輝きにご注意

更新日 Latest Developments on 2005年 1月 21日

By Aaron Forsythe

Translated by Yoshiya Shindo

 マジックの開発部は、時にはBASFの企業に似ている。「私たちが作ったのは『(お好きな物の名前をどうぞ)』ではありません。もっと素晴らしいものです」ってところか。 神河謀叛では、かつての人気サイクルに新たなひねりを加えることは、過去の改良と言うものの一例となるだろう。

 かの黄金時代、開発部のスカッフ・エライアスやジム・リンといった面々は一緒に「アライアンス」というちょっとばかりアツいセットをまとめたんだけど、その中には後に伝説となる呪文のサイクルがあった——「ピッチスペル」だ。これらは全部通常は5マナのカードでだけど、それぞれが同じ色のカードをゲームから取り除く(ついでに1ライフ支払うこともある)ことで、マナ無しでプレイすることができる。まあ、確かに伝説となったのは《Force of Will》——このサイクル最強カード——だけかもしれないけど、その「無料っぽさ」はゲームの歴史上最強カードの一角となった。

 ピッチスペルはそれ以降何度も帰ってきた(メルカディアン・マスクスの《誤った指図/Misdirection》や《落盤/Cave-In》を思い出すね……私の名前がベン・ブライワイスだったら、君の楽しみのために全カードのリストを作るんだけどね)。そして、神河謀叛のリード・デザイナーのマイク・エリオットは新たなピッチスペルのサイクルを作った。そして、彼が袋から取り出したのは、“X”の文字だったんだ。

X印

 マイクが考えたのは、取り除いたカードのコストに関連するカードのサイクルだ。それぞれは通常の呪文としても使えるX呪文だけど、適切な色のカードを取り除くことでマナ抜きでプレイした場合、Xは取り除いたカードの点数で見たマナ・コストに設定されるんだ。このアイデアは素晴らしくエレガントで、調整中もほとんど触られることはなかった。

 これは、考えてみれば恐ろしいことかもね。

 開発部の“タダでプレイ”カードの正当性とバランスの伝統を引き継ぐカード、《輝く群れ/Shining Shoal》をご紹介しよう。

(日本語版訂正:2つ目の能力の表記が「あなたに与えるX点のダメージは、~」となっているが、これは誤りである。「あなたかあなたがコントロールするいずれかのクリーチャーに与えるX点のダメージは、~」と読み替える。)

 こんなのは初めて見るだろう。でも、今後数ヶ月の間に、君の相手は間違いなくこいつを君に叩きつけてきて、君は間違いなく痛い目に遭うだろうね。マジックの調整リーダーのブライアン・シュナイダーの台詞を借りよう。

Bs 4/29: […]このカードはいつか大変なことになる[…]

 

Kor Chant
 このカードは、マイクがデザイン時に狙ったことそのものだ――改良版《コーの詠唱/Kor Chant》だ(もともとのエクソダスの《コーの詠唱》は、プレイヤーに絡めてダメージを向けなおせない)。このカードは《ダメージ反転/Reverse Damage》がいつも夢見ていたことそのものでもある。ここ数年のマークの「色の分割」議論をいつも読んでる火となら、我々が何とかして白の「俺や手下の邪魔するな」風のカードを前面に押し出す方法を探っているのを知ってるだろうけど、これはその仲でも飛び切りのやつだ。もちろん、このカードの与える暴力的な動作は、白のやさしい側を愛するファンには受け入れがたいものがあるかもしれない。初期の調整人のコメントを見てみよう。

MJ 3/25: 白がマナ抜きでダメージを向けなおすのは、めっちゃくちゃ白のイメージに外れてる。('A`)
MP 3/26: MJに同意。こいつはたまにXWWの《火の玉/Fireball》っぽく感じることがある。
RB 3/31: なんてこった。構築に耐えうる強さの白呪文だって? これは違うって言ってくれよ?

