お前のものは俺のもの!

更新日 Reconstructed on 2013年 6月 18日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

原文を読む

 均衡を崩すのは気持ちがいいね。

 マジックの黎明期から、プレイヤーとデザイナーは危険な踊りをずっと続けてきた。デザイナーは効果がバランスを取れるように調整し、プレイヤーはその釣り合いを崩そうと努力してきた。初期にあった《天秤》と《Wheel of Fortune》といったカードは、良いバランスとは言えなかった。だが現在でも、《至高の評決》のような全体除去は公平な結果をもたらすわけではない。

 現在のカードは、全体的により慎重な設計がなされている......しかしそれでも、均衡を崩す手段がわずかにあるということだ。

 今回のReConstructedでは、すでに実績のある《至高の評決》という手法のみならず、均衡を崩すさらなる方法を紹介しよう。ああ、なんてことだ。あのカードの内容が、印刷されるべきではないあんな内容に変わってしまうのを、そしてその結果が均衡を大きく揺るがすものであることを、私は心底から望んでいる。

 そしてそれらはすべて、1枚のなんてことのないカードによって成し遂げられる。《概念泥棒》だ。

概念泥棒》 アート:Clint Cearley

 さあ、見てみようじゃないか。

イヴォ・ワーナーの「概念的狂気」

Download Arena Decklist
クリーチャー (10)
3 Gloom Surgeon 3 Snapcaster Mage 4 Notion Thief
ソーサリー (8)
4 Whispering Madness 4 Reforge the Soul
アーティファクト (1)
1 Otherworld Atlas
他 (5)
3 遠隔+不在 2 変化+点火
60 カード

その戦術とは

 何が起こっている? 何の釣り合いが崩されているのか?

 答えはこれら2枚のカードにある。

囁く狂気魂の再鍛
 

 これらのカードは強力な――しかし結局のところは釣り合いの取れた――効果をもたらす。対戦相手は何もしなくてよいのに対してこちらはそれらを唱える行為が必要で、そして対戦相手はこの結果からも何かしらを得る。

 だがしかし、仮に対戦相手がこれらの恩恵を受けなかったら? もしこれらが片方のプレイヤーだけに効果を発揮したら? これらは信じがたいほど強力無比なカードになる!

 そう、ドラゴンの迷路のある新しいカードはその釣り合いを完全にぶった切るに留まらず、唱える側へと恩恵を与える! 《概念泥棒》との相互作用を確認してくれ。

概念泥棒
 

 それは単純なものだ。戦場に《概念泥棒》を出して《囁く狂気》か《魂の再鍛》を唱えれば、対戦相手はすべての手札を捨てる......そしてこちらは通常の枚数に加えて、全ての対戦相手が引くはずだった分のカードも引くことになる! 《魂の再鍛》ならば、14枚のカードを引くことを意味する。 14枚ぽっちでは飽き足らないというなら、《囁く狂気》を唱えてカードをさらに引き、《概念泥棒》に暗号化して、攻撃してまたまた大量のカードを引くことも可能だ。

 これはいいね。こっち側に都合の良いように釣り合いを破壊しようじゃないか。

 このデッキは見た目上、対戦相手のクリーチャーを除去してゲームの流れを支配する、まさに3色コントロール・デッキのように振る舞っている。しかしこれはいつでも対戦相手の足元から攻撃手段を引っこ抜くのをやめて、ターン終了ステップに《概念泥棒》を出していける。

 どうやって勝とう? まあ、実際にダメージを与えていく方法はさておき、このデッキには《心理のらせん》が2枚投入されている。手札を捨てまくれるほどカードを引きまくることでデッキを思いっきりすり減らしてから、対戦相手のライブラリーを削るために捨てまくったカード全てをぶつけることができる。加えて、これは要はコントロール・デッキなのだから――大量にカードを引くことでゲームをコントロールして自力で勝つ助けともなる。

心理のらせん
 

デッキ詳細

 個々のカードを調査して、残すに値するのは何かを確認しよう。

概念泥棒
 

 これはこのデッキの中核となる要素の1つだ。これは《魂の再鍛》や《囁く狂気》のようなカードを完全なぶっ壊れへと作り変える。加えて、《概念泥棒》はコントロールデッキが用いる《スフィンクスの啓示》に対するかなり素晴らしい武器だ――これによりそういったデッキに対してメインデッキから巨大な優位性を与えてくれる。こちらがコントロール・デッキからビートダウンへと移行するときには、パワー3もまた適当な圧力となる。

