君の夢に憑依

更新日 Latest Developments on 2006年 1月 13日

By Wizards of the Coast

Translated by Yoshiya Shindo

 

 いやあ、すがすがしい新セットのにおいがするね! ラヴニカ:ギルドの都のソースもなかなかだったけど、そろそろ次の料理に進む時間だ。ちょうどリミテッドのPTQが始まる頃だし。

 ラヴニカのシールドの組み方は君にもわかっているだろう。大抵の場合、赤白緑か青黒緑だったろう? そしてラヴニカ×3のドラフトじゃ、アーキタイプはだいたい4つしかなくて、みんなどうやってドラフトしていけばいいかもよくわかっている。

 でも、祭りは終わったんだぜ、坊や。

 ギルドパクトは、歴代のセットの中でも最高比率の金枠カードが入っている。新しいギルドはそれぞれ自身の方針を表明しているし、独自のメカニズムは無視するわけにはいかないだろう。これから数ヶ月は、これを混ぜ合わせてうまいこと40枚のデッキにするのに苦労してもらおう。楽じゃないよ。

 構築では、新しいギルドはこれまでのラヴニカの四つのギルドを邪魔することなく、自分自身の生きていく場所を見つけることになるだろうね。あるいは、君の手元に揃ったマナ調整のおかげで、混ぜ合わせてうまいことやっていくことができるかもしれない。考えてみて欲しい。君の黒緑白デッキには、ダメランが12枚とラヴニカの二重地形が12枚入るんだ。もちろん、ゲーム中に自分に16点もダメージを当ててしまうかもしれないけど、言いたいことはわかってもらえるだろう。世の中はイカレた方向に進んでいるのさ。

白と黒との間に

>軍事的強さなど必要ない。我々は今まで鍛えられた中で最も鋭い二本の剣を携えている。左手に信仰、右手に富だ。
――霊議会のヴリエフ

 今週のプレビューでは、グルールやイゼットのカードを嫌と言うほど見せられただろう。そして《オルゾフの御曹子、テイサ/ Teysa, Orzhov Scion》は、オルゾフのゴシック風世界を君に垣間見せたことと思う。しかし、オルゾフの実際の仕事の進め方、少なくともメカニズム的な方向はどんななんだろうか?

 それでは一曲。タイトルは“憑依”……

日々の生活の中では、オルゾフギルドは実に地道に、ラヴニカで行われるほとんどの取り引きや商売を(自分流の堕落したやり方で)取り仕切っている。しかし、彼らは実は非常に心霊的なギルドで、超自然なものと強く結びついている――彼らの本拠地は協会で、彼らの主導者である議会は遥か昔に死んだ人々の幽霊で構成されている。憑依メカニズムが生まれたのも、そういう神秘主義がベースになっている。

 メカニズムの動き方はこんな感じだ。憑依カードは実質的にゲーム中で二回効果を発揮する。最初の効果は通常通りそのカードをプレイしたときに発生する――憑依つきのインスタントやソーサリーなら通常通りの“お仕事”を行うし、憑依つきクリーチャーなら場に出たときの能力が誘発する。その後、憑依つきのカードが墓地に置かれたときに――インスタントやソーサリーなら解決後すぐに、クリーチャーなら死んだときに――、憑依カードはゲームから取り除かれて場のクリーチャーのうち1体に“憑依”する。その後、その憑依されているクリーチャーが死んだとき、憑依カードの効果がもう一回得られるんだ。確かに、二回目の効果が発生するまでは暫くかかるだろう。特に君のデッキがこの効果に特化して組まれていないならなおさらだ。言うなれば、オルゾフ的精神とは実に辛抱強いんだ!

