すべてが奇魔になる

更新日 Reconstructed on 2013年 5月 14日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 ラヴニカ世界に渦巻く陰謀は形を成し、迷路が動き出した。この「暗黙の迷路」の果てにある神秘はいま、白日の下となっている。

 私たちはこれからどうなるんだろう?

 ちょっと奇妙な……いや「奇魔」な体験をすることになる。

 今週、私はメール受信ボックスにエキサイティングでオリジナル性溢れるデッキリストをたっぷりと受け取った。そのなかでも、ブランドン・クロフォード/Brandon Crawfordが送ってくれたものほど心くすぐられるものはなかったよ。そのコンセプトは、ちょうど以前奇魔が関係するコンボ・デッキが受信ボックスに現れたときのように、私を捕らえて離さなかった。私はパソコンの電源を落とした後もずっと考え続けた。「こいつがうまくいく可能性があるってだけでも傑作だな……」

 本日手がけるデッキを目にする覚悟はできたかい? 見てみよう!

ブランドン・クロフォードの「筋金入りのメーレク狂」

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    その戦術とは

 ニヴ・ミゼットの名の下で、一体何が行われているんだ?!

 ご説明しよう。

 《イゼットの模範、メーレク》は、『ドラゴンの迷路』のなかでも私のお気に入りのカードのひとつだ。実際、私がこいつを使ってヘンテコなデッキを量産し、「そのせいで」こいつのコストが5マナから6マナになってしまったほどだ。ところが、今回のデッキは《イゼットの模範、メーレク》をまったく新しいレベルへ引き上げる仕掛けを備えている。


 《イゼットの模範、メーレク》が戦場にいる間、君はライブラリーの一番上のカードを公開したままプレイし、それを唱えるだけでなくコピーすることができる。1マナや2マナのドロー・スペルが詰まったデッキと力を合わせることで、例えば《思考掃き》は4枚削って2枚引くカードに、《捨て身の狂乱》はそこからさらに2枚手札を増やすカードとなり、ものすごい速さでデッキを掘り進めることができるのだ。その上、コピーの解決中でもインスタントタイミングのカードは使えるので、次から次へとスペルを撃てるわけだ。

 さて、このまま高速で自分のデッキをひっかき回すだけでは、事態は進展しない。様々なことが起きるものの……結果的には勝利に向かっていない。

 そこで《研究室の偏執狂》の登場だ。


 すると一転して、デッキのカードを次から次へと回すのがたまらなく面白くなる。

 イカれてる? そうだな! めちゃくちゃ? いやまったく! 楽しいの? もちろんだ!

 それじゃあ、手を加えられるところを見ていこう。

    デッキ詳細

 このデッキに噛み合うもの、そして迷路が見せる神秘へたどり着けるものはどれだろう? カードをひとつずつ検討して、調整できるものを確認していこう。

 《イゼットの模範、メーレク》はこのデッキの鍵となるカードのひとつだ。伝説のクリーチャーであることが不運ではあるものの、彼はこのデッキの持つゲーム・プランには欠かすことはできず、4枚投入はまったくもって正しい。《捨て身の狂乱》のようなカードと一緒に使うなら尚更、《捨て身の狂乱》をびくびくしながら唱えなくてもいいように、《イゼットの模範、メーレク》は十分な数を入れておきたい。

 このデッキの《イゼットの模範、メーレク》について、心に留めておいて欲しい大切なことがひとつある。コピーはひとつずつ別々に解決される、ということだ。例えば、ライブラリーの一番上が《熟慮》だとしよう。それを唱えると、今度は土地が公開された。続いて《熟慮》のコピーが解決されてその土地を引くと、そうだな、次に公開されたのは《思考掃き》だった。

 普通ならそこで次のドローは《思考掃き》なのだが……この場合は、元の《熟慮》が解決される前に《思考掃き》を唱える(そしてコピーも!)ことができる。《思考掃き》がさらに多くのカードをかき分け、スペルを唱える機会をもたらしてくれるだろう。これは《イゼットの模範、メーレク》を使うときのちょっとしたテクニックだが、間違いなくこのデッキの生命線だ。お忘れなく。

 もうひとつのキー・カードは《研究室の偏執狂》だ。もちろん何枚か採用したいけれど、ここで問いかけるべき問題がある。何枚入れるのが適切なのか。そして、この戦略にすべてを託してしまっていいのか?