 このように《概念泥棒》はこのデッキの中核なので、絶対に4枚使いたい。

瞬唱の魔道士
 

 おそらく《瞬唱の魔道士》のいつもの長所というやつについて改めて賛辞の言葉を贈る必要は無いだろう――2/1の姿を現して呪文を再利用することを《瞬唱の魔道士》はほぼ2年間首尾よくやってきている。代わりに、このデッキにとってとりわけ重要ないつもとは違う役割を2つ贈ろう。

 まずは、《心理のらせん》を再利用できるということだ。これが全て墓地に落ちてしまっても、《瞬唱の魔道士》は依然変わりなくゲームを決めることを助けてくれる。

 さらに、これは《囁く狂気》ともうまく働く――2つの理由でね。1つ目は明白だ。《瞬唱の魔道士》は2/1クリーチャーなので、必要なら暗号化先にできる。2つ目はやや分かりにくい。《瞬唱の魔道士》で墓地の《囁く狂気》を使った場合、同様に暗号化先にできる! フラッシュバックすることでカードを取り除くためやや直感的ではない相互作用ではあるものの、暗号を持つ呪文を暗号化するためにはカードを追放しさえすればよいので、きちんと機能する。

 当たり前だが、《瞬唱の魔道士》はこのデッキにおいて有効だ。手札がこれで詰まる恐れがあるので4枚は入れたくなく、まさにイヴォが選んだ3枚という数が正しいと思う。

鬱外科医
 

 《鬱外科医》は良いブロッカーたりえる。作戦を実行に移そうとする間、こいつは居座ってダメージを吸収してくれる。

 しかしながら、2マナ2/1という点では全くつまらないカードだ。実際、こいつはちょっとした負担になる――万が一にも《心理のらせん》を追放してしまったら? ここには普通に除去呪文を入れるほうがよいと思う。さよなら《鬱外科医》!

魂の再鍛
囁く狂気

 さきほど強調したように、これらのカードは《概念泥棒》と共に重要な部分となる。おまけにこれらは単体でもまあまあで――《瞬唱の魔道士》に《囁く狂気》を叩き付けてそのまま対戦相手に向かってぶらり旅に出るという戦況も確かにあるだろう。(正確に言えば、お得な旅へとね。)この2種のカードに関する1つの重大な点は、《概念泥棒》へと掘り進んで近づくことができるところにある――そして《囁く狂気》の場合それをどこかに暗号化できれば、最終的に《概念泥棒》を引き当てることでそれ以上は何も探さなくて良い。

 通常はデッキにこれらを4枚ずつ入れたいとは思わないのだが、このデッキの強力なコンボは出来る限り実行したい。その結果、それぞれ4枚ずつの投入となる!

心理的打撃
 

 打ち消し呪文はこのデッキで間違いなく利用できるようにしておきたい。こちらが山ほどカードを引いて相手が手札を捨て続けているなら、相手の実際の手札はライブラリーの一番上からのものということになり――そして打ち消し呪文はその今引きの夢を消し去る。解決すべき唯一の問題は、何を何枚入れるか? というものだ。

 3~4枚という数は正しいように思える。その一方で、《心理的打撃》を用いようとは思わない。対戦相手のライブラリーを2枚分多く墓地に送れるが、《心理のらせん》を使うなら2枚追加することは重要かな?(おまけにその2枚で《堀葬の儀式》のようなものがめくれたらひどいもんだよね。)代わりに、むしろ《雲散霧消》を入れたい。マナの支払いはやや厳しいが、その効果ははるかに魅力的だ。

 《雲散霧消》は2枚がちょうどよさそうだ。この枠にほかの打ち消し呪文を加えるなら何がいいか? このデッキによく合うのは《払拭》だ!

