週刊連載インタビュー「あなたにとってマジックとは?」番外編:インタビュアー編

更新日 Feature on 2015年 9月 4日

By 金子 真実

 世界中で2千万人を超えるプレイヤーとファンを持つ世界最高の戦略トレーディングカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』。この記事では、5月末開催の記念すべき「モダンマスターズ・ウィークエンド」から、8月末開催の「世界選手権2015」まで、「あなたにとってマジックとは?」というインタビューをまとめた記事を毎週連載していきます。

 『マジック・オリジン』、この夏発売の新セットでは、5人のプレインズウォーカーが何故プレインズウォーカーになったのかという理由が明かされます。プレイヤーの象徴でもあるプレインズウォーカーにも、それぞれ違った人生背景が隠されているのです。では、「マジックプレイヤーは何故マジックプレイヤーになったのか?」そこにはどんなストーリーが隠されているのでしょう……この連載記事でその謎を明らかにしてみます。

 さまざまな方に「あなたにとってマジックとは?」という質問を投げかけているこの企画。シリーズは完結しましたが、最後に番外編として、インタビュアーご本人に登場していただきました。

瀬尾亜沙子

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『GAMEぎゃざ』『マナバーン』などマジック関連書籍の編集に携わる。現在はフリーで、国内グランプリでのカバレージ用写真撮影などを担当。

――あなたにとってマジックとは?

瀬尾:「観戦して楽しいスポーツ」ですかね……。

――観戦派なんですか。

瀬尾:あんまり自分ではゲームやれてなくて、ほぼ観戦専門なんですよね。統率者戦とかはもっとやりたいんですけど、基本引きこもりなので……。

――マジック・オンラインをやったらいいのでは?

瀬尾:あ、『デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ』のシリーズはけっこうやってますよ。ただ、こう言ったらなんですけど、マジックそのものよりも、マジックプレイヤーが好きなんです、たぶん。サッカーをするわけじゃなくても、選手が好きで、サッカー場でわいわい応援するのが楽しいみたいな感じです。

――へえ、そういう楽しみ方もあるんですね。

瀬尾:なので、いろんな有名選手が一堂に会するプレミアイベントは大好きなんです。プロツアーのニコ生も、タイムシフトで何回か見返したりしますし。そもそもマジックを始めたきっかけも、『GAMEぎゃざ』に載ってた森雅也さん(アジア選手権を2連覇した強豪プレイヤー)がカッコいい! みたいなとこからなんで(笑)、根がミーハーなんです。だから、有名プレイヤーさんたちと仕事したり、写真撮れたりするのは純粋に楽しいですね。

――じゃあ、今の仕事はけっこう天職ですね。今回のシリーズでも、いろんな人にインタビューしたわけですよね。

瀬尾:そうですね。諸事情で取材したけど載らなかった方もいたので、合計40人以上にインタビューしたんですけど、この仕事を口実に、なかなか話す機会がないような人から直接すごく面白い話を聞けて、ほんとに役得だったなと思います。

――特に印象的だった取材はありますか?

瀬尾:やっぱり最後の殿堂編ですかね。ローリー(藤田)さんと津村君が大礒さんを尊敬していたり、三原さんが八十岡さんと似た考え方で中修さんとは正反対のことを言っていたり、6人の横の関わりがいろいろあるのが面白いなと思ったので。

――今回の企画では「よく取材の対象になる現役のプレイヤー」以外の人にもインタビューしましたが……。

瀬尾:そうですね、面識のない方たちに突撃取材したりするのは、引きこもりライターにはややハードルが高かったです(笑)。でもいわゆるプロプレイヤーもそうでない人も、みんな似たようなきっかけでマジックを知って、どんどんのめりこんでいく様子は一緒だなと思いました。このインタビュー全体のテーマに「それぞれのオリジン」というのもあったんですが、プレインズウォーカーの灯を燃やす一番強い燃料として、マジックというゲームの面白さは共通なんだなと。

――なるほど。ところで、瀬尾さんがマジックを知ったきっかけは何ですか?