 憑依効果のほとんどは極めてシンプル――カードを捨てさせる。ライフを2点吸う、エンチャントを破壊する、その他諸々――だ。だが、我らが親愛なる《オルゾフの司教/Orzhov Pontiff》のようなレアカードの中には、若干複雑な効果を持っているものもある。

 

《オルゾフの司教/Orzhov Pontiff》が最初に場に出たとき、君は自分の軍団を太らせるか、相手の軍団を弱らせるかを選ぶことができる(おそらくはうろうろしてる苗木を殺すんだろうね)。《オルゾフの司教/Orzhov Pontiff》が死んだとき、彼は場の別な誰かに憑依する(これは自分のクリーチャーでもいいし、相手のでもいい)。そしてそのクリーチャーが死んだとき、君は再び効果を選ぶことができる――自分の軍団を+1/+1するか、相手を-1/-1するかだ。ちょっと複雑に聞こえるかもしれない――実際そうなのは否定しない――けど、それが求めるプレイングの選択肢は様々だし、どれも非常に面白い。そしてカードも強力だ! マイナス側の能力は今日のはやりデッキに対して非常に有効だ(《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》とか《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》の入っているやつなんかもそうだ)し、プラス側も君が与えるダメージ数を確実に増やしてくれる。君のデッキにこいつと《ナントゥーコの鞘虫/Nantuko Husk》を何枚かと、あと若干の憑依カードを入れれば、相手の頭は大混乱するだろう。

憑依の歴史

 憑依が白黒ギルドのメカニズムとして生まれるのには非常な困難があった。このセットの“赤い”ギルドは自然と二つに分かれていた――イゼットは呪文が好きだし、グルールは強面のクリーチャーにつきる。彼らのメカニズム――呪文における“複製”とクリーチャー的な“狂喜”(これは来週プレビュー予定)はデザインの会議の中ですぐに生まれてきた。

 しかし、黒白は厄介だった。我々は通商や商業的なメカニズムをいくつも試してみたが、それらは実に文字数を食いまくったし、攻撃と殺戮を求めるゲームの中にぴったり来なかった――いいかい、こいつは「カタンの開拓」じゃないんだ! その後、我々は“抑圧”側の路をたどることにした。オルゾフが非常に偏見に満ちたギルドで、ゲーム開始時に選んだ特定の色なりギルドなりに対し憎悪を持って当たるようにしようと思ったんだ。結局、このメカニズムは非常に豪快で、目標として選んだどのデッキに対して壊滅的過ぎた。何週間も答えを探して苦労した挙句、私は自宅に戻ってオルゾフの本質と言うものをあれこれ考え始めた。確かに、彼らは取り引きや商売を行っているが、それで終わりじゃない。何が彼らの魅力を訴えるだろうか? 私は彼らの“見た目”――超自然や宗教的ニュアンスから来る非常に古めかしく不気味な雰囲気――が非常に気に入っていた。それをカードにするにはどうしたらいいだろうか?

 

 私が最初にカードの形にした憑依は、それが取り付くクリーチャーほどにも長く生き延びられなかった。例えば、こんなやつだ。

[憑依の騎士]
2W
クリーチャー ― 騎士・スピリット
2/2
先制攻撃
憑依(このカードが場から墓地に置かれたとき、クリーチャー1体を対象とする。このカードをゲームから取り除き、それに憑依させる。憑依しているクリーチャーが場から墓地に置かれたとき、この呪文をマナ・コストを支払わずにプレイする。)

 注釈文まできちんと読んでくれてるんなら、君にもこいつが大量除去以外でどうにかするのが非常に厄介だっていうのがわかるだろう。そして、2体が交互に憑依するような状況を作ると、実にいやらしいループができ上がる。永遠にブロックが可能になってしまうとか、前述の《ナントゥーコの鞘虫/Nantuko Husk》やその仲間に対して無限の食事を与えることになってしまう。

 しかし、少なくとも中心になっている考えはそこそこだった。そこで、デザインチームと調整チームの両方がこのアイデアの修整に入った。自分のクリーチャーにのみ憑依を認めるか、全てのクリーチャーに認めるかもころころ入れ替わった。通常の呪文と違う効果を“憑依”の部分に持たせることも試してみた。すべてのクリーチャーには、最初は場に出たときの能力は無かった。で、最終的に、このメカニズムがブロック内の他のものより把握が難しいと言う理由から、我々はシンプルで統一した方向に行くことにした。全ての憑依呪文は同じような動きをするし、全ての憑依クリーチャーも同じ動きをする。いっておくけど、こんな結論になったからって、我々がこのメカニズムに、我々(や君たち)が考えるようなひねりを追加することを、将来再考しないってことじゃないよ――デザインスペースを残しておくのも楽しみなんだからね!

