プロツアー「テーロス」プレビュー

更新日 Making Magic on 2013年 10月 10日

By Rich Hagon

Rich Hagon combines a deep knowledge of the players of the Pro Tour with a passionate love of the game. He's a regular commentator for Pro Tour and Grand Prix live video coverage, and is the official Pro Tour Statistician. He has been covering Magic events since 2006.

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 素晴らしいプロツアーを作るために、以下の材料をご用意ください。

本日のレシピ:プロツアー レシピ考案:リッチ・ハーゴン

  • プラチナ・レベルに君臨するプロ・プレイヤー……少々
  • 綺羅星のごときゴールド・レベル・プロの一団……ひとつ
  • 野心に燃えるシルバー・レベルのプレイヤー……適量
  • グランプリ優勝者、上位入賞者……数ダース
  • プロツアー予選通過者……たくさん
  • プロツアー「ドラゴンの迷路」Top25入賞者……25人
  • Magic Online Championship Series(MOCS)参加者……少々
  • Magic Onlineプロツアー予選通過者……適量
  • マジック・プロツアー殿堂顕彰者……少々
  • 2013年度マジック・プロツアー殿堂表彰式……ひとつ
  • 時間……3日間
  • 素晴らしい国にある最高の会場……ひとつ
  • リミテッドが行われる新エキスパンション……ひとつ
  • 新しいスタンダード環境……ひとつ
  • ブースター・ドラフト・ラウンド……6回戦
  • 構築ラウンド……10回戦
  • クライマックスを飾る、Top8ラウンド……5本勝負
  • 賞金総額……25万ドル
  • 現地にいなくても楽しめるビデオ/テキスト・カバレージ……画面を埋めつくすくらい
  • 現地にいる人が楽しめる素敵なこと……適量
  • プレイヤー・オブ・ザ・イヤー・レース……ひとつ
  • プロ・ポイント……たくさん
  • 優勝トロフィー……ひとつ
  • ヒミツの隠し味……ヒミツ

作り方:

材料を混ぜ合わせ、2日間じっくり煮込みます。全体が熱く沸き上がったら、できあがり。


 もちろん、実際にはここまで単純なものではありません。複数のプロツアーに参加できるチャンスをたっぷりと受けている私たちは、プロツアーのようなイベントがウィザーズ・オブ・ザ・コースト社にとってどれだけ大きな事業であるか忘れがちです。しかし、そこで何が行われているのか一度ご覧いただければ、事の重大さに気づかないことはまずないでしょう。

「なあ、450人を一堂に集めて、総額25万ドルを懸けてゲームで戦わせるってのはどうだろう」

「いいね! 1年間に何回もやるともっと良いんじゃないかな」

「それだ」

 え? いや、この通りの会話があったわけではありませんよ。ですが、間もなくやってくるダブリンでの3日間は、つまりそういうことなのです――新しい環境ふたつで行われる最高峰の戦いは、美しいトロフィーと4万ドルの賞金を携え、顔に満面の笑みをたたえて頂点に立つ最後のひとりが決まるまで続きます。それでは、先ほど挙げた「材料」をもっと詳しく見て、プロツアー「テーロス」をおいしく味付けするものを確かめていきましょう。

プラチナ・レベルに君臨するプロ・プレイヤー……少々

 各シーズンでまさにトップ・レベルの活躍を見せたプレイヤーには、「プラチナ・レベル」の称号が授与されます。それは名誉と功績のあかしであり、それだけでなく莫大な実利も伴っています。世界中どこからでも航空券が支給され、プロツアーやグランプリへの参加褒賞、宿泊提供、グランプリの不戦勝も得られます……それからMagic Onlineでも各シーズンのQualifier Pointを大盤振る舞いでもらえます。もちろん、ウィザーズ社はこれらの特典をどこへでもバラまくわけではありません。大変ですが、皆さんのゲーム仲間だけでなく、このゲーム全体の頂点へ登らなくてはいけないのです。