 このようなデッキに対して多くの人はこちらの《概念泥棒》をどうにかしてやろうと考えるだろう。こちらが相手のターン終了ステップにそれを出してからアンタップし、意気揚々と《囁く狂気》を叩きつけようとすれば、相手は単にそのイカレた状況になる前に《灼熱の槍》やそれに類するものを唱えてくるだろう。青マナ1つのコストだけで、《払拭》はその問題を解決してくれる。《払拭》を構えて《概念泥棒》を唱えられる5ターン目まで単に待つことで、こちらは十分優位に立てる。メインデッキに3枚以上は望まないが、間違いなくサイドボードから4枚にできるようにする。(そして同様に《強迫》も用意するだろう。)

思考掃き
 

 《思考掃き》は序盤から円滑に《瞬唱の魔道士》を使う助けとなる低コストのキャントリップ(カードを引くと共に小さな効果をもたらすカード)として合理的な選択肢だ。しかしながら、これは他の選択肢を押さえてデッキに残すほどに十分な効果とは言えない。私はどちらかといえば序盤にカードを選別するカードとして《イゼットの魔除け》を選択したい(詳細はこのあとすぐ)。そしてデッキに限られているスロットを効果の低いカードで埋めることはできないので最終的に外すことになる。

除去:《遠隔+不在》、《変化+点火》、そして《サイクロンの裂け目

 このデッキがメインから《概念泥棒》と《払拭》を投入していることによりコントロール・デッキに対して極めて優位である一方で、クリーチャー・デッキがこのデッキを押し切らぬように配慮することも重要だ。クリーチャー・デッキに対してもエンジンを回転させられれば、いい調子だろう――だがそのためには長生きしなければならない。それは除去の役目だ。

 《遠隔+不在》は素晴らしい。展開を少し遅らせるのみならず、いったん5マナを払えるようになれば猛攻の流れも完全に変えられる。3枚は正しい数のように思える......《遠隔+不在》ばかり来ても困るが、序盤に1枚はあると良いからだ。

 《サイクロンの裂け目》は序盤の時間稼ぎになる――だがそれが全てではない。《魂の再鍛》や《囁く狂気》を伴うことでかなりおかしいことになる。《概念泥棒》が無いとしても、対戦相手のターン終了ステップに土地でないパーマネントをすべて戻させてしまい、こちらのターンにそれらを全て捨てさせることが可能だ――そしてその前に《概念泥棒》を出せていれば、対戦相手は何もかも失ってしまうだろう! ここでは2枚でよさそうだ。

サイクロンの裂け目
 

 《スラーグ牙》、《静穏の天使》、その他諸々を機能停止させるので、普段の私は《変化+点火》の大ファンだ。しかしながら、このデッキでは、もっと良い除去の選択肢があるように思える。遅い展開ならこのデッキはうまくやれるのだから、むしろ序盤の巨大な脅威をどうにかできるカードを使いたい。《ミジウムの迫撃砲》はここで代わりとして採用したいカードだ。与えるダメージは4点と大きく、さらに長期戦での超過能力は大したものだ。

 《ミジウムの迫撃砲》を足すことに加えて、私はさらに《イゼットの魔除け》も用いたい。手堅い除去呪文というだけでなく、コンボを守る打ち消し呪文でもあり、さらに序盤にカードを選別することも可能だ。《囁く狂気》と《魂の再鍛》がそれぞれ4枚あることが原因で初手がガタガタになっても、《イゼットの魔除け》なら簡単に余分なものを捨ててくれる。

ミジウムの迫撃砲イゼットの魔除け
 
心理のらせん
 

 単純に戦況をコントロールしてしまうほかに、別の勝利条件としてこれがある。分厚いカードの束を引いては捨てることを続けてから、これで対戦相手をライブラリー切れにしてしまえるだろう。投稿されたデッキでは必要に応じて循環できるように2枚にしていたのが気になった。

 私はこれに2枚分の枠を費やすのはどうかと思う。ほとんどの対戦で助けとなるので1枚投入は評価できるが、序盤に引きたいとは思わないし、デッキにはすでにもっさりと遅いカードが大量だ。1枚きりの懸念はどこかでそれを捨ててしまわないかというものだが、デッキの《瞬唱の魔道士》によってかなり安心感がある。長期戦で《瞬唱の魔道士》を使い果たし《心理のらせん》も捨ててしまえば失敗することになるだろう。しかし注意深くプレイすれば、1枚で十分となる。

墓所への乱入
 

 このカードをデッキに投入しておくのはかなり冴えた思いつきだ。《墓所への乱入》は構築の筆頭カードではないが、このデッキに用いるのはかなり道理に適っている。ビートダウン・デッキに対して、対抗策を何もかも詰め込むこともできるが――その後にライフが少ししか残っていなければさらなる攻撃か《灼熱の槍》のトップデッキで死ぬ。《墓所への乱入》はその範囲から遠ざかり、いくつものクリーチャーを除去してそれ以外を捨てさせる展開の後に大量のライフを獲得できる。

