エムラクールを3ターン目に唱えよう

更新日 Reconstructed on 2014年 4月 8日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 3ターン目に《引き裂かれし永劫、エムラクール》を唱えるデッキ? ただ戦場に出すだけじゃなく「唱えて」、追加ターンを含めたすべての力を発揮するデッキだって? モダンはいつだって心が躍るサプライズいっぱいのフォーマットだけれど――こんなデッキを作ることになるなんて思いもしなかった!

引き裂かれし永劫、エムラクール》 アート:Mark Tedin

 ちょっと落ち着いて話を戻そう……

 モダンというフォーマットには、本当に多くのカードが潜んでいる。深く掘り下げるたび、見たことのないアドバンテージを得ることができる相互作用を見つけられるほどだ。以前にも言ったけれど、改めて宣言しよう――この「ReConstructed」の中でも、モダンを取りあげる週は書くのが楽しくて仕方がない。みんなが送ってくれるクールなデッキの数々には、いつも舌を巻いているよ。

 今週も素晴らしいデッキをたくさん受け取った――デッキ構築の新しい基盤を見つけ出すなら、記事の最後の「惜しくも選ばれなかったデッキたち」もお見逃しなく。今回もひとつのデッキが私の心を捕らえ(盗まれたと言ってもいいくらいだ)、私はすっかり夢中になった。カイル・ケイシー/Kyle Caseyが送ってくれた《太陽の拳》デッキをご覧あれ!

カイル・ケイシーの「エルドラージの拳」

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その戦術とは

 《太陽の拳》。『フィフス・ドーン』にひっそりと佇むこのささやかなアーティファクトのことは、たぶん多くの人が忘れてしまっているだろう。あれからずいぶん長い時間が経ったが、私はこのカードが話題にあがったのを聞いたことがない。

 通常、ひとつの呪文に全色のマナがひとつずつかかるというのは少々使いにくく、それだけのマナを確保するのもひと苦労だ。しかし、 フェッチランドと2色土地からなるマナ基盤が扱えるモダンなら、そして、唱えようとしているカードのコストが15マナという大きさなら、《太陽の拳》の使用は有力な選択肢になるだろう。

 さらに、《引き裂かれし永劫、エムラクール》をこっそりと戦場へ繰り出すだけの多くのカードと違い、《太陽の拳》は堂々と「唱える」ことができる! つまり追加ターンを含めたすべての能力をきちんと得ることができるのだ。今回のデッキはそれを4ターン目にできるよう作られているが――ここから調整を加えれば、最初に触れた通り3ターン目の実現が可能になるぞ。詳しいことは後で語っていこう。

 今回のデッキが目指すのは、マナ加速から《太陽の拳》を繰り出し《引き裂かれし永劫、エムラクール》まで繋ぐことだ。ではそのために、どうやって調整を進めていくべきだろうか?

 最初に手がけるべきは、すべてのパーツをしっかりと引き締めることだ。申し分のない選択が行われている部分はあるけれど、まだ改善の余地もあるぞ。それから、これは何度も言っているが、良いデッキというものは複数の軸を持っている――過剰な部分は削りつつも、ふたつ目の攻め筋を用意しておくのは今回のデッキでも役に立つだろう。最後に、今回のような《太陽の拳》デッキは(ネット上では「DzyL」として知られる)マジック配信界の有名人ヤン・ファン・デル・フェクト/Jan van der Vegtも最近使っている(リンク先は英語)けれど、私はこのデッキを彼とはちょっと違った方向から仕上げようと思う――結果的に似通ったものになってしまうのは仕方がないとしても、ただ彼のデッキをなぞるだけでは意味がないからね。

 それじゃあいいかい? 《太陽の拳》の中に握られたものを見ていこう!

