狂える夜よ増殖せよ

更新日 Making Magic on 2010年 10月 4日

By Mark Rosewater

Working in R&D since '95, Mark became Magic head designer in '03. His hobbies: spending time with family, writing about Magic in all mediums, and creating short bios.

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 増殖特集にようこそ。今回はもっとも革新的でジョニー的なミラディンの傷跡の新メカニズムについて語ろう。通常、プレビューの間にそのデザインについて書き尽くしているだけに、メカニズム特集の時は私は書くネタに困るものだ。幸いにして、ミラディンの傷跡のデザインに関する三部作(123)では増殖のデザインについて語る時間がなかったので、今日はそれについて語ろう。

私は何でも増殖できるとは思わなかった

 その話に入る前に、まず、私のデザイン哲学について語らせて貰いたい。私の五つ星の記事の一つに、「革新は充分だ(ほんとに?)(リンク先は英語)」というものがある。この記事において、私は、デザインにおける革新の役割について語っている。その中で、諸君の中に革新の重要性を過大評価している者がいるということを語った。同様に、デザインする側においても、既に確立した方法で巧く回っている何かを完全に新しい方法でやろうとしてしまうという誤りがよく存在する。革新には意味があるが、それがデザインの全てではないのだ。(この項についてより深く知りたければ、リンク先の記事を読んでくれたまえ)


 諸君の中には、このコラムの結論として私は革新を好まない、と理解してしまう者もいるだろう。しかし、私は革新が大好きだ。このコラムのポイントは、デザイナーは革新を注意深く使わなければならないと言うことなのだ。間違った方向に革新を推し進めてしまえば、デザインは迷路に迷い込んでしまうことになる。一方で、私は、マジックのデザインにおいて革新は大切だと思っている。実際、各セットで私がデザイン上の目標にしていることの一つには、そのセットに何らかの革新が存在するようにするということがあるのだ。これには、私が常に心がけている2つの道がある。一つは、セット全体を通して革新的である何かを設けようとすること。そしてもう一つは、少なくとも1つの革新的なメカニズムを導入すること(名前があるものとは限らない)だ。

 革新的な全体要素については、前回の「 デザイン演説2010」のコラムでも取り上げた通りだ。このブロックでは、ミラディン派とファイレクシア派という2つの異なった軍勢を詳細に設定し、それらをお互いに闘わせる、ということがそれにあたる。メカニズム的な意味で両陣営を定義し、ブロック内でその両陣営の相互作用を表すように革新していくためには多くの作業が必要だった。

 革新的なメカニズムは、増殖である。もちろん感染メカニズムも好きだが、過去に存在した要素を取り上げ、組み合わせて新しい物を作り上げたに過ぎない。金属術も好きだが、これは親和の焼き直しだ。我々に必要なのは、ミラディン派の「アーティファクト」の雰囲気であり、そこには金属術が当てはまった。私は刻印が好きなので刻印を戻すことには興奮したが、もちろん以前のメカニズムを戻すことは革新的ではない(このブロックでは刻印に新しい要素を付け加えようとしているとはいっても、だ)。しかし増殖は今までに存在したことのないメカニズムだ。ここで挙げたものはどれも過去のメカニズムと比較できるものだが、増殖はそうではない。過去、数枚だけ近いカードがあったが、今までどのメカニズムもこのデザイン空間に注目したことはなかった。それでは、このデザイン空間をいかにして手に入れたのか? そう、そこがポイントだ。

増殖球に聞いてみて!

 前々回、ファイレクシアを説明するときに、疫病に例えて説明した。ストーリー上、ファイレクシア軍は私が「疫病」と呼ぶ種類の恐怖である。つまり、外部の生命体の種族であり、訪れて、諸君をゆっくりと同化していくものだ。この種の例としては、ドーン・オブ・ザ・デッドのゾンビや、ボディ・スナッチャーのポッド、スター・トレックのボーグなどがある。この種の存在のやっかいなところは、奴らを止めてもただ時間を稼いでいるだけにすぎないという絶望を感じさせるところである。加えて、自分自身が敵と同種の化け物にされてしまうと思うとゾッとせずにはいられないものだ。


