モダンなリミテッドの戦略

更新日 Latest Developments on 2013年 6月 10日

By Sam Stoddard

Sam Stoddard came to Wizards of the Coast as an intern in May 2012. He is currently a game designer working on final design and development for Magic: The Gathering.

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 先週のこの記事で、私は横道戦略についてと、それらがどのように我々がリミテッドのためのセットを作る過程に影響を与えるかをお話ししました。しかし、我々が『Modern Masters』でしたことはちょっと違っていました。『Modern Masters』は我々が再版したかった過去の強力なカードで構成されています。そうなると次は、それらのカードをリミテッドで目立たせる方法を考え出すことに挑むことになります。全てのカードが完璧にドラフトの戦略に適応するわけではありませんが、フォーマットを作り出すときに可能な限り多くのカードがリミテッドで姿が現せるように我々は最善を尽くしました。また我々はデッキを作成する中心にしたくなるようないくつもの人気カードを再版するチャンスを得ましたし、同時にプレイヤーには近年に印刷されたほとんどのエキスパンションよりも高いパワーレベルのリミテッドの経験を与えられます。

アート:Jasper Sandner

 強力なカードおよびアーキタイプを収録することと、フォーマットが人々のやりたいことをするのに十分な多様性を確保することの間で正しいバランスをみつけること、つまりこれらのカードパワーの高いカードを含むドラフト環境を作ることは困難でした。毎年出るブロックはリミテッドにおけるパワーレベルが同じではなく、異なるブロックからカードを取り入れるにはそれらを標準化し、適正なレベルを見つける必要がありました。それはまた我々が求めるレベルでアーキタイプを機能させるためにいくつかのカードのレアリティを上下しなければならないことも意味しました。

 先週お話ししたように、どうするべきかを導いてくれる何かを求めるプレイヤーに道筋を与えられるよう、我々はそれぞれの色の組み合わせに一般的な戦略を持たせるよう取り組んでいます。トークンや墓地/発掘のようないくつかの色の組み合わせの戦略は、簡単かつ我々が一貫して思い浮かぶ包括的なテーマだったので、それらを使用しました。我々はそうしたデッキに新たな解釈を加えようと常に挑んでいるので、『Modern Masters』に収録された全てのセットのさらに多くのカードがそれらのデッキで脚光を浴びることになりました。巨人のような他のテーマは、『ローウィン』のいくつかの部族カードによってよりまとまると同時に、それらの戦略に合った新たな例となるクリーチャーを他のセットから発見しました。

 以下に、既にDailyMTG.comの様々な記事で取り上げられた戦略をまとめてみました。

 残るはあと3つ、白黒、赤青、そして赤黒です。幸い、今回の記事はあなたにこれらのうち2つがどのように作られたかをお伝えできます。残る1つについてはあなたが赤と青のカードを見たら明らかになると思います。小難しい説明で興を削ぎたいとは思いません。そんな記事は読むのには長すぎるでしょう。

    赤黒ゴブリン

 『ローウィン』から多く収録されたもう1つのデッキ、赤黒ゴブリンは2つの事柄に従事しています――攻撃すること、そして(しばしばデッキの中のゴブリン自身を)殺すことです。マジックのドラフトの楽しい部分は、それぞれのデッキが他のアーキタイプで使うよりも高い評価のカードの発見と、どんなカードが流れてくるかの予想に基づいた決断です。あなたのデッキには必要で、対戦相手のデッキには不要なものがあればいいのですが、しかし世の中そう上手くはいきません。色の組み合わせを作るコツは、その色の組み合わせでしか機能しないものでなく、周りのデッキも支えるのに十分なカードを見つけ出し、全てのデッキが「そのデッキでだけ良いカード」だけにならないようにして、正しい色の組み合わせでドラフトを始めた人に報いるようにすることです。

 では、どんなゴブリンが他のドラフト戦略でも高い評価を得るのでしょうか? これはその中の1つです。


 赤黒デッキのゴブリン・トークンの大群とあなたができることはなんですか? ええ、いくつか選択肢がありますね。まず最初に基本中の基本、1/1の大群で攻撃することです。あなたがかなりの数のストームを稼いでいない限り(そしてそれはゴブリンには難しいことです)、これらをリソースとして考えても良いでしょう。


 《顔投げ》はマジックの歴史上ではリミテッドの強力カードとはいえませんが、あなたの対戦相手にとって悲惨な攻撃を仕掛けたり、もしくは十分なゴブリンとマナとともに即死のリスクを背負わせるこのデッキでは素晴らしい仕事をします。

 さて、単に間に合わせのゴブリン・トークンの群れはあなたの趣味に合わないかも知れません。それでも構いません、ゴブリン生活に向かない人はいるものです。ゴブリンとはそういうものだと私は考えていますが、他にも選択肢はあります。ゴブリンをコンバット・トリックとして使い捨てる代わりに、戦闘であなたのゴブリンを少し強くする方法を探すことができます。


