モダンの脈動

更新日 Latest Developments on 2014年 3月 3日

By Sam Stoddard

Sam Stoddard came to Wizards of the Coast as an intern in May 2012. He is currently a game designer working on final design and development for Magic: The Gathering.

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 モダン・フォーマットが発表されて2年半が経ちました。その期間に、モダンは机上の存在から、我々が提示するスタンダードに続く2番目に一般的な構築フォーマットへと成長しました。我々はこれまでに3つのプロツアー(そのうち1つはプロツアー『神々の軍勢』です)と15のグランプリをモダンで開催しました。モダンはフライデー・ナイト・マジックのフォーマットにもなり、このフォーマットを支援するためのブースターも発売され、そして来たる5月にはイベントデッキも発売されます。このフォーマットは凄まじい比率の成長を遂げ、これより誇らしいことはそうは無いでしょう。

モダンの生い立ち

 スタンダードを新しくエキサイティングなものに保つ主要な方法は、新しいセットを発売することと、年1回のローテーションです。これは新しいカードが輝くチャンスを与える素晴らしい仕事をしますが、その代償としてプレイヤーが楽しんでいるフォーマットからカードが削除されることになります。我々は過去のセットからプレイヤーのお気に入りのカードをいくつか基本セットに再録しますが、我々が再録したい数には限りがあります。つまり多くの素晴らしいカードが毎年ローテーションで姿を消していくことになるわけです。

 モダンの目標の1つは、スタンダード落ちしたカードを使う場所を提供することです。その点からすれば、《瞬唱の魔道士》、《聖トラフトの霊》《ヴェールのリリアナ》《高原の狩りの達人》、《魂の洞窟》、そして《修復の天使》のような『イニストラード』ブロックの主要カードはスタンダードでは使用不可能ながら、全てモダンにおいて健在です。今年の秋『ラヴニカへの回帰』ブロックがスタンダード落ちするとき、プレイヤーは彼らの持っているショックランドや、《至高の評決》、《スフィンクスの啓示》、《炎樹族の使者》、《ドムリ・ラーデ》、そして《急速な衰微》などをプレイし続けたがる人々がいると予想されます。それらのカードをプレイする場所を存在させることは我々にとって重要です。

瞬唱の魔道士
至高の評決

 我々はスタンダードのデッキをそっくりそのままモダンに持って行ってプレイすることを想定していませんが、スタンダードデッキをモダン仕様にするような改良の道筋が明らかにあるべきです。トップメタになる必要はありませんが、少なくともモダンで競技レベルになる必要があります。例えば、スタンダードで現在ある黒単には《マラキールの門番》や《ゲラルフの伝書使》、《ファイレクシアの抹消者》、そして《復讐の亜神》などのカードが入っていることがあります。もしくは《滅び》でコントロール寄りにしたり、《地下世界の人脈》のカード・アドバンテージに頼ることもできます。

ファイレクシアの抹消者
滅び

ブロックを越えて越えて越えて越えたシナジー

 デベロッパーとして、我々は起こりうる事態をかなり正確に想定するという方法でスタンダードのバランスを取りたいと思っています。我々は各デッキがこのフォーマットでどれぐらい強いかを正確には測りませんが、ブロックのメカニズムがどのように機能するか、そしてブロックを越えたシナジーの支援をどれだけ受けるかを定めようとします。我々は前年のバランス補正の助けとなるカードだけでなく、翌年にもっと良くなるようなカードの種を蒔きます。

 私にとってモダンの最もエキサイティングな部分は、我々がそのレベルでこのフォーマットをコントロールしようとしていない部分だと思います――それはこのフォーマットが生み出すいくつかのデッキは予測をはるかに越えたものだということです。我々がスタンダードで《天上の鎧》のようなカードを印刷したとき、次の年のエンチャント・デッキを加速させるために作りましたが、6年前に印刷したカードや戦略がこれと合致するかもしれないことについてはあまり考えていません。

 禁止リストの管理の一部は、セットが発売されたときに新しい戦略が浮かび上がれるようにするレベルにフォーマットを維持するために行われていました。トップレベルのデッキの観点からある程度の安定性を持っているのはいいのですが、それによって新たなデッキが時間とともに現れるのを妨げるものであってはいけません。《精神を刻む者、ジェイス》のようなカードは強力すぎて、他の明るみに出るであろう興味深いシナジーを圧倒してしまいます。最近の《苦花》と《野生のナカティル》で見せたように、我々は積極的に以前の決定を見直そうとしますが、見直しはいくつかのカードのためだけではなく、フォーマット全体にとって最良になるように進めていきます。

