シールド・マジック・カップ

更新日 Latest Developments on 2012年 8月 17日

By Zac Hill

Zac is a former game designer/developer for Wizards of the Coast and was the lead developer for Dragon's Maze. His articles have appeared in The Huffington Post, The Believer, and on StarCityGames.com. Currently he serves as the chief operating officer of The Future Project, a nonprofit education initiative, and holds a position as a research affiliate in the MIT Game Lab.

 ワールド・マジック・カップ・ウィーク?一週丸ごと!?そしてまだワールド・マジック・カップは終わっていない!(訳注:この記事は8月17日に公開されたものです)

 私の乗る飛行機がインディアナポリスに向けて出発する前にこれを書いている間も、私はワールド・マジック・カップのことばかり考えている。それは常に超エキサイティングなマジックの世界における全く新しい出来事で、そして私は我々の最新の冒険的な企画がどのような結果になるか確かめるのを待ちきれない。これがライブで届けられるころには、私はリッチー・ハーゴン/Rich Hagon、ブライアン・デヴィッド=マーシャル/Brian David-Marshall、ラシャド・ミラー/Rashad Miller、マーシャル・サトクリフ/Marshall Sutcliffe、そしてシェルドン・メネリー/Sheldon Meneryらとウェブキャストで喋っており、賞金10万ドルを懸けたこの星で最も偉大なプレイヤーの戦いを見ることになるだろう。ビデオカバレージはこちらからご覧いただきたい(リンク先は英語)。

 最高水準にあるマジックの世界的な包括性が実際に私をこのゲームに引き込んだので、私は特にその部分に興奮している。それは何か不思議で、何かほとんど超越した、6つの大陸に渡って固い友情を結んだ経験について――マジックのようなゲームを通じて、現在の国際化した世界でのみ起こりうること、それは国籍と言語を超えて人々を助け、彼らが普遍的なものに参加することを可能にする。私はアメリカ南部のテネシー州メンフィスで育ち、マジックのようなものが広い世界を体験することを助けてくれなければおそらく故郷を離れなかっただろう。しかしマジックと出会ったおかげで、私は30以上の異なる国々を旅した。私はプラハで猪のステーキを、クアラルンプールでパクテーを、テグでキムチを、シンガポールでチキンライスを、そしてベルリンでは(おそらく最も美味しい)とても良いパウラーナ・サルバトールを味わった。私はベルギー、オランダ、スロバキア、フランス、クロアチア、そしてデンマークのプレイヤー(全ての人が、私より遥かに、遥かに優れていた!)で構成されたチームでプレイテストを行った。そう、それはおそらく今までに無いマジックの惑星規模に及ぶ最も明らかな祝典に参加できることの、口では言い表せないほどの大特権だ。


 このイベントのもう一つの興味深い側面はもちろん、ここでしかプレイされないフォーマットの――解釈を実際にプレイするプレイヤーたちが自ら見つけ出すということだ(それはここで見ることができる)。私はマリーン・リバート/Marijn Lybaertに今日話した。そして彼は、そのような広い多様性の環境で意味のあるプレイテスト――デッキを考えるためよりもはるかに少ない――にどのようにして挑んだかについて述べた。「実際の所」彼は言った。「フォーマットに慣れることの方が重要だね」あるラウンドに《マナ漏出》と対峙し、次のラウンドには《血編み髪のエルフ》、そして数ラウンド後には《ネファロックスの召使い》と戦う覚悟が必要なのだ。スタンダード、ブースター・ドラフト、チーム・シールド、モダン、そしてブロック構築を行うこのイベントは、保守的な三つのフォーマットの世界選手権よりも多くの多様性を特徴にしている。それら全てがテーブルの上にあり、全てを説明するのは不可能に近い。

 しかしながら私は、チーム・シールドの部分にいくつか余分に時間を費やして語りたい。理由の一部分は私がマジック2013について当然黙ってはいないからであり、また、それが明日行われるからである。しかし、それよりもずっと大きな理由として、シールド・デッキはほとんどのリミテッド・フォーマットと比較して技術が必要ない、運任せのものだと考える傾向にあるからである。しかし、これに意義を唱える人がいる。オーウェン・ターテンバルト/Owen Turtenwaldとオリヴィエ・ルーエル/Olivier Ruelがその筆頭だ。また、私自身も、プレイテストした人がわずかだからこそ非常に技術が試されるものだと考えている。しかし確かに開けたカードプールに《墓所のタイタン》と《原始のタイタン》、《火の玉》、そして《踏み荒らし》があれば走り回り、「ヒーハー!」と雑音を出して拳を空中で何度も上下させることになるだろう(私だけかな?)。