 現在のプラチナ・レベル筆頭は、2位につけたアメリカのトム・マーテル/Tom Martellを10ポイントも離して2012-2013年シーズンのプレイヤー・オブ・ザ・イヤーを勝ち取った、こちらもアメリカ出身、ジョシュ・アター=レイトン/Josh Utter-Leytonです。プラチナ・レベルのプレイヤー一覧を眺めていくと、今をときめく珠玉のプレイヤーたちを実感することでしょう。

2012-2013年シーズンのプレイヤー・オブ・ザ・イヤー、ジョシュ・アター=レイトン

 プラチナ・レベルには、以前のプレイヤー・オブ・ザ・イヤーもいます。2011年度のオーウェン・ツァーテンヴァルド/Owen Turtenwald、2009年、2012年度の渡辺雄也、そして日本人からもうひとり偉大なプレイヤーが――2008年度プレイヤー・オブ・ザ・イヤーの中村修平がいます。17人のプラチナ・レベルのうち実に半数――スタニスラフ・ツィフカ/Stanislav Cifka、ブライアン・キブラー/Brian Kibler、トム・マーテル、三原槙仁、ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargas、シャハール・シェンハー/Shahar Shenhar、ベン・スターク/Ben Stark、クレイグ・ウェスコー/Craig Wescoe――が、「プロツアー優勝」や「世界選手権優勝」という最高の銀器を暖炉の上に飾っています。残るブラジルのウィリー・エデル/Willy Edel、チェコのマーティン・ジュザ/Martin Juza、それからアメリカのリード・デューク/Reid Duke、デイヴィッド・オチョア/David Ochoa、エリック・フローリッヒ/Eric Froehlichも、グランプリ優勝やプロツアーTop8に代表される輝かしいキャリアを積み上げてきました。

ツァーテンヴァルド、渡辺、中村

 では、今まさにトップを走っているのは誰でしょうか? マジック・プレイヤーより「ポイント」の話をするのが好きな人というのは、ほとんどいません。そこでウィザーズ社は先週、上位25名をランク付けする新たなシステムを発表しました。まだご覧になっていない方は、この新しいランキングについて、そして現在のトップは誰なのかこちらでご確認いただけます(リンク先は英語、また、本日10月10日付けのランキングはこちらからご覧いただけます)。

 プレイヤー・オブ・ザ・イヤーに君臨する者が、大量のプロ・ポイントに導かれて得た頂点の座を守り切れるかどうか。これはダブリンで紡がれる新たな物語の見どころのひとつとなるでしょう。

綺羅星のごときゴールド・レベル・プロの一団……ひとつ

 2012-13年シーズンを万事完璧に過ごせたとは言えないかもしれませんが、プロ・プレイヤーズ・クラブ「ゴールド・レベル」の面々も豊富な経験を誇り、彼らの飾り棚にはトロフィーがいっぱいです。このグループを代表するのは、5人のチャンピオンです。2006年度プレイヤー・オブ・ザ・イヤー、八十岡翔太。プロツアー・名古屋2011優勝者、デイヴィッド・シャーフマン/David Sharfman。プロツアー「アヴァシンの帰還」を制した「奇跡」デッキで有名な、カナダのアレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayne。モダンが初めて採用されたプロツアー・フィラデルフィア2011の栄冠を母国イタリアへ持ち帰った豪気な男、サミュエル・エストラティ/Samuele Estratti。そして、超高速のデッキを操りプロツアー・アムステルダム2010を制した、ポール・リーツェル/Paul Rietzl。


