今週末は新セットである『テーロス』のプレリリース大会です。
店舗に行って新しいカードに触れるチャンスですので、ぜひご参加ください。
待ちきれない?
では、テーロスに収録されているカードで問題を出していきましょう。
これらは「リリースノート」――以前はFAQという形をとって発表されていた文章――から抜粋しております。回答を見る前に、まずは考えてみてください。
なお、アクティブ・プレイヤをAP、非アクティブ・プレイヤーをNAPと表記しています。
問1
APは《トリトンの岸盗人》をコントロールしている。
APの手札には《雨雲のナイアード》がある。
1−1)
APは《雨雲のナイアード》を右上のマナ・コスト()を支払って唱えた。
NAPの手札には《本質の散乱》と《否認》がある。
NAPはどちらのカードを使えば、APの《雨雲のナイアード》を打ち消すことができるだろうか?
1−2)
APは《雨雲のナイアード》を授与コスト()を支払い、対象を《トリトンの岸盗人》にして唱えた。
NAPの手札には《本質の散乱》と《否認》がある。
NAPはどちらのカードを使えば、APの《雨雲のナイアード》を打ち消すことができるだろうか?
1−3)
APは《雨雲のナイアード》を授与コスト()を支払い、対象を《トリトンの岸盗人》にして唱えた。
NAPはそれを解決する前に、《破滅の刃》で《トリトンの岸盗人》を破壊した。
《雨雲のナイアード》を解決すると何が起こるか?
1−1) 《本質の散乱》
1−2) 《否認》
1−3) 印刷された本来のクリーチャー・エンチャントで戦場に出る。
授与/Bestow
授与は、テーロスに収録されている新しいキーワード能力である。
全てクリーチャー・エンチャントという2つのカード・タイプを併せ持っている。授与コストを支払って唱えることで、エンチャント―オーラとなって他のクリーチャーにエンチャントして、様々な修整を与えることができる。
1−1)のように、右上のマナ・コストを支払って普通に唱えることを選ぶと、これはクリーチャー・エンチャント呪文となる。つまり、クリーチャー呪文であるので、《本質の散乱》で打ち消せる。が、一方、《否認》では対象に取れず打ち消せない。
もちろん、エンチャント呪文でもあるので、《無効》で打ち消せる。
1−2)のように、授与コストを支払うと、この呪文はクリーチャー・エンチャントではなく、エンチャント--オーラ呪文となる。オーラ呪文は唱える際に対象を1つ必要とするので、対象がない場合は授与コストを支払って唱えること自体が選べない。
授与コストを支払って唱えると、これはエンチャント呪文であるので、クリーチャー呪文ではなくなる。従って《否認》で打ち消せる。同様に《本質の散乱》では対象に取れず打ち消せない。
もちろん、エンチャント呪文であるので、《無効》で打ち消せる。
1−3)のように、授与コストを支払ってオーラ呪文となって、かつ、解決時に対象が無くなっている場合、授与はそのカードがエンチャント―オーラであることをやめる。そして元のクリーチャー・エンチャントとなって解決を続けるのである。これは総合ルールの既存部分を上書きする授与の新たなルールである。
結論としては、解決時に対象が不適正であっても、授与コストを支払って唱えられたその呪文は、元のクリーチャー・エンチャントで戦場に出る。
授与の継続的効果
授与は自分自身のカード・タイプを変更する期限付きの継続的効果をもたらす。
元々の状態 クリーチャー・エンチャント
開始条件 授与コストを支払って唱える。(ただし対象が必要)
効果 エンチャント―オーラになり、「エンチャント(クリーチャー)」を得る。(継続的効果第4種+第6種)
終了条件その1 この呪文の解決時に対象が不適正であった。
終了条件その2 パーマネントになった後、はずれた状態になった。
2つある終了条件のいずれかを満たすと、この継続的効果は終了し、このオブジェクトは元々の状態――クリーチャー・エンチャント――に戻る。
問2
APは《ヘリオッドの福音者》を戦場に出した。APが他に以下のパーマネントをコントロールしていた場合、それぞれ何体の兵士・トークンを得るか?