墓所のタイタン》 アート:Nils Hamm

 一方、チーム・シールドでは、君は多くのブースターを開けるので、多くのデッキがドラフトで組むようなものになる――ただし、どのカードも最初からそこに存在するのだ。ドラフトはどのようにしてカード・プールからデッキを作るかを見つけ出すスキルを非常に試されるが、既にそこにあるものからいくつかの異なる最適な戦略を選ぶことを要求されるフォーマットは多くはない。通常のシールドでは、デッキになり得る選択肢は明らかに1つか2つに絞られており、あとは最後の2、3のスロットを微調整するだけだ。対照的に、チーム・シールドでは基本的に5つぐらいは使えそうなデッキが君達に提示される。しかし得られるのはそれらのうち3つだけだ! さらにそれらのデッキの多くは互いに不可欠のカードを共有しており、つまりそのカードを他のデッキでは使うことができないので、ドラフトのような生態系をデッキ構築自身の中に作り出す。

 私にとって特にクールなものは、時々打ち出されるどこからか与えられた適切なカードプールが可能にするカードとアーキタイプだ。それらはいつも使えるというわけではないが、しかしそれらは通常のシールドデッキのプレイの範囲では不可能な方法でその存在を知らせてくれる。それらのいくつかは実際に私のプレイテストの中で際立っていた。

精神刻み

 《精神刻み》はリミテッドのデッキに確実に入れて始める種類のカードではない。

 「7枚削って下さい」「OK、まだ25枚残ってるよ…」

 2回唱えられたとしても、とても長いゲームでの助けになるだけでしかない。しかしながら3回になると、そいつはちょっと面白いことになってくる。ゲームを13ターンまで引き伸ばすのはさほど難しくはない。4回唱えるのは骨の折れる仕事だが、確実にゲームは終わる。

 チーム・シールドで時々起こるのは、5枚ぐらいの《精神刻み》といくつかの《古術師》が一緒に開封されることで、そうなると状況は大きく変わる。私が完成させたデッキは《精神刻み》4枚、《古術師》3枚、《予言》3枚、そして《ヴィダルケンの幻惑者》が3枚だ。このアーキタイプの本当に魅力的なところは、君がチームメイトが常に求めていないカードを非常に多くプレイしているので、彼らのデッキは自然と強化されることになると言うことだ。従って、最初の2、3枚の《精神刻み》をちらりと見ただけで「使用不可」の束に放り込んでしまうというのは非常に不利益になり得ることだ。君はとても、とても強力なものを見逃してしまうことになる。

精神刻み
古術師

否認》と《巻き直し

 君は《本質の散乱》について議論するつもりは無いだろうが、フォーマットの残りの打ち消し呪文もチーム・シールドを楽しむのを後押ししてくれる。我々が話してきた他のカードのほとんどは、ブースタードラフトで上がる材料と大部分は同じような理由で強力だ。より多くのカードを見た場合、《丘巨人》や《巨大化》よりも強力な、狭いシナジーの直線的なカードを使うことができるようになる。

 しかしながら、ブースタードラフトでよく見られることと実際には全てを共有しないチーム・シールドの別の要素がある。現実は、君は多くの爆弾カードを見ることになるだろう。12のレアがそれらのパックから出てくるだろう。同じように《どんでん返し》、《ターランドの発動》、《溶岩噴火》、《忘却の輪》、《公開処刑》、《ガラクの群れ率い》その他諸々もだ。君はいくつかの爆弾カードを見せつけられることになるだろう。そして、それらのカードに対処する方法が欲しいはずだ。

 一般的に言って、私が基本セットのシールドで《否認》を好む傾向にあるのは、まさに全ての強力なクリーチャーでないカードに対する解答が欲しいからだ。とは言え、ここにもっと良いものがある。《巻き直し》はやはり、最大の後押しになる。通常、これはデッキに確実に入れたいと思うカードではない。4マナは対応する呪文としては重く、そしてこれは構築ではない。アンタップした後にすることが常にあるとは限らない。しかしながら肝心なのは、いくつかの大問題が来ているということがわかっていることだ。もし、対戦相手が12パックから爆弾カードを引いていなかったなら、よし、恐らく君自身でうまくやれる。しかしながら、もし彼らが引いていた場合、時にそれは保険のためにわずかな余剰を払って準備しておく価値がある。

