(アン)ダイ・アナザー・デイ

更新日 Latest Developments on 2012年 2月 24日

By Zac Hill

Zac is a former game designer/developer for Wizards of the Coast and was the lead developer for Dragon's Maze. His articles have appeared in The Huffington Post, The Believer, and on StarCityGames.com. Currently he serves as the chief operating officer of The Future Project, a nonprofit education initiative, and holds a position as a research affiliate in the MIT Game Lab.

~前略〜

 不死のメカニズムというのは今まで遭遇した中でもっともデベロップに苦労したメカニズムの一つだ。その前にデベロップした比較的単純なテーマ―頑強―の繰り返しなので不思議に思えるかもしれない。それは結果としてうまくいったが、頑強ではそれ自身にいくつか問題点があったし、それらの問題の多くは、この2つのメカニズムのわずかな違いにより、さらに大きなものになった。

 通常、我々はカードやメカニズムに対し、2つのはっきりと区分されたレベルで対応する。私たちがする対応は、我々が最初にカードを見たとき、パックを開封し初めてテキストを読んで受けた印象に対して。私はこれを感じた反応と呼ぶのが好きだ。これと比較されるのが、しみついた反応で、たくさんのゲームを通しカードの挙動を十分理解したのちの反応のことだ。感じた反応は重要で、なぜなら人々の最初のセットに対する評価に影響するからで――それはプレイする上で最初に注目するものだからだ。しみついた反応は長期間にわたってどのように楽しむかを決める上で重要だ。強力な感じた反応がなければセットを遊びたがらない。強力なしみついた反応がなければ、買った人々がそのセットをプレイして苦い経験をする。良いセット(と、良いメカニズム)はどちらのレベルでも成功していないといけない。

 不死に関していうと、比較的弱い感じた反応と、不釣り合いに強力なしみついた反応のを生み出す傾向があった。

 これはとても危うい。

感じることの強烈さ

 ここ最近のマジックの成功は、実際に強力なカードやメカニズムが強力に見えるようカードやメカニズムを積極的に調整しようとしたからだ。これが、例えば競技マジックの中心にクリーチャーを据えた理由だ。すさまじく大きくてすごいドラゴンや天使やデーモンやハイドラを見て、すさまじくて、大きくて、すごいと思ったとしても馬鹿にして笑うようなことではない。

 対照的に、一見弱そうに見えたものが、実際にはそれ自身が非常に強いことが分かったとき、大抵それを苦々しく思う。あなたは冗談のタネにされたような気分になり、「楽しくもないのに、なぜ私はこのゲームをプレイしたいと思うのか?」と自問することになる。

 もちろんこれは程度の問題だ――やはり一見してわからないパワーを発見するのは面白い。だが工程に発見を含まなければならない。あなたが強力な何かをするため、一見して弱いカードと一緒にデッキを設計するとき、あなたは何かを創造している。直ちにはわからない相互作用を発見している。対照的に、目に余るほどアンバランスな呪文を唱えているだけなら、非常に早く飽きがくる。

 この記事(リンク先は英語)で話したように、カードアドバンテージは非常に、良すぎるほどによいものだ。不死の主なアドバンテージであるカードアドバンテージは、ちらっと見たときの印象よりも、ゲームにはっきりとしたインパクトを与えるものだ。ほとんどの人にとっては、不死というのはに何回かプレイするまでは若干魅力という点では劣っているということを意味する。これは我々開発部の間でもそうだった。我々はこのメカニズムが一目見た時よりも実際にプレイしてみて実感するものだと知っていたにもかかわらず、最初にデザインされた不死カードはリミテッドであまりにも強すぎたのだ。感じた魅力が得られないことは、セットの特徴づけの中心となるメカニズムにとって非常に大きな問題になりうる。

プレイの学習

「えぇ、オーケー。それならデベロップは不死を充分魅力的にして、不死のカードをセットのもっとも強力なカードとして受け入れ、対応すればいい。」と言うかも知れない。

 もちろん我々はそういったアプローチも最初に行った。残念なことに、しみついた反応を得られるようにすればするほど、不死は最初に見た時よりも強力なものとなっていった。我々が最初にした悪いものは、魅力がない不死のデザインで、実際に一旦我々の周りの環境のプレイパターンに合わせてやってみたところ、とても影響が大きいものだった。これはシャドウムーアブロックの頑強にも言える問題で、私の意見としては:頑強クリーチャーで相打ちを取ることに基づいた全体の戦略を作ることは簡単だった。闇の隆盛のデベロップにおいて、この問題はより一層拡大した。シャドウムーア・ブロックでは少なくとも萎縮や-1/-1カウンターで頑強クリーチャーを殺すことにより再び戻ってくることがなかった。同じ贅沢は楽しめない。

食百足
くぐつ師の徒党

 これらが指し示すことは、とても弱い部類の不死カードでさえゲームプレイにおいてオーバーパワーだということだ。理論上は、制限をしたりそれ以上のことをすること自体は可能だ。問題点は、イニストラードが本当にすごいものになるだろうという予感がしていたことで――我々が望んだとおり、それはこれまでの中で実に一番まとまったリミテッド環境だろう。そして、私たちが最後にしたかったことは、イニストラードの素晴らしい部分をすべて保ち、「いいえ、今のリミテッドはそれとは違うものですが、あなたが楽しんでいた以前のものはそのまま残っています」と言うことだった。

適正なやり取り

 そして我々は難題に直面していた。不死は興奮させるほどに強力でなければならなかったが、強力すぎてリミテッド環境を制圧するほどになってはならない。私たちは、現実的に印刷してもいいと思えた中で最も弱いカードでさえ最初に想定してたものよりはるかに強力だとわかった。解決策はあったのだろうか?