 学生時代、私が創作の授業を受けていたときに、教授がくれた言葉がある。「良い物語というものは必ず、異なる筋書きが少なくとも2つはあるんだよ」。この言葉は、それ以来私の胸に刻まれている。私は、デッキ構築についても同じことが言えると思っている。物語に「筋書き」を複数持たせるように、攻め筋を複数持つことがゲームを円滑に進める上で重要なことなのだ。

 つまりどういうことか? 私は、勝利のためには理性も捨てて対戦相手を退けることに「偏執する」ようなプランをサポートするものが、大好きだということだ。今回のプランは長期戦を戦えるしっかりしたものではあるけれど――他にも攻め筋が欲しい。幸いにも、《イゼットの模範、メーレク》は別の戦略でも良い働きを見せてくれる。それはバーン戦略だ。

 火力呪文はこのデッキにこそ必要なクリーチャーを制する手段をもたらすだけでなく、《灼熱の槍》のようなシンプルなカードが倍になれば、いきなり6点ものダメージを対戦相手に叩き込むことができる。純粋に対戦相手のライフ総量を0にするため使うこともできるし――あるいは対戦相手の盤面にあるものを灰にして、《研究室の偏執狂》による勝利へ向かって動くこともできるのだ。

 どうしてここでこの話を持ち出したかって? 《研究室の偏執狂》と同じ3マナ2/2ということなら、バーン戦略に合致した対抗馬《どぶ潜み》がいるからだ! 1ターンの間に4回以上続けざまにスペルを唱えることがお手のものなら、《どぶ潜み》はあっという間に対戦相手の心臓へ氷片を突きつけることができるだろう。《研究室の偏執狂》はゲームの最終盤までは何もしないので、枚数は必要ない。呪文を唱えるための積極的な理由となるカードとして、私は《どぶ潜み》を2枚加えるつもりだ。

 一見すると、《ゴブリンの電術師》はこのデッキにふさわしいように見える。しかし、バーン寄りの変更を加えるならば、私はコストの高い呪文を抜いていくだろう。《捨て身の狂乱》や《熟慮》のコストが少なくなるのは、いざ動き出そうというときに心強いけれど、私が検討しているスペルには《ゴブリンの電術師》の恩恵を受けないものもある。さらに、《イゼットの模範、メーレク》の効果をできる限り有効に使うため、スペルの絶対量は確保しておきたい。

 一見すると、《ゴブリンの電術師》はこのデッキにふさわしいように見える。しかし、バーン寄りの変更を加えるならば、私はコストの高い呪文を抜いていくだろう。《捨て身の狂乱》や《熟慮》のコストが少なくなるのは、いざ動き出そうというときに心強いけれど、私が検討しているスペルには《ゴブリンの電術師》の恩恵を受けないものもある。さらに、《イゼットの模範、メーレク》の効果をできる限り有効に使うため、スペルの絶対量は確保しておきたい。

 《ゴブリンの電術師》は決して悪いものではない。しかし一方で、デッキにカードを入れるということは他に使いたいカードの枠を圧迫するということだ。私は、こいつを使うよりはスペルを入れたいのだ。

ドロー・カード

 ここでちょっと、このデッキに入っている4種類のドロー・カードを見ていこう。すなわち《信仰無き物あさり》、《捨て身の狂乱》、《思考掃き》、《熟慮》の4枚だ。

[card]思考掃き++捨て身の狂乱[/card]

 《思考掃き》は、今回のようなデッキでは4枚安定のカードだ。こいつはこれ1枚でデッキを3枚掘り進める「キャントリップ(カードを1枚引ける効果)」持ちのカードで、《研究室の偏執狂》が目指すところに合っている。《イゼットの模範、メーレク》が戦場にいる場合は、スペル以外のものが公開されても《思考掃き》がそれを払いのけ、理想的なトップにするため手を貸してくれるだろう。また、《熟慮》や《捨て身の狂乱》のような、墓地から撃てるスペルの供給もしてくれる。