 デザインに入る時点で、毒ということは決まっていたが、他にファイレクシア軍の必要な物が何なのかは決まっていなかった。何ヶ月にもわたってさまよい歩いた結果、突然、感染が閃いたのだ。感染について私が気に入ったことの一つは、プレイヤーもクリーチャーも、カウンターが積み重なっていることでファイレクシアに感染されていると表せるということだ。この感覚から、私はこのカードを作り上げた。

〈感染を蔓延させる者/Infection Spreader〉

クリーチャー ― ファイレクシア派・戦士
2/2
[このカード]が戦場に出たとき、毒カウンターの乗っている各プレイヤーに追加の毒カウンターを1つ置き、-1/-1カウンターの乗っている各クリーチャーに-1/-1カウンターを1つ置く。

 このクリーチャーは、感染というイメージを的確に表したカードだったので気に入った。その次のプレイテストでは、〈感染を蔓延させる者〉はコモンになり(最初はアンコモンだったのだ)、さらにこのカードが追加された。

〈大型の感染を蔓延させる者/Bigger Infection Spreader〉

クリーチャー ― ファイレクシア派・戦士
4/4
[このカード]が戦場に出たとき、毒カウンターの乗っている各プレイヤーに追加の毒カウンターを1つ置き、-1/-1カウンターの乗っている各クリーチャーに-1/-1カウンターを1つ置く。

 これら両方をプレイテストに投入し、プレイしてみた(私は感染が好きなので、黒や緑をプレイすることが多いのだ)ところ、非常に面白く働いてくれた。いよいよ私の垂直サイクルを終える時だ(「垂直サイクル」とは、3枚のカードを各希少度(コモン・アンコモン・レア/神話レア)に作ることを意味する)。

〈さらに大型の感染を蔓延させる者/Even Bigger Infection Spreader〉

クリーチャー ― ファイレクシア派・戦士
8/8
威嚇
[このカード]が戦場に出たとき、毒カウンターの乗っている各プレイヤーに追加の毒カウンターを1つ置き、-1/-1カウンターの乗っている各クリーチャーに-1/-1カウンターを1つ置く。

 しばしば言っている通り、私は非常に本能的なデザイナーである。私は自分の直観に基づいて自分のデザインを様々に変更することが多い。「感染を蔓延させる者」は私の琴線に触れたのだ。ちょうどそのとき、私はファイレクシア軍の2つめのキーワードを探していた。この時点で、ミラディン派には親和と刻印が存在していた。私は、ミラディンに来たのだからミラディン派には以前と同じ武器(もちろんいくらかの変更は加えられるべきである)があるべきで、侵略してきたファイレクシア派は新しいメカニズムを持ち込むべきだと考えていた。

 ところで:上記の「感染を蔓延させる者」には「ファイレクシア派」というクリーチャー・タイプがあることに気づいたかもしれない。デザインはクリーチャー・タイプを弄ったのだが、マジックには今までにも多くのファイレクシア人がおり、それらはファイレクシア派というクリーチャー・タイプを持たない、ということが指摘されたのでこの追加は没になった。

 私は疫病という例えが気に入っていて、この2つめのメカニズムはそのイメージに相応しいものだと思った。私は新しいキーワード作りに奔走していたが、このカード群は私の無意識に刻まれたのだ。ある日、その2つは噛み合った。この、感染を蔓延させるということはキーワードとしてメカニズムにならないだろうか? そして、私のデザインしたカードはこう生まれ変わった。

〈感染を蔓延させる者/Infection Spreader〉

クリーチャー ― ファイレクシア派・戦士
2/2
加速(あなたがこのカードを唱えたとき、毒カウンターの乗っている各プレイヤーに追加の毒カウンターを1つ置き、-1/-1カウンターの乗っている各クリーチャーに-1/-1カウンターを1つ置く。)

 私の最初の直感は、このメカニズムを呪文を唱えたときに誘発するものにした。これによって、パーマネントだけでなくインスタントやソーサリーにもデザインの余地を作ったのだ。このメカニズムが疫病を成長させるというイメージから感染と同じ黒と緑に偏ることになるという欠点には最初から思い当たっていた。

伝染病の屍賊嚢胞抱え

 もう一つところで:なぜ、黒の次にファイレクシア派のカードが多いのがファイレクシア派に関係なかった緑なのかという疑問を持つ諸君がいると思う。私の答えは、緑はファイレクシア派の色だ、ということだ。ボーグやボディ・スナッチャーは緑に決まっている。ファイレクシア派が本能的にすることは何かと言えば――そう、成長だ。そして成長は緑の本質なのである。

