スタンダードのマナ基盤

更新日 Latest Developments on 2013年 7月 15日

By Sam Stoddard

Sam Stoddard came to Wizards of the Coast as an intern in May 2012. He is currently a game designer working on final design and development for Magic: The Gathering.

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 デベロッパーにとってスタンダードに取り組んでいるときに最も重要な問題の1つは、マナ基盤をどのようにするかです。単色デッキをプレイするのは基本土地だけでもとても簡単ですが、色を増やしていくごとにプレイするのがだんだん難しくなっていきます。我々がスタンダードに関して好きなところの1つは、我々がそのフォーマットの脅威とそれに対する回答を形作って、そのフォーマットが変化し、そして新たな脅威に進化するのに任せられる点です。しかしながらこの動きは、現在のメタゲームを対象としたデッキが、それらの対戦相手に負けないのと同様に、マナが原因で負けないように十分強固なマナ基盤を必要とします。


 過去においては、我々は与えるマナ基盤の量の観点から、敵対色と友好色を大きく異なったものとみなしていました。例えば 『テンペスト』の敵対色ダメージランドは、 『Ice Age』のダメージランドと似ています……戦場にタップ状態で出てくること以外は。それらを弱く作ることに加えて、我々はさらに敵対2色土地を最も頻繁なときでも1年おきにしか作らず、そしてそれが結果として友好色と敵対色の間のマナ基盤のありかたに大きな隔たりを作りました。恐らくこの隔たりが最も顕著だったのはオデッセイ・ブロックとオンスロート・ブロックの時期のスタンダードで、友好色は 『インベイジョン』の《沿岸の塔》サイクル、 『オデッセイ』のフィルターランド『オンスロート』のフェチランドがプレイ可能でした。敵対色は? 《真鍮の都》だけです。これではとてもフェアとは言えないでしょう。今考えてみると緑青マッドネスのようなデッキをどうにかして回していたのは奇跡です。


    マナぐらい使わせよう

 過去には敵対色と友好色のマナ基盤に差をつける風潮がありましたが、我々はそれはゲームプレイの観点からは全くの間違いであるという確かな結論に達しました。これはゲームのプレイがフレーバーよりも優先されるべき状況の1つです。ミラディンの傷跡・ブロックとイニストラード・ブロックのような最近のスタンダードを見てみると、デッキの大部分が友好2色だったのは驚くには値しませんでした。友好色のM10の2色土地『ミラディンの傷跡』のファストランドに対して、その環境の敵対色デッキがプレイしているのは《広漠なる変幻地》と『イニストラード』の2色土地でした。まとめると、それら2つのマナ基盤のカードパワーの差は比較的小さなものですが、判明した不公平さと小さなパワーレベルの差の組み合わせは敵対色デッキを大きく不利にしました。我々は既に友好色の金色カードよりも敵対色の金色カードを一般に少なくしているので、従ってそれ以上それらのカードを唱えるのを難しくしても、ただそれらをスタンダードで見なくしてしまうだけです。


 現在のスタンダードのマナ基盤は我々がかつてのスタンダードに許可していたものと同じぐらいの強さです。『ゼンディカー』期にあったようなミシュラランドの副次的な強さがないことは事実ですが、3色デッキにアンタップ状態で戦場に出て毎ターンライフを失わない 土地を24枚も入れられることはスタンダードの歴史の中でも聞いたことのない偉業です。『ギルド門侵犯』が発売されたとき、我々はすごい数の3色のアグロデッキとコントロールデッキを見かけ、そしてそれはプレイヤーに『ラヴニカへの回帰』の呪文を唱えることを度が過ぎない程度で実際に可能にしました。私はこれをラヴニカへの回帰・ブロックのとてつもない賜物だと考えています。