 《熟慮》と《捨て身の狂乱》の2枚なら、私は《捨て身の狂乱》に強い期待を抱いている。《熟慮》より1枚多くデッキを掘り進められるという効果は、ゲームが進む中で複数枚解決されることになれば、大きな違いを生み出すことだろう。

[card]熟慮++信仰無き物あさり[/card]

 《熟慮》は、まったくと言っていいほど私の気を引くものではない。それでも、使いやすさという点ではこれ以上のものはない。《イゼットの模範、メーレク》が戦場にいる状況では《熟慮》は他と比べて胸が躍るものではないけれど、こいつはゲーム序盤のドローを円滑に進める助けとなってくれる――それに《イゼットの模範、メーレク》がいる場合でも2マナで2ドローと、十分満足できる効果だ。墓地にカードを送るというなら《禁忌の錬金術》を検討する余地は確かにあるが、黒をタッチしないならやや《熟慮》に劣ると思う。(とはいえ、黒をタッチしたバージョンを試してみるなら、《禁忌の錬金術》のフル投入をオススメするよ。)今回は《熟慮》を1枚か2枚削ることになるかもしれないけれど、全部抜こうとは思わないかな。

 そして、《信仰無き物あさり》はこのデッキにとって最高のカードだ。こいつは《思考掃き》で墓地に落ちてもフラッシュバックして必要なカードを引き込む助けとなり、手札を充実させてくれる。ぜひ4枚全部入れさせてくれ。

防御面

 今回ブランドンが身を守るためにとった戦略は、青い《濃霧》系のカードを大量に使って、デッキをひっかき回す時間を稼ぐというものだった。《圧縮》、《サイクロンの裂け目》、《暴突風》、これらすべてがそのために使われる。

 オリジナル性があり工夫の行き届いたプランではあるものの、実際にコンボの準備が整うまで間断なく防御的な呪文を撃ち続けるのは難しいだろう。私はもっと一般的な方法を採用したい――火力呪文を使うのだ。

 このデッキで使うならこれだ、というものが頭の中に4枚浮かんでいる。

 まず、シンプルながら強力な《灼熱の槍》だ。こいつは対戦相手が繰り出す序盤の脅威のほとんどを2マナで排除することができる。その後も勝利への道を行く途中で、《イゼットの模範、メーレク》のおかげで対戦相手のライフを6点削る火力として使えるだろう。

[card]灼熱の槍++イゼットの魔除け[/card]

 次に、《イゼットの魔除け》。こいつは対戦相手を対象に取れないが、その汎用性の高さは欠点を補って余りあるものだ。第一に、2枚引いて2枚捨てる効果によって《研究室の偏執狂》を引き込んでこられる。それから、クリーチャーでない呪文が通りずらくなることで対戦相手に制限をかけ、わずかながら防御にも役立つ。すでに2マナでクリーチャーに対処できる他の呪文を加えているので、多くは入れたくないところだけれど、2枚は採用したいな。

 続いて《忌むべき者のかがり火》だ。今そう聞いて、君たちはこんな風に思うだろう。「待ってよガヴィン! 《忌むべき者のかがり火》じゃ《イゼットの模範、メーレク》と噛み合わないじゃないか」と。まあ理屈的にはそうだね。でも、ちょっと考えてみてくれ。まず、《忌むべき者のかがり火》がライブラリーの一番上にあるなら、何はともあれ絶好の位置にあると断言できる。

 それから、《忌むべき者のかがり火》を《イゼットの模範、メーレク》でコピーした場合、そのダメージ量は奇跡で撃った場合とほぼ同じなのだ! 《忌むべき者のかがり火》をライブラリーの一番上から5マナ払って唱え、それが無事解決されると、4点分のかがり火を撃ち込むことになる。さらに、《忌むべき者のかがり火》「2回」ということはつまり、《前線の衛生兵》なら2体いないと止められないということだ。3枚採用!