グローバス貯蔵庫

 私は加速を気に入ったが、それで終わりではないことは判っていた。色の制限の他に、このメカニズムには大きな問題があった。これは、あまりにもヒキコモリだったのだ。開発部の使っているデザイン用語で「ヒキコモリ」とはそのメカニズムがそれ自身で反響しすぎだということを意味する。つまり、これを使おうと思うと、これと同じようなカードを組み合わせて使わなければならないのだ。感染が、既にこの問題を抱えていた。つまり、感染持ちのクリーチャーを1体入れたら、他にも感染持ちのクリーチャーを入れたくなるのだ。

 さらにもう一つところで:ミラディンの傷跡のデベロップ中に行なわれた議論の一つに、感染持ちのクリーチャーとそうでないクリーチャーを混ぜるべきかどうかというものがあった。つまり、このメカニズムが非常にヒキコモリであって、どちらかに寄せる形になるものだというのだ。私(や、デベロッパーのザック・ヒル)はそれに反論して、デッキに数枚だけ感染持ちクリーチャーを入れることで第二案を持つことが出来ると主張した。例えば、《疫病のとげ刺し》にパワーを上げられる装備品を付けるだけで勝てることもある。また、萎縮と同じように、対戦相手に毒カウンターを乗せられなくてもゲームに影響を与えることが出来るのだ。

疫病のとげ刺しダークスティールの斧

 話を戻そう。加速は非常に雰囲気のある、そして感染と組み合わさってうまく働くものだったが、相互作用はそれだけだった。2つめのファイレクシア派のメカニズムは、ただ感染デッキを強化するだけのものであってはならなかったのだ。私はこのメカニズムの抱えるその問題に気づいていたが、解決策を見つけることは出来ていなかった。そこで手を挙げたのがマーク・グローバスで、私の悩みをズバリと解き当てたのだ。

 マークはマジックのシニア・プロデューサーであり、彼の職務は開発部のマジックをデザインしデベロップする工程全てを監督する役目である。ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは、多くの部品を持つ動き続ける機械のようなもので、その全体を管轄するのにはある種の技術が必要なのだ。私はただセットやメカニズムやカードをデザインだけしていたいので、マークのような誰かがそうして、私が余計なことに時間を使わずに済むようにしてくれるのはありがたいことだ。

グレート・デザイナー・サーチ決勝進出者:グレアム・ホプキンス、アレクシス・ヤンソン、ケン・ネーグル。マーク・グローバスは写真に入っていない。

 マークはグレート・デザイナー・サーチを経てウィザーズに採用されたが、彼は勝者ではなかったし、決勝進出の三人にも入っていなかった。しかし、運命は彼に光を当てたのだ。マークは上位5人の1人だった。そして、航空券が一番安い時期には、まだ上位5人を3人に絞ることはできていなかった。一週間早く5人分のチケットを買うほうが、3人に絞られた後で3人分のチケットを買うよりも安かったのだ。そして、トラベル担当は安い方を選んだのだった。

 一方、ランディ・ビューラーは(開発部を突き動かす異世界の脳みその名前に由来している)グリーマックスというプロジェクトを進めていた。そのプロジェクトのためには、デジタルの経験のある人々がたくさん必要だった。マークの履歴書は(グレート・デザイナー・サーチで見かけた)ランディの目に止まり、そして彼を雇うことに興味を示していた。その後、ランディと話している間に、マークの航空券をもう買ったという話題になった。ランディは目を輝かせ――あとはご存じの通り、マークはレントンでデジタル系の仕事に向けてのインタビューを受け、そしてその職に就いたのだった。

 同じようなことがグレアム・ホプキンスにもあった。第1回のグレート・デザイナー・サーチで、最後に残った15人のうち5人がウィザーズで働いている(アレクシス・ヤンソン、ケン・ネーグルの2人はデザイン・インターンシップを得て、ノア・ウェイルはデベロップ・インターンシップを得た)。ヘッド・デザイナーとして、私はいつでもセットに投入するデザイナーを探している。レントンで働いているグレート・デザイナー・サーチの上位者5人をデザイン・チームに入れないわけがないだろう。