デッキ詳細

 今回のデッキにぴったりなものと、ちょっと合わないものはどれだろう? デッキのカードを1枚ずつ通して見て、確認しよう。

極楽鳥

 今回のデッキが持つ主なゲーム・プランは、マナ加速から《太陽の拳》に繋げて《引き裂かれし永劫、エムラクール》を叩きつけることだ――そして《極楽鳥》はその目的に適った働きを大いに見せてくれる。こいつは1ターン目に戦場に現れて、その後の準備すべてに力を尽くしてくれるのだ。今回のデッキの先導役としてカイルが採用したのは、こういうマナ加速をするクリーチャーであり――私もそこにはこだわりたい。

森の女人像

 5色生み出せるマナ加速カードはもうひとつ用意しておきたいところで、2マナ域なら《森の女人像》は最高の選択肢のひとつだ。こいつは必要に合わせてどの色のマナでも生み出せるだけでなく、クリーチャーであるためブロックにも参加でき、序盤のダメージを抑えてくれる――今回のようなデッキではそれが大事だ。喜んで4枚すべて採用しよう。


 カイルのデッキリストには、様々なエルドラージが合わせて6枚見受けられる。《背くもの》3枚に、エルドラージ界の「巨星」が1枚ずつ――《真実の解体者、コジレック》、《無限に廻るもの、ウラモグ》、そして《引き裂かれし永劫、エムラクール》が採用されているね。

 通常とは異なる方法でカードを戦場に出すなら、最も強力なものを選びたいところだ。どうせマナコストを無視して繰り出すなら、できる限り強いカードを使わない手はないだろう? そのため、私は元のリストをより洗練されたものにしたい。何よりもまず、《引き裂かれし永劫、エムラクール》を4枚にすることから始めるべきだ――こいつが最も強力であり、また唱えたときに追加ターンを得るため、速攻を持っているようなものなのだ。

引き裂かれし永劫、エムラクール

 残りの枠は選択肢が多いと思う。《真実の解体者、コジレック》や《無限に廻るもの、ウラモグ》は確かに悪くない。それから《時間の伸長》や《残酷な根本原理》みたいなカードも決して馬鹿にできない――この2枚はどちらも大逆転を生み出せるのだ。それでも私は、最終的に《グリセルブランド》を選ぶところに落ち着くだろう。特に目新しい選択ではないし、《時間の伸長》ほど爽快感のあるものでもないけれど、《グリセルブランド》はただ単純に強力だ。こいつを唱えれば、基本的に後続も約束されるのだ。私は《引き裂かれし永劫、エムラクール》4枚に加えて、あと3枚分の枠を用意したい。そこに入るのは《グリセルブランド》だ。

グリセルブランド

太陽の拳

 こいつは今回のデッキの基盤となる重要なカードのひとつであり、絶対に数を減らすわけにはいかない。毎ゲーム1枚は引き込みたいところだ。

 しかしながら、いくらライブラリーを掘り進めても、《太陽の拳》が毎ゲーム必ず簡単に手に入るわけではない。私はいつも、デッキにバックアップ・プランを持たせるよう強く心がけている――そして、今回のデッキにはぴったりなものがあるのだ。《裂け目の突破》だ。

 《裂け目の突破》は、5マナで《引き裂かれし永劫、エムラクール》や《グリセルブランド》を繰り出し、そのまま攻撃に向かわせることができる。ゲーム序盤にそれらが現れれば、対戦相手がそのターンにコンボを決めでもしない限り勝利は揺るがないだろう。《裂け目の突破》4枚。これが私の選ぶ道だ。

彩色の灯籠

 《太陽の拳》のためにいつでも全色用意できるようにするなら、《彩色の灯籠》はなかなか気の利いた手段だ。こいつはマナの管理を楽にしてくれる。

 ところが、《彩色の灯籠》には難点がある。こいつを機能させるには時間がかかり、また今回のデッキではとりわけ貴重なカード枠を埋めてしまうのだ。ありがたいことに、フェッチランドと2色土地のおかげで、5色すべてのマナを存分に扱えるマナ基盤を作るのは実に簡単だ。《彩色の灯籠》は抜いてしまい――5色すべてが必要なデッキを支えられるようにマナ基盤を変えよう。

