プロツアー『神々の軍勢』編・モダンの研究と罠

更新日 Making Magic on 2014年 3月 19日

By 中村 修平

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テーブルの向こうは霧の中

 前半のドラフトラウンド、キブラーとの全勝対決に敗れて、通算スコアを2勝1敗とした時の私の心理状態を言い表すと、

「これから構築ラウンドで2勝もしなくては2日目に行けないのか」

 でした。

 たったの2勝。5戦あるので2勝3敗で良いのです。
 プレミアイベントにおいて入賞ラインは勝率7割弱あたりから。
 目指すべきトップ8ラインでは実に8割弱が求められるというのに、わずか4割の勝率にすら自信が無いとはどういう状態なのか。

 デッキやプレイングについて自信がない。
 たしかにこのデッキを使用すると決めたのはトーナメントが始まる前日の夜になってから。
 もちろんチャネル内でも後ろから数えた方が断然早いですし、そこまで引っ張った理由というのも「このデッキについてあまり良い印象がなかったから」とすれば、答えとしては、かなりもっともらしいでしょうね。

 ですが本当のところはちょっと違います。

 では5戦もあって、たった2勝すら自信がない状態とは何か。

 それは「解らないから」がより近いでしょうね。

 目の前に座る対戦相手がどのようなデッキを使ってくるのか解らない。
 対戦すべきデッキが解らないということは、対戦相手より少しでも上回ればそれで勝ちとなるこのゲームにおいて致命的です。
 実はデッキを持ち込んだ基準やプレイングの指標が誤っていて、もっとシビアに選択しなければならないものだとしたならば、私の戦前の考えなぞ何の役にも立たない。

 4ターン目に確実に勝てるデッキがあったとしても、対戦相手が3ターンで決めてくるのなら全敗デッキなのです。

 ましてや、ほとんどの対戦相手が5ターン目にゲームを決めてくると戦前に思っていたとあれば…それが現実になりそうで自信がなかったのです。

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そして3時間後

 構築ラウンドを3戦経過して、全く良いところがなく3連敗。

 ストーム、青緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》、赤タッチ黒バーンデッキ。

 3戦とも予想より早いデッキであることに加えて、自分自身との勝負にも負けっぱなし。土地を伸ばして撃つものを撃てば勝つデッキなのに、肝心の撃つものが手札に来ないか、来すぎてそもそも土地を伸ばせないというゲームの繰り返しなのです。

 それはこのデッキ、赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を使うと決めた時から薄々と感じていましたし、結果としてもそうなってしまうでしょう。

 それを話していくためには、時間を1週間ほど巻き戻す必要があります。

仲間たち

(この節の写真 過去のイベントカバレージより)

 2月14日、プロツアーのちょうど1週間前。

 いつものようにルイス・スコット=バルガスと愉快な仲間たちによるチャネルファイアーボール・プロツアー直前合宿に参加するために、一足早くバレンシアへと飛ぶ私と津村健志。

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 その日の午後から東京では大雪によって成田発着の便がほとんど欠航となってしまい、すんでのところで日本を脱出できた自分たちの幸運について祝っていたところでした。

 今回の合宿は、直前のグランプリがパリ開催でレガシー、そしてほとんどのメンバーがアメリカ在住ということもあって、情報交換はしつつ、有志のメンバーはチェコあるいはアメリカに集まっていたはものの、全員集合しての合宿は間隔が短めの1週間前に現地で開始ということになったのです。

 メンバーは以下の14人と私。

ルイス・スコット・バルガス

 ご存知、リーダーにして殿堂。プラチナ・レベル・プロ。
 独自に、延々と青白赤系デッキのバリエーションを試していたようです。

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ブライアン・キブラー

 業界の御意見番にしてやはり殿堂。プラチナプロ。
 調整していたデッキは言わずもがなの例の猫デッキ、Zoo。
 もう1つのお気に入りである《聖遺の騎士》を組み合わせた重いタイプをマジックオンラインで調整してきての参加。

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ベン・レンドキスト/Ben Lundquist

 3〜4年前までよく見た当時の若手アメリカプレイヤー、キブラーの推薦によるゲスト参加です。
 同じ職場で今回は久しぶりにプロツアー予選を抜けたから招聘してみたとのこと。
 お気に入りは親和。

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パット・コックス

 前回ダブリンからのレギュラーメンバー。ゴールドプロ。
 ツイッターのアカウントが「わいるですと・なかてぃる」であるようにこの人も生粋の猫マニア。
 キブラーとは反対に軽いタイプのZooを調整。