(上段左から)八十岡、シャーフマン、ヘイン、(下段左から)エストラティ、リーツェル

 それから、マジック界のスーパースターの座へと続く扉を叩き続けているプレイヤーたちをご紹介しましょう。ルーカス・ヤクロフスキー/Lukas Jaklovskyは、ヨーロッパのマジック・シーンで長年にわたり尊敬を集めているプレイヤーです。メリッサ・デトラ/Melissa DeToraは、今年のはじめに行われた プロツアー「ギルド門侵犯」でTop8入賞を果たしました。その大会で惜しくも準優勝となったのが、ヨエル・ラーション/Joel Larssonです。2位という結果は悔しいものです――昨年のバルセロナでヘインに敗れたゴールド・レベル・プロ、ゴーデニス・ヴィドゥギリス/Gaudenis Vidugirisもきっと同じ思いでしょう。それから、アリ・ラックス/Ari Lax。彼は、プラチナ・レベル獲得のかかった昨シーズン最後の直接対決をルイス・スコット=ヴァーガスと戦い、敗れました。さらにこの面々に、世界有数の優れたデッキ・ビルダーたち――3人ほど例を挙げるなら、ジェリー・トンプソン/Gerry Thompson、サム・ブラック/Sam Black、コンリー・ウッズ/Conley Woods――が加わるのですから、日曜日に優勝賞金の4万ドルを受け取るのがゴールド・レベルのプロでも、何の不思議もないでしょう。

野心に燃えるシルバー・レベルのプレイヤー……適量

 ゲームが進み、次第に深みへ行くにつれて、野心というものはスゴイ力を発揮します。シルバー・レベルのプロは弾倉に最後の一発を残していて――放つことができれば、それは銀弾となって道を拓くことでしょう。シルバー・レベルのプロが開けられる2013-2014年シーズンのプロツアーの扉は、ひとつです。その一発がうまくいけば、すべてのプロツアーへの参加権を取り戻します。しかし失敗すれば、またプロツアー予選巡りの日々へ引き戻されるのです――それがどれほど厳しい戦いか、私たちは身にしみているはずです。シルバー・レベルのプレイヤー全員が、今回のダブリンで最後の一発を使うわけではありません。チャンスが一度きりなら、最高の状態で臨みたいのは当然です。そのため、シーズン後半へ向けて力を溜めておく選手もいるのです。

 それでも、今回にすべてを賭けるプレイヤーの中に、よく知られた顔が見られそうです。スウェーデンのケニー・オベルグ/Kenny Obergとイタリアのアレッサンドロ・ポルタロ/Alessandro PortaroのふたりはプロツアーTop8入賞の経験があり、齋藤友晴はプレイヤー・オブ・ザ・イヤー経験者です。アンドレアス・ガンツ/Andreas Ganz、ジョナス・ケストラー/Jonas Koestler、マイク・クラシンスキー/Mike Krasnitskiの3人は、ヨーロッパのグランプリで上位常連です。それから、イングランドのエドゥアルド・サーガリク/Eduardo Sajgalik、ポーランドのトメク・ペドラコウスキー/ Tomek Pedrakowski、そして台湾のファン・ハオシャン/Hao-Shan Huangといったプレイヤーもいます。これまで、彼らがプロツアーの舞台に現れるのは断続的でした。今、シーズン内のプロツアーを完走するチャンスが来たのです。

グランプリ優勝者、上位入賞者……数ダース

 プレイ技術とデッキ構築とスタミナを限界まで試せるよう企画された、グランプリ。これは世界中、日々刻々と変化する様々なフォーマットで行われていて、数え切れないほどのプレイヤーたちがしのぎを削ってきました。グランプリ・ストラスブール2013を完全に掌握したトーマス・イーネヴォルセン/Thomas Enevoldsenや、グランプリ・ピッツバーグ2013で再び表彰台に登ったブロック・パーカー/Brock Parker、自国開催となるグランプリ・北京2013で勝利を収めたチュエン・チョウ/Quan Zhou、マジックの歴史上最大の大会となったグランプリ・ラスベガス2013をものにしたニール・オリヴァー/Neal Oliverなど、最近のグランプリでの成功を引っさげて最高の舞台へ登りつめたプレイヤーは、全部で95人もいるのです。(編注:この項のリンク先はすべて英語です)

