ボロス軍の団結と栄光

更新日 Making Magic on 2013年 2月 25日

By 井川良彦

『ギルド門侵犯』デッキ構築劇場:ボロス編

 5週連続のギルド別構築劇場も、早4回目。

 今回は私、井川良彦がボロスを担当させていただきます。

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 我が軍勢。我が覇権。我がギルド。

 正義や道徳を重んじ法を遵守するギルド、それが「ボロス」軍です。ラヴニカにおける警察的な役割を果たしており、優秀な軍隊とその行動指針となる法を定めています。

 上記二行だけ読めば非常に秩序だった、いかにも「白」な正義溢れるギルドのようですが、「ボロス」軍の行動・法に対し、歯向かう者・従わない者は全て敵とみなし剣を向けるという、ある種偏った正義でもあります。その攻撃性は「赤」に現われているといえるでしょう。

カードデザインにおけるボロス

 ボロスのカードはその2色の特性「白の防御性・赤の攻撃性」を併せ持ったカードが特徴的です。例えば、『ラヴニカ:ギルドの都』に収録された《稲妻のらせん》は、その特性を持ったベストデザイン賞の1枚と言えるのではないでしょうか。

稲妻のらせん
 

 このカードはボロスビート・Zooといった攻撃的なデッキだけでなく、トリコロールのような中速デッキやセプターチャントのようなコントロールまで、デッキタイプやフォーマットを問わず幅広く使用されてきました。現在でも、モダンにおいて赤タッチ白のバーンデッキや《聖トラフトの霊》を中核としたトリコトラフトなど、多くのデッキで使用されています。

 『ギルド門侵犯』においてもその立ち居地やカードデザインは大きく異なることなく、白と赤だからこそできる絶妙なデザインのカードが多くあります。《軍部の栄光》は新《苦悶のねじれ》というべきインスタントで、戦闘を大きく変えてくれますね。リミテッドで使われて2対1交換取った&取られたなんて方も多いのではないでしょうか。《そびえ立つ雷拳》や《要塞のサイクロプス》などは、守ってよし、攻めてよしなグッドカード。

 白も赤も軽いビートダウンのイメージが強いですが、こういう「守れる」デザインにボロスの脈動を感じることができます。

軍部の栄光
 
そびえ立つ雷拳要塞のサイクロプス
 

 レアまで見ていくと、赤単御用達の《ボール・ライトニング》が、白のオーラを浴びてボロス軍に登場!

火花の強兵
 

 いわゆる「歩く火力」に絆魂が付くと、もはやダメージレースにならないですね。差し引き12点差! この絆魂のおかげで、《ボール・ライトニング》のようなカードと異なり、構築だけでなくリミテッドでも見かけることになるでしょう。

昔の「ボロス」・今の「ボロス」

 トーナメントシーンにおいては、白・赤それぞれが軽量ビートダウンを得意としている色のため、非常に攻撃的なデッキとして環境に登場することが多いです。『ラヴニカ:ギルドの都』がスタンダードのころは、《今田家の猟犬、勇丸》《サバンナ・ライオン》、そして《稲妻のらせん》《黒焦げ》とクリーチャー・火力ともに上質なカードが揃い、メタゲームの中心として2年間活躍し続けました。

黒焦げ
 

斉藤 大輔(チーム「Kiosk」)

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Nicholas Lovett

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 一世を風靡した「ボロス」デッキ。ですが、「並べて殴る」というよりは「少数精鋭のクリーチャーを優秀な火力でバックアップ」が基本戦略だったので、残念ながらボロス軍の強い意志を感じることができませんでした。

 しかし、今回のボロスは一味違います!

 今回のボロスの最大の魅力は、何といってもキーワード能力である「大隊」。「大隊」を持つクリーチャーと、それに加えて他に少なくとも2体のクリーチャー(合計3体以上)が攻撃することで誘発するこの誘発型能力は、ボロス軍の秩序性・攻撃性を顕著に表しています。個人個人だけでは小さい力でも、統率された軍隊として戦うことにより真価を発揮することができるのです!

 ということで、この「大隊」をフィーチャーしたデッキがこちらです。

 ボロス軍、全員突撃!!!

「Battlion of Boros」

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 人間人間人間人間! 天使!!

