プレインズウォーカーをデベロップする

更新日 Latest Developments on 2014年 1月 20日

By Sam Stoddard

Sam Stoddard came to Wizards of the Coast as an intern in May 2012. He is currently a game designer working on final design and development for Magic: The Gathering.

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 プレインズウォーカーは難しいものです。彼らのデベロップを難しくしている要因の1つは、多くの調整可能な部分を持っていることです。テキストに書かれている能力は言うまでも無く、マナ・コスト、最初の忠誠度、そして能力のプラスとマイナスの数字などを彼らは持っています。彼らはどのセットでも最も重要なカードのうち1つです――彼らは最も目立ちやすく、そしてマジックの独自性の重要な部分を担っているからでもあります。プレインズウォーカーがスタンダードに大きな影響を与えなくても構いませんが、彼らはクールでなくてはなりません。

 というわけで、通常、個々のプレインズウォーカーはセットがデベロップされるとき最も注意を払われるカードです。彼らは激しい変更を受けることもあれば、最適な数値を得るために長いテスト期間がかかることもあります。なぜなら他の多くのカードが少ししかできていない初期段階に、プレインズウォーカーはそのセットの構築フォーマットで強力なカードがデベロップされると共に絶えず調整する必要があるからです。

 今回新たにご紹介できる『神々の軍勢』のプレビュー・カードはありませんが、〈荒ぶる波濤、キオーラ〉のたどってきた長く興味深い歴史をご紹介します。ブロック計画の極めて早い段階から、我々はキオーラをこのブロックに解き放つべきだと分かっていました。問題は「どこで」そして彼女をどのようにするかでした。なぜなら彼女は『デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ』で登場し、我々はクリエイティブが考えた彼女の背景と、どんな能力を持っているべきかについてのかなり良いアイデアを持っていました。少なくとも我々は彼女が少なくとも青緑であること、そしてマナ加速とファッティを繰り出すデッキに入るだろうということは分かっていたわけです。

〈荒ぶる波濤、キオーラ〉 アート:Scott M. Fischer

KEN 6/16/2012: キオーラできたよー。クリエイティブの選択は青緑か白青緑のどっちかだ。


〈荒ぶる波濤、キオーラ〉
+2:あなたのライブラリーの一番上から3枚のカードを見る。あなたは、それらの中にあるクリーチャー・カードか土地カードを1枚公開してもよい。そうしたなら、それをあなたの手札に加える。残りをあなたの墓地に置く。
−3:あなたの手札にあるクリーチャー・カードを1枚戦場に出す。
−8:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーがコントロールするすべての土地は島になる。そのプレイヤーがコントロールするクリーチャーは、飛行か島渡りを持つか、あるいはパワーが6以上でないかぎり攻撃できない。
忠誠度 3

 これは最初のバージョンのキオーラではありませんが、基本的にケン・ネーグル/Ken Nagleが彼のセットにとって妥当だと定めたバージョンのものです。これは彼の求める条件を全て満たしており、そしてエキサイティングでした。

KEN 8/3/2012: 10マナ以上の生物をいきなり出せないように変更。前の奥義は対戦相手の土地を島にする+《孤島の聖域》の紋章を作るみたいなやつだったが、その紋章に満足いかない。新しい奥義は森の数だけ《踏み荒らし》と島の数だけ《激動》でバウンス+ファッティらしさを出して、序盤ではあまり機能しないプレインズウォーカーを試してみよう。

KEN 8/7/2012: 点数で見たマナ・コスト6以上にテーマを絞りつつ弱体化。キオーラとガラクは「デカブツを出す」枠を争うことになるだろう。

KEN 8/15/2012: ブレイディ・ドマーマス/Brady Dommermuthの新たな小細工デザインを試してみる。点数で見たマナ・コスト6以上を「飛行を持たない青のクリーチャー」にしてこのセットの青の海の怪物どもと組み合わせることで真価を発揮するようにしよう。

