By Jacob Van Lunen
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Jacob Van Lunen began playing Magic in 1995. He has participated in organized play at every level of competition and was a member of the winning team at Pro Tour San Diego in 2007, thanks to an innovative draft strategy. As a writer, Van Lunen has had more than three hundred Magic strategy pieces published
DailyMTG.com、『戦乱のゼンディカー』プレビュー第1週へようこそ! ここ「Perilous Research」は、特にMagic Onlineに注目したコラムだ。今回は、きっとスタンダードにある間は構築で使われ続けるであろう最高に強力なカードのプレビューをお届けしよう。それは盤面の展開を進めつつカード・アドバンテージまで生み出してくれる、まさにマジックのカードとして理想的な1枚だ。《永遠の証人》や《棲み家の防御者》、《熟考漂い》、《瞬唱の魔道士》など、盤面への脅威とアドバンテージを同時にもたらすカードは、あらゆる構築フォーマットで中心的な活躍を見せているのだ。
マジックは足し引きのゲームだ。プレイヤーたちは互いに20点のライフを持ち、何枚かのカードで戦っていく。中には何も顧みず対戦相手のライフを攻めるデッキもあるが、基本的にはカード・アドバンテージの奪い合いが勝負の大きな分かれ目となるだろう。通常、こちらがカードを失えば対戦相手のカードも1枚失われる。ときには、1枚のカードで相手のカード2枚を失わせることができるだろう。だが多くの場合、実際にカード・アドバンテージを得るには多くの時間が必要となる。1枚でより多くのカードを引けるものや、相手のカードに対処しつつカードを引けるものが、引いたカードを通じてこちらを有利に導くのだ。また同様に、それ自身が盤面上の脅威となりながらも手札を減らさないカードも、勝利への道を切り開く。理論上、最終的に片方のプレイヤーがカードを使い果たし、もう一方のプレイヤーがゲームの主導権を握れば、そのまま抵抗を受けることなく勝利できることになる。
最近でも、私たちは《棲み家の防御者》がスタンダードに大きな波を起こしたのを目にした。《棲み家の防御者》の強みはそれ自身が優れた脅威となるだけでなく、大抵の場合で墓地にあるカードを再び使えるようにしてくれて、そのときの状況に応じて最適な動きを行えるところにある。《アブザンの魔除け》を手札に戻して、それで2枚のカードを引くこともしばしばあるだろう。《棲み家の防御者》はこれ1枚で、3枚ものカードが手に入る可能性を秘めているのだ。
そして本日のプレビュー・カードも、カードの足し引きをめぐるゲームを支配する1枚であり、おまけにクリーチャーとしても頼りになるサイズを持っている。《ムラーサの緑守り》をご覧あれ!

《ムラーサの緑守り》は、強打を繰り出せる5/4というサイズで戦場に現れ、着地と同時に墓地からカード1枚手札に戻してくれる。この能力で手札破壊や打ち消し呪文を拾い、繰り出したばかりの5/4を守ることもできる――これは勝利への道が見えたときに有効だ。また、対戦相手に盤面で押されている場合は除去呪文を戻すこともできる。そして、《棲み家の防御者》などのカード・アドバンテージを生み出す脅威を戻し、コントロール・デッキを使う相手を追い詰めていくのもいいだろう。
そんな《ムラーサの緑守り》は、新たなスタンダード環境ですぐに居場所を見つけられそうだ。最前線にパワー5を送り込めれば《包囲サイ》を相討ちに取ることができ、終わってみればこちらは2枚のカードを得ることができる。またパワー5は、「獰猛」との相性も抜群だ。《火口の爪》のようなカードを手札に戻せば、盤面がどれだけ膠着した状況になろうともゲームを終わらせる脅威になるだろう。《火口の爪》と《ムラーサの緑守り》のコンビはきっと、来たる新環境で必殺の決め手として活躍するはずだ。
