2013年6月版
第1週・ビートダウン編

更新日 Making Magic on 2013年 6月 13日

By 行弘 賢

 本記事では、2013年6月現在のスタンダード構築について解説しております。

 使用可能なセットは『イニストラード』『闇の隆盛』『アヴァシンの帰還』『マジック基本セット2013』『ラヴニカへの回帰』『ギルド門侵犯』『ドラゴンの迷路』です。

 スタンダードについて、および使用可能なセットについて、詳しくは以下のページもご参照ください。

 スタンダード・フォーマットのデッキ構築について

 皆さんお久しぶりです! 公式サイトの記事でまた皆さんにお会いできて嬉しいです。

 最近のスタンダードはカードプールが非常に広いこともあり、どのデッキも非常に強く、メタゲームもぐるぐる回ります。あらゆるデッキが活躍する環境となっていますので、環境に存在するデッキを把握するのが大変ではありませんか?

 というわけで、3週連続でスタンダードのデッキをご紹介し、「現スタンダードの各種デッキをしっかり確認していきましょう! 今回がその第1週目となります。

 この特集では、現スタンダードの主要なデッキの動きと、メタゲームの立ち位置について解説していきます。

 第1週目に紹介していくアーキタイプは「ビートダウン」。現環境で活躍している「ビートダウン」の主要なデッキを紹介させていただきます。

ナヤ・ブリッツ

RichieLew (5th Place)

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ナヤ・ブリッツとは?

 ナヤ・ブリッツは「人間」のシナジーを軸に組み立てた、環境最速のビートダウンです。

 1マナ域には《教区の勇者》、《実験体》、《ボロスの精鋭》、高打点が期待できる優秀なクリーチャーがズラリと揃っています。

教区の勇者実験体

 さらに2マナ域には、複数クリーチャーを展開することを可能にする《炎樹族の使者》、速攻を自身や他のクリーチャーに付与することで畳み掛けることのできる《稲妻のやっかいもの》、全ての人間をバックアップする《アヴァブルックの町長》等、非常に優秀な人間が続きます。

炎樹族の使者稲妻のやっかいもの

 また、3マナ域には必ずと言っていいほど《前線の衛生兵》を採用しています。

前線の衛生兵

 単体のサイズが小さく、サイズの大きなクリーチャーの前で折角複数並べたクリーチャーがモジモジしてしまうのがこのデッキのよくある負けパターンなので、このデッキでは《前線の衛生兵》の大隊のモードが非常に良く機能します。

 このリストにはありませんが、《火拳の打撃者》を採用することで苦手な《ボロスの反攻者》や、《ロクソドンの強打者》等の厄介なクリーチャーに対して耐性を付けることもできます。

 《火打ち蹄の猪》は人間ではありませんが、単純に高打点なのと、《ボロスの精鋭》や《前線の衛生兵》の大隊誘発を助ける意味で、ほとんどのリストで4枚採用されています。

火打ち蹄の猪

 同じく人間ではありませんが採用されている《ゴーア族の暴行者》は、クリーチャーとしてというより、湧血のモードを期待しての採用となります。サイズが大きなクリーチャーを乗り越えたり、最後の止めにと、非常に優秀な働きをしますが、大量に採用してしまいますと人間が減ってしまい、せっかくの人間クリーチャーのシナジーを阻害してしまったり、という色マナ拘束による色マナ事故に陥りやすかったりするので、1枚〜2枚ぐらいの枚数を採用するのが無難だと思われます。

naya_blitz.jpg

メタゲームにおける立ち位置

 序盤から致命的な高打点を形成し、それをバックアップする多数のシステムクリーチャーがいるそのデッキの性質から、「除去が薄い」デッキに対して相性が良いです。

 ただし除去が薄くとも、《復活の声》や《ロクソドンの強打者》、《ボロスの反攻者》等の優秀なクリーチャーが多いデッキに対しては、こちらに回答が無い限り基本的には乗り越えることができないので、それらのデッキにはそこまでの有利は期待できないと思います。

 《火柱》等、1マナからの除去と《至高の評決》等の全体除去を合わせたデッキなども、横に並べた展開で真価を発揮するデッキとあって、相性が良いとは言えません。

 しかし、デッキの全てが「ぶんまわり」するようにできている性質上、相性差を覆す回りをすることも多々あるため、相性の悪いデッキに対してさえもそれなりの勝率を誇ることができます。

 つまり、どちらかと言えばデッキ相性と言うよりは「自分が回るか」というデッキですね。極端に相性差が付くマッチアップは少ないので、デッキ選択をする上では非常に「丸い」選択肢の一つと言えますね。

グルール・ビート

Bathtub (4th Place)

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サイドボード (15)
2 火柱 2 電謀 4 頭蓋割り 3 火山の力 1 炬火の炎 3 反逆の印

グルール・ビートとは?