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ジョシュ・アッター=レイトン

 プラチナ、というか前期のプレイヤーオブザイヤーにしてチャネルの頭脳。
 最近はキブラーの作っているゲームのオンライン部門で、プログラミングかつランカーとして君臨してるらしいです。
 緑青白でかなりシンプルな形の《出産の殻》デッキを掲示板には投稿していました。

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ディビット・オチョア

 通称「ウェブ」。プラチナプロ、チャネルのカード管理人にして食の求道者。
 普段の生活が謎に包まれていてチャネル内で最も仙人に近い男。
 最近はプロツアー後に1週間ほど延泊して、近くのビール醸造所巡りをしているみたい。

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エリック・フローリッシュ

 通称「イーフロウ」。プラチナプロ。
 ポーカーセレブにして洗練されたネガティブツッコミを入れてくる、チャネル内でのムードメーカー。

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ブロック・パーカー

 ゴールドプロ。
 イーフロウの紹介によるゲスト/レギュラーの中間みたいな立ち位置。
 ポーカー界での最高峰トーナメント「WSOP」優勝者の証であるブレスレットを複数持っている凄い人。

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マーティン・ジュザ

 プラチナプロ。
 直前合宿まではチェコで家を借りてシフカ、ジャコブスキー、ザトカイやシャハーラ、カースティン、パウロたちと独自に調整してきた模様。
 何やら秘策デッキがあるらしいです。

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シャハーラ・シェンハー

 プラチナプロ、現世界王者。
 まだ未成年。アメリカ育ちではあるものの両親がイスラエルに移住したので今はイスラエル在住。チェコの事前調整に参加。

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フランク・カースティン

 オランダの殿堂プレイヤー、大学院での博士課程を終了し晴れてマジック復帰。

 ダブリン(プロツアー『テーロス』)からレギュラーメンバーとして、チャネル内でも統計からデッキの提案、マッチアップのデーターベース化、懐かしい「カースティンの全カードドラフトピック順リスト」などと欠かせない存在になっています。

 チェコでの調整からいったんオランダに戻って、合流を果たす予定だったのですが…

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パウロ・ヴィター・ダモ・デ・ロサ

 ブラジルの殿堂プレイヤー。
 チェコでの直前練習から単身、レガシーのグランプリ・パリに参加するため別行動。
 そこでトップ8入賞を果たして、返す刀で合宿に合流。

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ベン・スターク

 プラチナプロ、殿堂、プロツアー前の時点で世界ランク1位。
 リミテッドと言えば「まず俺」、のあの人。
 モダンでは《風景の変容》デッキマニアで、今回も何か考えがあるようです。

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津村 健志

 そして津村。
 大学在学中はプロマジックはしないと言っていた津村が、卒業を機に帰ってきました。
 これから先のことはともかく、今回はチャネルのゲストとしてこの愉快な仲間達に加わることになりました。

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小手調べ

 まずは小手調べとばかりにチェコ調整組が持ってきたのは、DailyMTGのコラムでも紹介されて話題になった《精力の護符》デッキ。

(サンプルデッキ)Matthias Hunt

Download Arena Decklist
精力の護符
シミックの成長室

 《精力の護符》によってアンタップ状態で戦場に出る旧ラヴニカのバウンス土地と「土地を追加でプレイできる」セットの組み合わせで一気にマナ差を広げて、《原始のタイタン》や《集団意識》+《召喚士の契約》での契約死を狙うデッキです。

 しかし、ジュザがデザインしたというバージョンはそこから《集団意識》を取り除いて、《原始のタイタン》での勝ちのみを狙うというもの。

 しかしやってみた感触としては、土地の置き方1つで勝てなくなってしまうほど繊細なわりに、タイタンを出してもゲームが決まるというわけでもなく、《流刑への道》を複数枚構えられているとタイタンを出しても全く勝てないという、欠陥だらけな結果でもれなく廃案に。
 元のバージョンの方が強いけどそれでもあまり使いたくないよね。ということを確認してこの日の前半は終了。

 あまりにジュザが推してくるので慌てて持ってきているカードの確認をしたのがすぐ無駄に、まあほとんどそれ系のパーツを持ってきていなかったので、手配せずに済んだと思ったほうが良かったのかもしれません。
 気がつけば驚くくらい高くなっているカードが多いですしね。

 恐らく使用率で上位にいるであろうZoo、親和、殻、青白赤系デッキ…
 初日ということもあって、各々が調整してきたデッキを一通り回す作業にドラフト練習を織り交ぜるというコース、そしてみんなでのディナーで1日目は終了です。