2−1) 《鋤引きの雄牛》
2−2) 《ボロスの反攻者》
2−3) 《磁器の軍団兵》
2−1) 3体
2−2) 5体
2−3) 3体
信心
テーロスでは、「[色]への信心に等しい数」というテキストが使われる。
プレイヤーの[色]への信心は、そのプレイヤーがコントロールするパーマネントのマナ・コストに含まれるマナ・シンボルの総数に等しい。
2−1)のように、《ヘリオッドの福音者》の誘発型能力は、解決時に白への信心を数えるので、《ヘリオッドの福音者》と《鋤引きの雄牛》の白マナ・シンボルを数えて、合計3となる。
2−2)のように、混成マナ・シンボルでも同様に数える。この場合、白への信心は5である。(赤への信心を数えるとすると、それは3である。)
2−3)のように、ファイレクシア・マナ・シンボルでも同様に数える。この場合、白への信心は3である。
問3
APは《鍛冶の神、パーフォロス》をコントロールしている。
3−1)
APは《太陽の神、ヘリオッド》を唱えた。
NAPの手札には《本質の散乱》と《否認》がある。
NAPはどちらのカードを使えば、APの《太陽の神、ヘリオッド》打ち消すことができるだろうか?
3−2)
APは《太陽の神、ヘリオッド》を唱えて、それを戦場に出した。
《鍛冶の神、パーフォロス》の能力は誘発するだろうか?
3−1) 《本質の散乱》
3−2) 誘発しない。
神々
テーロスに収録されている神々は、さきほど紹介した信心の数が少ないと、それ自身がクリーチャーであることを失う。
従って、元々はクリーチャーであるが、戦場にあって信心の数が足りない場合のみ、それはクリーチャーではない。
3−1)のように、スタック領域でまだ呪文である場合、この呪文はクリーチャー・エンチャント呪文である。従ってクリーチャー呪文であるので、《本質の散乱》で打ち消せる。
3−2)のように、戦場に出たあと、信心の数が足りずクリーチャーでなくなる場合、「クリーチャーが戦場に出た時〜」という類の誘発型能力は誘発しない。
従って、《鍛冶の神、パーフォロス》の能力は誘発しない。
問4
APは《形見持ちのゴルゴン》をコントロールしている。
NAPは《地平の識者》と《トリトンの岸盗人》をコントロールしている。
4−1)
APは《形見持ちのゴルゴン》の起動型能力を2回連続で起動して、NAPの2体のクリーチャーを両方とも破壊したい。それは可能か?
4−2)
APは《形見持ちのゴルゴン》の起動型能力を起動した。それが解決される前に、NAPは《航海の終わり》を唱えてAPの《形見持ちのゴルゴン》を手札に戻した。
《形見持ちのゴルゴン》を解決すると何が起こるか?
4−1) 起動自体は可能であるが、1体しか破壊できない。(乗るカウンターも1個のみ)
4−2) 何も起きない。
怪物化(を行う)/Monstrosity
怪物化(を行う)とは、「テーロス」で収録された新しいキーワード処理である。
「怪物化Nを行う」とは、「このパーマネントが怪物的でない場合、これの上に+1/+1カウンターをN個置き、それは怪物的になる。」を意味する。
「怪物的/monstrous になる」というのは、クリーチャー・タイプがそうなるわけでも、そのような能力を持つわけでもない。単に「怪物的」という性質を持つだけである。
また、怪物化を行うことは起動型能力の解決の一部なので、起動型能力は複数回起動できるが、2回目以降など、もうすでに怪物的であった場合、「怪物化を行っ」てもなにも起きない。
4−1)のように、連続で2回起動したとしても、1つ目の起動型能力の解決では怪物化を行うことが無事にでき、それによって《形見持ちのゴルゴン》の誘発型能力も誘発する。
しかし、2つ目の起動型能力の解決では、もうすでに怪物的であるので、怪物化を行っても何も起きない。カウンターも置かれないし、誘発型能力が誘発することもない。
4−2)のように、「怪物的になったとき〜」という誘発型能力が誘発するためには、実際にそのカードが戦場にあって怪物的になる必要がある。問題の場合、能力の解決時に怪物的になるパーマネントは無く、また、その誘発型能力を持つパーマネントも戦場にすでに無いので、誘発のしようがない。
結局、何も起きない。
質問箱
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質問によっては回答に時間がかかる場合や、回答しかねる場合があります。あらかじめご了承ください。
良い質問は当記事でまとめて紹介することもあります。よろしくお願いいたします。
今回はここまでです。それでは皆様、良いプレリリースを!
「神の存在を信じますか?」
「総合ルールに追加されたから存在自体は信じます。」 ――testing
Written by: testing
愛知在住のレベル 2 ジャッジ。ルールに造詣が深い氏のブログ closet belief 2 では、おもにルールにまつわる役立つコラムが掲載されることが多く、毎週金曜日に掲載される Friday Magic Quiz を毎週楽しみにしているファンも多い。
本コラム Formal Magic Quiz は、氏のブログで連載されている Friday Magic Quiz への氏によるオマージュであることは疑いようがない。どちらも略称 FMQ としてお楽しみいただければ。
過去の『Formal Magic Quiz』は、記事『ウィザーズプレイネットワーク通信』内にてご覧いただけます。