プロツアー予選通過者……たくさん

 ほとんどのプレイヤーにとって、プロツアーで戦うという夢を叶えるための近道は、各地域でのプロツアー予選に勝ち抜くことです。その「地域」が遠く離れていて、隣国の国境を越えてしまうことがあるかもしれません。それでも私たちはくる日もくる日も無数の予選会場を巡り歩き、パーティへの招待を意味する憧れの「青封筒」を求めて戦うのです。世界のどこであろうと、プロツアー予選の突破はその難しさゆえに途方もない偉業です。運だけでプロツアー予選を勝ち抜いた方はいませんし、私は予選通過者のリストに目を通すたび、最後のひとりになるまで戦わなければいけなかったプレイヤーたちを思い、口惜しい気持ちになります。かつてのプロツアー・サンディエゴ2007(リンク先は英語)優勝者、ジェイコブ・ヴァン・ルーネン/Jacob Van Lunenを突破できなかった方もいました。世界選手権2007でチームを優勝へ導いたニコ・ボーニー/Nico Bohnyに、最後の最後で歩みを止められた方もいました。戦いの中で、オーストリアのプラチナ・レベル経験者、トーマス・ホルツィンガー/Thomas Holzingerと当たってしまった方もいました――そのプロツアー予選はイタリアで行われていたのです!

 今回のプロツアー「テーロス」の予選を通過したビッグ・ネームは、他にもいます。クロアチアの代表チームに長年選ばれ続けている、トニ・ポルトラン/Toni Portolan。チームでの世界選手権優勝経験を持つ、ロバート・ユルコビッチ/Robert Jurkovic。ドイツ選手権王者、ベルント・ブレーデミュール/Bernd Bredemuhl。ルーキー・オブ・ザ・イヤー経験者、マシアス・ハント/Matthias Hunt。そして、プロツアー・ヴェニス2003優勝者、オシップ・レベドヴィッツ/Osyp Lebedowicz。しかしプロツアー予選通過者がずらりと並んだ中でも、一番楽しみなのはフランスのギョーム・ワフォ=タパ/Guillaume Wafo-Tapaで間違いないでしょう。このプロツアー・横浜2007のチャンピオンは、コントロール・デッキの達人です。彼がダブリンの地でどのようにその力を解放するのか、私もそれを目にするのが待ちきれません。

プロツアー「ドラゴンの迷路」Top25入賞者……25人

 前回のプロツアーで、この25人は肉薄した争いを繰り広げました。皆さんのご期待通り、プロツアー「ドラゴンの迷路」のTop25入賞者は、その多くがこの上なく有名なプレイヤーたちです。その一方で、他に予選を受ける余裕がなかったり万全の準備ができなかったり、というプレイヤーもこの方法でプロツアー「テーロス」へ参戦しています。ヨーロッパのカバレージ・メンバーであり、プロツアー・ベルリン2008(リンク先は英語)に続く再度のプロツアーTop8を狙うマテイ・ザトルカイ/Matej Zatlkajを擁するグループ。世界選手権2007王者、ユーリ・ペレグ/Uri Peleg。そして、プロツアー「ドラゴンの迷路」にて素晴らしいストーリーで一躍注目を集めた、ロブ・カステリョン/Rob Castellon。普段ジャッジを務めているカスティリョンは、元々参加の予定がなかったプロツアー予選を突破しているのです。その予選はすでにジャッジの枠が埋まっていて、そのため彼はジャッジのシャツを脱ぎ、戦いの席に座りました。その後はご存知の通り、彼はサンディエゴでTop8入賞を果たしたのです

Magic Online Championship Series(MOCS)参加者……少々

 マウスをカードに持ち替えて、そこでの成功も求める者たち――いわゆる「MOCS組」の中にも、極めて高い技術を持ったプレイヤーがいます。ロシア出身のMOCSチャンピオン、ドミトリー・ブタコフ/Dmitriy Butakovやカナダのデイヴィッド・キャプラン/David Caplan、グランプリ・ポートランド2013優勝者、サム・パーディー/Sam Pardee、エストニアのハンネス・ケレム/Hannes Kerem、それからグランプリ・カンザスシティ2013を勝ち抜いたセス・マンフィールド/Seth Manfieldといった面々にご注目ください。(編注:この項のリンク先はすべて英語です)

Magic Onlineプロツアー予選通過者……適量

 Magic Onlineプロツアー予選に挑戦した方なら、それがどれだけ厳しいものかご存知でしょう。何百という参加者がみな、永遠に続くかとまで思える強敵につぐ強敵との戦いの中で生まれるちょっとした隙を、貪欲に攻撃しあう環境なのです。このある意味特殊とも言える環境から抜け出して来るならば、それが誰であれ尊敬に値するでしょう。最後に注目を集めるのは、ひとりなのです。複数のグランプリTop8経験を持つ山本賢太郎は、プロツアー・サンディエゴ2007の決勝でジェイコブ・ヴァン・ルーネンのチームが繰り出すスリヴァーたちを前に屈した際、放送に映し出されたのは約7分間でした(リンク先は英語)。果たして、今回再び山本とヴァン・ルーネンの決勝を観ることができるでしょうか?

