エンチャントレスとの出会い

更新日 Reconstructed on 2014年 5月 6日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 とうとうこの時がやって来た。

『テーロス』ブロックが出揃い、待ちに待ったエンチャントに関わるカードを手に入れる時がやって来たのだ――今回君たちが送ってくれたデッキの数々にもその影響が見受けられることだし、ならば期待に応えようじゃないか!『ニクスへの旅』の訪れと共に、エンチャント中心のデッキを組むことが晴れて現実のものとなるのだ。

 そう、新しいスタンダードの世界への第一歩を踏み出すのに、「星座」メカニズムを代表するカードのひとつを差し置くわけにはいかないだろう――それは《開花の幻霊》だ。

開花の幻霊》 アート:Min Yum

 新時代の「エンチャントレス」デッキが一体どんな形になるのか、その目で確かめてくれ。今回のデッキは、ネット上で「クォール/Qoarl」として知られる人物が送ってくれたものだ。

クォールの「ニクス毛製のまくら」

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その戦術とは

 その昔、スタンダードに「エンチャントレス」と呼ばれる有名なデッキがあった(現在はレガシーなどのフォーマットに存在する)。

 そのデッキは《アルゴスの女魔術師》や《女魔術師の存在》といった一見脅威とならないカードを用い、とんでもない量のカードを引いていた。エンチャントがエンチャントを呼び、そしてひとたび複数の「エンチャントレス」が機能し始めれば、膨大な手札で対戦相手を押し潰してしまう(もちろん、より多くのエンチャントによって)。

 さてこのデッキは、時代を経てどのような変化を遂げたのだろうか?

 かつての「エンチャントレス」デッキと異なり、今回のデッキは対戦相手とのクリーチャー差を埋める助けとなる「クリーチャー・エンチャント」を手に入れた。「エンチャントレス」の能力を持つカードは1種類のみで、それも除去耐性にやや不安を残すものであるが、問題はない。今回のデッキには他にも「エンチャントレス」に似た能力を持つカードがあり、膨大なアドバンテージを稼ぎ出すのだ。例えば《アジャニに選ばれし者》。このカードは伝統的な「エンチャントレス」とは言えないものの、2/2の軍団を呼び出し、戦線を支えてくれる。

 ではこのデッキは最終的にどこへ向かうのか? まず《安全の領域》が戦場に出るなり、対戦相手の攻勢を阻む。そうなれば後は、そこへ《原始の報奨》が続きゲームを終わらせるのに、そう時間はかからないだろう。

 今回のデッキを手がける上で肝となるのは、各パーツを本当に必要なものだけに絞ることと、それからできるだけ早くデッキのエンジンを起動させられるように組むことだ。現在のスタンダードにあるデッキはすべて、それぞれの動きを素早く行えるように作られている。「エンチャントレス」の核の部分が十分に機能する前の段階で、遅れを取るわけにはいかないのだ。

 準備はいいかい? それじゃあより深く見ていこう!

デッキ詳細

 今回のデッキにエンチャントし続けられるものと、外すべきものはどれだろう? デッキのカードを1枚ずつ通して見て、語るときが来たぞ!

開花の幻霊

 このアーキタイプの基礎となるのが《開花の幻霊》だ。できる限りすべてのゲームでドローを増やしたいなら――このカードの枚数を減らすなんてとんでもない。

 除去耐性の低さは、気になるところではある。対戦相手に除去呪文を持っていそうな気配があると、つい《開花の幻霊》を繰り出すのをためらってしまうだろう。だがそうは言っても、実際は《開花の幻霊》を出す必要があり、相手の持つ除去呪文が無くなることもない。こいつは出せるときに出すべきだ。確かに除去呪文を一身に受けるのは避けられないだろう――でもありがたいことに、その後を支えるカードはあるのだ……

