構造の問題

更新日 Latest Developments on 2014年 4月 21日

By Sam Stoddard

Sam Stoddard came to Wizards of the Coast as an intern in May 2012. He is currently a game designer working on final design and development for Magic: The Gathering.

原文はこちら

 『テーロス』ブロックの目標の1つは、マジックがこれまでに何度も作ったけれども近年遠ざかっている、伝統的な3つのセットで構成されるブロックを作ることでした。我々が標準的な第3セットを作るのは久しぶりです。標準的とは何を意味するのか難しくなるぐらいには久しぶりです。『ドラゴンの迷路』は2つの大型セットの後でしたし、『アヴァシンの帰還』と『エルドラージ覚醒』はそれ自体が大型セットでしたし……『新たなるファイレクシア』の前にはそのブロックの雰囲気が大きく変化しましたし、『アラーラ再誕』は100%金色のセットでした。現時点では、標準的であることが顧客であるプレイヤーのほとんどにとっては変則的かもしれません。

 最近の、2番目の大型セットを使ったモデルの良い点の1つは、そのテーマやメカニズムがそのブロックの間でどのように進化することができるかを、2番目の大型セットが変更する点です。第1セットではその世界とテーマを見せる傾向にあり、そして2番目のセットが可能な限り広げ、大型セットに何か違った動きをする能力を与えます。今回はそうではなく――このブロックの構成は我々がかなり後戻りしなければならないことを意味しています。『テーロス』と『神々の軍勢』のエンチャントの数はデザインとデベロップの間で少し増加しましたが、我々は星座が第3セットでやってくることは分かっており、エンチャント・カードの挙動を意識しなければなりませんでした――そして『ニクスへの旅』のカードが新しく興味深いことを行う十分な余地が残るようにしました。ブロックに取り組むとき、我々はそれらをブロック全体の構造の中で考えなければならず、また『ニクスへの旅』に多くのエンチャントに関わるカードを入れたことによって、前のセットからいくつか取り出さなければなりませんでした。私は、『ミラディン』ブロックほどそのテーマの根が深くなかったとしても、『テーロス』ブロックのことをエンチャント・テーマのブロックだったと人々は思い出すだろうと考えています。

アート:Karl Kopinski

 とは言え、『ニクスへの旅』は結局のところ第3セットなので、それは我々が他のセットをデザインやデベロップしている間、構築とリミテッドの両方において最初の2つのセットと組み合わせて上手くプレイできる空間を、このセットのために確保する必要があるということを意味していました。星座や今までと少し変わった授与を加えることは大事ですが、我々はまた、『ニクスへの旅』では革新を起こし、理想的にはテーロスに住まう定命の者に時間とともに与えられる何か他の方法が必要であることを理解しました。というわけで、我々は英雄たちに奮励を与えました。

ヒーロー/Holding Out for a Hero

 「スクールウォーズ」の曲をかけないでください。かけてもいいですが。でもやっぱりかけないでください。

 『テーロス』には英雄的クリーチャーを支援するたくさんの手段が含まれています――授与クリーチャー、試練サイクル、そして《不屈の猛攻》や《トリトンの戦術》のような「クリーチャーを最大2体まで対象とする」サイクルなどです――しかし、我々は『ニクスへの旅』に何か違ったものを求めており、デイブ・ハンフリー/Dave Humpherysが何かより詳細なことを話してくれるはずです。

ナイレアの試練
不屈の猛攻

 小型の第3セットに取り組む上で最も難しい部分(そして近年それが少なくなっている理由)の1つは、リミテッドと構築の両方の楽しさを損ないがちな急転回をせずに、新しい空間を見つけ続けることが難しくなっていることです。我々はテーロス世界で生きることができ、そして以前にあったものの自然な進化であるように感じられ、そして大きく変化を起こすために大きく変化を起こすやっかいな存在でないものを求めていました。

 我々はいくつかメカニズムを試しましたが、最終的に我々が求めている事柄を行うものとして決定したのは奮励でした。奮励はリミテッドで英雄的を強化し、構築にいくつかの手段を与える方法としてデベロップで考え出されたメカニズムです。我々はデベロップ中に、英雄的が強すぎる場合はあまり楽しくないことになると心配していたので、個々の英雄的カードについていくらか自重しなければなりませんでしたが、それでもなお、特にブロック構築において《イロアスの英雄》、《威名の英雄》、そして《運命の工作員》のようなクリーチャーがいくつかのリストで見かけられました。

威名の英雄
運命の工作員

カードを構築向けにする

 我々がマジックのセットでメカニズムを作るとき、その目標の1つは少なくとも何枚かのカードを構築向けのカードに――少なくともスタンダードでプレイしているところを見るのに十分な強さには――変えられるようにすることです。いくらかはモダンやレガシー級であってほしいと思いますが、我々はそれらのフォーマットで上手く噛み合って、かつスタンダードでも楽しい、というメカニズムに縛られるわけにはいきません。例えば、授与クリーチャーをレガシーで推せるようにするのはかなり大変でしょう――おそらく、スタンダードにおいて楽しくするよりも。レガシーにはスタンダードとはかなり異なる打ち消しと除去呪文が存在します。