プロツアー・サンディエゴ2007 決勝戦

マジック・プロツアー殿堂顕彰者……少々

『フォレスト・ガンプ/一期一会』の「チョコレートの箱」のように、殿堂顕彰者の中から何が――この場合は誰が、ですね――現れるかは、開けてみるまで分かりません。パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosaは、振るわなかった昨シーズンから再び軌道を戻すことでしょう。歴代最高の呼び声高いプレイヤーを3人――カイ・ブッディ/Kai Budde、ジョン・フィンケル/Jon Finkel、ガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassif、3人とも殿堂顕彰者です(挙げた順番は、名字をアルファベット順に並べただけですよ!)――擁するチーム「StarCityGames」は、とてつもない力を誇っています。もちろん、歴代最高を「ひとり」決めるなら、激しい議論が巻き起こることでしょう。今回のダブリンで、また新たに素晴らしい成績を持つ3人が殿堂にその名を刻みます……

2013年度マジック・プロツアー殿堂表彰式……ひとつ

 ウィリアム・ジェンセン/William Jensen。

 ベン・スターク。

 ルイス・スコット=ヴァーガス。

ジェンセン、スターク、LSV

 彼らを支持する声が雪崩のごとく押し寄せ、殿堂入りが確実となった3人の卓越したプレイヤーたち。ダブリンでの結果がどうあれ、彼らの家族や友人、同じく世界最高のプレイヤーである仲間たち、そして何万という世界中のマジック・ファンの目の前で行われる式典は、間違いなく挙行されます。今年は、新たに殿堂顕彰者のリングを身につけたプレイヤーが、日曜日にプロツアー・タイトルを獲得する年になるかもしれませんよ。

時間……3日間

 日曜日といえば、プロツアーは3日間にわたって行われます――こんなに大きなマジックのイベントの日程を、これ以上絞ることなんてできません! 目覚まし時計をセットして、予定をキャンセルする言い訳を準備したら、10月11-13日は無料で観戦できるマジック最高峰の戦いを邪魔するもののない3日間にしましょう。

素晴らしい国にある最高の会場……ひとつ

 各プロツアーにはそれぞれ特別な魅力があります。しかし、今週のダブリンへの旅は本当に多くのプレイヤーが楽しみにしていて、これほどの期待の声を聞いたのは久しぶりのことです。驚くことではありません――ダブリンは素晴らしい街で、とりわけ現地の人々の歓迎ムードが大きいのです。今年アムステルダムで行われたワールド・マジック・カップ2013の期間中にアイルランド代表を見た皆さんなら、私の言っていることが分かるでしょう。ダブリンへの滞在は、本当に良い時間になると思いますよ。

ダブリンの美しい景色。リフィー川より。(写真提供:ボニー・ブルーウンダーマン/Bonnie Bruenderman)

リミテッドが行われる新エキスパンション……ひとつ

 皆さんはもう、『テーロス』で遊ぶ機会は持てたことでしょう。今度は、プロプレイヤーたちがこのセットを舞台に踊るのを見る番です。新たに発見され、話題になる戦略、ドラフト・アーキタイプ、コンボ。神々、怪物、英雄、授与、信心、英雄的、怪物化……『テーロス』はあらゆる要素の詰まった大型セットであり、プレイヤーたちがリミテッド環境での強さを見せる好機は十分にあります。(カードの《好機》はありませんよ)。