《ムラーサの緑守り》と組み合わせて最もエキサイティングな相互作用を生み出すのは、《書かれざるものの視認》だろう。《書かれざるものの視認》で《ムラーサの緑守り》を引き当てれば、戦場に出たときの能力で《書かれざるものの視認》を手札に戻せる。そして、それを再び唱えるときは「獰猛」が達成され、戦場に出せるクリーチャーがもう1体増えて盤面の展開をさらに推し進めることができるのだ。ゲームを素早く終わらせる《龍王アタルカ》の姿が見えるまでライブラリーの一番上から8枚のカードを探し続ける、ということも不可能ではないだろう。そして、対戦相手がこちらの脅威に対処できるカードを持っていたとしても、再び別のカードが墓地から手札に戻ってくるのだ。

《ムラーサの緑守り》 アート:Eric Deschamps
これこそが、《ムラーサの緑守り》の常軌を逸した点だ。対戦相手が5/4のクリーチャーに対処できたとしても、その時点でのベスト・カードがこちらの墓地にあれば状況はさほど変わらない。このカードが1枚でも通れば、もう基本的には息切れに陥ることはなくなるのだ。
だが、《ムラーサの緑守り》を用いたランプ・デッキの形を見出すには苦労することだろう。なぜなら現在のスタンダードで使われているマナ加速の多くが、ローテーション落ちしてしまうからだ。幸運にも、『戦乱のゼンディカー』では巨大なエルドラージや植物のクリーチャーを唱えたくなるような世界を訪れる。マナを加速するための手段はきっと豊富にあるはずだ。
《ムラーサの緑守り》を扱う上で最も大きな問題は、多くの場合《ムラーサの緑守り》を戦場に出したターンには別の呪文を唱える余裕がないことだろう。そのため、《ムラーサの緑守り》と一緒に使うことで《頑固な否認》が極めて強力な1枚となる。とりわけアブザンのようなデッキを相手にした場合は、除去を打ち消して《包囲サイ》や《黄金牙、タシグル》との相討ちを狙いたいところだろう。
そしてそのアブザン・デッキも、ローテーションにより《太陽の勇者、エルズペス》を失うため、エルズペスが担っていた「対戦相手にとどめを刺す」役割を新たなカードに求めることになる。そこでも、《ムラーサの緑守り》を最初に試してみるといいだろう。中盤は《包囲サイ》のようなカードで踏み潰し、ゲームが長引けば《ムラーサの緑守り》と《棲み家の防御者》でじっくりと制するアブザン・デッキの姿が目に浮かぶようだね。新たに強力な2マナ域が手に入るかどうかを確認する必要はあるものの、この枠は《道の探求者》や《荒野の後継者》でも大丈夫だろう。
『戦乱のゼンディカー』発売後のスタンダードでアブザンを組むとしたら、叩き台としてこのような形になるだろう。
ジェイコブ・ヴァン・ルーネンの「緑守りアブザン」
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このデッキは、ゲームのどの段階でも対戦相手と渡りあえる。新たなアブザンでは、2マナ域として《荒野の後継者》や《道の探求者》のようなアグレッシブ寄りのカードが選択されることだろう。《ラクシャーサの死与え》も検討の余地はあるものの、《疾病の神殿》のようなカードがローテーション落ちする今、厳しいマナ基盤が求められることになりそうだ。
『戦乱のゼンディカー』はもうすでに、ここ最近で最もエキサイティングなセットのひとつになることが約束されている。中でも《ムラーサの緑守り》は、多くのミッドレンジ戦略に大歓迎を受け、ひとたび戦場に出ればどんな状況でも道を切り開いてくれるだろう。ひとつだけ覚えておいてほしい――《ムラーサの緑守り》の力は、一緒に使うカードの強さに大きく左右される! その色における選択肢の中で純粋に最も強力なカードを使うデッキでこそ、最高の力を発揮するだろう。
知は力なり!
(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV Yusuke Yoshikawa)