アジャニに選ばれし者

「エンチャントレス」デッキにとって望ましい動きは、もちろんカードを引くことだ。それでも、2/2の軍勢を生み出すことがまったく取るに足らないもの、というわけではない。《アジャニに選ばれし者》と《開花の幻霊》の二段構えで、エンチャントの恩恵を受け続けることが期待できる。私はこいつを4枚採用して、デッキのエンジンとなり得るカードをできるだけ多く確保したい。

 対戦相手の除去を受けながらも安定して「エンチャントレス」を引き込むには、もうひとつ欠かせないことがある。それはドロー手段を増やすことだ。そして主にエンチャントを使う今回のデッキに、最高の採用候補が登場したぞ――《クルフィックスの洞察力》だ。

 《クルフィックスの洞察力》は、3マナで最大3枚のエンチャントを手に入れることができる。今回のデッキでは毎回のように3枚引き込めるほどではないけれど、たとえ2枚でも活躍が保証されたカードが「手に入る」のだ。《クルフィックスの洞察力》もしっかり4枚採用したい。

クルフィックスの狩猟者

 エンチャント? よろしい。ブロックに優れた2/4のサイズ? よろしい。カードをもたらし、呪文を引きやすくする能力? よろしい。《踏査》ほどとはさすがに言えないが、《クルフィックスの狩猟者》は今回のデッキにとって望ましい活躍を多く見せてくれる。4枚すべての採用を維持しよう。

ニクス毛の雄羊

 私はこいつが大好きだ。ライフを供給し、今回のゲーム・プランを成功に導く0/5のクリーチャーなんて、素晴らしいじゃないか!

 ところが、今回のようなデッキにはあまり多くの枠がない。デッキのエンジンとなる核の部分を決めると、もうそれだけでデッキ枚数がぎりぎりになってしまうのだ。0/5というサイズは悪くないけれど、それで《冒涜の悪魔》の攻勢を防げるだろうか? また、こいつは《世界を喰らう者、ポルクラノス》にも太刀打ちできない。そして対戦相手がより遅いコントロール寄りのデッキを使う場合、このカードは更に弱いものとなる。

 確かに、今回のデッキにはクリーチャーへの解答が必要だ――それでも他にいいものがある。《ニクス毛の雄羊》はサイドボードに移そう。

安全の領域

 今回のデッキにとって望ましいもの、それは対戦相手の速度を抑えるものとエンチャントでアドバンテージが取れるものだ。《安全の領域》はその両方を満たしている! ゲームが進むにつれて、《安全の領域》は相手の攻撃を完全に封じ込めてくれるだろう。ゲーム序盤でも、こいつは相手にとってちょっとした負担となり、速度を落としてくれる――そしてたっぷりと時間を稼いでくれるわけだ。こいつは今回の「エンチャントレス」戦略の鍵を握るカードであり、4枚から枚数を減らすわけにはいかない。

拘引
平和な心

 クリーチャーを制する役目を主に担うのは《安全の領域》だが(うまく機能すれば最終的に対戦相手の攻撃は止まるものの)、序盤に押し切られないよう初動の差を縮める手段も大切だ。

 とはいえ、《ニクス毛の雄羊》の項でも述べたように、それらは特定のマッチアップで腐ってしまうものではなく、用途が広いものでなくてはならない。そんなカードは何だろうか? 答えは《払拭の光》だ。このカードは厄介なエンチャントやアーティファクト、あるいは(今回のようなデッキには特に厳しい)プレインズウォーカーも封じ込めることができる。実を言うと、私は《安全の領域》があるため1対1交換の除去はそれほど数が必要になるとは思っていない。それでも、少しなら採用したいところだ。4枚の《払拭の光》がうまくやってくれるだろう。

原始の報奨

 《原始の報奨》は「エンチャントレス」を組む上で実に忘れられがちなカードなのだが――勝ち手段としてはこの上ないもののひとつだ。こいつはライフをもたらし火力呪文の圏外に身を置く助けとなり、また相手側に毎ターンクロックを刻むであろう小うるさい飛行クリーチャーがいても、ライフを維持できる。そしてそれだけでなく、ビーストの群れを生み出したり自軍を強化したりもできるのだ。こいつは6マナにして単体で完結したカードであり、素早くゲームを片付けにかかるだろう。