 スタンダードにブロックのメカニズムを加えることの利点は、独特なスタンダード環境を作れることです。『ラヴニカへの回帰』ブロックの混成3マナ・シンボルのクリーチャーのサイクルは『テーロス』の信心ととても相性が良く、つまりそれらが作り出すデッキはこの環境のスタンダードにしかないということです。例えどちらか片方のメカニズムを再び使ったとしても、ほぼ確実にそれらはスタンダードで共存することはないでしょう。我々が毎年異なった事柄を続けているのは、このゲームを新鮮なものであり続けさせる方法のうちの1つです。

夜帷の死霊
ボロスの反攻者

 全体的に見ると、我々はかなり良い確率でブロックのメカニズムを備えたカードを皆さんがスタンダードで見かけるところまで持って行けています。最終的に見かけないメカニズムはいつもあるものですが、見かけるには程遠いということは多くありません――我々は多くの物事でかなり近いところまで行ける一方で、常にいくつか間違いを犯しているでしょう。しかしながら、我々はだんだん良くなってきており、活躍のチャンスを最大限与えるためにカードを配置するための新たな戦略を使い、それらが実際に動かして楽しいものであるようにしている、と私は思っています。

 奮励においては、これは人々がそれらの使い方を見つけられるであろう様々なカードを、十分な数作るということです。我々は奮励が構築において、単に英雄的クリーチャーが入っているようなデッキでない場合でも進んで使われるようにするには、多くの調整箇所があることは分かっていました――デッキに他に英雄的クリーチャーがなくても使えますが、英雄的クリーチャーと組み合わせることに決めたならばより強くなる、というのが理想です。その一方で、全てのデッキでとても楽しく興味深いものではなくとも、我々がセットに入れた戦略に「全力で」突き進んだときに存在するいくつかのシナジーを求めました。マジックは長年に渡ってカードを混ぜて組み合わせ、人々の脱線を容認してきたゲームです。

 これらの問題を全て解決するために、我々は 〈船団の出航/Launch the Fleet〉と名付けられたカードを作りました。


 少なくともスタンダードにおいて最も明らかにこのカードが入りそうなデッキは、《ヘリオッドの槍》と〈凱旋の間/Hall of Triumph〉入りの、トークンを生みだしてそれらを1/1を超えるサイズにする白ウィニーです。『ニクスへの旅』には他にもこのデッキにとても良く適応するカードがいくつかありますが、それは来週までお待ちください。(編訳注:現在はカードギャラリーですべてのカードをご覧いただけます。)

 しかしながら白ウィニーだけではなく、〈船団の出航/Launch the Fleet〉の奮励コストが無色であることは、ボロス・デッキで、特に《アクロスの十字軍》のようなカードと組み合わせて、《鍛冶の神、パーフォロス》の能力で驚異的なダメージをたたき出すことを可能にします。実際、《凱旋の神殿》とLSV(ルイス・スコット=ヴァーガス)が 彼の記事で紹介(リンク先は英語)している〈マナの合流点/Mana Confluence〉によって、下記のような『テーロス』ブロック構築のほぼ赤単のデッキにタッチして入れることができます(何枚か《岩への繋ぎ止め》を加えたいと思う人もいるかもしれませんね)。

DiceDealer2181

Download Arena Decklist

 〈英雄の導師、アジャニ/Ajani, Mentor of Heroes〉入り白緑、《運命の工作員》入り白黒で「広く」攻めたいのならば、〈船団の出航/Launch the Fleet〉はかなりお手頃なカードです。

 今週はここまです。次回はブロック構築と、我々が『ニクスへの旅』に仕込んだこのフォーマットを助けるためのカードについてお話しをしたいと思います。

 ではまた来週お会いしましょう。

サム(@samstod)より


(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

最新Latest Developments記事

LATEST DEVELOPMENTS

2016年 4月 29日

フューチャー・フューチャーの日々『イニストラードを覆う影』編 by, Sam Stoddard

 フューチャー・フューチャーの日々へようこそ、今回の「Latest Developments」では、『イニストラードを覆う影』時のフューチャー・フューチャー・リーグ(FFL)のデッキリストの一部についてお話ししようと思います。  始める前に、これらのデッキの多くは調整されておらず、我々がこれらのバージョンを使って以来変更が行われたカードが含まれていることを申し上げておきま...

記事を読む

LATEST DEVELOPMENTS

2016年 4月 22日

FFLよくある質問集 by, Sam Stoddard

 大体1セットに1回、私はフューチャー・フューチャー・リーグのデッキの一部をご紹介していますが、そのことでよく質問をたくさん受けます。なんでこのカードを使ってるの? なんでこのカードを使ってないの? などなどです。今週の「Latest Developments -デベロップ最先端-」では、それらの質問にお答えし、願わくばFFLに関するより良いアイデアを得ていただければと思...

記事を読む

記事

記事

Latest Developments Archive

過去の記事をお探しの場合 アーカイブのページをご覧ください。人気の著者による、数千にわたるマジックの記事が残されています。

一覧を見る