 グルールと形式上呼んでいますが、実際にはほとんど「赤単」に近い構成になります。赤単との違いは、基本的には《火打ち蹄の猪》と、《ゴーア族の暴行者》を採用していることです。

 グルール・ビートは序盤からクリーチャーを展開し、殴り続け、クリーチャーを焼き、プレイヤーを焼く、昔ながらのストンピィデッキに近いものです。どのマナ域のカードも、基本的には単体で仕事をする高打点なクリーチャーばかりで、少しでも対応が遅れようものなら、あっという間にグルールのクリーチャーの群れに押しつぶされてしまうでしょう。

ラクドスの哄笑者灰の盲信者

 何と言ってもこのデッキで強力なのは《ゴーア族の暴行者》です。序盤から《炎樹族の使者》を絡めた圧倒的展開力でクリーチャーを展開してくるため、単体除去では間に合わない…。しょうがないからクリーチャーで蓋をしよう、そんな展開に突き刺さる《ゴーア族の暴行者》はそのままゲームを決めてしまう力があります。

ゴーア族の暴行者

メタゲームにおける立ち位置

 ほぼ単色なだけあって、「ギルドランド」から受けるダメージもそこまで痛くないおかげで、ビートダウン同系には相性が良いと思います。特にナヤ・ブリッツには《流城の貴族》が機能しますので、更に相性が良いですね。

流城の貴族

 コントロールとのマッチアップについては、速攻のクリーチャーが多いグルールは《至高の評決》自体にはそれなりに耐性があるものの、序盤からの単体除去で捌かれ、インスタントで動くことができる相手は《ゴーア族の暴行者》が腐りやすく、基本的に苦手といえます。

ラクドス・ミッドレンジ

Genki Yoshimura

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ホビーステーション WMCQ&PTQ特設カバレッジページ・WMCQ決勝進出者デッキリスト」より引用


ラクドス・ミッドレンジとは?

 ミッドレンジとは、昔ながらの言い方で言えば「中速」デッキのことですが、このデッキはミッドレンジ系のデッキの中でも、よりアグロにライフを攻めるアーキタイプです。

 《墓所這い》、《戦墓のグール》で序盤からプレッシャーをかけつつ、《ゲラルフの伝書使》、《地獄乗り》、《雷口のヘルカイト》と若干重いクリーチャー達で畳み掛ける、まさにミッドレンジなタイプが従来のラクドス・ミッドレンジです。

 ここで今回紹介するのは、先日行われたワールド・マジック・カップ名古屋予選で準優勝した、《血の芸術家》と《血の座の吸血鬼》、《ファルケンラスの貴種》を中心とした「生け贄」システムでライフを詰めることを目的としたデッキです。

血の座の吸血鬼ファルケンラスの貴種

 このデッキの《血の芸術家》は重要なシステムです。場にさえ残ってしまえば、こちらのクリーチャーが生け贄にされたり、相手のクリーチャーと相討ちしたりするだけでライフレースにならないライフ差を付けることができます。更にそれを活かす《墓所這い》+《ゲラルフの伝書使》の二種のカードは、生け贄にできる回数も多く、非常に相性が良いです。

血の芸術家墓所這い

 生け贄のシステムを活かすためにメインから採用されている《反逆の印》は、《復活の声》や《ボロスの反攻者》、《スラーグ牙》等、ただ単に除去したり、相討ちしたりするだけでは損をするクリーチャーに対して効果的に働きます。

 クリーチャーを奪って攻撃、さらに生け贄にすることでライフレースにも大きな差を付けることができ、またクリーチャー環境である現環境ではほぼ腐ることがない、環境に適したカードと言えますね。

反逆の印

 これらのシステムの中心にあるのは《ファルケンラスの貴種》です。単体の打点の高さは言うまでもありませんが、生け贄により自身を守りつつ、更にデッキ全体とのシナジーも作り出す、このデッキの象徴とも言えるデッキのキーパーツですね。

rakdos_midrange.jpg

メタゲームにおける立ち位置

 序盤からプレッシャーをかけつつ、除去耐性のあるクリーチャーで攻めることができることから、一般的にコントロールには相性が良いと言えます。ただし、《反逆の印》が腐ってしまう部分は、さすがに有利とは言えないですね。