 それはともかく、我々が作った憑依カードが強烈だってことには、君たちも同意してくれることだろう。

 細かいことが好きな人たちのために、ギルドパクトのFAQから“憑依”に関する項目を引用しておこう。

憑依

憑依はあなたのクリーチャーや呪文が墓地に行った後に追加の効果をもたらす能力である。オルゾフギルド(白か黒か白黒)のカードのみが憑依を持つ。

憑依能力に関する公式ルールは以下の通り。

502.51.憑依

502.51a 憑依はゲーム外領域から他の誘発型能力を発生させる誘発型能力である。パーマネント上の「憑依/Haunt」は「このパーマネントが場からいずれかの墓地に置かれたとき、クリーチャー1体を対象とする。このカードをゲームから取り除く。このカードがこれにより場から取り除かれ続けているかぎり、これはそのクリーチャーに憑依している。」を意味する。インスタント呪文やソーサリー呪文上の「憑依/Haunt」は「このオブジェクトがスタックからいずれかの墓地に置かれたとき、クリーチャー1体を対象とする。このカードをゲームから取り除く。このカードがこれにより場から取り除かれ続けているかぎり、これはそのクリーチャーに憑依している。」を意味する。

502.51b 憑依能力の結果としてゲーム外領域にあるカードは、その能力によって対象となったクリーチャーに“憑依している”状態である。憑依されているクリーチャーがいずれかの墓地に置かれたとき、それに憑依しているゲーム外にある各カードの能力が誘発する。

502.51c いずれかの憑依されている状態のクリーチャーが場を離れたら、それは憑依されている状態でなくなる。

* 憑依能力を持つインスタント呪文やソーサリー呪文が打ち消されたら、それの憑依能力は誘発しない。

* 憑依能力を持つインスタント呪文やソーサリー呪文をプレイすることによる能力と、憑依クリーチャーが墓地に置かれたときの能力は同じ効果である。憑依能力を持つクリーチャーは、場に出たときと憑依しているクリーチャーが墓地に置かれたときとで同じ効果を発生する。

* 場のどのクリーチャーに憑依してもよい。コントローラーが誰であるかは問わない。

* 1体のクリーチャーに複数のカードが憑依することができる。

* クリーチャーに憑依しているカードは、そのクリーチャーが場を離れても、ゲーム外領域から戻らない。

* 憑依能力のための適正な対象がない場合、憑依を持つカードはゲームから取り除かれず、そのまま墓地に残る。

* 憑依を持つカードが、憑依の誘発に対応して墓地から取り除かれた場合、憑依能力の解決は行われる。しかし、そのカードをゲームから取り除くことができないので、それは対象となったクリーチャーに憑依しない。

* 同様なことが、憑依を持つクリーチャー・トークンや、憑依を持つインスタント呪文やソーサリー呪文のコピーに対しても適用される。憑依能力は誘発され、場のクリーチャーが対象になるが、トークンや呪文のコピーは、その能力の解決時には墓地から消えている。それをゲームから取り除くことはできず、対象となったクリーチャーに憑依しない。

* クリーチャーに憑依しているカードが、(ジャッジメントの)“願い”カードによりゲーム外領域を離れたら、そのカードはそのクリーチャーに憑依している状態でなくなる。

* 憑依されているクリーチャーが墓地に置かれたときに誘発する能力の発生源は、ゲーム外領域にある憑依を持ったカードである。その能力のコントローラーは、そのカードのオーナーである。

*コントローラーとオーナーが異なる、憑依を持つクリーチャーが墓地に置かれた場合、憑依の誘発型能力のコントローラーはそのクリーチャーのコントローラーである。そのプレイヤーが、憑依能力の対象を選び、そのカードをゲームから取り除く。しかしながら、ゲームから取り除かれているカードのオーナーが、憑依されたクリーチャーが墓地に置かれたときに発生する誘発型能力のコントローラーであり、必要な選択を行なう。

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