欠色のデベロップ

更新日 Latest Developments on 2015年 10月 23日

By Sam Stoddard

Sam Stoddard came to Wizards of the Coast as an intern in May 2012. He is currently a game designer working on final design and development for Magic: The Gathering.

 我々が『戦乱のゼンディカー』に取り組み始めたとき、デザイン・チームは大きなエルドラージを増やさずに、エルドラージの数を大きく増やす方法を考え出そうとしていました。最初にエルドラージが現れた時にはその巨大さによって大きく定義されていたのですが、そしてセットの半分を8マナ以上にすることはできなかったので、とても難しい問題でした。『エルドラージ覚醒』では、攻撃することが悪く、一方でマナ加速や狂ったことをするのに十分以上に時間がある、狂ったドラフト環境にすることでエルドラージを機能させようと無理をしていました。

 しかしながら我々は『戦乱のゼンディカー』にもっと多くのエルドラージを求めていました――我々は『エルドラージ覚醒』と初代『ゼンディカー』ブロックの両方が混ざったものを必要としており、それはつまり、あらゆる速度のデッキが存在するということでした。『戦乱のゼンディカー』は何よりもまず対決がテーマのセットであり、それは『ミラディン包囲戦』でやったように両方の陣営があるということを意味します。つまり、エルドラージとゼンディカー人が「俺は速いデッキ」「俺は重いデッキ」以外の方法でお互いに争うことができる方法を見つけるということでした。我々はエルドラージを活気づけるために、高性能な8~10マナのクリーチャーとそれを早く出す以外の方法が必要であると分かっていました。我々がこのセットで戦乱を表すだけでなく、プレイして楽しいと感じられるようにするなら、遅いゼンディカー人のデッキや、速攻を仕掛けるエルドラージ・ウィニーが必要になるでしょう。

少ない色、多くの問題

 このセットがデヴァイン(デザインとデベロップの間の段階)に近づいても、我々はまだやるべきことを多く抱えていました。エルドラージをその無色性によって定義するのはいいのですが、このセットの呪文を機能させるようにすることに大きな障害を引き起こしました。(そのマナ・コストに色があるものも含めて)いくつかの無色のクリーチャーがいましたが、以下のような呪文を含めた真の無色の呪文が多くありました。

{2}
〈エルドラージ大化/Eldrazi Growth〉
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+2/+2の修正を受ける。そのクリーチャーが無色なら、ターン終了時まで、それはトランプルを得る。

 このようなカードの問題は2つあります。ひとつには、ドラフトの実際の手順が難しくなること(その手順の多くが何色をやってデッキのためのカードを切り詰めるかなので)、もうひとつは、カラー・パイにいくつかの深刻な争いを引き起こすことです。余談ですが、カラー・パイはカード作成にちょっとした不具合を起こすのではなく、デッキが異なるプレイをされるように異なる色に異なる利点と欠点を与えるためのものです。基本的に、青黒デッキは効果的なコンバット・トリックがありません――代わりに強い除去があります。ブロックしたときに-X/-Xする効果には少し気をつけないといけませんが、それらの効果とコンバット・トリックのレートは異なる傾向にあります。ところが突然、あなたがクリーチャーをブロックすると対戦相手がこの無色の呪文を使ってきます――個々のデッキがそれほど変わらないと感じ始めることになります。

 このカードの問題のいくらかはレートです――これは我々が緑のコモンに与えたいものに近すぎます。想像してみてください。

{1}{G}
〈緑大化/Green Growth〉
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+2/+2の修正を受ける。そのクリーチャーが緑なら、ターン終了時まで、それはトランプルを得る。

 このカードはすごく強いわけではありませんが、他にコンバット・トリックがなければリミテッドのデッキで使う妥当な機会があります。にもかかわらず、我々は以下のようなカードは作らないでしょう。

{1}{U}
〈青大化/Blue Growth〉
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+2/+2の修正を受ける。

 我々はどのようなデッキでも使えるカードを適正な色に近いレートにしたいとは思っていません。したがって、このようなカードを作る唯一の手段は少なくとも3マナ追加することで、そのことはこのカードを突然、有用なところからはるか遠くに追いやってしまいます(絶望的なデッキを除けば)。デザインの答えは、無色性をエルドラージの主な特徴としてそのままにし、しかし完全に無色であるカードの数を削減することでした。《存在の一掃》のような呪文がその分野にまだ残っていますが、我々は軽いコンバット・トリックをそこから遠ざけました。また我々はこのセットのエルドラージが少なくともちょっとは個性を持つように試みました。例えば《コジレックの媒介者》は、エルドラージのマナ・エルフは4/4だというアイデアから来ています。

 それでもなお答えを探し、デザインはエルドラージのマナ・コストに色マナを使い、しかしそれらを無色にするルール・テキストを容認することを決め、そして突如として欠色のカードが多くなり、エルドラージに中心線がもたらされました。