 《狂い婆》はもうひとつの『ローウィン』のお気に入りで、今回はレアからアンコモンに格下げになって収録されました。我々は異なったドラフト戦略を作るため、そしてデッキ間を公平にするためにレアリティに手を加えました。《蟲の収穫》は引き当てたプレイヤーを黒緑発掘に導くことが想定されているのと同様、《狂い婆》はプレイヤーに部族のメリットを探させるように仕向けるためにあります。

 もちろん、同じようにゴブリンデッキで使い道があるレアもあります。《鏡割りのキキジキ》が神話レアになったのはもうご存知と思いますが、ここにもう1人、10年の時を越えてマジックプレイヤーの心を勝ち取った伝説のゴブリンがいます。


 皆の人気者、ウェザーライト号の不死身の甲板係は何度も死ぬ準備ができています。毎ターンのチャンプブロッカーであろうと、先ほどの《顔投げ》への生け贄(もしくはゴブリンデッキでの生け贄を必要とする何か)であろうと、スクイーは生き返り続けるでしょう。

    白黒レベル

 今回お話する2つ目のドラフト戦略、そして第2の部族戦略です。これはほとんどが時のらせん・ブロックから、少なくともクリーチャーはそこから来ています。もちろんレベルは『メルカディアン・マスクス』で初登場しましたが、彼らがモダン環境に現れたのは『時のらせん』のいくつもの時の扉、時の裂け目やその他の混乱からです。レベルは攻撃的な戦略ですが、ゴブリンほど前のめりではありません。その代わり、個々のクリーチャーはより特化する傾向にあり、そして有名なリクルートのメカニズムで同志を戦闘に参加させます。

 最初はもちろん、レベルが白黒の戦略であると見つけた時に誰もが考えていたあのレベルです

 いつもはあなたの色のカードを取ることをお勧めしているのですが、レベルにはこれらを回避する明確な手段があります。あなたがその中の1人を欲しいのなら、これを使うことができるでしょう。


 懐かしの『時のらせん』リミテッドでの《アムローの偵察兵》は、2マナクリーチャーとしてデッキに入るだけのサイズを持っているだけでなく、あなたに「レベル」的な行動をさせて他のクリーチャーを探しました。『Modern Masters』ではレベルはアグロ・デッキとして機能しますが、ライブラリーから新たなレベルを探す能力によってゲームが進むにつれアドバンテージを得ます。いくつかのレベルは単なるアタッカーですが、他にシステム・クリーチャーとしてより多く使われているものもいます。対戦相手が大きなブロッカーを唱えた場合、あなたが探してくるのは…


 『次元の混乱』でタイムシフトしていた《おとりの達人》は、クリーチャーをタップする準備をして帰ってきました。先ほども言いましたが、『Modern Masters』のカードの多くはいくつものフォーマットで良い仕事をしたもので、《ラースのわな師》はその1つです。これは白黒レベル戦略において探すのが容易であると同時に、緑黒墓地利用、赤黒ゴブリン、青黒フェアリーなどにもすんなりと適応します。もちろん、これらのデッキでも《ラースのわな師》のようなカードを探してくることができます。「どうやって?」と思うでしょうか。答えは簡単です。


 もう1人のリクルート能力持ちは戦場が膠着しても構わない有用な能力を持っています。『次元の混乱』の数多い黒のレベルは『Modern Masters』で遺憾なくその強みを発揮しています。『Modern Masters』の一貫性を作っている部分は、楽しく興味深いドラフト戦略をそれぞれの色の組み合わせに見つけ出すことでした。そして私が始めてこのフォーマットを学んだときにはレベルのことは考えてもいませんでしたが、結果としてはレベルにとても満足していると言えます。

    我が道を行け

 リミテッドのためにセットを作るとき、我々はプレイヤーのためにどのカードが一緒に機能するかを解明する助けになる道しるべがあるようにし、そしてできれば初回で合理的なデッキは何ができるかを解明するようにします。我々はそれらの道しるべに沿ったデッキだけが唯一の選択肢にならないように、セットに他の材料を十分に入れました。『Modern Masters』はとても深いリミテッド環境であり、それは2色の組み合わせで全てが揃わないものや、機能するデッキを見つけるために戦略を混ぜ合わせたものなど、多くの戦略を提示します。

 私は皆さんが『Modern Masters』のリミテッドを地元のお店や、グランプリ・ラスベガス、またはMagic Onlineでプレイする機会を得てほしいと思います。これは本当に素晴らしいフォーマットで、あなたが最近ドラフトしたどんなものとも大きく異なったものに仕上がっています。

 サムより


(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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