Mファイル・『神々の軍勢』編

更新日 Latest Developments on 2014年 2月 25日

By Sam Stoddard

Sam Stoddard came to Wizards of the Coast as an intern in May 2012. He is currently a game designer working on final design and development for Magic: The Gathering.

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 マルチバースへの回帰の時間がまたまたやってまいりました! 熱心な読者の皆さんはマルチバースが、マジックのカードを既に印刷されたものも、デザインの初期のものも、その間の全てものも記録するために使う社内のデータベースであるとご存知でしょう。デザイナーとデベロッパーの使命の1つは時折マルチバースのカードを訪れること、そしてコメントを残していくことです。1年前のファイルを振り返ればそれはデザインとデベロップの過程についての洞察と、そして少しの笑いを提供してくれます。あなたはこの記事でそのどちらも見ることができるでしょう。

 それではまず演者の紹介です。

AF―アーロン・フォーサイス/Aaron Forsythe
ザ・ボス。
BM―ビリー・モレノ/Billy Moreno
元・マジックのデベロッパー。
DB―ダグ・ベイヤー/Doug Beyer
マジックの上席クリエイティブ・
デザイナー。

DE―ダン・エモンズ/Dan Emmons
マジックのデザイナー。
DH―デイブ・ハンフリー/Dave Humphreys
マジックのデベロップ・
マネージャー。
DOH―ダン・ヘランド/Dan Helland
マジックのデザイン・
コーディネイター。

EVL―エリック・ラウアー/Erik Lauer
主席デベロッパー。
GSV―ガヴィン・ヴァーヘイ/Gavin Verhey
マジックの経験デザイナー兼
「ReConstructed」の執筆者。
ID―イアン・デューク/Ian Duke
マジックのデベロッパー。

Ken―ケン・ネーグル/Ken Nagle
マジックのデザイナー、『神々の軍勢』のリード・デザイナー。
Max―マックス・マッコール/Max McCal
マジックのデジタル・デザイナー。
MR―マーク・ローズウォーター/Mark Rosewater
マジックの主席デザイナー。

SPS―サム・ストッダート/Sam Stoddard
これが――私。
TML―トム・ラピル/Tom LaPille
マジックのデベロッパー、
『神々の軍勢』のリード・デベロッパー。

KEN 1/21/2013: こいつには楽しい選択がたくさんあるし、すごく攻撃をさせたくなる。
Max 2/6: こいつには収まるべきデッキも使いたいプレイヤーもいる。
MR 4/17/13: まあ、遙か遠く『イニストラード』より紆余曲折を経てここに至れり、と言ったところか。
SPS 5/6/13: Jiroはカードアドバンテージの夢を見る、ですな。
TML 5/7/13: ここ、Mファイルで使って下さいねー。


 使いました。

TML 8/3/2012: カワイイ。
TML 9/27/2012: マナ・カーブを考えて調整。
TML 10/5/2012: このカードを青緑オーラ・バウンス・デッキに入れるのがいいと思うんだけど、緑の2/2トークンって豚なんだよね。
TML 10/31/2012: 狼に戻した。
SPS 11/15/12: 対戦相手のやつにこれを付けるのは、時々正解で恐ろしくて奇妙なプレイです。このカードのそこだけは好きになれませんなあ。
TML 11/26/2012: エンチャント(あなたのコントロールするクリーチャー)? 試してみよう。
TML 11/28/2012: 狼を2体出したいな。
DE 1/3/12: 好きか嫌いか決められないな。好きだとは思うけど。
Max 1/8: 私は好きだ。
AF 1/28: これは愛されるために存在し、そして私はこれが好きだ。それにとても強そうに見えるしね。
KEN 2/28/2013: 実用比として緑の5マナが多すぎないか? シールドでこれと、2倍のライフを得る貢納のコモンと、踏み吠えの貢納と、他にも5マナ域があったら2倍のライフを得るやつをカットしないと駄目だろうね。
TML 3/18/2013: 《墓荒らし蜘蛛》シングルシンボルになったからこれをダブルシンボルに。
MR 4/17/13: このカードの元ネタがギリシャ神話ではなくローマ神話であるから、我々は狼を避けるべきではないのだろうか?

 マークの言っているように、《狼育ち》の神話はギリシャ神話ではなくローマ神話として広く知られていたわけですが、我々は100%正確であるよりも期待に添うことのほうがより重要だと考えました。しかしながら、私はこれが豚を出していた時のことをまだ想っています。

(プレイテスト名は〈不機嫌なアナグマ/Grumpy Badger〉)
SPS 11/15/12: これの名前が変えられたならば、私は永遠の悲しみを背負うことになるでしょう。
TML 11/26/2012: 汝、編集作業の終焉に永遠の悲しみを背負うであろう :)
TML 12/12/2012: 実に不機嫌ですぞ。
Max 2/6: よく…わからないです…
TML 2/18/2013: オーラつけようぜ!