KEN 8/29/2012: チームやデベロップと話し合った後、我々は「洪水」っぽいフレーバーの能力と青のバカでかい海の怪物を召喚するようなものが気に入った。

 ケンの言うとおり、このバージョンのキオーラは『基本セット2014』のガラクの動きと非常によく似ています。デザインのプレイテスト・バージョンのプレインズウォーカーが最終バージョンにかなり似ているとは期待していませんが、我々は彼らの能力を比較的近いものにしようとしています。この場合、我々は彼女の能力を多元宇宙の他のプレインズウォーカー達の中でも独特な物にすることをまさに求められていたのです。

獣の統率者、ガラク


〈荒ぶる波濤、キオーラ〉
+1:対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーの次のターンの間、そのプレイヤーがコントロールするクリーチャーは攻撃するクリーチャー1体につきを払わない限りあなたやキオーラを攻撃できない。
−2:カードを1枚引く。このターン、あなたは追加で土地を1つプレイしてもよい。
−6:あなたのライブラリーの中から飛行を持たない青のクリーチャー・カードを最大3枚まで探し、それらを戦場に出す。その後あなたのライブラリーを切り直す。
忠誠度 3

KEN 9/7/2012: もう君は守られていない。必ずを払うこと。

TML 9/17/2012: これが構築で使われることを期待。

KEN 9/19/2012: を払わないと攻撃できないのを止めて、1体までのクリーチャーをこっちの次のターンまで《ガス化》に変更。

KEN 9/20/2012:〈恐怖口の鯨/Terrormaw Whale〉みたいな青のファッティをデッキに入れなけりゃならんことについて苦情が超来た。《ニッサに選ばれし者》でもこの問題はあったな。奥義を「{T}:青のファッティなトークンを出す」に変更。

TML 9/24/2012: 真ん中の能力を−1にしてみたい。あと《復讐のアジャニ》の+1能力は青緑だと思うので何であいつが持ってるんだろうと思い始めてる。奥義で生み出す怪物を1種類にしなきゃいけないのだろうか? 正確なテンプレートのトークンとは合わないだろうが、私は好きだな。

Gaseous Form
復讐のアジャニ

 我々はキオーラに自分自身を守れるプラス能力を求めていましたが、青緑でそれにぴったりな能力を見つけるのは困難でしたが、「凍らせる」能力はそれが可能なものの1つでした。

 
〈荒ぶる波濤、キオーラ〉
+1:パーマネント1つを対象とする。それはそれのコントローラーの次のアンタップ・ステップにアンタップしない。
−1:カードを1枚引く。このターン、あなたは追加で土地を1つプレイしてもよい。
−5:このゲームの間、キオーラは「{T}:9/9の青のリバイアサン・クリーチャー・トークンを戦場に出す。」を得る。
忠誠度 3

KEN 9/25/2012:探検》を−1に変更。《復讐のアジャニ》の+1をパクってみる。新テンプレートに変更。1種類のトークンを出すだけにする。

AF 9/28: なんか変な紋章もどきだな。

Mago 9/28: 紋章を使わない理由が分からないな。奥義の後にキオーラが生きてないといけないのは面白いけど…忠誠度が6ないと駄目なのは変だ(−5って書いてあるのに)。

TML 10/1/2012: これを紋章にして、奇をてらうのを止めよう。

TML 10/4/2012: テンプレート更新。


〈荒ぶる波濤、キオーラ〉
+1:1体までのクリーチャーを対象とする。あなたの次のターンまでそれに与えられる全ての戦闘ダメージとそれが与える全ての戦闘ダメージを軽減する。
−1:カードを1枚引く。このターン、あなたは追加で土地を1つプレイしてもよい。
−7:あなたは「あなたの終了ステップの開始時に、青の9/9のクラーケン・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。」をもつ紋章を得る。
忠誠度 3

MJG 10/10/12: 面白そうだ! が、かなり能力につながりがないように見える。これにどんなストーリーがあるの?

