『コンスピラシー』ドラフトに備える

更新日 Latest Developments on 2014年 6月 2日

By Sam Stoddard

Sam Stoddard came to Wizards of the Coast as an intern in May 2012. He is currently a game designer working on final design and development for Magic: The Gathering.

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 ああ、『コンスピラシー』。それは誰にとっても未知の存在でした。もはやそうではありません――私は皆さんにこのセットをご紹介することにとてつもない興奮を覚えています。数ヶ月に及ぶ、からかうような情報の出しかたや隠されたメッセージ、そして謎めいた参照を経て、今やセット全体が カードギャラリーで公開されています。

 『コンスピラシー』を作り出したとき、その目標は独特なドラフト環境を生み出す大きな変化をもたらすことでした。我々は『コンスピラシー』ドラフトで、通常のドラフトでは起こりえないような大きくエキサイティングな事柄が起きる機会を作り出したいと考え――そして様々なドラフトでの行動を可能にするものをパックに入れることによってそれを可能にしました。

 さらに、このゲームは3〜5人でプレイするようにデザインされています――我々がドラフト製品で試みたことのないものです。『コンスピラシー』はこれまでのあらゆるものと異なるドラフト体験だと言えるもので、そして私はあなたにそれを楽しんでほしいと思っています。

ピックの計画を立てる

 〈歯車式司書〉や〈取引仲介機〉のようなドラフトの物理的な動きを変えうる派手で興味を引くカードを作ることは重要ですが、また我々はどの順番でピックしたかによらず影響を与えるカードを導入したいと思いました。我々はこのセットで普通のマジックのセットよりもはるかに好きなようにできましたが、再プレイ性を損なうので全てのゲームを新しい多人数戦テーマのカードだけで決まるものにはしたくありませんでした。我々は皆さんに毎回の『コンスピラシー』ドラフトで全く違う経験をしてほしいと思っており、それは一見して面白くなさそうなカードでさえ大きく輝くということです。

 例えばこの策略・カードはあなたのドラフトにどんな影響を及ぼしうるでしょうか。

 これを見てから2枚目の〈真価の宗匠〉や《魂売り》を取って興奮するのはもちろんですが、最も指定すべきクリーチャーの1つは明らかにこれです。

 私が狂ったと思われるかもしれませんが、私はこのカードに独自の見解を持っています。《トカゲ人間の戦士》はとても良いカードだとは言えません。もちろん分かっています、彼はとても強そうに見えます。しかし結局のところ、彼は普通に考えたらドラフトの爆弾カードの類ではありません。しかし彼には1つの大きなアドバンテージがあります。彼は弱いカードなので、実際に取ろうと思えばたくさん集めることができます。しかしなぜ他の強力なカードの代わりに全ての《トカゲ人間の戦士》を取ろうとするのでしょうか? そうです、《トカゲ人間の戦士》をもっと強くすることができるのです。

 4マナ4/2はあまり見所があるとは言えませんが、4マナ5/3だとかなり良さそうに見えてきます。〈秘密の召喚〉をピックした後、クリーチャーを支援する別の策略・カードを手に入れることができます。

 もちろん、このカードがこの戦略を助ける唯一のカードではありません――《トカゲ人間の戦士》のコストを軽くしたり、速攻をつけたり、他の強力な能力を持たせることができます。

 しかしながら「これを全部ドラフトする」戦略はクリーチャーだけに止まりません。同じ名前の呪文をたくさんドラフトすることに恩恵を与えるものも存在します。

 このカードは色々なことができます。最も基本的なレベルでは、《渦まく知識》のような軽いキャントリップ呪文を集めてはるかに強力なドロー呪文へと変えることができます。もしくは除去呪文を2倍にすることができます。このセットの最弱の除去でさえ2倍になったときはかなり素晴らしいものになります。

 呪文を2倍にできるということは、デッキに1枚しか入っていないカードを指定することもありえますが、それでもその呪文が2倍になったなら、とても影響力の強いものになるでしょう。《溶岩の斧》を指定したときにはアドバンテージを得られないかもしれませんが、誰かのライフをいきなり10から0にするかなり重要な仕掛けを持つことになります。

数字を知る

 カードのコピーを得ることは楽しいことですが、このセットがどんなものかを知ることはその目標の手助けとなります――そして将来のセットをどうドラフトするかの情報さえも得られるでしょう。

 特定のカードをどれぐらいの頻度で引くかは、そのプレイしているマジックのセットの大きさによって決まります。お気づきかと思いますが、小型セットをドラフトしているときのほうが、大型セットでドラフトしているときよりも特定のコモンを多く見かけます。その理由は、大型セットも小型セットも1パックに入っているカードの枚数は同じですが、小型セットのほうがコモンの種類が少ないからです。その結果、それらのセットの中にある特定のカードをより頻繁に開けることになります。