 時として、カードを作る最も難しい部分はお気に入りのプレイテスト名をあきらめなければならないことです。

 GSV 02/08/13: ハンフー!


 私も受け入れてもごもご。

Max 1/8: 私の試練の邪魔をする新しい黒い英雄的カードを見ることになるとは悲しいね。
TML 1/8/2012: これは『テーロス』で黒い英雄的クリーチャーがやってることだ。こいつは今のところ相対的な使い捨てカードとしては十分な楽しさがある。
Max 2/6: 何でお互いなわけ?欠点に見えるよ。
ID 2/8/13: そうだな。現在黒い英雄達はお互いに効果をもたらしていて、そして私はわざわざそれを誘発させたいとは思わない。もっと楽しくなる方法としては、例えば2/2にして片方にするとか。
TML 2/8/2013: これは現時点で黒い英雄の挙動に沿っているだけだ。それを見直すべきかどうか?
Max 2/18: そうするべきだと思うよ。私はこいつを対象に取ることに興味ないし。
TML 3/4/2013: サイズを1/3にして効果を各対戦相手に。非対称万歳。

 これは『テーロス』のデベロップがある程度進んだころに起こりました。元来のバージョンでは、全ての黒い英雄的能力は両方のプレイヤーに効果を及ぼしていましたが、我々はこのセットに取り組んで、《運命の工作員》をお互い生け贄に捧げることから離すように決めて対戦相手だけにしました。そのときに問題は解決し、他の黒い英雄達は同じように能力を変更できるようになりました。

AF 1/25: ライフを失わせているような感じにしたいな。
TML 1/30/2013: 《ケデレクトの寄生魔》と《地獄界の夢》は両方この方法だね。
DB 2/19/2013: AFに同意。ダメージじゃなく、ライフを失うようにするべきだ。《地獄界の夢》は古すぎるし、《ケデレクトの寄生魔》はダメージを与えるのに赤いパーマネントが必要だ。クールなカードではあるけどね。
DH 3/5: 上に書いてあることに賛成します。《地獄界の夢》がそうでなくても、これはライフを失わせる存在であるべきでしょう。
BM 3/5/13: ダメージの方がプレインズウォーカーに干渉できて好みだなあ。ライフ喪失は防御円の時代は有利だったが、今じゃダメージより使い勝手が悪い。欠点のテキストとしては有用だが。
TML 3/7/2013: ライフを失うようにする。ビリー以外にダメージ論者はいるかな?
SPS 3/8/13: 私はビリー派です。
DOH 4/18/13: ビリーを支持する。 《吸血鬼の呪詛術士》に倣う方がいいと思う。 どっちみち《不純な飢え》はダメージ与えてるし。
TML 5/3/2013: プレインズウォーカーをやれるようにダメージに。
SPS 5/6/13: 私はこの変更を楽しんでます。

 ままあることですが、人はカードに関して「美しさ」対「機能性」で意見が食い違ったりするものです。これは我々がグループで黒のカラー・パイが時間を経てどのように進化していくべきかをしばらく議論していたものです。ライフ喪失はかつてダメージよりも優れていましたが、今ではプレインズウォーカーとの相互作用の関係でダメージより劣っています。その一方で我々は赤と黒を違った雰囲気の色にしようとしており、必然的に黒にはいくらかのライフを失う効果が存在します。

 《運命をほぐす者》は《地獄界の夢》のテンプレートに合わせようとされましたが、今ではあまり多く見られない問題に直面しました。最終的に、このカードの赤との差別化よりも、対プレインズウォーカーへの利点の方がより重要であると見なされました。

KEN 6/19/2012:で2/1飛行、《くすぶり獣》の白版で単独では攻撃できない、に変更。
SPS 10/1/12: このカードは好みですなあ。横に並べる戦略をサポートするところが素晴らしい。
ID 10/12: 《軍用隼》に似てるけど、より簡潔で再版しやすい。いいね。
AF 1/10: この能力はずっと赤にだけあったものだ。カード技術で5分の価値はあるな。
TML 1/16/2013: カード技術は白に拡大するのを承認したよ。

 カード技術での十分な議論に拍車をかけたカードのもう1つの例です。その結果――白はこの能力を得ました!

