奏でるその調べ

更新日 Latest Developments on 2005年 9月 9日

By Wizards of the Coast

Translated by Yoshiya Shindo

 私が開発部に勤めて二年ほどになるが、私が実際にデザインや調整のチームに入るまでにはしばらくかかった。私は神河ブロックの6つのチームのどれにも入らなかったから、マジックに再び参加しないか打診されたとき、私がまさしく手ぐすね引いた状態だったことは言うまでも無いだろう。

 私の最初の仕事は(ブライアン・シュナイダーと組んでの)第9版の構成で、その後にラヴニカブロックにどっぷりとつかることになった。マーク・ローズウォーター(Mark Rosewater)は素晴らしいチームの一員として私を選び、その後私は調整チームにおける“デザイン側責任者”となった。これらすべてに、テストプレイ一通り、テーマデッキのテスト、若干のクリエイティブ作業(最終段階におけるカード名を少々)を加えると、私が会社の誰よりもラヴニカに時間を割いてきてるのは間違いなさそうだ(少なくとも自分ではそう思っている)。そして、それだけじゃない。私はギルドパクトのデザインチームの抜けメンバーの穴埋めにもなったし、ディセンションのデザインではリーダーだ。他にも2つの小型セットでは必要に応じて調整をやっていたが、こいつは先週ちょうど終わったばかりだ。言わずもがなだが、このセットが出るのが実に待ち遠しいよ。プレイヤーの反応が見たいからってだけじゃなく、私自身がこの最高のやつで遊びたいからさ!

 あるセットのデザインと調整の両方のチームに所属してるってことは、言ってみればラッパーとプロデューサーを兼任してるみたいなもんだ。私はイカすライミングをしたためつつ、スタジオに戻って48トラックのボードでビートを作成してるのさ。マジック界のカニエ・ウェストと呼んでくれたまえ。

 ローズウォーターはすでに、こいつにスカした詩をつけたマイク・“軽犯罪”・エリオットや“元祖”ドック・GあたりのMC軍団の紹介をすませてるから、私はそいつをファンキーに仕立てた調整のスタッフを紹介するとしよう。

 ブライアン・シュナイダー(Brian Schneider)――昨年、エクスポスはシュナイダーにキャッチャーのレギュラーを与えることになったが、彼はそれに答えてくれた。彼はほとんどすべての集計部門で歴代最高の記録を残しつつ、三振率や四死球数も向上させた。守備面では、彼は怪我に悩まされた若手を伸ばしつつ、球界でも第5位に入る捕手の防御率(3.86)を記録した。彼はさらに盗塁刺殺でもメジャートップで、その成功率は50%近くに達する。

 ランディ・ビューラー(Randy Buehler)――ランディがこのチームにいたのは数週間だけで、その後突然、アラン・カマー(Alan Comer)が今は言えない と語っていた秘密のプロジェクトの仕事へと去っていってしまった。とは言え、少なくともセット内のとあるカードのコストがではなくになったのは、ランディの鋭い視点とゲーム対する不休の献身の賜物だ。

 ヘンリー・スターン(Henry Stern)――ヘンリーは調整のベテランで、後にギルドパクトのリーダーとなった。彼は最近になって新ビジネスの部署に異動し、さらに今度出るアバロンヒルのVegas Showdownというボードゲームのデザイナーにもなった。ヘンリーの新しい役割は新ビジネスの調整リーダーで、悲しいことにその分マジックに捧げる時間が減ってしまうようだ。しかし、この昇格の隠れた功績は、彼をいささかなダメ人間風に見せていた《象牙の塔/Ivory Tower》Tシャツの強制リタイアだろうね。

 マット・プレイス(Matt Place)――かつてのPT優勝者であるマットは、バスケットボールのコートでもポーカーのテーブルでも強豪で、あっという間にほとんどのマジックの調整チームの大黒柱になった。彼はラヴニカの調整でレベルを上げるのに十分な経験を得たようで、しかるべくしてディセンションでは調整リーダーとなった、

 マーク・ゴットリーブ(Mark Gottlieb)――彼がマジックのルールマネージャーになる前、さらには狂信的カルトの教祖となる 前までは、ゴットリーブはカードの相互効果に対する鋭い視点を持ったウェブでのコラム書きで、マジックの新米調整屋だった。ただ、状況は明らかに彼に対してうまく回ったようで、彼はあっという間にディセンションのデザインチームのメンバーとなり、後には新しい称号を獲得したことで、残りの我々がデザインしたカードの中の狂気を正気へと整える報われない仕事が彼に残されることとなった。彼は、新しい職務の訓練の中で、一週間ばかり《謙虚/Humility》と《ヴォルラスの多相の戦士/Volrath's Shapeshifter》がびっしり貼られた部屋に閉じ込められていたらしい――だけど、彼はその苦行でかすり傷を負っただけで生きて帰ったとか。

 ――悲しいことに、面白そうな話は特に無いね。

話をプレビューカードに移して……

 セレズニアの透かし入りの美しさだねぇ。だろう?