欠色テーマを作る

 欠色をエルドラージを繋げる「もの」に決めたなら、我々はそれをカード上のランダムなマーカー以上にする何かを行う必要がありました。一時期、我々は確かにただこれだけにしていました。

{1}{G}
〈エルドラ熊/Eldrazi Bear〉
欠色
2/2


{2}{U}
〈エルドラ予言/Eldrazination〉
ソーサリー
欠色
カードを2枚引く。

……これらのカードはどんな特徴もなく、エルドラージを意味を持った方法で表すこともしていませんでした。これでは部族のマークと全く違いがなく、エルドラージである理由が特にありません。そうではなく、我々は欠色エルドラージを(《コジレックの歩哨》や《棘撃ちドローン》のような)無色性を意識したものや、(《音無く飛ぶもの》や《エムラクールの名残》や……《コジレックの歩哨》のような)その役割に対して普通ではないパワーとタフネスを持ったものか、嚥下と昇華を意識したものにしようとしました。

 全体的に、私は欠色能力がカード上にあることの意味は単なるフレーバーテキストや無作為なものよりも大きいと信じています。これらのクリーチャーはひと固まりになったときに、確実にお互いがまとまった感じになり、そして例え覚醒などがメカニズム的にある程度の重なりを供給するように意図されていたとしても、同盟者や残りのゼンディカーとは異なったものにします。

 嚥下/昇華は実際にセット全体を繋げるために多くの役割を果たし、そして私が先ほど書いたような真の無色呪文が多くあることの大きな問題を解決しました。これのおかげで、インスタントやソーサリーにフレーバーテキスト以上の効果を書き込むことができるようになりました。追放が重要であるという理由なしでは、全ての除去呪文がクリーチャーを追放するのは本当に筋が通らないものになるでしょう。

 我々は時々、除去を追放除去にします。それは通常デベロップの事情によるものですが、これまでにその文章が何度も、そしてとても多くの色に渡って現れたセットはなかったと思います。我々は緑の格闘にさえも追放の文をつけたのです。私はこれが、このセットを実際にまとめることにとって役に立ったと考えています。ただこのセットを見ただけではつかむことが非常に難しいことですが、実際にこのセットをプレイし始め、そしてリミテッドを掘り下げていけば、とても良く伝わると私は考えています。

欠色を紙に落とし込む

 カードの背後にある目的が定まったなら、次はそれをパックの中で正しく見せる段階です。これについては 以前の記事で少しお話ししましたが、このセットのエルドラージが何か違うと納得させるために、実際の枠にどれだけの取り組みがあったかについてもう少しお話をしたいと思います。

 これらのカードはこのセットの同盟者からかなり大きく目立たせることに良い働きをしていますが、色を決めてドラフトやマリガンの決定をできるように十分なまとまりを持っています。これは本当に難しい課題でしたが、このセットの完成版にとってとても重要なことでした。

 私がお話ししてきた中で掘り下げたいと思うことの1つは、何故我々が無色の色指標(そして我々はこの言いにくい単語をデベロップ中に将来を話し合うために使いました)ではなく、欠色というキーワード能力を使うかについてです。両面カードや契約サイクル、『時のらせん』の唱えられない待機カードには、「このカードは青である」というテキストがなくてもそのカードの色を表すために小さな点がついています。

http://media.wizards.com/2015/images/daily/LD20151023_Ancestral-Vision-Card-Type-Slice.png

 これは使うべきところではもっと進んで使おうという『イニストラード』から行われたクールな改善点です――ただ、我々はこれが正しい場所にないと感じていました。技術的には、我々は素早くルールを書き、枠をそのまま残し、色指標を取り払ってそのカードが同じように機能するようにできますが、それらのカードの状態を理解するのがとても難しくなり、とてもプレイしづらくなるでしょう。我々はこれらの欠色カードに無色の枠と色マナのシンボルと色指標をつけることもできました。それは多少良いでしょうが、新しいプレイヤーには理解がとても難しくなるでしょう。 さらに、無色の色指標を透明にすると、アートの一部が木や空だったりすると色指標が透明に見えない事態になるかもしれません。

 これら全ての要素が、文章欄に欠色を書くことが理想的であるということを意味していました。新しいプレイヤーや慣れていないプレイヤーは、『戦乱のゼンディカー』のパックを初めて開けて欠色の何がクールなのかすぐに気づかないかもしれませんが、少なくともそのカードの挙動は理解するでしょう。

 今週はここまでです。来週はいくつかのフューチャー・フューチャー・リーグのデッキリストと、我々の内部でのメタゲームがどうなっているかをお届けします。

 それではまた来週お会いしましょう。

サムより (@samstod)

(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" kaoru)

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