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 そんな、いつもの光景で始まったチャネル合宿・イン・バレンシア。

 ここで今回の種目となるモダンという環境について少しおさらいしてみましょう。

モダン環境/前夜

 モダンというのはとにかくカードの幅が広いフォーマットです。

 このデッキにはこのカード、と使える水準のカードがある程度は決まっているとはいえ、目指す方向性によってできる選択の種類はスタンダードとは桁が違います。
 《野生のナカティル》が解禁されたことによって作られるデッキだとしても、1マナ圏を何枚にするか、どの種類にするか、色を何色にするか、除去に何を使うか、重いカードをどれくらいに増やすかなどなど、指の数ではとても収まらないくらいのバージョンが作れます。

野生のナカティル

 それにしても流石は《野生のナカティル》です。

 環境の基本値として、1ターン目から3/3が出てくるという前提が復活したことで、それより遅く2マナ2/2相当しか出せない、例えばマーフォークデッキのようなかつての基準デッキはほとんど使い物にならなくなってしまいました。
 《紅蓮地獄》を除去として考えているデッキについても以下同文。

 直前のグランプリで活躍したデッキからこれらの影響が出るデッキを抜き取った上で、《死儀礼のシャーマン》の禁止によってこれまで支配的だったジャンドデッキは後退を余儀なくされ、禁止解除によってそもそも存在が許されなかったかつての強力デッキ、Zooとフェアリーに可能性を感じる。

死儀礼のシャーマン
苦花

 というところまでが改定直後でした。

 そして実際に試してみるとやはり1ターン目《野生のナカティル》は強くて、そして思いの外フェアリーが弱い。

 ここまでが実際に改定後にテストプレイを始めた時の感想でしょうか。
 フェアリーは全くと言ってよいほど勝てないデッキということが判明して、そこから何とかならないかと模索してみるものの、速度重視のZooはおろか、重いZooに対しても相性が悪く、現状でデッキではないというレベル。

 まずはZooが多くいるものと考えて、それに勝てるようにメインボードから使える《台所の嫌がらせ屋》のようなライフ回復手段を多めに入れたデッキか、お手軽簡単に除去を連打できる《稲妻》を《瞬唱の魔道士》で使いまわすようなデッキが環境の中心になるだろうというのが初期のメタゲーム予想。
ここからどこまで考えを積み上げていくかというのがスタートライン。

 ここにもう1つ、モダンというフォーマットを考える軸となるものがあります。

フェアデッキ/アンフェアデッキ

 モダンのカードバリエーションの広さというのは、カードの深さでもあります。

 かつての一世を風靡したコンボデッキが、違うセットからの新カードの追加でさらに凶悪になって復活。というのはモダンでは本当によくある話で、環境が始まって以来、その手のあまりに強すぎるカードは禁止にしてなんとか環境のバランスを取っているフォーマットでもあります。

 ですが、この「強すぎるカード」というのはかなり大雑把な表現ですよね。

 基準として、開発部が表明しているのは確実に3ターンでゲームが終わってしまうのは駄目だということらしいのですが、ではどれくらいの頻度でもって3ターン目に「確実」と言えるかについてはやはり曖昧で、環境には「やろうと思えば3ターン目に人を殺せる可能性があるデッキ」というものに溢れかえっています。
 もちろん、それらのデッキが生存を許されているのは何かしらの弱点があるからですが。

 これらの「まっとうな方法以外でゲームを勝ちに行こうと考えているデッキ」を総称して、チャネル内では「アンフェアデッキ」と呼んでいました。

 この「アンフェアデッキ」という呼び方。
 初めこそ違和感がありましたが、慣れるにつれ的確な表現だと思います。
 こうしたデッキの存在が、良くも悪くもモダンの環境を決定付けています。

 Zoo、フェアリー、ジャンド、青白赤系デッキといったものを「フェアデッキ/フェアサイド」として、基本的には個々のカードパワーでの積み重ねで勝とうとするデッキとは一線を画す存在を、全部ひっくるめて「アンフェアデッキ/アンフェアサイド」。

