃で信下を倒すことができる。信下の手札には Wrath of God があったものの Djinn を失いたくはなかった。結局、信下は Djinn で攻撃して森の残りライフを 4 にした。その後 Wrath of God を使うつもりでいたのだが、突然ほかの考えが頭に浮かんだらしい。

信下の手札は AbsorbWrath of God が二枚ずつと Misdirection が一枚だった。自分の Wrath of GodAbsorb でカウンターしてライフを回復して次のターンを乗り切ってその次のターンの攻撃で森を倒そうと考えたのだ。まず Wrath of God を使い、Absorb のために土地をタップアウトした。そうなって信下は自分のライフをもう一度確認しようとした。すると Absorb を使ってもライフは 5 にしかならないではないか。森のクリーチャーは 6 ダメージ与えることができ、このままでは次のターンに負けてしまう。しかし、プレイを戻すにはもう遅く、しかたなく二枚目の Absorb を捨ててピッチの Misdirection で最初の Absorb をカウンターした !

Wrath of God が解決されて場にクリーチャーはいなくなったが、本当なら Wrath of GodMisdirectionAbsorb 二枚があるはずの信下の手札は Wrath of God 一枚だけとなってしまった。そうなると森が勝つのにそれほど時間はかからなかったわけである。 しかし、こんなヘマをやらかしてしまった信下が結局このマッチに勝ち、APAC 準優勝を飾ったのだった。

いつものことだが、いいプレイやヘマ、いい雑学クイズ、ニュースなどがあれば ashv@concentric.net まで(英語で)。

Translation by Psi

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