 このカードの感覚に対するモンスとマットの心配は確かに理解できるけど、ランディの反論の行間を読めば、そこには「ちょっと不愉快かもしれないけど、それが我々の白の某ふょ的なレベルを上げた結果だとするなら、それもまたよしだろう」というのが読めるだろう。

 全員がカードのイメージや感じ方にOKを出した後でも、カードの強さは問題になった。クリーチャー戦闘はこのカードが入ると危険な問題になり、両方のライフが下がりきっているときの全軍攻撃の選択は——相手がタップアウトしているときですら——自動的とはいかなくなった。彼は一番でかい攻撃クリーチャーにそれを使って、君のものになるはずだったゲームを奪っていくんだ。

RB 4/5: クリーチャー限定にする? プレイヤーに当たらないとしたらイメージの足しにならないか?
WW 4/6: イメージ上はどうかは知らないけど、強さのレベルを調整するならいいだろう。自分はそれが必要だと思う。
HS 4/9 調整版テスト中。結果は楽しみだ。

 カードの使い勝手の変更がどういう効果をもたらすかはわかってもらえるだろう。当初のままだと、カードはほとんどの白デッキにとって強くなる。デッキにクリーチャーがいようがいなかろうがだ。そして相手のデッキにクリーチャーがいようがいなかろうが、それも関係が無い。調整した「クリーチャー限定」版は、クリーチャー無しデッキにとってはそこそこいけるけど、呪文の適切な対象を取ろうと思ったら対戦相手にはクリーチャーが必要だ。私はこれをしばらく試したけど、多くのデッキから抜ける羽目になって、実に悲しい思いをしたものだ。ここまでいやらしいカードが白に入ったことは嬉しい限りだね。

AF 4/12: 使ってみたけど、白のやつはサイクル中最強だったはずなのに(見た感じは変な気分だけど)、それが弱くなったのは悲しい限りだね。
ps 4/12: 自分も同感。

 強いバージョンの方が好きだったのはポールと私だけではなく、こいつは元に戻されることになった。調整のワース・ウォルパートは現在のバージョンを「《土地税/Land Tax》以来の白の最強カード」と保障している。彼は本当に正しいのか? おそらく……これからの1年でわかることだろうね。

魚、魚、魚~

 「このイラストの魚は何?」だって? 神河の見た目を支えるブレイディ・ドマーマスとジェレミー・クランフォードは、精霊世界の描写を、彼らが大丈夫と思う限りはアーティストの自由にさせた。ブレイディがアーティストに指示を出したときの一例では「どんな風でもいいけど、奇妙な感じで」なんてのがある。ジム・マーレイが神河物語の《伝承の語り部/Teller of Tales》と《不気味な行列/Eerie Procession》を描いたとき、戻ってきたのは浮かんでいる魚だった。ジェレミーとブレイディはそれが気に入った――それこそが、クリエイティブチームが求めていたものだったんだ。

 魚は開発部でも大流行りで、ブレイディはそこに関連した何かを作ってもらおうと思った。X版のピッチスペルは面白そうだ。魚がクリーチャーじゃなくて、ある種の呪文を明示したものだとしたらどうだろうか? 一般的には “shoal” には「砂州」と言う意味があるけど、そこには「魚の群れ」という意味もある。

shoal n. 1.大きなまとまり。大群。2.魚や海洋生物の群れ (「アメリカ文化遺産辞書」より)

 また、“shoal” には「大群を成す」とか「群がる」という動詞的意味もあり、そこから小さな精霊的魚が呪文の対象の周りで何かするということになったんだ。5つの「群れ」はそれぞれ、呪文の色に応じて別々の精霊的魚となっている。黒いやつは特に不気味だと思うね。プレリリースで手に入れることができれば、同意してもらえると思うよ!

遊びに行こう!

 

 プレリリースといえば……神河謀叛プレリリースが週末にあるね! 情報はこちらにあるから、遊びに行かない手は無いよ! おりこうさんは是非行こう! それに、いいかい、参加しただけで、君はプレミア版の《鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni》がもらえるんだ! いやだなんて言わないだろう?!

来週は……

 ポール・ソトザンティの神河謀叛に関するコラムの、どれが本当でどれが嘘かを明らかにしよう。他にもたくさんあるよ!

先週の投票

2004年で発売された、一番好きだったマジックのエキスパンションは?
神河物語 4427 55.5%
ダークスティール 1541 19.3%
アンヒンジュド 1188 14.9%
フィフス・ドーン 815 10.2%
合計: 7971 100.0%

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