週刊連載インタビュー「あなたにとってマジックとは?」第8回:コスプレイヤー編

更新日 Feature on 2015年 7月 16日

By 瀬尾 亜沙子

 世界中で2千万人を超えるプレイヤーとファンを持つ世界最高の戦略トレーディングカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』。この記事では、5月末開催の記念すべき「モダンマスターズ・ウィークエンド」から、8月末開催の「世界選手権2015」まで、「あなたにとってマジックとは?」というインタビューをまとめた記事を毎週連載していきます。

 『マジック・オリジン』、この夏発売の新セットでは、5人のプレインズウォーカーが何故プレインズウォーカーになったのかという理由が明かされます。プレイヤーの象徴でもあるプレインズウォーカーにも、それぞれ違った人生背景が隠されているのです。では、「マジックプレイヤーは何故マジックプレイヤーになったのか?」そこにはどんなストーリーが隠されているのでしょう……この連載記事でその謎を明らかにしてみます。

 さまざまな方に「あなたにとってマジックとは?」という質問を投げかけているこの企画。マジックはゲームとしてプレイする以外にもいろいろな楽しみ方があります。グランプリ・千葉2015の会場に、マジックのキャラクターのコスプレイヤーさんたちがいたのを覚えていますか? その中の3名にお話を聞いてみました。

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修復の天使》のコスプレイヤーさん

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ラル・ザレック》のコスプレイヤーさん

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見えざる者、ヴラスカ》のコスプレイヤーさん

――あなたにとってマジックとは?

ヴラスカ:「恩返ししたい存在」です。マジックのおかげでたくさんの人と友達になれたし、今もとても楽しくてうれしいです。ほんの少しでも恩返しになればと、一時期ですが女性サークルをやったり、今はお子様連れOKの自宅例会などやっています。

――すばらしいですね。ラルさんはどうですか? マジックとは?

ラル:「人生」ですね。人生で起こることはマジックでも起こるし、逆もまた真だと思います。マジックをやってると、人生において困ったことがあったとしても、「これは今たまたまデッキがうまく回っていないだけで、デッキが弱いわけじゃない」みたいに考えられるようになりました。

――うーん、深いですね。

天使:私は「友情パワー」です! マジック始めたばかりですけど、おかげで友達が増えたので。ただのカードゲームってだけじゃなくて、ストーリーもイラストも、もちろんゲーム自体も、全方位楽しんでる自信があります。

――マジックはまだ始めたばかりなんですか?

天使:今年の1月に、『運命再編』からスタートしました。すごくマジックにはまっている友達がいて、「天使がすごくきれいなんだよ」って言っていたので画像を検索したら、きれいなイラストがたくさん出てきて興味を持ったのがきっかけです。ゲームは難しそうだけど、天使のカードはほしかったのでカードショップに1人で行って、初めて手にしたカードは《解放の天使》でした。でも、せっかくのカードを使わずただファイリングしてるのはもったいないと思って、友達に教わって始めました。ルールもまだあやふやだし、グランプリとかも出たことないんですけど、シールドとかやってカードが集まってきたから、そろそろスタンダードやろうかなって思ってます。今はEDH(統率者戦)が一番好きです。

――ヴラスカさんたちはわりと昔からですか?

ヴラスカ:1999年の『ウルザ』ブロックあたりですかね、アメコミ雑貨店でバイトしてて、お店で扱うようになったのがきっかけです。ビル・シエンキーウィックツ/Bill Sienkiewiczというアーティストさんが好きなんですが、その方もイラストを描いていたしファンタジーも好きだったのですぐハマりました。

ラル:私は、母が海外ゲーム好きで、小学生のころ親子で「モノポリー」「バックギャモン」「スクラブル」あたりをいろいろ遊んでいたんですが、その中の1つがマジックでした。初めて触ったマジックのカードは『ポータル・セカンドエイジ』で、小学校に持って行って友人と一緒に遊びました。そのあと何度かやめたり戻ったりしていますが、『ローウィン』+『アラーラ』ブロックで復帰してからはずっと続けています。

――皆さんはどうして今回コスプレで参加されたんですか?

天使:こちらのヴラスカさんから会場でコスプレやるって聞いて、じゃあ一番好きな《修復の天使》をやろう!と。《修復の天使》の大きな翼は力強さと生命力にあふれていて、本当に美しいイラストで好きなんです。マジックにはコスプレイヤーが少ないって聞いたので、もっと広めたいなと思ったんです。

ヴラスカ:グランプリを見た人が面白かったと思ってくれたらいいなというのと、自分1人ではさびしいですが、今回はお友達がリリアナをすると言ってくれたこともあって、どうせならにぎやかなほうがいいと思ってツイッターで募集したら、1人2人と増えていって全部で8人になったんです。こんなに集合できたのはうれしいですし、びっくりです。

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コスプレイヤー集合写真。ここには写っていませんが、《野生語りのガラク》も来場していました。

ラル:私も、コスプレ自体一度やってみたいと思いつつやらずに数年経っていまして、ヴラスカさんの勧誘をいただいて今回こそは、とご一緒させてもらうことにしました。

――《修復の天使》はイラストが好きとのことでしたが、《ラル・ザレック》と《ヴラスカ》はどうして選んだんですか?