遥か見

 今回のデッキには《裂け目の突破》や《太陽の拳》へ素早く繋げるために他にもマナ加速が必要だ、と私は見ている。《遥か見》は今回のデッキに加える予定のラヴニカの2色土地と組み合わせるのに良い候補ではあるけれど、私はどうしても欲しいとは思わない。マナ加速をするカードを増やすなら、ただ1マナ加速するだけでなく、何か他の役にも立つものが欲しい――例えば、《森の女人像》はブロックにも使えるのだ。

 《探検》も選択肢のひとつではある――しかし、余分に土地を展開することが良いとは限らない。今回のデッキが大きな転機を迎えるのは、5マナに届いたときだ。5マナ揃えば《裂け目の突破》を放つことができ、また《太陽の拳》から呪文を唱えることができる。2マナから5マナへ加速する手段が無いのはとても残念だね......

 え? あるって?

 実は、ある。しかも、フェッチランドを扱うマナ基盤でひと際輝くカードが。さあ、《水蓮のコブラ》の出番だ!

水蓮のコブラ

 除去しやすいとはいえ、《水蓮のコブラ》は基本的に見かけたら除去必須のカードだ。こいつは《裂け目の突破》のようなカードを3ターン目に唱える助けとなるだけでなく、唱えにくい《グリセルブランド》を使うのに役立ち、ゲーム後半でも頼りになる。さらに、《太陽の拳》を活かすための色マナの安定にもひと役買ってくれる。

 《極楽鳥》と《水蓮のコブラ》をプレイすれば、除去呪文でひどい目にあわされることもあるだろう。しかし、恐れることはない。こういうデッキでは、他に除去すべきものがあるので、放っておかれることが多いのだ。もし、対戦相手がクリーチャーへ《稲妻》を撃ち込むことに時間を割くなら(ましてそれが《流刑への道》なら何の問題もなく)、地道に5マナまで伸ばしてゲームの決め手を用意してやればいい。

 《五元のプリズム》のようなカードの方が良い、という意見はあるだろう。だが私はコンボが揃わなくても引き続き呪文のプレイを手助けしてくれる《水蓮のコブラ》の方が好みで、その点《五元のプリズム》は蓄積カウンターを使ってしまえばマナ加速の役目を終えてしまうのだ。それから、《水蓮のコブラ》は《裂け目の突破》が決まった後対戦相手にとどめを刺す、という極めて大切な仕事をこなしてくれる。《引き裂かれし永劫、エムラクール》が相手を大きく後退させるのは間違いないけれど、その後何もできなければ、相手がライフ5点から体勢を立て直すこともあり得るのだ。《水蓮のコブラ》4枚で決まりだ!

血清の幻視

 今回のようなデッキでは、何よりも特定のカードを揃えることが肝要だ――その手助けとなるカードは、それだけで注目に値するだろう。《血清の幻視》は必要なカードを探し出すのに大いに役立つ、優れたカードだ。フェッチランドによるシャッフルと「占術」の組み合わせはもちろん、不要なカードを2枚ライブラリーの一番下に送り出してから次のドロー・ステップを迎えられるだけでもかなりの働きと言える。

 私は《血清の幻視》に加えて、もうひとつ1マナでライブラリーを掘り進める呪文を採用したいと考えている。最有力の候補は《信仰無き物あさり》と《手練》のふたつだ。これらはふたつとも同じ枚数のカードを掘り進めるが、《信仰無き物あさり》にはフラッシュバックがついている。《信仰無き物あさり》が(フラッシュバックを「カード1枚分」と数えなければ)手札を1枚減らすのに対して、《手練》を使っても手札の総数は変わらない――しかしコンボ・パーツを余分に引いてしまった場合は、《信仰無き物あさり》が手札で腐ったカードを捨てつつ、その状況を打破する助けになってくれるだろう。今回は《信仰無き物あさり》に軍配を上げよう。


 今回のデッキは議論すべき大きな問題を抱えている。マナを残してゲームを進めるプランをとるべきかどうか、そして対戦相手の動きに対応するスペルや妨害手段が必要かどうかだ。