マーク・グローバス  マークは別のデザイン・チームに所属していたし、濃いゲーマーとして開発部のメンバーとゲームをしていることもしばしばだった。そのメンバーの中には開発部担当副社長のビル・ローズもいて、マークの大ファンになっていたビルは組織の再編の際にマークをマジックの開発部にプロデューサーとして招いたのだ。マークがマジック開発部の一員になったことで、彼はデザイン・チームの一員になりやすくなった。ミラディンの傷跡のデザイン・チームはデザインの途中で組み替えられ、マークがチームの一員になった。

 マークの背景について詳細に説明しているのは、彼がミラディンの傷跡のデザイン・チームに入ったことで我々の問題が解決に導かれたからである。いかにして解決されたかを理解するために、マークのデザイナーとしてのポイントを説明しよう。彼は大きなことを考えるのだ。何をしていても、彼はそれをより大きくできるかどうか、より広くできるかどうかと聞いてくる。マークは一見するとスパイクに見えるが、よく観察してみるとティミーそのものだ。マークは大きい効果が好きなのだ。

 これが私にとって非常に重要なのは、私は新しいデザイン空間を扱うとき、小さく始める傾向にあるからだ。この理由は単純で、新しい考えをあまりに大きく扱ってしまうと、人々は混乱して立ちすくんでしまう。より小さな考えなら、気づかれないかも知れない。そうして私は、より狂気じみたデザインを投入するときは少しだけ入れてみるということを学んだのだ。時のらせんの「タイムシフト」も、最初は「フォイルの中に数枚だけ古いカードを入れてみたらどうだろう? こうすれば長い間、古い枠の古いカードがブースターから出てくることになるぞ」と提案したのだ。そしてアイデアを確立できたら、そのアイデアは適正なサイズまで膨らんでいく。しかし、そうするためには誰かが「大きくできないかな」と言ってくれる必要がある場合があるのだ。

 マークが私の加速メカニズムに目を止めたとき、彼は言ったのだ。「何で毒と-1/-1カウンターだけなんですか? 全部のカウンターじゃダメなんですか?」

(訳注:原文では+1/+1になっていますが、明らかに間違いです)

それだ!

 私の目は光り輝いた。そうだとも。その一言が我々の全ての問題と、デザイン上の他の部分に残っていたいくつかの問題を一気に解決したのだ。

 まず、あらゆるカウンターに影響を及ぼすなら、黒や緑に限る必要はない。このメカニズムの始点は操作になる。つまり、青だ。これによってファイレクシア派に新しい色が加わり、デッキ構築の選択肢が広がった。相手を高速で毒殺するのか、ゆっくりと毒を重ねていくのか。青に増殖を入れたことで、その2種類の毒デッキは別々の色になったのだ。

 2つめに、カウンターを操作するカードはメカニズムの幅を大きく広げた。マジックにはカウンターを用いるカードはたくさん存在する。一転して、このメカニズムはリミテッドでのヒキコモリから、ジョニーを興奮させるものに変化したのだ。《伝染病の留め金》が公開されたときに、方々から「このカードとコンボじゃん!」という声があがったのは忘れられない。


 3つめ、これはまだ話していなかった問題だが、2つの陣営の要素がお互いに絡み合うことがゲームの上では重要である。マジックのリミテッドでは、特にドラフトでは、セット内の要素を混ぜ合わせ、組み合わせる選択肢が必要になる。2つの陣営がメカニズム的に独立していたら、相互作用はほとんど無くなってしまう。

 ミラディン派のテーマの一つは、装備品である。パワーを上げる装備品が充分な数あれば、ファイレクシア派の持つ感染能力を活用できるということは判っていた。そして私はファイレクシア派の持つものでミラディン派が活用できるものを探していた。この変更を経て、加速はまさにその条件を満たすようになった。ミラディン派には蓄積カウンターがあり、これは加速を活用できる。

 4つめ、この記事の最初に言った通り、このセットにも革新的なメカニズムが必要だった。加速の変更によって、このミラディンの傷跡にも革新的なメカニズムが手に入ったのだ。

レビューによる変更

 かくして加速は完成し、印刷に回った......というわけではない。それらのカードを青にして、セットにさらに数枚加え、アーティファクトの加速持ちのカードを追加した。これによって、青を使っていなくても誰でも加速を使えるようになったわけだ。青になった〈感染を蔓延させる者〉はこれだ。