否認
巻き直し

原初の狩猟獣

 私は次の出来事が起こるのが分かっているという理由だけで、このちっちゃい奴について言及する。最初のプレイヤーは52000の飛行クリーチャーと山ほどのテンポを失わせる呪文の入ったマジキチな青白テンポデッキだ。2人目のプレイヤーはマナ・カーブに沿った大型のモンスターと何枚かの《捕食》を脅威を退ける手段として持った緑単色のデッキだ。赤黒のプレイヤー、それが君で、これまで見た中で最も化物じみたように思われる。12枚の除去呪文、《殺害》と《灼熱の槍》、《金屑化》、《本質の吸収》、《公開処刑》、おまけに《闇の領域のリリアナ》まである。強力きわまりない暴走獣どもを焼き落とすことができるのだ。

 その後《原初の狩猟獣》が4ターン目に出てきて、君は椅子に崩れ落ちた。

 この人のようになってはいけない。考えがある。多分それは《任務に縛られた死者》に毎ターン4マナ払うことか、多分君が最もラッキーなら、《もぎとり》か《溶岩震》を持っている。とにかく、私は確かに君に伝えた。警告はしたぞ!

原初の狩猟獣
もぎとり

咆哮するプリマドックス

 おお、「ジャングルの王」。これはこのカードのプレイテストの時の名前だ。そして我々は彼をより悪くし続けた。5/5? ないないない。明らかにこのカードはコンボ要員であるように意図されて、そして明らかに「欠点」は常にアレだよ、アレ、(《エルフの幻想家》や《イェヴァの腕力魔道士》で何が起こるか十分に明白にならなかった場合のために、我々は《結合虫》まで入れたのだ)良い面だ。

 チーム・シールドでは、やはりこのカードはいくつかのとんでもないことができてしまう。それはあまり多様性を広げそうになく、世界は君の思うままだ。《貪欲なるネズミ》? 《血狩りコウモリ》? 《古術師》? 《従者つきの騎士》? 《戦飛びの鷲》? 《ボーラスの占い師》? 《ボーラスの信奉者》? 《スラーグ牙》? 壊れたプールなら実質的にナヤポッド・デッキに4/4のクリーチャーがついたものを構築するのは明確に可能だ、対戦相手を膨大なアドバンテージで押しつぶすまで、アドバンテージを重ねていくのだ。

 ただ気をつけて欲しいのは、チーム・シールドのカード・プールにはかなりの数の除去呪文があるので、それに余りこだわらないことが重要だ。《貪欲なるネズミ》と《エルフの幻想家》ばかりのあなたの戦線は、誰も手札に戻させてくれないような状況であれば分断されてしまうかも知れない。

咆哮するプリマドックス
結合虫

ラッパの一吹き

 何枚《クレンコの命令》と《従者つきの騎士》そして《隊長の号令》があればそれだけでコンボデッキと呼べるのか?

 確かに他にもいいものがある。ハイリスク・ハイリターンの《無謀な粗暴者》が行うように、《ゴブリンの付け火屋》はこの戦略によく合う。いくらか迫力に欠ける《栄光の突撃》がするように、《火をつける怒り》はかなりの量の価値をもたらすことができる。しかしこれは《ラッパの一吹き》――私はマジック・オンラインで"Brrn-em Brrn-EEEEEM"と我々が話したと同時に鳴り響くのを聞いた。そのターンは本当に最も頻繁に「お前は死んだ」になる。たとえ20点フルに与えられなかったとしても、残りのダメージを得るための《灼熱の槍》、《チャンドラの憤怒》、《溶岩噴火》の詰め合わせはそこにあるのでそう難しいことではない。

 繰り返すが、《精神刻み》のように、通常あなたのチームメイトはさえない1/1トークンのパワーを増強するコンバット・トリックをやりたくてウズウズしたりはせず、従って、このデッキに入れるこれらのカードが取り合いになるというようなことはない。

ラッパの一吹き
隊長の号令

 とにかく、これは結局は推測の束だ。私は激しく間違っているかもしれない。私は、プレイヤーがそれを手にした途端、実際に何を行うかを確かめるのが待ちきれず、そして動きの一部であることをとても光栄に思う。さあどうぞ、連続三日間のプレイを受信し、参加してくれたまえ。まさに、歴史は今作られているのだ。


(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)


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