 これこそボロス軍のあるべき姿。

 ボロス軍の真骨頂である「大隊」を駆使して対戦相手を捻じ伏せましょう。1体だけならかわいい《さまようもの》である《ボロスの精鋭》も、みんなで殴れば《野生のナカティル》に早変わり。

ボロスの精鋭
 

 ボロス軍に現われたニューヒーロー。それは《前線の衛生兵》です。3マナ3/3と優良なサイズに加え、持っている2つの能力は、どちらも「ボロス」の弱点を防いでくれる素晴らしいものです。1つ目の「大隊」能力は、細かいクリーチャーで構成されているこのデッキに非常にマッチした効果です。相手の場に《スラーグ牙》がいようと《ボロスの反攻者》がいようと何のその。自軍の被害を気にすることなく全員で攻撃することができます。2つ目の能力は、よく起きてしまう負けパターンである「並べたところに《忌むべき者のかがり火》で全滅」や「ライフを安全圏内に持っていく《スフィンクスの啓示》」を防ぐことができます。白赤で相手の呪文がカウンターできる時代が来るなんて思いませんでしたね。

前線の衛生兵
 

 かつて青白赤のコントロールから「発掘」デッキまで、様々なデッキで活躍した《炎まといの天使》。その天使が、《炎まといの報復者》としてより攻撃的になって帰ってきました。守備的だったのは昔の話。今回の天使は「大隊」するたびに《稲妻のらせん》を放つことができるのです。人間を率いて、ブロッカーを排除しながら殴れるこのカードは、まさにボロス軍ならではの1枚です。先週末に行われたゲームデーの上位賞でもあったこのカード、今後の活躍が期待されます!

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 普通のデッキだと多少厳しい「大隊」の「合計3体以上でアタック」という条件も、このデッキなら比較的簡単に達成することができます。軽量なクリーチャーを多数搭載している上に、1枚で2体分の《町民の結集》が「大隊」を確実にサポート。このカードは「大隊」だけでなく、《教区の勇者》とも相性抜群です。また、普通に並べて殴るだけだと、どうしても「3体目のクリーチャーを出すターン」と「大隊で攻撃するターン」のタイムラグが発生してしまいます。そのタイムラグを埋めてくれるのが《稲妻のやっかいもの》と《士気溢れる徴集兵》。「速攻」による奇襲で相手の計算を大きく狂わせましょう。特に《士気溢れる徴集兵》は、相手のクリーチャーのコントロールを奪うことができるので、「消耗戦の後に《炎まといの報復者》が一人寂しく佇んでいる……」なんて場でも、一気に「大隊」で攻撃することができます。

町民の結集
 
稲妻のやっかいもの士気溢れる徴集兵
 

 クリーチャーを並べるデッキは古来より《至高の評決》《忌むべき者のかがり火》のような全体除去に弱いのが常ですが、このデッキは《ボロスの魔除け》という完璧な解答を持っています。サイドボードの《スレイベンの守護者、サリア》と合わせることにより、相手の妨害を気にすることなく戦線を広げることが可能です。

ボロスの魔除けスレイベンの守護者、サリア
 

 サイドボードに目を移すと、そこにはギルドリーダーと救世主が。使われることなくひっそりと姿を消した《ボロスの大天使、ラジア》《ウォジェクの古参兵、アグルス・コス》と異なり、今回のカードパワーは超トーナメント級。長期戦が想定されるマッチアップでサイドインしましょう。状況に合わせてプレイできれば、その力を存分に味わうことができるはず。

戦導者オレリア正義の勇者ギデオン
 

さいごに

 いかがでしたでしょうか。今回は「ボロス軍」と「大隊」に焦点を当てて構築したので採用できませんでしたが、プロツアーでも大活躍をした今をときめく《ボロスの反攻者》も間違いなく一級品。環境を定義している一枚と言えるでしょう。環境のカウンター呪文が減ってきているので、《魂の洞窟》を基本土地や《ボロスのギルド門》に変えて投入してみたり、もしくはデッキを赤に寄せて《流城の貴族》《灰の盲信者》《地獄乗り》などと一緒に使ってみるのもいいかもしれませんね。

 他にも、《ゴブリンの塹壕》《苦花》の再来を予感させる《軍勢の集結》、X火力の最高峰とも言えそうな《オレリアの憤怒》などなど、まだまだ「ボロス」には魅力的なカードが沢山あります。

ボロスの反攻者
 
軍勢の集結オレリアの憤怒
 

 理想のために。

 勝利のために。

 様々なカードを駆使して、「ボロス」軍と共に戦いましょう!

 

演者紹介:井川 良彦
 2007年の横浜でプロツアーに初参加、「初の海外旅行は、マジックのプロツアーで行きたい」という自身の言葉を2010年のプロツアー・サンディエゴで実現、海外緒戦にしてトップ8入賞を決めてみせた「驚嘆の男(ザ・ワンダーリング・ワン)」。
 その後も、伊藤 敦・高橋 純也と組んだ調整チーム『神様へのブラフ』で切磋琢磨し、日本選手権2011で4位に入賞するなど、多忙な日々にあってもフォーマットを問わずマジックに取り組む、情熱あふれるプレイヤー・ライターである。

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