 その《反逆の印》が加入したことで、クリーチャーデッキには積極的に有利なダメージレースを仕掛けることができるようになっています。メインから《吸血鬼の夜鷲》を採用していることもあり、クリーチャーデッキ相手にもそれなりに戦えるようになっています。

 ただし、《炎樹族の使者》系のデッキには展開力の差で負けることが多く、またそれらのデッキには《火柱》も採用されていることが多いため、デッキのキーカードである《ゲラルフの伝書使》や《墓所這い》、《血の芸術家》がリスク無く除去されてしまうので、有利が付くとは言えないと思います。

セレズニア・ビートダウン

Nakajima Chikara

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ホビーステーション WMCQ&PTQ特設カバレッジページ・PTQ決勝デッキリスト」より引用


セレズニア・ビートダウンとは?

 先日行われたプロツアー「ドラゴンの迷路」でセレズニア・デッキが優勝したのは記憶に新しいですが、スタンダードではよりパワフルなビートダウンとして活躍しています。

 《アヴァシンの巡礼者》等のマナクリーチャーから3マナへジャンプアップし、早々に《ロクソドンの強打者》や《銀刃の聖騎士》に繋げ、更に《ワームの到来》、《荘厳な大天使》と、毎ターン「単体で強いカード」、いわゆる「グッドスタッフ」をプレイするデッキです。

アヴァシンの巡礼者ロクソドンの強打者

 このデッキを大幅に強化させたのは何と言っても《復活の声》と《ワームの到来》でしょう。

 《復活の声》を出した状態ならば、相手が除去を構えていても積極的に《怨恨》や《銀刃の聖騎士》をプレイすることができるので、隙無く対戦相手を追い詰めることができます。

 《ワームの到来》は構えながらプレイすることにより、対戦相手の計算を大きく狂わせることができます。相手のアタックに対応して出すもよし、対戦相手がフルタップした終了フェイズに出して、《銀刃の聖騎士》で二段攻撃!なんかもできちゃいます。

復活の声ワームの到来

 元々は《至高の評決》等の全体除去に滅法弱いデッキなのですが、除去耐性のある《復活の声》と、終了フェイズに展開できる《ワームの到来》が加入したことにより、ある程度の耐性がついたのも評価できる点ですね。

 これに赤をタッチして、《ゴーア族の暴行者》を採用しているレシピもあります。《銀刃の聖騎士》や《荘厳な大天使》との相性が良く、《復活の声》がいる時ならば腐るシチュエーションも少ないので、効果的なタッチと言えますね。そちらのタイプも今後は見かけることがあると思います。

selesnya_beatdown.jpg

メタゲームにおける立ち位置

 《銀刃の聖騎士》、《荘厳な大天使》と生き残ってしまえばそのまま勝ちに直結する「システムクリーチャー」が2種存在するので、除去が薄いマッチアップには有利が付くと思います。さらには《復活の声》が機能するコントロール系のデッキにもそれなりの勝率が見込めそうですね。

 2色なので、「ギルドランド」のライフ支払いも少なく、サイズの大きなクリーチャーや除去耐性があるクリーチャーが多いデッキなだけあって、赤系のデッキにも少しだけ有利が付くと思います。

 こちらも除去が薄く、対戦相手のシステムクリーチャーにはほぼ触ることができないので、システムクリーチャーが多い赤黒系のデッキは相性が悪いと思います。さらには《高原の狩りの達人》も厳しいシチュエーションが多いため、ナヤやジャンド等のデッキにもそこまで有利が付くとは言えないと思います。

まとめ

 現環境のビートダウンは《炎樹族の使者》を中心とした高速ビートダウン、《ファルケンラスの貴種》を軸にした赤黒ミッドレンジ、《復活の声》により強化された緑白系、の3つが主要なアーキタイプといえます。

 これらのデッキは、序盤から常にプレッシャーをかけるクリーチャーカードが多く、少しでももたついた相手をそのまま押し切るデッキばかりです。

 したがって、ビートダウンに対策を立てる場合は、《火柱》等の軽い単体除去は必須になると思います。

火柱

 さて、今回は特集第1週ということでビートダウンデッキの紹介をさせていただきましたが、いかがでしたか?

 第2週はコントロール(ミッドレンジ含む)デッキの紹介をしていこうと思いますので、是非そちらの方もよろしくお願いいたします。

 それでは皆さんまた来週お会いしましょう!

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