 ゲームを決めるなら《原始の報奨》で決まりだ。それでも私は勝ち手段を散らし、《原始の報奨》3枚と《太陽の神、ヘリオッド》1枚にしようと思う。こうすることで、ゲームが長引いた場合に大量のトークンを生み出して勝つ、という道が確保できる。今回のデッキはクリーチャーがそれほど多く入っているわけではないため、《太陽の神、ヘリオッド》のようなカードを1枚挿しておくと、通常では打ち勝つのが困難な除去満載のデッキと対峙したときに勝利に貢献してくれるのだ。とはいえ、やはり残された枠は少ないから――《原始の報奨》は3枚で十分だろう。

不死の贈り物

 デッキのエンジンを起動するための鍵となるクリーチャーたちを頼るなら、この《不死の贈り物》のようなカードは非常に魅力的に映るだろう。なんとこいつも戦場に戻り、《開花の幻霊》や《アジャニに選ばれし者》の能力を再び誘発させるのだ!

 ところが、問題がいくつかある。まず、何かを守るにはちょっとコストが重い点。対戦相手が除去呪文を持っているなら、恐らく君たちがもう3マナ用意するより先にエンジンとなるクリーチャーへ撃ち込むだろう。それから、状況に左右されてしまう点。デッキの核の部分を洗練させる必要があるデッキにおいて、《不死の贈り物》を残す余裕はない。なかなか素敵なアイデアだけれど、今回は期待に応えてくれないだろう。

盲従

 序盤に唱えられる軽さを持ちながらも、(かなり)ゲームが長引いた場合に対戦相手のライフを吸い取り勝利をもたらし得るこのカードが、私は本当に好きだ。だが、《不死の贈り物》と同様に、こいつも枠を割くほどの活躍は期待できない。

 今回のデッキではこちらから攻撃へ向かうことは多くない(少なくとも強大な戦線を築き上げるまでは向かわない)ため、対戦相手のクリーチャーがタップ状態で戦場に出ることにあまり意味がない。「強請」は悠長さが目立ち、そしてマナが必要なこの能力はマナが不足しがちなデッキでは十全に機能しないのだ。こいつは抜いてしまおう。

戒厳令

 対戦相手のクリーチャーを制するための主力としては《安全の領域》があり、今回のデッキは枠がかなり限られている。そして全体除去が採用されていないため、実際のところ《戒厳令》は《安全の領域》との組み合わせが良くない。そもそも《安全の領域》があれば、対戦相手は(まず多くても)1体くらいしか攻撃に参加させることができず、《戒厳令》で相手のクリーチャーの中から1体を防いでも攻撃してくる数は変わらない。《戒厳令》は今回のデッキの動きと良く噛み合うとは言い難いのだ。もし除去を増やすなら私はもう一度《平和な心》か《拘引》を検討するけれど、やはり必須だとは思わない。

 さてこうしてほぼ最終形になったが――デッキに加えたい要素がもうひとつある。今回のデッキでは、4マナ域の「エンチャントレス」(《開花の幻霊》と《アジャニに選ばれし者》)を素早く繰り出すことが極めて重要であり、また《原始の報奨》や《安全の領域》といったカードを通常より早く唱えることも可能にしたい。今回のデッキのマナ・カーブは、「エンチャントレス」デッキにとって適切な形よりやや重い方へ寄っていて、とにかくマナが欲しい――そこでいくつかマナ加速を加えるのが(欠かせないことであり)望ましいのだ。

 私が採用したいカードはふたつあるが、それは何か? まずエンチャントではないものの、《森の女人像》は優れたブロッカーでありながら2マナから4マナと――まさに理想的なマナ加速を実現する。