 例えば《欠片の双子》デッキは完全にアンフェアサイド。
 というより環境に存在するだいたいのコンボデッキはアンフェアデッキですね。

 しかし《出産の殻》デッキはフェアサイド。
 デッキの基本戦略としては通常のクリーチャー展開で勝とうとしていて、即死コンボによる瞬殺はオマケ部分だからです。

欠片の双子
出産の殻

 そしてこれまた意外と思われるかもしれませんが、親和はアンフェアサイドです。
 これは同じくアンフェアデッキである感染デッキのことを考えてもらえればすんなり理解できるかもしれません。
 ゲームの大半をまっとうな勝ち方で目指している殻デッキとは対照的に、親和や感染デッキはまっとうなクリーチャーの展開、いえまっとうなマジックをして勝とうとは考えていません。
 あくまで即死コンボのパーツとしてクリーチャーを使っているデッキ、という表現の方が正しい。

電結の荒廃者
頭蓋囲い

 こうやってプロツアーという舞台でモダン環境をデベロップしている側からすればそういう意見なのです。

 本番に挑むにあたって私が念頭に置いていたのは、
「まずアンフェアデッキ、それが駄目ならアンフェアデッキに対して勝負ができるフェアデッキを使う」
 でした。

 あ、あと付け加えるなら「Zooは使わない」もありましたね。
 これは最後に《野生のナカティル》が使えた大会、2011年の世界選手権でZooが弱いデッキであるという判断を下したことに自信を持っているからです。
 当時弱いと考えていたデッキが、革新的な追加カードも増やしていないのに強くなっているわけはないでしょう。

アンフェアは廻る。されど進まず

 Zooについて少し先走ってしまいました。
 ではなぜアンフェアデッキを使いたいかは?

 それはもちろん、アンフェアデッキの方がフェアデッキより強いからです。
 そもそも何故禁止カード改定に3ターンという基準があるのかというと、フェアな方法では3ターン目にプレイヤーが死ぬことがほとんど起こりえないからです。

 可能性は0とは言いません。先手1ターン目に《ステップのオオヤマネコ》、2ターン目にオオヤマネコ×2、その間全ての土地をフェッチランド経由にしつつ、3ターン目には5点の《部族の炎》で、妨害が無ければ一応は21点ダメージを入れることができますし、相手がうっかり《神聖なる泉》をアンタップで置いてくれた上で、3ターン目まで《稲妻》系の3点火力を6枚叩きつければやはり3ターンキルは可能です。
 ですがそんな廻りをすることがほとんどないというのはお解りいただけますよね?

 ところがアンフェアデッキではそれが起こり得る。なので禁止にされる。
 ですが先ほど触れたような、3ターンと4ターンの境界線上にあるデッキ、場合によっては安定4ターンな上に妨害手段まで備えているデッキの存在が許されているのです。

 アンフェアデッキとはこういう言い方もできます。
 まともなマジックの方法では対処ができないデッキ。

 これを使わない理由はありません。
 と、するまではこれまた誰にでも言えるところですが、ここから先になると急にその意気が萎んでしまいます。

 なぜそんなデッキが許されているのか。
 それは先ほど触れた弱点、「やられたら負け」レベルの強力なサイドボードカードが環境に複数存在しているからです。

 親和がちょうど良い例ですね。
 第1ターンから対処されないほど一気にパーマネントを展開、その中に特定の本命カード、《電結の荒廃者》や《鋼の監視者》、《頭蓋囲い》を使って、おおよそ2ターンで20点オーバーのダメージか10個の毒カウンターを対戦相手に与える。
 それぞれ微妙に耐性が違う本命によって相手にどれかを絞らせない。
 というのが親和デッキの強みです。

 ですが《粉砕の嵐》さえ撃てれば、そんな悩みはありません。

粉砕の嵐

 手札に《稲妻》しかなくて《電結の荒廃者》を対処しようとしたら逆に死んでしまうことも、除去は潤沢でも《刻まれた勇者》と《頭蓋囲い》が対処できず負けてしまうことも概ねカバー。
 適当に除去でライフを守り、4ターン目を迎えることができればだいたいゲームの終わりです。
 親和なら、そうですね、《粉砕の嵐》のような本命が3枚に、追加の軽い単体アーティファクト破壊を3枚ほど仕込んでやればサイドボード後の勝率というのは劇的な差がついてしまいます。

 《大祖始の遺産》、《石のような静寂》、《法の定め》、《外科的摘出》、《血染めの月》…

 墓地、軽量アーティファクト、続唱、ストーム、無限循環、多種多様なアンフェアデッキがあれど、これらの多種多様なアンチ・アンフェアカードがサイド後の戦いを劇的なまでに改善してしまうのです。