遠吠えする狼》 アート:Nils Hamm

 『コンスピラシー』はカード枚数という観点から見ると少し変わっています。これはいわば中型セットのようなものですが、基本土地の代わりに1パックに1枚入っている策略・カードか構築物・カードの存在のおかげで小型セットの特徴の多くを備えています。(大抵の大型セットにある101枚のコモンではなく)このサイズになった要因の1つは、同じ名前のカードに影響を及ぼすカードがかなりあって、そして我々は同じ名前のカードを複数手に入れる機会を増やしたいと思ったからです。

 結果として、『コンスピラシー』は私が4〜5人とプレイし、ドラフトが実際に機能したと感じた最初のセットの1つになりました。実際のところ、奇数の人数でドラフトする、例えば5人というのはやりにくいものですが、『コンスピラシー』は多人数戦の性質によってそれを完璧に制御しました。5人でドラフトしてプレイするだけ――とても簡単です。実際、このセットのデベロップチームは5人なので、まさにこの通りのやり方で『コンスピラシー』のプレイテストをたくさん行いました。

 セット自体の話に戻ると、「開封比」はブースターパックを開けたときに何が見えるかを測定する基準です。それはパックを開けたときの状況からセットを見ています。我々はそのセットがどんなものであるかを、パックを開ける経験を通してあなたに多く伝わるようにしたいので、この基準はとても有用なものです――言い換えれば、セットを「理解する」ためにセット全体を見る必要があるべきではないということです。

 例えば『エルドラージ覚醒』を作ったとき、我々はエルドラージが巨大で強大な怪物になるだろうと分かっていましたが、何パックか開けただけの人がエルドラージの凄まじさを理解できるように、コモンに適応するデザインを必要としました。この理由はマーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterがしばしば言及している、「コモンにテーマが現れていないなら、それはテーマではない」からです。

 セットの全コモンの枚数が101枚のところに、あるメカニズムを備えたコモンを10枚(『ミラディンの傷跡』の感染など)入れた場合、各パックにそれら10枚のうち1枚ぐらいは入っていると想定します。パックのランダム性によって0枚だったり3枚以上入っていることもありますが、平均として1枚です。『テーロス』の英雄はコモンに5枚、アンコモンに7枚、そしてレアに6枚あり、その開封比は1を少し下回ります。パックごとのそれらの数が少なくなったとしても、我々はしばしば高いレアリティに高い密度でメカニズムを入れているので、レアとアンコモンの数字は重要です。

 ではもっと厳密に計算してみましょう。大型セット3つでドラフトをしていて特定のコモン1枚を探す場合、プレイヤー1人ごとに大体30枚のコモンが開けられ、そして一般的にドラフトのプレイヤーは8人であることを理解する必要があります。『コンスピラシー』には以下の枚数カードが収録されています。

 コモン80枚

 アンコモン60枚

 レア35枚

 神話レア10枚

 従って、8人で行う『コンスピラシー』ドラフトではほぼ240枚(フォイルによって前後します)のコモンが開けられます。

 3パック×コモン10枚×8人=240

 これを80(このセットのコモンの収録枚数)で割ると、そのドラフト全体で各コモンは3枚前後開けられることになります。しかしながら、それらはあなたのところに回ってこなければ取れないので、可能な限りで最大数の《コーの詠唱》や、《強迫的な研究》、《よじれた嫌悪者》を見なくても驚くことではありません。恐らく《トカゲ人間の戦士》や《飛び地の精鋭》、《感染性の恐怖》を集めようとしたほうがいいでしょう。我々が普通の大型セットの収録枚数を用いていた場合、各カードは1回のドラフトで2.38枚出ることになります。大して増えてないように見えるかもしれませんが、実際の増加は顕著なものです。

 他のレアリティを見てみると、8人ドラフトで特定のカードが開けられる平均は以下のようになっています。

 アンコモン=1.2

 レア=0.6

 神話レア=0.3

 従って、ドラフト1回では各アンコモンは約1.2枚、各レアは0.6枚、そして各神話レアは0.3枚出る見込みがあります。従って、あなたが初手に《リスの巣》を取らなくても、それを中心としたドラフトをしようすることは可能です――が、出なくても不思議ではありません。

 策略・カードや他のドラフトに関するカードが、通常のコモン、アンコモン、レアとは違う頻度で現れることも注意しておかなければなりません。各パックには(基本土地の代わりに)1枚分のドラフトに関するカードのスロットがあり、コモン、アンコモン、レアがそのシートに適切に設定されています――しかし「普通」のこのセットのコモンとは出現率が異なります。言いかえるならば、1回のドラフトで〈隠れ潜む自動機械〉が3枚出ることは期待できない、と言うことです。

 今週はここまでです。我々が『コンスピラシー』を作ることを楽しんだように、同じく皆さんがこれをプレイして楽しんでほしいと思っています。もちろんこれは我々にとってとても斬新な製品で、そして私は我々があなたが何を思っているか分かるように(肯定的でも否定的なでも)意見を送ってほしいと思っています。そうした意見は、このような製品が今後求められているか、そしてこれに似たようなものをどのように改良できるかを我々に教える助けとなるでしょう。

 ではまた来週お会いしましょう。

サム(@samstod)より

(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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