〈加速ウィザード/Accelarate Wizard〉

クリーチャー ― ファイレクシア派・ウィザード
2/2
加速(このカードが戦場に出た時、カウンターの乗っている各プレイヤーにそれと同じタイプのカウンターを1つ起き、カウンターの乗っている各クリーチャーに追加のカウンターを1つ置く。)

 この新しいカードをプレイしてみたところ、すぐに問題点に気がついた。全員の持つ毒や-1/-1カウンターが増えるのは、感染が広がれば制御されることなくどの感染も広がるから問題ないのだが、全てのカウンターに変更したことで加速をプレイするかどうかを悩む局面が増えた。毒カウンターを与えたり相手のクリーチャーを弱体化させたりするのは望ましいことだが、相手のアーティファクトに蓄積カウンターを乗せて使えるようにしたり、自分のクリーチャーを殺したりはしたくない。さて、どうしよう?

 何回かのプレイテストの結果、メカニズムをただ複雑化させるだけで面白くなくなると判断された。そして、その解決策は簡単だった。プレイヤーがそれぞれのカウンターを増やすかどうかを選べればいいのだ。自分にとって有利なように、相手にとって不利なように――つまり、自分の望むように使えばいいということになる。


 この変更によって、このメカニズムはデザインに組み込まれていった。リミテッドに大きな影響を与えるとともに青に強い意味づけを与えることが出来るよう、私はこれを青の、特にコモンやアンコモンにおける主要素にすることを決めた。

 このカードがデベロップに渡って、2つの大きな変更が施された。まず、マジックのヘッド・エディターのデル・ローゲルが加速を占術のようなキーワード行動にして、ルール・テキスト中に動詞として存在できるようにした。さらに、デルはこのメカニズムの名前を、実態をよりよく示している「増殖」にした。

 もう一つの変更は、デベロップの間にゆっくりと行なわれた。デベロップ・チームは増殖を気に入ったが、幾ばくの不安があった。これは、コントロールするための手段として用いられている各種のカウンターに干渉するメカニズムなのである。カウンターは一般にリソースであり、カウンターを複数のカードにまき散らすことができるメカニズムは潜在的に危険である。従って、デベロップ・チームは増殖の数を大きく削った。青のコモンに残った数はもはや多くはなく、ドラフトでかき集められるほどの数ではなくなった。この縮小後に残された増殖は複数回使えるものになり(コモンにそうでないものも1枚あるが)、このメカニズムを使ったデッキが組めるように保たれたのだ。

伝染病エンジンかき鳴らし鳥

 デベロップ・チームがミラディンの傷跡に増殖カードを6枚しか残さなかった理由は、ブロック内に追加する場所を残すためだった。ここで見たようなことが好きな諸君にとっては、ミラディンの傷跡ブロックにはまだまだオモチャが一杯ということになる。

増殖は充分だ

 私は、この完成された増殖を非常に気に入っている。ミラディンの傷跡のリミテッドでより大きな役目を果たしていればと思うことはあるが、デベロップの警告を聞き入れなかったらどうなるかは判っている(壊れた環境は、ミラディンの中で決して戻りたくない部分なのだ)。私は、様々な可能性を秘めたこのメカニズムがどう活用されるかが楽しみでたまらない。あらゆる環境に浸透する可能性があると信じているのだ。

 以上で増殖の話は終わりだ。これについて話せる機会を得られて幸運だった。それではまた次回、世界のデザインについて少しばかり話させてもらおう。

 その日まで、あなたが何にせよ必要なカウンターをもう一つ手に出来ますように。


グレート・デザイナー・サーチ2 よくある質問

 最後に一つだけ。もうすぐ行なわれるグレート・デザイナー・サーチについての質問にお答えしよう。


・GDS2にエントリーしたいんですが、どうすればいいですか?

 GDS2にエントリーするには、最初のテストである論述問題に挑戦して貰う必要がある。論述問題はこの水曜日(10/6)に公開される。

Magic Wikiに投稿する必要がありますか?

 いいえ。その必要はない。あなたのアイデアを公開することのメリットは、「人々」からフィードバックを得られることである。それはあなたの提出物を進化させるための力になるかもしれない。Magic Wikiに問題のために必要なリソースがあることがあるので、アクセス出来る必要はある。

・ウィキに投稿していないアイデアを使ってもいいですか?