 結論から言ってしまうと、
 今回のチャネルはこのサイドボード後の困難を越えることができない、としました。

 いや、乗り越えることを放棄してしまったのです。

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ビッグチーム、ゆえの弊害

 デッキの調整というものは、基本的にはプレイヤー数が多い方が有利です。

 それはデータを取る時に単純に多いほうが集積がしやすいですし、確率的な要素がかなり強い個人のひらめきも、多人数でいればいるほどそれが共有されやすいという利点もあります。

 ですがアンフェアデッキのような明確に、しかもほとんど修正不可能なような弱点がある場合、意見がすり合わされてしまって、
「たしかにメインは勝てるだろうけど、サイド後○○されたらどうするの?」
 と悪い方向に作用してしまうのです。

 最終的には、馬鹿になって突っ込んで行く方が活路があるのは、言っている本人も、言われている本人も理解しています。

 今回のような多種多様なアンフェアデッキの海のような状態では、全方位戦略は決して取れません。

 親和に6枚サイドボードをすればどんなデッキでも親和に有利がつく。
 逆に言えば、親和なんていう狭いデッキに対して6枚ものサイドボードを取ってくる相手がいるのであれば、それ以外のアンフェアデッキに対して確実にガードが下がっているはずであり、他のアンフェアデッキを見ているなら親和へのガードが下がるはずである。

 実際にフランク・カースティンやベンなどは、アンフェアデッキである《グリセルブランド》+《御霊の復讐》シュートを諦めて親和を使うという選択をしました。
 アンフェアから違うアンフェアへ、です。

 そして私はというと。
「自分のデッキに対してサイドボードを取っていない対戦相手を引き続ける」という確率論的ギャンブルを嫌った結果として、残されたのは時間切れという結末。

 焦点を絞りきれず、納得のいく形に組み上げられなかったフェアデッキの青白赤。
 アンフェアデッキに勝てるとは思えないキブラーのZoo。
 そして確信が持てないアンフェアデッキ、赤緑《風景の変容》。

(サンプルデッキ)Eric Froehlich

Download Arena Decklist
風景の変容
溶鉄の尖峰、ヴァラクート

 確かに妨害ありでも4ターン目にゲームに勝つことが可能ではあるが、勝ちきれるだけのポテンシャルがあるようには思えない、ではなく解らない。
 そもそも想定しているメタゲームについてそれが正しいものであるのかどうかが解らないので、最速で4ターン、通常ではもう少しゆっくりとした速度のこのデッキは果たして選択して良いのだろうか。
 それでもこの中から選択するとしたら最も良いと思えたのが、赤緑《風景の変容》だったのです。

そして結果は

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 結果は構築ラウンド4勝5敗1分け。
 後が無くなった3連敗からほとんど執念での2連勝で4勝4敗で初日通過。
 2日目のドラフトは2勝1敗、そこから2連勝してあと3戦中1勝1敗1分け以上ならプロポイント、というところからの、しかも親和相手に対戦相手のミスで1本目を取ったところからの2本目、3本目を取られて負け。
 特に3本目に至ってはこの土地だらけのデッキで土地無しダブルマリガンをさせられた上で、《メムナイト》《メムナイト》《羽ばたき飛行機械》《墨蛾の生息地》《オパールのモックス》《鋼の監視者》、次のターンに土地からの《頭蓋囲い》という廻りに完敗。

 いろんな意味で完全に心を叩き折られた試合で、次の試合も負けて追加プロポイントの目が無くなったところで、マッチングされたのがルイス。お互い肩を落としての引き分け選択と、チームとしても個人としても完敗と言わざるを得ない内容でした。

 ただ今回のプロツアーは、大人数で一緒に調整するタイプのプロ集団にとっては非常に困難なものだったように思えます。
 唯一結果を残していると言えるのはストームマニアのフィンケルとそれに乗ったグループくらい、ビックチームが軒並み下位に沈んでしまったのは、多かれ少なかれ私達と同じようなことに至ったのでしょう。

 プロツアー『神々の軍勢』イベントカバレージ

 今期プラチナレベルまで必要なプロポイントは上乗せ6点と変わらずのまま。

 キャップが埋まってしまっていてグランプリにほとんど期待が持てない現状では、残されている2回のプロツアーで「それぞれ50位」or「どちらかで25位以内」と、再び気をかけざるを得ない位置まで、後ろの存在が忍び寄ってきているのを感じながら、次のプロツアーを迎えることとなりました。

 グランプリには出られるし、トップ8にまで行けば良いのだけれども、それ以外は意味がない…
 なんとももどかしいものになりそうです。

(次回は明日、掲載予定です)

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