TML 10/15/2012: これのストーリーは「これと重いデカブツを一緒にデッキに入れてそれらを確実に唱えられるようにする」だ。これは彼女のデュエルズのデッキに完璧なカードだ。


〈荒ぶる波濤、キオーラ〉
+1:パーマネント1つを対象とする。あなたの次のターンまでそれに与えられる全ての戦闘ダメージとそれが与える全ての戦闘ダメージを軽減する。
−1:カードを1枚引く。このターン、あなたは追加で土地を1つプレイしてもよい。
−7:あなたは「あなたの終了ステップの開始時に、青の9/9のクラーケン・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。」を持つ紋章を得る。
忠誠度 3

 トムのコメントにあるように、プレイヤーがこのセットの前にキオーラについての情報を知った場所は『デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ2012』で、そこで彼女は最も一般的なデッキのうちの1つ――青緑のランプ・デッキを使っていました。そのデッキに適したカードを作ることが目標でした。

 このバージョンにあった意図せぬ問題は軽減する能力を自分自身に使えることで、それは基本的に紋章を待機4で得られると書いてあるようなものでした。

変わり谷

TML 10/25/2012: 最初の能力をより良い書式と《変わり谷》に対処できるように調整。

KD 11/7: 最初の能力に「他の」を追加してまともに機能するように。

MJG 11/12/12: 対象のダメージを軽減するのは私には青や緑っぽく見えないな――白っぽい。でも他の2つの能力は素晴らしい出来だね。

TML 11/13/2012: 我々の見解ではこれを《濃霧》や《ガス化》の類だと考えている。


〈荒ぶる波濤、キオーラ〉
+1:他のパーマネント1つを対象とする。あなたの次のターンまでそれに与えられる全ての戦闘ダメージとそれが与える全ての戦闘ダメージを軽減する。
−1:カードを1枚引く。このターン、あなたは追加で土地を1つプレイしてもよい。
−7:あなたは「あなたの終了ステップの開始時に、青の9/9のクラーケン・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。」を持つ紋章を得る。
忠誠度 3

SPS: 11/27/12:ギデオン・ジュラ》と組み合わせると相当むかつくな。すっきりしないがプレインズウォーカーを対象に取れないようにできないかな?

TML 11/28/2012: 自分のプレインズウォーカーを守れないように変更。

AF 1/28: 「ダメージ」か「戦闘ダメージ」かに議論の余地はあるだろうか? チャンドラや他の変な何かを防ぐことができる。

TML 1/30/2013: 分かった。全てのダメージに変更。

ギデオン・ジュラ
紅蓮の達人チャンドラ

 これは『神々の軍勢』をFFLに追加する準備をしている頃のことでした。我々は通常プレビュー期間を取り、それはそのセットの大まかな流れの予定はあるが決定ではないことを意味しています。


〈荒ぶる波濤、キオーラ〉
+1:対戦相手がコントロールするパーマネント1つを対象とする。あなたの次のターンまでそれに与えられる全てのダメージとそれが与える全てのダメージを軽減する。
−1:カードを1枚引く。このターン、あなたは追加で土地を1つプレイしてもよい。
−7:あなたは「あなたの終了ステップの開始時に、青の9/9のクラーケン・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。」を持つ紋章を得る。
忠誠度 3

TML 2/5/2013: クリス・デュピュイ/Chris Dupuisは《探検》が4よりも3のほうがいいと指摘してきた。このアイデアは馬鹿げてるだろうか? いくつにできる?

Max 2/6: 論外と言うほどではないが、−1はかなり気前が良すぎると自信を持って言える。+1は冗談じゃないな。

ID 2/20/13: コメントの趣旨がよく分からないな、トム。これをにしてみたいの?

 この−1能力は実際のところちょっと安すぎました。と言うわけで、我々は奥義の数字を上げて彼女が奥義を放つまでに対戦相手が彼女に対処する時間を持てるように試してみました。


〈荒ぶる波濤、キオーラ〉
+1:対戦相手がコントロールするパーマネント1つを対象とする。あなたの次のターンまでそれに与えられる全てのダメージとそれが与える全てのダメージを軽減する。
−2:カードを1枚引く。このターン、あなたは追加で土地を1つプレイしてもよい。
−8:あなたは「あなたの終了ステップの開始時に、青の9/9のクラーケン・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。」を持つ紋章を得る。
忠誠度 4