新しいスタンダード環境……ひとつ

 今回のプロツアーの構築フォーマットにスタンダードが採用されたことは、決して偶然ではありません。前環境からローテーションが起きたばかりの2013年10月のスタンダードはカード・プールが狭く、つまり、『テーロス』で登場した極めて優秀なカードたちがその仕事をこなし、今後の2年間を印象づける場となるのです。私たちの多くが思いもよらないようなカードの活用法を見出してやろう、と心に決めているプレイヤーもいるでしょう。では、その前にスタンダード環境に影響を与えそうなカードをちょっと予想してみましょう。

 良質な除去呪文はどうでしょうか?《稲妻の一撃》、《英雄の破滅》、《異端の輝き》、《マグマの噴流》、それから《古代への衰退》や《破壊的な享楽》、《峰の噴火》といったこの環境ならではのカードもあります。スタンダード初期は赤単が活躍するので、《パーフォロスの槌》や《火飲みのサテュロス》、《モーギスの狂信者》のようなカードにも期待できますね。しかし赤いカードはそれだけに留まりません。《嵐の息吹のドラゴン》や《燃えさし呑み》といった恐ろしい怪物たちも、活躍の機会を待ちわびています。この2枚は日曜日に大きく取り挙げられるかもしれません。それから、マナを素早く安定させるのは常に良いことで、 新たな「神殿」サイクルと《森の女人像》は《世界を喰らう者、ポルクラノス》をいち早く繰り出すのに大きく役立つでしょう。もちろん、コントロール使いたちが取り残された気持ちになることもありませんよ。《解消》という新たな打ち消し呪文がありますし、《悪夢の織り手、アショク》と《太陽の勇者、エルズペス》という、堅実なエスパー・コントロール・デッキに入りそうな新たなプレインズウォーカーも2枚あります。

 皆さんがどのように切り込んでいくにしても、新スタンダードはスゴイものになるでしょう。

ブースター・ドラフト・ラウンド……6回戦

 金曜日と土曜日の朝(日本時間で夕刻)、私たちは『テーロス』ブースター・ドラフト3回戦から中継を始めます。プレイヤーのピックは生放送でご覧いただき、ウェブサイトのドラフト・ビューワーで卓のすべての情報をご確認いただけます。ラウンド数が多いのは構築ラウンドの方ですが、少なくとも2回のドラフトで3-3以上の成績を残さなければ、日曜日のTop8ラウンドへ進出するのはほぼ不可能です。金曜日のどの卓でも、3連敗を喫して崖っぷちに立たされるプレイヤーがいるということを、忘れてはいけません……


構築ラウンド……10回戦

 11回戦を終えた時点では、まだリミテッドの方が大きな影響を持っています。しかし、最後の決め手となるのはスタンダード構築なのです。最後の5ラウンドは、1回戦ごとにTop8を賭けた戦いが少なくなっていき、無念の思いが小さく刻まれていきます。個人的には、第15回戦ほど白熱する試合はないと思っています。そこでは、ほぼすべての試合が本当に重要な一戦となるのです。

クライマックスを飾る、Top8ラウンド……5本勝負

 激闘の後に残るのは、わずか8人のみです。テーロスの巫女が、「ものごとは繰り返される。これまでも、そしてこれからも」とかそういった不吉な前兆を語っている頃かもしれません。何はともあれ、3日目の日曜日は、5本勝負に切り替わります。試合はスタンダードで行われるため、サイドボードがより重要になってきます。果たして、大きな話題を呼んだ《思考囲い》が選ばれし1マナ呪文となるのでしょうか? それとも見た目には地味な《鋤引きの雄牛》がプロツアー・トップ8を制圧するのでしょうか?