 「どういうこと?」ってどういうこと? えへん。

 ラヴニカ:ギルドの都には、2色の組み合わせの“ギルド”のうち4つが登場する。それぞれの組み合わせは共通の哲学や、プレイングのスタイル、キーワードメカニズム、そしてそのギルドに関連するカードのテキストの背景に持つシンボルがある。ここのキーワード“召集”は緑白のセレズニア議事会として知られるギルドの独占財産だ。透かしはそんな理由によるのさ。

 ローズウォーターが今後のコラムで解説してくれると思うけど、ラヴニカの4つのキーワードは、デザインチームの四人の別々なメンバーが考え出したものだ。召集は、誰あろう“元祖”ドック・Gこと、リチャード・ガーフィールド(Richard Garfield)の頭脳の落とし児だ。

 リチャードは当初、“戦闘術”という赤白ギルドのためのメカニズムを出してきた。このアイデアは、戦闘関連のインスタントにのみ存在するメカニズムで、イメージ的には君のクリーチャーが全部戦闘魔道士の類になって、戦場の苦しみの中から自分たちの呪文を生み出すというものだった。イメージ的にはなかなかの物だったけど、赤白に対するメカニズムの適用範囲の狭さが問題だった。

 幸いなことに、緑白ギルドもメカニズムを必要としていた。このギルドのイメージはグループの一体感にあり、様々なクリーチャーが互いに助け合うというものだった。また、緑白ギルドは場に数多くのクリーチャーを出すのが得意(こちらのプレビューの《セレズニアのギルド魔道士/ Selesnya Guildmage》を参照)で、そうなると“戦闘術”という考え方はぴったり来そうだった。我々はそのメカニズムをインスタントだけでなくクリーチャーやエンチャントやソーサリーにも拡張し、テストプレイ用の名前も“生物術”に変更した。これが後にクリエイティブチームの手で“召集”になったのさ。


休職中プロツアーに出場したMons's Goblin Raidersこと Mons Johnson

 このカード自体は、ゲームの調整メンバーで非凡なるゴブリンのモンス・ジョンソン(Mons Johnson)の作になる。デザイン終盤のある日、彼は唐突に緑白の強力なカードを提案してきた。それが、インスタント、ライブラリーから点数で見たマナ・コストがXのクリーチャー・カードを探して場に出す、ってやつだったのさ。

 このカードは面白かったし真っ当だった。そもそも、プレーンシフトの《エラダムリーの呼び声/Eladamri's Call》はでクリーチャーを探してくるカードだったわけで、そのクリーチャーを出すのにXが必要となれば、《修繕/Tinker》や《歯と爪/Tooth and Nail》のような馬鹿げた状況にはならないだろう。

 もちろん、このカードはあまりにも真っ当過ぎて、ほとんど注目されなかった。そこで我々はそれに召集能力を与えてみた――実際、普通にぴったりだったし、クリーチャーをたくさん並べることで、カードの拡張性はぐっと上がるんだ。調整の段階でのレアの枚数の関係で、このカードはをコストに持つ緑単色のカードになったけど、そうすることで緑白以外のデッキにもこのカードが入るようになったんだから、これはお得だと思うね。

 このカードは面白いし、テストプレイでも強力だった。こいつを使って面白いことができるのは間違いないね。9月の24~25日のプレリリースは多いに楽しんでほしい!

 最後に、召集呪文を使うときのヒントを。

  • 召集呪文のコストを減らすために、“召喚酔い”のクリーチャーをタップすることができる。
  • 緑でも白でもないクリーチャーをタップして、召集呪文の無色マナの分を減らすことができる。
  • 多色クリーチャーをタップした場合、そのクリーチャーのどの色のマナを減らすかは君が選べる。
  • 呪文のプレイ中に他の呪文や能力(例えば《みなぎる活力/Vitalize》とか)を使うことはできない。
  • 召集呪文が《マナ漏出/Mana Leak》の対象になったら、クリーチャーをタップさせてその分のマナを
  • 支払うことはできない。ただし、例えば《抵抗の宝球/Sphere of Resistance》などによって召集呪文自身のコストが増えた場合、クリーチャーをさらにタップしてその分のコストを減らすことができる。
  • 呪文のコストを0にするのに必要な数以上のクリーチャーをタップしてもかまわない。めったには起こらないだろうけど、君が召集インスタントを持っていて、相手が《寄せ餌/Lure》つきクリーチャーなんかで殴ってきたときには役に立つトリックだ。
 

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