 対処法は我々が不死のほとんどの強さの源が戦闘で有利に働く点であることを理解したときに思いついた。もちろん、不死の価値の一部は、除去に対し広く難攻不落である点にあり、《悪魔の長帷子》や《スカースダグの信者》で生け贄に捧げることができることだ。だが、カードパワーで大きな割合を占めるのは――そしてゲームプレイで不満の大きな割合を占めるのは――あなたが腰を上げず守備的にプレイをしようとしたときに、あなたの対戦相手がそれに対処するのが極めて困難となることだ。

 過度に守備的なプレイをできなくしたらどうだろう?

 1回の会議で、次の4つの新しいコモンカードについて考え付いた:《近野の忍び寄り》、《盲いたグール》、《嵐縛りの霊》、《若き狼》。

若き狼
嵐縛りの霊

 それぞれ別の方法でその問題について対策を行った。《若き狼》については、1マナ1/1クリーチャーはリミテッドで通常これまでにプレイしてきたものに比べて弱く、1対2を生み出せるターンになるまでにあなた自身に大いにハンディキャップを課すことになる。《嵐縛りの霊》と《盲いたグール》については、腰を落ち着けてレモネードをすすりくつろぐようになることを避け、そして戦うことをせがむため、ブロックに制限をつけた。そして《近野の忍び寄り》については、コストに対して彼を十分脆く作ったので、相打ちになるカードの質が落ちることによって1対2交換の価値は下がることになる。

盲いたグール
近野の忍び寄り

 もちろんこの修正はリミテッドにのみ根差したものだ。構築戦においては1対2の価値は大幅に小さくなるが、いまだ我々は不死の効果によりアグロデッキの能力がダメージを押し通すことを懸念していた。この問題を解決するため、我々は《絡み根の霊》を2/2トランプル持ちから、2/1速攻に変更した。これは攻撃を奨励し(あなたがプレイした最初のターンも能力による攻撃のアドバンテージをとらなければ、あなたはカードのコストに見合った価値を放棄していることになる)、防御ラインにそのカードを残そうと思わないようにする。我々は《ゲラルフの伝書使》が戦場にタップ状態で出ることを強いるようにし――結果としてこれは巨体のゾンビに適していた。何度も伝書使を《出産の殻》で生け贄に捧げ《ファイレクシアの変形者》を4ターン目に持ってくる(もちろんコピーするのは伝書使だ)のだが、この変更によりアグロデッキが戦いやすくなった。

(サイズを)大きくして(問題を)小さくする

 もちろんあなたは私が闇の隆盛のすべての単体の不死クリーチャーを列挙していないことに気が付くだろう。そして、闇の隆盛のすべての不死クリーチャーに、タップ状態で戦場に出るだとか、なんらかのブロック制限がされるだとか、もしくはその他の戦闘を避けさせるような制約をデザインしたある種のの特徴づけを行うとかがされているわけではないことも。このひとつの理由はこれまでに私が話してきた問題点は、実に程度の問題だからだ。我々は常にそのままリソースアドバンテージを1対2でとれるようなマジックの環境を望まない、マジックのためには時々起こる程度が良い。また別の理由として我々は不死クリーチャーに対してプレイパターンの異なる修正を思いついたからだ――例えば《紅蓮心の狼》はちょうど反復持ちのソーサリーのように働く。だが私のお気に入りの解決法――セットで何回か使用した、数多の"感じた反応"問題を解決する方法――は単純に不死クリーチャーを大きくすることだった。

紅蓮心の狼》アート: Lars Grant-West

 《最上位のティラナックス》のようなカードを見てみよう。6/5のクリーチャーで、対戦相手が彼を相打ちにしようとすれば既に2対1交換を内蔵しているようなものだ。もちろん、《恐怖》など(もしくはそれらしいもの)を持っているかもしれないが、戦闘でやり取りをしようとする場合、どうしても2体以上の犠牲が必要になる。これによって大抵何が起こるかというと、卓上にティラナックスが存在することで、ゲームプレイのパターンはそれを完全に取り除こうと試みる方へシフトする。なぜかというと、大型クリーチャー(《ゲラルフの精神壊し》、《執拗なスカーブ》、《食百足》など)は持ち前のサイズから戦闘でのやり取りが非常に少ないため、それらの持つ不死能力は、戦闘で2対1交換を生み出すよりも除去呪文を避けるように働く。

不死への愛の告白

 最後に、不死はデベロップにとって挑戦的なメカニズムであり、チームがうまくやってくれたと思っている。目標はリミテッド環境の仕組みに魅力的なクリーチャーを加えることで、そして私が思うに、このメカニズムはそれを完成させた。それと同時に、構築プレイヤーたちにもタネをまくことができた。

 来週は、あなたが(そう、あなた)が私に気持ちを感じさせたときにお会いしよう。

( Tr. Shin'ichiro Tachibana / TSV. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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