 もうひとつは、『ニクスへの旅』収録の新カード《豊穣の泉》だ! 最初の2ターンでこいつから土地を置けばこちらも4マナまで届く上に、これ自身は1マナだ。そのためゲーム後半に《豊穣の泉》を引いても、少ないマナで「エンチャントレス」の能力を誘発させることができ、そしてただ戦場に置くだけでも《安全の領域》の効果を高められるのだ。

 これまでの変更をすべて受けて、デッキは以下のようになった。

ガヴィン・ヴァーヘイの「ニクスチャントレス」

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 3ターン目に《開花の幻霊》か《アジャニに選ばれし者》を唱えたら、お祭り騒ぎの始まりだ! たとえ「エンチャントレス」が引き込めなくても、膨大なカード・アドバンテージと優秀な《クルフィックスの洞察力》のおかげで《安全の領域》コントロール・デッキとして十分に戦えるため、バックアップは万全だ。

 マナ基盤に《ならず者の道》を加えたところに注目してくれ。ゲーム終盤、対戦相手が《拘留の宝球》のようなカードを引き込み攻撃を仕掛けてくる前に、急いでゲームを終わらせなければならない状況は、きっとある――そのときに盤面が膠着していては、対戦相手はいつまでもブロックでその場をしのげるだろう。《変わり谷》は4枚必須ではないと思うし、《ならず者の道》は《原始の報奨》で強化を重ねた巨大なクリーチャーと共にゲームを終わらせる手段になるのだ。

「エンチャントレス」は、ひとたび機能し出すと楽しさがいっぱいに詰まったデッキだ――それは今回ご紹介した形も例外じゃない。きっとクールな出来事がいくつも起こるだろう――このデッキを使って楽しい時間を過ごしてくれ!

惜しくも選ばれなかったデッキたち

『ニクスへの旅』にひらめきを得て新たなアイデアを見せてくれるデッキには、他にどんな素晴らしいものがあっただろうか? 見てみよう!

マハディ・フォジの「青赤ワンショット・コンボ」

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コリン・ライリーの「四段攻撃」

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ヤック・ジェムの「再帰する星座」

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デヴォン・シュトラウブの「ザ・『ワン』ダーズ」

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アジャニ・ナカノの「無限アジャニ」

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キース・ヘンゼルの「グリクシス・プレインズウォーカーズ」

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クリーチャー (5)
3 魔心のキマイラ 2 嵐の神、ケラノス
ソーサリー (11)
4 思考囲い 4 戦慄掘り 3 神々の憤怒
インスタント (8)
4 肉貪り 4 解消
他 (3)
3 遠隔+不在
60 カード

ネコミミの「クルフィックスとビッグ・マナ」

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マット・メイナードの「狩るか狩られるか」

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イーヴォ・ワーナーの「ドロー・イット・ライク・イッツ・ホット」

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クリーチャー (7)
3 ダクラの神秘家 4 概念泥棒
ソーサリー (4)
4 囁く狂気
エンチャント (3)
3 クルフィックスの指図
土地 (24)
11 5 4 欺瞞の神殿 4 湿った墓
他 (3)
3 遠隔+不在
58 カード

サトウ タケシの「賢者バント」

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アスカの「あてのない探し物」

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Planeswalker (3)
3 紅蓮の達人チャンドラ
インスタント (12)
4 濃霧 4 ショック 4 マグマの噴流
エンチャント (1)
1 吹き荒れる潜在能力
60 カード

ティルウィンの「殺戮の指図」

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ヒロタ ユウジの「ボロスと神の出会い」

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クリス・シップマンの「エンジンをかけろ」

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Planeswalker (4)
4 英雄の導師、アジャニ
クリーチャー (8)
4 時の賢者 4 開花の幻霊
ソーサリー (3)
3 至高の評決
インスタント (2)
2 白鳥の歌
アーティファクト (6)
3 不死の霊薬 3 幻術師の篭手
エンチャント (14)
4 マナの花 3 最上位権限 4 拘留の宝球 3 陽絆
土地 (23)
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