 正しい投入数は何枚だろうか? 私は1枚ちょうどが好みだ。デッキが回っていればそのうち見つかるだろうから使うのに問題は無いし、普段引くことはめったにないので序盤の手札をふさぐこともない。おまけにこのカードは《堀葬の儀式》に対しても有効なので、サイドボードにもう1枚用意することも検討できるだろう。

別世界の大地図
 

 このカードと《概念泥棒》の組み合わせはかなり有効だ。しかしながら、《概念泥棒》とのコンボ用にすでにソーサリー速度のカードを8枚も投入しているので、9枚目が欲しいとは思わない。いかした考えではあるものの、これは必要ないだろう。(これは相手の手札を破壊せず、《魂の再鍛》と《囁く狂気》はどちらもそれを大きな売りとしている。)

 挙げてきた全ての変更と共に、加えたいものがあと1つだけある。《霊異種》1枚だ。ビートダウン方面に向かわねばならない時があるだろうし、《霊異種》はその仕事にうってつけのクリーチャーだからね。これは除去するのが難しく、単体でゲームを終わらせられるので、1枚あればいい。デッキを掘り進めるうちにこれを見つけたならとりあえず取っておいて、ゲームを決めるために使うことができる。《囁く狂気》コンボ状態なら《心理のらせん》で速やかに勝てるが、そうじゃない場合は終わらせるために《霊異種》を用いればよい。

 最終的なデッキリストはこうなる。

ガヴィン・ヴァーヘイの「澄んだ瞳と、完全な手札があれば、負けるわけがない」

Download Arena Decklist
 

 《概念泥棒》は釣り合いを取るためのカードだが――このデッキが行うのはそれとは正反対だ。このデッキの引きはまったく異常で、早ければ5ターン目には対戦相手が勝つ可能性を取り去ってしまうこともある。その上《ネファリアの溺墓》でのライブラリー破壊という脅しをいつでも実行できるため、このコントロール構造はこのデッキに重要な手数をもう少し与えてくれる。

 このデッキを構築して試してみてくれ! 『マジック基本セット2014』が来るまでのあとわずかなスタンダード環境だが、やれることはまだ大量にある。

 そしてスタンダード環境について話したいことも大量にね......

惜しくも選ばれなかったデッキたち

 今週も非常に興味深いデッキが大量に送られてきた。3ターン目に確殺できる《ニヴィックスのサイクロプス》デッキ? 《呪文ねじり》コンボ? ワーム部族デッキ!? その全てを――見てくれ!

セキノ トモユキの「3ターンでサヨナラ」

Download Arena Decklist
 

ニックの「無限ねじり」

Download Arena Decklist
 

リングオの「解放の門」

Download Arena Decklist
 

ティボルト・アドソンの「やっかいなティボルト」

Download Arena Decklist
クリーチャー (5)
3 ボーラスの占い師 2 瞬唱の魔道士
ソーサリー (2)
2 神秘の回復
アーティファクト (4)
4 別世界の大地図
他 (8)
4 遠隔+不在 4 労苦+苦難
60 カード
 

フランソワ・レベルの「ワームの部族」

Download Arena Decklist
 

ルーク・ポールセンの「まばたき禁止」

Download Arena Decklist
 

デイヴィッド・デフラティスの「ターボフォグ」

Download Arena Decklist
 

サム・ホームズの「ヴァロルズで高笑い」

Download Arena Decklist
 

ライアンの赤青緑アグロ

Download Arena Decklist
 

イツカ ヤヨイの「ジェネシス・バーン」

Download Arena Decklist
クリーチャー (6)
4 ボーラスの占い師 2 瞬唱の魔道士
インスタント (7)
4 灼熱の槍 3 熟慮
エンチャント (1)
1 全知
他 (4)
4 捕獲+放流
60 カード
 

ラリー・リャンの「グリクシス残虐」

Download Arena Decklist
クリーチャー (8)
4 瞬唱の魔道士 4 残虐の達人
ソーサリー (6)
4 強迫 1 ラクドスの復活 1 殺戮遊戯
他 (4)
4 遠隔+不在
60 カード
 

ライアン・シュウェンクの「死神への支払い」

Download Arena Decklist
 

アダム・Wの「活用ジャンド」

Download Arena Decklist