 《マナ漏出》や《謎めいた命令》、あるいはまた別の候補として《差し戻し》といったカードは優秀だ――ところが、それらを使うにはマナを残して構える必要がある。つまり、一度に多くの動きができないのではないか、と予想されるわけだ。その意味では《否定の契約》は例外と言えるものの、《極楽鳥》を運用するデッキで「契約」を使うのには不安を感じるし、《水蓮のコブラ》が生み出す爆発的なマナとまったく噛み合わない。

 妨害や防御に使えるカードをより深く探してみると、いくつか悪くないものが見つかる。実を言うと《タルモゴイフ》もかなり有力な選択肢だ――対戦相手が《極楽鳥》や《水蓮のコブラ》に除去を撃ち尽くしてしまえば、《タルモゴイフ》が速いビートダウンからしっかり身を守ってくれると同時に、対戦相手にとって強大な脅威となるのだ。それでも、私は相手の動きを止めるのに役立つものが欲しい。

 私が最終的に選んだのは、《思考囲い》と《流刑への道》だ。今回のデッキは元々ライフを失う機会が多く、《思考囲い》を満載するわけにはいかない――それでもライブラリーを掘り進めるカードのおかげで、必要なときに引き込むのは難しくないはずだ。また、2枚採用する《流刑への道》は対戦相手の動きに釘を刺し、《欠片の双子》を使うようなデッキに二の足を踏ませることだろう。

都の進化

 モダンというフォーマットで5マナも費やして使うなら、本当に強力なカードを凌ぐほどのものであるはずだ。《都の進化》がそれほどのものとは思えない。カードを3枚引き土地も追加できるというのは素敵だけれど、それに5マナもかかるのは重すぎる。こいつは抜いてしまおう。

 ここまでの変更をすべて受けて、デッキは以下のようになった。

ガヴィン・ヴァーヘイの「エムラクールの太陽」

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 《水蓮のコブラ》のおかげで、今回のデッキは記事の最初で触れた通り、3ターン目という早さで《引き裂かれし永劫、エムラクール》を唱えることができるようになった。(《極楽鳥》から《水蓮のコブラ》とプレイし、フェッチランドを起動して《太陽の拳》を戦場へ。次のターンに《引き裂かれし永劫、エムラクール》だ)。この動きを実現するのは簡単なことじゃないけれど、5ターン目《裂け目の突破》から《引き裂かれし永劫、エムラクール》という「単純な」動きでも大抵のゲームを取れるはずだ。

 今回のデッキは打たれ弱いところがあるため、もっと妨害手段を増やしたいという意見もあるだろう。先ほど述べたように、ふたつ目の攻め筋として《タルモゴイフ》と《水蓮のコブラ》などによるアグレッシブなプランを持つ形も検討するといい。もし除去が多い環境なら、私は方針を変えて《水蓮のコブラ》を抜くことも検討するだろう。(その場合はたぶん《五元のプリズム》と入れ替えるかな)。

 いずれにしても、今回のデッキは爆発力に長けたものだ――ブン回りの威力は他の追随を許さないだろう。楽しんでくれ!

惜しくも選ばれなかったデッキたち

 今回はどんな素晴らしいモダン・デッキが「惜しくも選ばれなかったデッキたち」に残っただろうか? 以下のデッキたちを見てひらめきを感じ取ってくれ!

ウォルター・マクマニガルの「英雄的ストーム」

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ガブリエル・フローレスの「ボロス・バーン」

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オースティン・Bの「贈り蔦」

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イーサン・ラッフマンの「唯々エルフ」

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ジャック・ワターズの「アクローマの戦略」

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ロス・マクルーアの「帰ってきたティボルト」

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ドーンの「緑白ヘイトベアー」

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ジョン・リーの「テゼレットの杖」

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アダム・ミニアーの「ポックスロック」

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Planeswalker (3)
3 ヴェールのリリアナ
ソーサリー (8)
4 コジレックの審問 4 小悪疫
インスタント (6)
4 突然の衰微 2 四肢切断
アーティファクト (2)
2 光と影の剣
エンチャント (4)
4 苦花
60 カード

ネルソン・ローゼンバーグの「群れに餌を与えよ」

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クリス・インガーソルの「理想の牢獄」

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コナー・シェイファーの「分かち合う運命」

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