TML 2/21/2013: エリックの提案した新しい数字を試してみる。

TML 2/28/2013: 初期忠誠度と奥義を1少なく。

TML 2/28/2013: 奥義は−7に。

 我々はこのカードのある側面は好きでしたが、これを《濃霧》マシーンにするのは嫌いでした。問題は、彼女が対戦相手に彼女に対処するための場の戦力を必要以上に強制することと、全体除去と組み合わせると彼女を倒すことがほぼ不可能なことでした。その問題の一部は《嵐の息吹のドラゴン》のようなスタンダードで使われている速攻クリーチャーの射程から彼女が逃れてしまったことでした。彼女の忠誠度を1下げることは助けになりました。

濃霧
嵐の息吹のドラゴン


〈荒ぶる波濤、キオーラ〉
+1:対戦相手がコントロールするパーマネント1つを対象とする。あなたの次のターンまでそれに与えられる全てのダメージとそれが与える全てのダメージを軽減する。
−2:カードを1枚引く。このターン、あなたは追加で土地を1つプレイしてもよい。
−7:あなたは「あなたの終了ステップの開始時に、青の9/9のクラーケン・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。」を持つ紋章を得る。
忠誠度 3

TML 3/1/2013: 弱すぎだ。-1を試そう。それは少なくともデータに基づいて拒絶したいものよりもずっと魅力的だ。


〈荒ぶる波濤、キオーラ〉
+1:対戦相手がコントロールするパーマネント1つを対象とする。あなたの次のターンまでそれに与えられる全てのダメージとそれが与える全てのダメージを軽減する。
−1:カードを1枚引く。このターン、あなたは追加で土地を1つプレイしてもよい。
−7:あなたは「あなたの終了ステップの開始時に、青の9/9のクラーケン・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。」を持つ紋章を得る。
忠誠度 3

TML 3/4/2013: エリックの数字に戻す。

TML 3/7/2013: FFLの結果に基づいて奥義を−8にして試してみよう。

TML 3/14/2013: 初期忠誠度3、奥義−7に。

 キオーラに対する不安の多くは、どれだけ《探検》能力が使われ、そしてどれだけプラス能力が使われるかでした。我々はプレイヤーが両方の能力を定期的に使うことを求めており、従って彼女を実際にそうされる数値にすることが鍵となりました。

探検


〈荒ぶる波濤、キオーラ〉
+1:対戦相手がコントロールするパーマネント1つを対象とする。あなたの次のターンまでそれに与えられる全てのダメージとそれが与える全てのダメージを軽減する。
−2:カードを1枚引く。このターン、あなたは追加で土地を1つプレイしてもよい。
−6:あなたは「あなたの終了ステップの開始時に、青の9/9のクラーケン・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。」を持つ紋章を得る。
忠誠度 3

EVL 4/4: 私はこれでいい感じだと思います。

TML 4/11/2013: 奥義を−6にしたことでコントロールによりプレッシャーをかけるようになった。

SPS 5/6/2013:「女王を守る」のがちょっと優秀すぎるように感じる。これは7のほうがいいかな。

TML 5/9/2013: 数字を3/+1/-2/-6に。

 キオーラについて我々が発見した基本的な事は、彼女が3回《探検》を唱えると良すぎ、2回だとちょうど良く、1回だけだと不十分だということでした。これは我々を最後の数字設定を試してみることへと導きました。


〈荒ぶる波濤、キオーラ〉
+1:対戦相手がコントロールするパーマネント1つを対象とする。あなたの次のターンまでそれに与えられる全てのダメージとそれが与える全てのダメージを軽減する。
−1:カードを1枚引く。このターン、あなたは追加で土地を1つプレイしてもよい。
−5:あなたは「あなたの終了ステップの開始時に、青の9/9のクラーケン・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。」を持つ紋章を得る。
忠誠度 2

 我々がこの正しい数字設定にたどり着くまでに多くの時間がかかりましたが、私はこの出来映えに満足しています。彼女はコントロールに対して少し強化され、クラーケンを作り出すためのプラスとカード・アドバンテージを得るためのマイナスを交互に行えるようになりました。彼女は依然としてアグロ・デッキに対して有効ですが、それらのデッキには彼女が現れたとき実際に殺す優れた手段がありました。


 『神々の軍勢』プレビューが始まっています。このセットについてのもっと多くのことを公開できることを私は楽しみにしています。

 ではまた来週お会いしましょう。

 サム( @samstod )より


(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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