 それらのアイデアがあなた自身だけのものであるなら、問題ない。

・エントリーのための条件はありますか?

 条件の詳細は水曜日に公開されるが、大まかには次のようなものである。
 ・18歳以上であること。
 ・米国居住者で、合法的に国内で就労できること。
 ・英語が流暢に使えること。
 ・現在または過去にウィザーズの社員であったことがないこと(請負業者やフリーランス、前回GDSの上位15人は問題ない)
 ・6ヶ月以内にレントンに引っ越せること。
 ・その他全ての公式規定に従うこと。
 これらの条件を満たしていれば、問題ない。

・大卒である必要がありますか?

 いいえ。インターンシップは大卒である必要はない。

・GDS2が他の国籍の人間に開かれていないのはなぜですか?

 全ての人に門戸を開きたいのは山々だが、USのワーキング・ビザを取るのは複雑で時間がかかることであり、ビザを取り終わる前にインターンシップの期間が過ぎてしまうことが予想されるからである。

・遊びで投稿してもいいですか?

 インターンシップを得ることができない、あるいは得たくないなら、エントリーはしないでいただきたい。エントリーの処理には時間も手間もかかるのだ。そして、インターンシップを得ることの出来ない応募者のためにリソースを無駄にしたくはない。さまざまな試験は順次公開されていくので、「遊びで」やるひとはそちらを見て貰いたい。

・資格のない人は参加できますか?

 そここそがGDS1とGDS2の最大の違いである。応募者は、Magic Wiki上で行なわれたあらゆる情報を用いることができる。いいアイデアがあればそれを投稿し、参加者が用いられるようにすることができる。

 また、既存のデザインについてコメントを残し、それを作ったデザイナーの助けにすることもできる。他者からのフィードバックを適用することは、デザイン上の非常に重要な部分である。

・世界を構築するとは?

 論述問題の次は選択問題になる。選択問題の後はデザイン問題である。デザイン問題においては、自分の世界/ブロックのためのアイデアを提案するということが重要になる。決勝の8人に選ばれたなら、その作り上げた物が含まれる世界を構築し、提案することになる。

 決勝の8人にとって、よく考えられた世界を作り上げることは重要なので、私は全員に考えるための時間を与えることにする。次のコラムは新しい世界を構築するにはどうするかというアドバイスを与えるためのものになる。(記事を待つ必要はない、まだ始めていないなら今すぐでも始めてくれて良いのだ)

・マジックが既に使った世界を再訪してもいいですか?

 そうしないことを強く推奨する。我々は世界を構築する能力を見たいのだ。既に作られている世界を使うことは、その能力を示してはくれない。

・世界の雰囲気はどれぐらい重要ですか?

 名前のようなものに費やす時間もあるだろうが、私がもっとも評価したい雰囲気は、私がメカニズム的雰囲気と呼んでいるものだ。メカニズム的なデザインを世界観にどのように反映させることが出来ているかである。つまり、世界の背景にある物語を書くのに時間を掛けるのではなく、カードやメカニズムでどう伝えるかを考えるのに時間を掛けるべきだということだ。

・協力してやってもいいのですか?

 はいともいいえとも言える。誰でもアイデアを出すことはできる(世界であれ、メカニズムであれ、カードであれだ)し、あるデザイナーやその世界の求めに応じてデザインするというのは公正な競争だ。Magic Wikiに投稿されたアイデアは(ただし、参加者本人が作ったもの以外の全てのアイデアはMagic Wikiから参照したものでなければならない)、全てのデザイナーにとって公正な競争である。加えて、参加者だけがデザイン問題に用いるカードを構築することができる。誰でも家具を作ることはできるが、インテリアを組み上げることができるのは参加者だけなのだ。

・つまり、参加者の発想する能力よりも良いアイデアを見つける能力を試験しているということですか?

 そう、まさにそうだ。それがGDS2のポイントであり、GDS1と異なる、しかし同様に重要な、デザインの能力を探しているのだ。もちろん、参加者本人がデザインする必要もあることを付け加えておく。

最後に

 私は、質問が上がるたびに新しいGDS2の良くある質問集を作る予定である。毎回のコラムの最後にこうして質問集を付けておくので、参加者あるいはMagic Wiki執筆者として参加する諸君はこれを毎週確認してくれたまえ。それでは、水曜に!

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