賞金総額……25万ドル

 私たちのほとんどが、25万ドルという大金を持っていません。そしてそれこそ、私たちのほとんどが決してプロツアーを開催することがない理由のひとつです。ちょっと足を止めて、ウィザーズ社の人たちに「ありがとう」と口にするのも悪くないでしょう。ウィザーズ社も、マジックというゲームで遊んでくれてありがとう、と私たちに伝えているのです。

現地にいなくても楽しめるビデオ/テキスト・カバレージ……画面を埋めつくすくらい

 ええ、そうですとも。楽しんでいただけます。ブライアン・デヴィッド=マーシャル/Brian David-Marshall、ラシャド・ミラー/Rashad Miller、ザック・ヒル/Zac Hill、ティム・ウィロビー/Tim Willoughby、マーシャル・サトクリフ/Marshall Sutcliffe、そして私リッチ・ハーゴン/Rich Hagonが一丸となって、大会中すべての動きをお伝えします。19ラウンドにわたる生放送に加えて、「Inside R&D(開発部内部)」、「Video Deck Tech(デッキ・テク)」、ドラフト・ビューワー、思わず目移りするほどの量のテキスト・カバレージ、インタビュー記事、写真……皆さんが現地にいなくても、私たちにお任せください。皆さんが放送に備えてそれぞれの機器の前にいなければいけない時間は、以下の通りです。

(以下は、英語放送の放送予定です。日本語で行われる「ニコニコ生放送」につきましては、こちらの記事をご参照ください。)

都市金曜日土曜日日曜日
ダブリン午前9時午前9時午前11時
ロサンゼルス午前1時午前1時午前3時
シカゴ午前3時午前3時午前5時
ニューヨーク午前4時午前4時午前6時
リオ・デ・ジャネイロ午前5時午前5時午前7時
ロンドン午前9時午前9時午前11時
パリ午前10時午前10時正午
ベルリン午前10時午前10時正午
モスクワ正午正午午後2時
東京午後5時午後5時午後7時
シドニー午後7時午後7時午後9時

(その他、世界中の各地域での放送開始時間は こちらでご確認いただけます。)

現地にいる人が楽しめる素敵なこと……適量

 ダブリンに行ける範囲にお住まいのマジック・ファンの皆さんに朗報です! 今回のプロツアーは、皆さんにも公開されるのです! 金曜日と土曜日は午前8時から午後8時まで、日曜日は午前8時から午後6時まで、皆さんは会場で大会を観戦することができます。ビューイング・エリアにはフラット・スクリーンのテレビが用意され、またお気に入りのプレイヤーを直接ご覧いただけます。ぜひ会場に足を運んで、カードやプレイマットにサインをもらい、プロツアー会場の持つただならぬ雰囲気を体感してみてください。観戦者の皆さんには基本的に参加できるイベントはなく、カードのトレードもできません。しかし地元アイルランドのマジック・コミュニティがイベントの開催を計画していて、またプロツアーの模様は、会場にほど近いメリオン・ロード沿いの「Crowe's Public House」でも放送される予定です。詳しくは、www.gaelcon.com/magicprotour(リンク先は英語)をご覧ください。

プレイヤー・オブ・ザ・イヤー・レース……ひとつ

 2013-14年シーズンのプレイヤー・オブ・ザ・イヤーの決定にはまだ1年ありますが、それでプロツアー「テーロス」の重要性に傷がつくことは一切ありません。今週末が終わる頃には、私たちはシャハール・シェンハーが世界選手権2013優勝の勢いそのままにリードを取るのか、それとも新たなプレイヤーがその前を行くのか、知ることになるでしょう。

プロ・ポイント……数百

 スポットライトが上位のプレイヤーに移った後も、他のプレイヤーたちは土曜日の最終戦まで戦い続けることになります。その戦いは、彼らの今後に関わる貴重なプロ・ポイントを懸けたものです。その1点が、プラチナ・レベルになってマジックのプロとして戦い続けるか、それとも「現実」へ帰るかを分かちます。どうか肝に銘じてください――1点を笑う者は1点に泣くのです。

優勝トロフィー……ひとつ

 ああ、あれね。スーツケースに詰めて持って帰ったっけ。

ヒミツの隠し味……

 そして仕上げに、全体を引き締めるヒミツの隠し味を加えましょう。

 それは、あなたです。

 また週末、生放送で、あるいは会場でお会いしましょう。毎度のことですが、この素晴らしいゲームの一部でいられることに感謝を。お送りしましたのは、リッチ・ハーゴンでした。それではまた!


(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV Yusuke Yoshikawa)


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