精神を刻む者、ジェイス
苦花

 いくらか時間がかかってしまいましたが、モダンはフォーマットとして進化し、我々はますます多くの突飛で多様性のある戦略の出現を目にしています。最近の「Magic Online」のイベントのデッキリストを見渡して、現在のモダンの楽しさと多様性を表しているデッキリストをいくつか引っ張ってきました。

ターボ・ミル

naniha

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クリーチャー (6)
4 面晶体のカニ 2 ボーラスの占い師
ソーサリー (8)
4 不可思の一瞥 4 精神の葬送
アーティファクト (2)
2 催眠の宝珠
他 (3)
3 強行+突入
60 カード
サイドボード (15)
1 外科的摘出 3 隠匿+探求 2 根絶 3 コジレックの審問 3 残響する真実 3 安らかなる眠り

 上のデッキは「焼き尽くす」戦略に猪突猛進しますが、火力呪文を使う代わりにライブラリーを削って倒します。ライブラリーアウト戦略はスタンダードで時々見かけますが、そのために必要な量が十分にない傾向にあります。《彼方の映像》を印刷したとき、我々はこれが『イニストラード』の自分のライブラリーを削る戦略を支援することを期待していて、《精神の葬送》や《不可思の一瞥》とこのようなアグレッシブなデッキで一緒に使うためではありませんでした。

彼方の映像
不可思の一瞥

追加ターン入ります

LuBuFu

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Planeswalker (2)
2 ジェイス・ベレレン
クリーチャー (1)
1 研究室の偏執狂
インスタント (9)
2 万の眠り 3 差し戻し 4 謎めいた命令
アーティファクト (5)
1 不死の霊薬 4 吠えたける鉱山
土地 (24)
24
60 カード

 我々はスタンダードでの《Time Walk》効果にとても注意していて、通常2つ以上にしないようにしています。このデッキは10年分のこの効果を同じデッキに入れたら何ができるかを見せてくれて、別の《Time Walk》を毎ターン唱える十分な方法と組み合わせられています。

時間の熟達
永劫での歩み

aitchpea

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 誰かが《深き刻の忍者》を使っていることに関して興奮を抑え切れません。我々はスタンダードにおいて青をよりアグレッシブな戦略を持つようにしました(《波使い》デッキがその証拠です)が、このデッキは予想外のものを作り出すために、はるかに長い時間枠のカードを使います。《差し戻し》のような軽いテンポ打ち消し呪文やたまにマナ無しで唱える《撹乱する群れ》を組み合わせ、このデッキは我々がスタンダードで見かけるようなものとはかなり異なる方法で機能します。

深き刻の忍者
撹乱する群れ

cjlack92

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 今日ご紹介するデッキの中で恐らく最もエキサイティングなのがこの《精力の護符》デッキです。《精力の護符》はFFL内でいくつかの効果を(少なくとも『ミラディンの傷跡』の2色土地と組み合わせてぶっ壊れにならないように変更を加えるまでは)内蔵していましたが、これは現実のスタンダードにあまり影響を与えませんでした。これと追加の土地をプレイできるカードだけでなく、旧『ラヴニカ』ブロックのバウンス土地を組み合わせることでとても興味深いデッキが現れました。しかしながらこのデッキはこのコンボだけではなく、加速からの《集団意識》を唱える戦略も持っています――その後『未来予知』の契約サイクルを使って払えないコストの履行を相手に迫り、そしてゲームに敗北させるのです。

精力の護符
集団意識

 これらのデッキがプロツアー『神々の軍勢』で勝利を収めるかどうかは分かりませんが、私はこれらが存在していることにとても満足しています。少し時間がかかりましたが、モダンはかなりの多様性のあるプレイされるカードのタイプと見かけるデッキのタイプ両方を備えたフォーマットへと進化しました。

 私はこのプロツアーやこれからの1年でモダンが成長と進化を続けてどのようになるかを見ることをとても楽しみにしています。

 ではまた来週お会いしましょう。

 サム( @samstod ) より


(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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