TML 11/9/2012: 青白向けに2/5に増強。
SPS 3/8/13: 《柱平原の雄牛》にしましょう。
TML 3/8/2013:柱平原の雄牛》に変更。

 トムが強くして、トムが元に戻しました。

TML 11/28/2012: にして、他の色の夢の紡ぎ手ともっと簡単に組合わせられるように。
TML 12/12/2012: 起動コストをだけに。
TML 12/19/2012: 0/5にして神啓プレイヤーだけがピックするように。
AF 1/25: 「アンタップ状態の」を追加。
MR 4/18: この流出は気にしないが、この能力は普通は緑のものだ。黒は大体生け贄に捧げ、白と緑がタップする。
TML 4/19/2013: 神啓にはこれが必要だ。

 『神々の軍勢』において、黒と青は神啓の二大主要色であり、いくつか追加でアドバンテージを得る助けになるカードが求められていました。この場合、《オドゥノスの黒樫》の能力は普通黒らしいとは思いませんが、このセットの背景に合わせた動きをしています。

KEN 6/12/2012: 新カードだよ。白緑の食べ盛り育ち盛りの英雄達向け。


新カード
XGW
インスタント
X体のクリーチャーを対象とし、それらの上にそれぞれ+1/+1カウンターを1個置く。


SPS 10/1/12: リミテッドで英雄的と使ってみました。良く機能しました。任務完了ですな。
TML 10/16/2012: Aになるように強化。


新カード
X1GW
インスタント
X体のクリーチャーを対象とし、それらの上にそれぞれ+1/+1カウンターを2個置く。


Max 2/6: 私の脳内では相手がこれを戦闘中に唱えてきたら勝てるビジョンが見えないな。
ID 2/8/13: 見た感じソーサリーにするべき強さ、だと思います。
TML 2/12/2013: 新バージョンに。


蒔かれたものの収穫

インスタント
クリーチャーを最大3体まで対象とし、それらの上にそれぞれ+1/+1カウンターを1個置く。


ID 2/18/13: クール。大好きだ。
TML 4/17/2013: 望む数から3体までに変更。

 このセットの金色カードの一部として、《蒔かれたものの収穫》は求められる強さに応じたいくつかのバージョンを経ていました。我々はこのカードに求められる強さが「A」以上(つまり《風のドレイク》よりも強い)《踏み荒らし》未満であることは把握していました。その目標は錨にはなっても、ドラフトを支配してしまわないことです。このカードの2番目のバージョンはやり過ぎたと判明したので少し弱体化させ、そして最終的に皆さんが知っているバージョンに落ち着きました

TML 10/4/2012: 常在型能力を最後にもう一回試してみよう。
TML 10/5/2012: 数字に対してより嫌らしくなった。
TML 12/12/2012: 能力追加!
GSV 12/17/12: こいつは横暴で全くもって楽しそうに見えないね。「俺のクリーチャー全部お前のと相打ち」はサイズの意味を減らしてしまう。オーラ満載のブロックじゃあ特に酷い話だ。
TML 12/19/2012: 楽しさに欠けるので弱体化。に。
ID 2/4/13: 単体除去が無いとこれを何とかするのは大変だ。特に白黒でエンチャントを使い回す方法は沢山ある。
TML 2/4/2013: 2/4から2/3に。
KEN 4/2/2013: これは相手の『テーロス』のゴルゴンに対する切り札で、相手はゴルゴンを殺せないわ接死が無くなるわで超すごいゲームになったよ。

 カードを推す時にやっておくべき重要なことは、そのカードを楽しいものにすることです。これは他のどの原型よりもリミテッドで驚異的に楽しくないものになるリスクがはっきりと証明されました。結果的に、これを引いた全てのゲームを支配しないぐらいでプレイできるところまでコストを増やしてタフネスを下げました。このカードは我々の求めた通りの役割をこなし、そして悲惨さの正しいレベルにあります。

KEN 3/27/2013: 忍び寄らないパワー!
TML 4/2/2013: コモンので3/3はないな。

KEN 8/13/2012: 死んだ『テーロス』のフレイバー系除去デザインの復活だ。
DH 8/29: (笑)
AF 9/27:  :)
SPS 10/1/12: おお、このカードは愛おしい。
MJG 10/10/12: へへへ!
TML 1/10/2012: トム・ジャンコット/Tom Jenkotの新しいテンプレートに変更。
AF 1/25: 素敵!
MR 4/17/13: このカードがブロック後半において居場所を見つけられてとても満足している。

 《目抉り》が『テーロス』に入らなかったように、しばしばデザインの課程で素晴らしいがそのセットに居場所のないカードが出てきます。幸運にもケンはこれを死の淵から救い出し、『神々の軍勢』にもたらしました。


 今週はこれでおしまいです。お楽しみいただければ幸いです。次週はプロツアー『神々の軍勢』に向けたお話をする予定です。

 ではまた来週お会いしましょう。

 サム( @samstod ) より


(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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