[card]忌むべき者のかがり火++ミジウムの迫撃砲[/card]

 そして最後に、《ミジウムの迫撃砲》。《イゼットの模範、メーレク》といつでも噛み合うわけではないので採用するなら数を抑えたいものの、私はかがり火に加えて対戦相手の盤面を流す手段が欲しいと考えた。また、こいつはゲーム序盤の除去としても優れたカードなので、柔軟に使うことができるのだ。

 仕上げに、私はどうしても4枚フル投入したいカードがある。《時間の熟達》だ。《イゼットの模範、メーレク》から《時間の熟達》を唱えると、《時間の伸長》相当のとんでもないことが起きる。序盤に奇跡しても、土地を伸ばして6マナの《イゼットの模範、メーレク》を繰り出すための後押しをしてくれるだろう。手札を選別するカードの数々を用いれば、引きすぎた分を墓地に落とすのも実に簡単なことだ。ゲーム後半は、続けて2ターンを得ることでゲームを完全に支配することになるだろう。そして何と言っても、最高に楽しいじゃないか!

 さて、これらすべての変更を加えたら、デッキはどんな風になるだろう? よし、こんな感じでひと区切りとしよう。

ガヴィン・ヴァーヘイの「奇跡、奇才、そして奇魔」

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 こいつはイゼット・ギルドの誇る、愉快でブッ飛んだデッキだ! 今週末(原文掲載時)発売の『ドラゴンの迷路』で《イゼットの模範、メーレク》を引き当てて、君たちがよく行くイベントに備えてくれ。きっとこのデッキは驚かれるぞ。

 これまで長く遊んできたなかでも、《イゼットの模範、メーレク》は最高に楽しいカードのひとつだ。《未来予知》が大好きなら、きっと《イゼットの模範、メーレク》も好きになるはずだ。ぜひ試してみてくれ!

    惜しくも選ばれなかったデッキたち

 他に私の目を引いた『ドラゴンの迷路』入りデッキはどんなものだろう? 見てみよう!

ヒラカワ ワタルの「飛び立つドラゴン」

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ティボルト・アドソンの「ラヴィニア・ブリンク」

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タカハシ カズヤスの「ジャンド」

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ニシウラ ナツの「イクサヴァ注意!」

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キラ・ダムールの「4人組」

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マーク・イアン・アローソの「似通ったトークン」

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ミロス・グヴォズデノヴィッチの「残虐の達人」

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(以下のデッキ募集部分は、原文・本日(5月14日)掲載分の記事から収録しております。 この節の文責・編集 Yoshikawa)

    モダンの熟達

(訳注:この週の内容はラヴニカへの回帰・ブロック構築のボロス・デッキに関するものでした)

 皆さんが今週のブロック構築・ボロス特集を楽しんでくれたらと思う! 赤に何か色を足したものが結局成功を収めるのか、あるいは赤単がアグロ・デッキの最右翼になるのか? そう、答えが出るまでにそう長くはかからない――今週末はプロツアー「ドラゴンの迷路」だ! どのデッキが最終的に頂点に立つのか、非常に興味深く見ている。

 それまで、もしブロック構築は制限が多すぎるフォーマットだというなら、それとはまったつ違うものを見ていこう――モダンだ! 2週間後(翻訳掲載は4週間後)は、『Modern Masters』のプレビュー週間だ! 今年の中でも注目の高いセットがまもなく発売され、2週間後にはここDailyMTG.comで数枚のプレビュー・カードを見ることができるだろう。モダンに主題を置き続けるべく、もう一度モダンに挑戦してみないか?

フォーマット:モダン
デッキの制限:なし!
締め切り:5月20日(月)午前10時(日本時間)

すべてのデッキリストを英語で、こちらのリンク先のフォームからメールでお送りください。デッキリストの提出時には、以下のようなフォーマットで入力してください。(必ずしも下記のような枚数通りのものでなくてもかまいません。あくまで一般的にデッキリスト記入のレイアウトを示すものです。)

あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)
Standard(フォーマット)
20 Land(土地カード 枚数とカード名・英語で)
20 Land
4 Creature(クリーチャー・カード 枚数とカード名・英語で)
4 Creature
4 Other Spell(その他の呪文カード 枚数とカード名・英語で)
4 Other Spell
4 Planeswalker(プレインズウォーカー・カード 枚数とカード名・英語で)


 今週はここまで! 何か質問や感想があれば、気軽にフォーラムへ投稿したり、私にツイートを送ってほしい。

 週末は、お披露目されるプロツアー「ドラゴンの迷路」を楽しもう!

Gavin / @GavinVerhey


(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing)

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