瀬尾:大学のテーブルトークRPGサークルでマジックがはやって、カードをもらって始めたんですけど、最初は《スクリブ・スプライト》に《血の渇き》を撃って殴るステロイドデッキを使ってました。たぶん『ウルザズ・サーガ』が出る前くらいだったと思います。で、情報源として『GAMEぎゃざ』誌を読んで、女友達と「この森雅也って人、カッコいいよね! DCIセンター(渋谷に存在した大規模デュエルスペース)に行くといるらしいよ! 見に行こう!」と言って、2人で初心者講習を受けに行ったんです。

――森雅也さんには会えましたか?

瀬尾:自販機前で寝てましたね(笑)。

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2000年のアジア選手権トップ8。右端が森雅也さん

――その後、どうしてマジックの仕事をするようになったんですか?

瀬尾:就職の際にマジックつながりでホビージャパンを受けてみたらたまたま受かって、『GAMEぎゃざ』編集部に配属されたんです。当時は読者コーナーをやったり、イベントの取材記事を書いたり、最後のほうだけですけど『デュエルファイター刃』の写植もしてましたね。昔は手描きの原稿にトレーシングペーパーを貼ってタチキリ線をひいたり、フキダシの中に写植を切り張りしたりしてたんですよ。

――時代を感じますね。

瀬尾:「マジック用語辞典」とか、関連本も作ってました。「マジック完全カード辞典」の作業が相当大変だったのは、今でも覚えてます。

――ああ、あの分厚くてカードテキストだけがずらっと並んでいる辞書っぽい本ですね。

瀬尾:カード1万枚とかあって作業量が膨大なんで、数千枚ずつ手分けしてやってたら、1人だけエクセルが変になって全部1行ずれちゃった人がいて、その間違いデータが混ざってしまったのをひたすら1枚ずつチェックしたりとか……。

――それは大変そうですね。今はどんな仕事をしているんですか?

瀬尾:今はマジック関連だと国内グランプリとかでカバレージ用の写真を撮らせてもらったり、『マナバーン』誌の編集をしたりしています。

――グランプリで、カメラを持ってフィーチャー席のあたりをうろうろしていますよね。

瀬尾:はい、主に対戦中の顔写真を撮っているんですが、プレイ中はみんな下を向いている時間が長いので、表情が見えるような写真を撮るのは、実はけっこう大変です。あと、会場が薄暗かったり、照明の色が青っぽかったりすると苦労します。フラッシュをちゃんと使いこなせればどうってことないんでしょうけど、基本独学のアマチュアなので。

――独学なんですか。

瀬尾:はい。昔のイベント取材はプロのカメラマンさんと一緒に行くシステムだったので、「このへんをこんな感じで撮っといてください」と指示を出すだけでよかったんですけど、途中から経費削減というか、デジカメが普及したこともあって自分で撮るようになって、本を読んで少しずつ覚えた感じです。

――なるほど。編集のほうではどんなことをしているんですか?

瀬尾:まず企画を考えて、「こんな内容をこれくらいの文字数で書いてください」というのをいろんな人に発注して、原稿ができたら見出しや写真やカード画像なんかを足してレイアウトを作って、デザイナーさんにページのデザインをしてもらって、印刷所に入稿して本の形にする、というのが編集の仕事です。全部1人でやってるわけではないんですけど。

――間をつないで調整するような仕事なんですね。

瀬尾:そうです。正直、今はWEBにタイムリーでいい記事がいっぱい載ってますから、タイムラグがあるうえお金を払って買わなくちゃならない本というのはすごく厳しいです。一覧性があるとか、形に残るという本のよさをどれだけ生かすかというのが、難しいところですね。でもずっと本に関わってきたので、本作りを続けていきたくはあります。

――そうですか。仕事で大変なのはどんな点ですか?

瀬尾:やっぱり体力面ですね。グランプリでは2日間朝から晩まで歩きまわるので、会場が広いとしんどいです。めちゃめちゃ脚も痛いし肩こりになります。編集も、ある意味持久力勝負みたいなところがありますし。

――逆に楽しいところは?

瀬尾:スポーツにしても音楽のライブにしてもそうですけど、選手やアーティストがステージ上にいるときの輝きと普段の顔のギャップってあるじゃないですか。フィーチャーテーブルのプレイヤーもそれと同じで、真剣な表情を間近に見られるのが好きですね。あとは、やっぱり記事に反響があると達成感があってうれしいです。

――それでは、今後ともよろしくお願いします。おつかれさまでした。

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