フィニッシャーの役割

更新日 Latest Developments on 2016年 1月 1日

By Sam Stoddard

Sam Stoddard came to Wizards of the Coast as an intern in May 2012. He is currently a game designer working on final design and development for Magic: The Gathering.

 我々がマジックのセットに入れている中で最も重要なものの1つといえばフィニッシャー――デッキのマナ・カーブの頂点に鎮座し、そしてそれ単体でゲームに勝利する手段として機能する類の呪文(通常はクリーチャー)です。確かにここ数年のプレインズウォーカーの参入によってこのようなクリーチャーの需要はいくらか減りましたが、それでも我々はこれらのクリーチャーがフォーマットに存在するようにしています。マナ・カーブの頂点に位置し、ゲームが長引いたときに常にトップデッキを望むような、魅力的で素晴らしい選択肢をデッキに与えたいと我々は考えています。

 これらはデッキに大量に入れるように意図された細かいカード・アドバンテージを得るようなクリーチャーではありません。その代わり、これらの動きは強力で華麗です。重いクリーチャーは大量に要らないので普通はこれらでデッキを満たしたいとは思いませんが、ほとんどのデッキにはこのようなカードを1枚は入れておきたいものです。

 ほとんどのフィニッシャー・クリーチャーはプレインズウォーカーのように長期的な有利やカード・アドバンテージをもたらすものではありませんが、逆転したりゲームに決着をつけたりするための最後の一押しを提供するものとして、マジックの生態系の中に居場所を保ち続けています。我々はこれらのカードをかなりの数印刷し、そしてそれらのうち何を入れるかは戦略だけでなく入るデッキによって大きく変わります。例えば《悪斬の天使》は《孔蹄のビヒモス》や《オキシド峠の英雄》と同じようなすごいフィニッシャーです。これらは全て大きく異なる役割を果たし、大きく異なるデッキに入れることを想定されていました。

 《変異種》は恐らくこれらの最も古典的なものです。多芸で殺しにくく、青いデッキにブロックと攻撃の両方の手段を提供します。一方で《孔蹄のビヒモス》は多くの準備を必要とします。これをほとんどクリーチャーが入っていないコントロール・デッキでプレイすることはありません。これはブロックも得意ではありませんが、追加の30~300点のトランプル・ダメージを速やかにもたらします。もし《孔蹄のビヒモス》の総攻撃で勝てないなら、かなりおかしなことが起こっています。

 私がこのリストに《オキシド峠の英雄》を含めたのは、フィニッシャーというのは高マナ域だけではないからです――時にはアグレッシブなデッキのマナ・カーブの頂点を埋めることもあります。《オキシド峠の英雄》は単体だとかなり平凡なクリーチャーですが、これで攻撃したときに大量の軽いクリーチャーを並べる赤の平均的な戦略で、壁やその他の軽いクリーチャーに相打ちを取っていけば、最後の数点を削りきる方法を提供してくれます。

フィニッシャーの略歴

 何年か前に、我々はこのようなクリーチャーをコントロール・デッキのフィニッシャーとして印刷しました。

 《霊異種》は主に通常のフィニッシャーをゲームを決めてしまうことから遠ざける《至高の評決》に対するものでした。ゲームを終わらせる強烈な一撃とブロッカーを通り抜ける方法と除去耐性を備えていますが、とてもマナがかかります。《スフィンクスの啓示》のような巨大なカード・アドバンテージをもたらすカードのあるフォーマットでしたが、《霊異種》は、それでもゲームに勝てるクロックを押し通すためにカード・アドバンテージをかなり捨てたデッキを成立させたのです。

 去年、我々はこんなものも作りました。

  『タルキール覇王譚』期のスタンダードでかなりの数がプレイされた《真珠湖の古きもの》は《霊異種》よりも除去耐性は劣っていました(全体除去をかわすことはできましたが)。しかし、その弱点を打ち消されない能力とマナのかからなさで補っていました。これ自体での決定力が劣るところはもちろん短所です。とはいえ除去呪文のように機能するのはかなり助けになり、果敢は戦闘である種の驚くべき爆発力を見せます。

 『ゲートウォッチの誓い』には、強力なコントロールのミラーマッチへの解答になり、そしてミッドレンジが対処することはとても難しくなるよう意図された、新たなものが存在します。ご紹介しましょう、《終止符のスフィンクス》です。

http://media.wizards.com/2015/ogw_239nCi30ks3/jp_XYJvVeYRvz.png

頑丈な作り

 《終止符のスフィンクス》の堅さは、それをプレイする上で選択肢となる他の似たようなフィニッシャーとの違いのひとつです。タフネス5は《衰滅》されたり《包囲サイ》や《カマキリの乗り手》をブロックしたりしても生き残るのに十分な大きさです。呪禁を持っているので、伝統的な除去で倒されないだけでなく、《束縛なきテレパス、ジェイス》がパワーを下げてくることにも対処できます。《冬魂のオジュタイ》と相打ちは取れないかもしれませんが、それはそれです。