ラル:すべてのプレインズウォーカーの中で《ラル・ザレック》が一番好きなんです。私がもとから青と赤好きだったのもありますが、大胆不敵な性格もイラストも全部好きです。青らしい冷静さや狡猾さ、知性を備えていながらも根底にあるのは赤の激情や熱情であるところが最高にクールだと思います。

ヴラスカ:私は衣装制作が苦手なので、武器がなくて装飾も少ないヴラスカがいいかなと。あとでストーリーを読んでみたら、利己主義でジェイスを殺す方法が無数にあると知り、とても親近感を覚えました(笑)

――皆さんの衣装はどうやって作ったんですか?

ヴラスカ:ミシンや布などはみなさんお持ちじゃないだろうし、作りたいけど不慣れな人もいるかなと思い、ツイッターで自宅制作会を募って、日曜などに集まって制作しました。我が家に泊まりがけの方もいて、夜中もミシンやボンドを使ってがんばりました。

ラル:今回が初コスプレ・初裁縫だったので、ヴラスカさんにミシンの使い方をイチから教えてもらいながら作りました。

――カードイラストしか資料がないと思うのですが、難しくないですか?

天使:イラストでよく見えないところとか、拡大してもわからないところは、今までのコスプレイヤーとしての経験を生かして、見た目よくしてみた感じですね。だから厳密には違うところもあるかもですけど、愛はありますので!

ラル:《ラル・ザレック》の場合は絵違いのカードとかもあるので、それを集めて研究しました。

――この衣装をどんなふうに作ったか、具体的に教えていただけますか?

ラル:服はコスプレ用型紙サイトの武道着を改造して型紙にしました。スカートやスカーフは巻いただけ、パンツはドン・キホーテで買ったジャージに模様を縫い付けただけです。ブーツはこの日のために原宿で買いました。

ヴラスカ:どのコスプレの時も同じですが、まずは似た服を探します。見つからない時は、ラル・ザレックさんのように型紙サイトから似たものをダウンロードして作ります。今回ヴラスカはウエディングドレスのマーメイドタイプを使って、染料で煮たり漬けたりしてゴルガリカラーにしました。染まりにくい生地でしたので、最終的には裾は墨汁で染めました。黄色のラインは100円ショップのリボンコーナーで買ったスパンコールを24メートル分、生地にボンドで貼りつけて、頭の触手はヘビ柄の生地を弓なりに切り出してミシンで縫い、中に綿を詰め水泳帽に直接縫い付けました。

天使:《修復の天使》はスカート部分が透け素材でフワッとした印象だったので、シフォンという透け素材の布だけにしようとしたのですが、シフォンだけだとものすごく透けてしまうので、裏地として光沢のある透けない布を一緒にして、キャミソールに縫い付けました。スカートの裾部分には青い模様があしらってあったので、白いレースを青に染めて接着剤で着けて、正面と側面をリボンで編み上げて作りました。翼は最初、市販のパーティグッズにしようかと思ったんですが、妥協したくなくて、翼も羽根を1枚1枚切り出して重ねて作りました。グランプリ会場を歩くことも考えて、邪魔にならないように、翼を多少折り畳んだ状態をイメージして仕上げました。作ってる最中は、マジックやりたいのをみんなで我慢しながらの作業でしたけど、私の知らないカードの話とか、グランプリはどんなイベントなのかとか、マジックのいろいろなことを話しながら作ったので、すごく楽しかったです!

――普段からけっこうコスプレをされてるんですか?

天使:はい。うろ覚えですがコスプレを始めて4年くらいになります。マジックは背景世界も奥深いものになっているので、コスプレでもそんな世界を表現できたらなと思います。まだまだマジック界はコスプレイヤーさんが少ないと感じるので、もっと広まってほしいと感じます。

ヴラスカ:装うこと自体コスプレだと思っているので、普段から「今日はフツーの主婦のコスプレ、今日は参観日だからワンピース」とか思いながら暮らしていますが、アニメとかキャラクターもののコスプレは、本格的なのは7年くらい前に2年間くらいコスプレOKなイベント会場や遊園地でやっていました。それ以後は育児などの生活環境の変化で、年に2~3回です。マジックもしばらくやってなかったんですが、去年のガールズイベント(夏だ!浴衣だ!!マジックだ!!『マジック基本セット2015』ガールズイベント)と、晴れる屋さんの女性大会「レディワン」に、主人のススメもあり参加し、7年ぶりに復帰しました。再開してみたら女性プレイヤーが増えていて、今回もこんなにコスプレをする方が集まってくれて、すそ野の広がりを感じましたね。

天使:今回が初めてのグランプリで、マジックというジャンルのコスプレも初めてでしたが、本当にいろんな人が話しかけてくれていろんな人と仲良くなれたし、とても楽しい、充実したグランプリでした! これからも、マジックもコスプレもまだまだ楽しんでいきたいです。

――またコスプレを見られるのを楽しみにしています。どうもありがとうございました。

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会場では海外版カバレージによる取材が行なわれたり、大勢の人が記念写真を撮影するために集まったりしていました。

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