 ザック・ヒル/Zac Hillが去年言ったように、『基本セット2010』2色土地はラヴニカのショックランドと相性が良かったので『基本セット2013』に収録されました(ええ、彼の記事ではその点については暗示されただけでした)。ラヴニカへの回帰・ブロックは多色カードに基づいていて、スタンダードでその多色カードをプレイできるよう支援することは我々にとって重要なことでした。友好色と敵対色の土地の両方を入れるのではなく友好色サイクルだけを基本セットに残すことは、マナ基盤の不公平を引き起こし、『テーロス』でもう片方の2色地形サイクルを印刷することになり、ブロックを悪くし、不公平を他のどこかに継続することを我々に強制することになります。

 それを踏まえて、『基本セット2014』に入っているマナ基盤のサイクルを見てみましょう

    チェ、チェ、チェンジ

 もちろん、基本セットから2色土地が外されたのは他の土地を収録するためです。私は収録された土地のうちいくつかを今あなたにご紹介したいと思います。まず最初の1枚は多分最も重大で、これが発表されたときにFFLにものすごい衝撃を与えました。あなたは以前これを見たことがあるかもしれませんが、その収録された土地はこれです


 我々が新しく発売するカードは違った方法でメタゲームに影響を与えます。1つは否定的な圧力です。我々は何かをしようとする人々を罰するために《発展の代価》のようなカードを加えることができ、この場合は2色土地を使う人々を罰してもっと基本土地を使うように強制します。私は全体的に見て、それは伝家の宝刀であると理解しました。私はそれよりも、古いアーキタイプにそのまま完全には適応しないような、何か新しく違った動きを人々に与える肯定的な圧力のほうがずっと好きで、そして私は《変わり谷》はナヤ・ブリッツやジャンク・アリストクラッツのようなデッキに影響を与えるカードだと思っています。このデッキは両方とも《変わり谷》を使いにくい類のマナ基盤を持っており、その結果、それらの戦略をあきらめてより簡単に《変わり谷》に適応する赤緑アグロや赤黒ゾンビのようなデッキになることになります。私は《変わり谷》が多くの3色デッキに入るのではないかと思っていますが、これはそれらの3色デッキのマナ基盤に多くの圧力を与え、多分それらは普通よりも多くのマリガンを強いるでしょう。

 しかしながら、今日私がお見せしたい土地はこれだけではありません。

    全く新しい世界

 マジックの全ては循環しています。もしあなたがたくさんの人々に今スタンダードで何が最も強いか尋ねたなら、クリーチャーであったり、呪文であったり、プレインズウォーカーであったりいろんな答えが返ってくると思います。多くの人は私が実際の答えだと信じているもの――マナを最も強いとは言わないでしょう。スタンダードのマナ基盤はレガシーやモダンのマナ基盤のレベルには及ばないかもしれませんが、それらは今、多くの上位デッキの根幹を成す部分であり、そしてこのフォーマットのほとんど全てのデッキがマナ基盤についてそれほど気にすることなく存在できるようにしていました。

 我々はプレイヤーが呪文を唱えられない時代に遡るつもりはありませんが、過剰にマナ基盤が豊富で、何より信じられないぐらい簡単に使える時代は過ぎ去ろうとしています。潤沢なマナ基盤を使うデメリットはほぼありませんでしたが、ラヴニカへの回帰・ブロックを支援するために意図的に行われたものでした。この1年ではあなたのデッキが2色から3色になっても速度や一貫性はほとんど失われませんでしたが、それは秋のスタンダードのローテーションまでのことになるでしょう。また一方で、テーロス・ブロックに我々が入れた土地は素晴らしいと信じていますが、それらは3色のマナ基盤にショックランドとM10ランドの組み合わせと同じレベルでの簡単さとカードパワーを提供することはありません。

 私は個人的にはそのことを良いことだと信じています。我々はゲームの新鮮さを保つためにスタンダードが毎年変化することを必要としており、マナ基盤を利用することは我々が変化をつけるためにしなければならない手段の1つです。今年は基本セットに2色土地がありません。来年それは入るかもしれないし、その次の年消えるかもしれません。それが本当に素晴らしいかどうかは断言できません。我々がレアの2色土地の枠を使ってしようとしていることは、このフォーマットに十分なマナ基盤があるようにすることと、スタンダードのバランスをとることを助けることなのです。

 ではまた次回お会いしましょう。

 サムより


( Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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