 もしあなたがゲームを終わらせる強力な手段を探していて、そして打ち消し呪文でそれを守る心配をしたくないなら、《終止符のスフィンクス》はまさに終止符です。(それには申し訳ないと思います)

 そして《真珠湖の古きもの》や《霊異種》とは違い、《終止符のスフィンクス》はこれ単体で勝ちに行く必要はありません。《対立の終結》や《はじける破滅》、《忌呪の発動》でなら倒されますが、それ以外に対処する方法はほとんどありません。ひとたび《終止符のスフィンクス》を出したならば、他の手札を勝つためにどのように使おうかと悩むかもしれません――そして対戦相手はそれらを打ち消すことができず、対処にとても困ることになります。

闘いに勝利する

 《終止符のスフィンクス》をデッキに入れる選択をした場合、打ち消し呪文を使う他のデッキに対して巨大なアドバンテージを得ます。ほとんどのコントロール・デッキがゲーム後半の大きな一撃を巡っての打ち消し合戦に勝つためにマナと打ち消し呪文を温存しなければならない一方で、《終止符のスフィンクス》はその打ち消し合戦全ての主導権を握り、勝つことを可能にします。

 9マナと《軽蔑的な一撃》のある状態で《終止符のスフィンクス》をプレイするということは、対戦相手が《精霊龍、ウギン》や《対立の終結》でそれに対処できないだろうということです。ターンが帰ってきたなら、あとは手札の役に立たない打ち消し呪文を抱えた相手を尻目に、こちらは手札の重要な呪文を通し放題です。

 さて、では例としてパヴェル・マトウセク/Pavel Matousekがグランプリ・神戸2015のトップ8に入賞したデッキを見てみましょう。

パヴェル・マトウセクのエルドラージ・ランプ

グランプリ・神戸2015 トップ8 / スタンダード
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サイドボード (15)
1 ウギンの聖域 3 払拭 4 ジャディの横枝 4 カル・シスマの風 1 虚空の選別者 2 破滅の伝導者

 《終止符のスフィンクス》はこのようなデッキのメインとしてもサイドボードとしても素晴らしいものです。《終止符のスフィンクス》の大きさは、特に加速して出した場合に紛れのないダメージ・クロックを供給し、全ての呪文が打ち消されないことは《水の帳の分離》が(覚醒で唱えてもそうでなくても)素早くゲームを勝利に導くことをを意味しています。

 《終止符のスフィンクス》の有用性はコントロール・デッキのミラー・マッチにおける切り札中の切り札になるというだけではありません――これの呪禁と大きなサイズは、最近のミッドレンジ系デッキの多くに対して素晴らしい手段を提供します。

 ミッドレンジ・デッキは勝つために消耗する傾向にあり、対戦相手の脅威のために多くの2対1交換を取るカードや除去が入っています。上記の《はじける破滅》以外には、《終止符のスフィンクス》に対してミッドレンジができることはそれほどありません。《完全なる終わり》は対象に取れず、《残忍な切断》も《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》もそうです。これらのデッキと対戦するときの目標は、1ゲーム目はそれらを咎めるために可能な限りの除去を抱えること、そして2ゲーム目と3ゲーム目は《はじける破滅》のようなカードをどれだけ残すかの決断をすることです。

 我々が考えた《終止符のスフィンクス》絡みのコントロール・デッキがどのようなものかをご紹介するにあたって、いくつか選択肢を用意しました。注意として、フューチャー・フューチャー・リーグのデッキは大抵洗練されておらず、現実世界に届くときには多くの変更が加えられたカードを含みます――なのでデッキが古いように見えても驚かないでください。

青赤コントロール

『ゲートウォッチの誓い』入りのスタンダード
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クリーチャー (1)
1 終止符のスフィンクス
他 (9)
4 未公開のエンチャント 2 未公開の怒濤カード 3 未公開の神話レア
59 カード

エスパー無色コントロール

『ゲートウォッチの誓い』入りのスタンダード
Download Arena Decklist

http://media.wizards.com/2015/ogw_239nCi30ks3/jp_Yldf7f7vEB.png

 今週はここまでです。来週は『ゲートウォッチの誓い』のデベロップのさらに深いところを見ていきます。

 それではまた来週お会いしましょう。

サムより (@samstod)

(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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