カードでできた甘い夢

更新日 Reconstructed on 2014年 5月 20日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 うーむ……なんて甘美な夢だろう。

 何も知らないゾンビどもは、ちょうどモモを丸かじりにするように脳そのものを食すのがお好みのようだ。知性を持たない怪物たちにとっては、それが正解なのだろう。だが、文明に生き見識も深い私たちは、周りの果肉など捨ててしまうべきだ。本当においしい部分だけをいただこうじゃないか――敵の見る甘い夢だけを。

 今日は、対戦相手の思考と夢を盗んでいくぞ。準備はいいかい? 続きをどうぞ!

クルフィックスの指図》 アート:Daarken

 マジックにおいて最も楽しいことのひとつは、平等を崩す手段を見つけ出すことだ。マジックには両方のプレイヤーが恩恵を受ける「平等な」カードがたくさんある。ところが熟練のデッキ・ビルダーはその「平等」を逆手に取り、自身へのアドバンテージに変えてしまうのだ。

 こちらの戦場にクリーチャーがいない状態で《審判の日》を放てば、大きな有利が取れるだろう。対戦相手がマナを伸ばしているうちにクリーチャーをフル展開し、《ハルマゲドン》を撃ち込んでも同じだ。

 では《クルフィックスの指図》や《饗宴の主》のようなカードではどうだろう? そう、《概念泥棒》をかたわらに置いてやれば、それらは実に素敵なカードになるのだ。

ドゥームダックの「概念の饗宴」

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その戦術とは

 核となるのは、青黒のミッドレンジ・デッキ。

 除去を活用しつつ、ビート・ダウンをするだけでも、労せず勝つことができるだろう。《群れネズミ》と《冒涜の悪魔》の2枚は現在のスタンダードでも頻繁に使用されるカードであり、ここへ更に《饗宴の主》という超巨大なクリーチャーが加わるのだ。

 そういった軸で攻めることができる今回のデッキだが、しかしもうひとつ別の軸も持っている。それが《概念泥棒》だ。

概念泥棒

 《饗宴の主》と《クルフィックスの指図》は優れたカードではある。しかし、《クルフィックスの指図》は「平等な」効果をもたらすデザインのせいで、同様に《饗宴の主》は5/5というサイズと引き換えに、それぞれ対戦相手にカードを与えるという欠点を抱えている。

 そこで《概念泥棒》が、すべてを変えてくれる。

 この一風変わった3/1のクリーチャーが、対戦相手に与えなければいけないカードをすべてこちらのものにしてくれるのだ! 1ターンにカードを2枚引けるようになれば、ゲームはすぐさま相手にとって手の届かないところへ行ってしまうだろう。こんな流れを想像してみてくれ。

 1ターン目か2ターン目に、対戦相手が持つ虎の子の除去呪文を《思考囲い》で抜き去る。それから相手の3ターン目の終わりに《クルフィックスの指図》。アンタップ、ドロー、そしてメイン・フェイズに《概念泥棒》を繰り出す。これで1ターンに2枚引く準備が整い、相手を膨大なカード・アドバンテージ差に沈めるための第一歩を踏み出せる。

 そしてもちろん、今回のデッキには勝利に直結する2枚コンボも搭載されている。《囁く狂気》とのコンボだ。

 4ターン目、対戦相手の終了ステップに《概念泥棒》から、迎えた自分のターンに《囁く狂気》。これで相手は手札をすべて捨て、こちらは大量のカードを引くことになる。手札一杯のカードをもたらす「だけでなく」、相手には1枚も残さない。なんて恐ろしいんだ!

 今回のデッキを調整する上で鍵となるのは、強力なカードとシナジーを確実に活かすことと、あるいはそれらを支えるのに適切なカードを確保することだ。次に進んでいいかな? それじゃあいくぞ!

デッキ詳細

 デッキに残るものと、立ち去れと指図を受けるものはどれだろう? デッキのカードを1枚ずつ通して見て、噛み合うものを確認するときだ!

概念泥棒

 《概念泥棒》は今回のデッキが織り成すコンビネーションのまさしく中心であり、原型の黒いデッキに青を足す理由のひとつだ。こいつは強制的にカードを引く効果と組み合わせたいから、できる限り1枚は引き込みたい。またタフネスが1しかなく死亡しやすいため、余分に引いておきたいところだ。さらに、こいつはパワー3とビート・ダウンの軸でも有用だ。絶対に4枚すべて残そう。

饗宴の主

 3マナで5/5というのは、そのマナ域の基準をはるかに超えている――その上飛行がつくとなれば、基準を超えるなんてもんじゃない! もちろん、その代償はあるのだが……今回のデッキでは、こいつの持つ欠点を埋められるのだ。仮にそれがうまくいかなくても、3マナ5/5の飛行持ちが脅威となるのは変わりない。対戦相手は何枚かカードを引き、カード・アドバンテージを得るだろう。ところが除去を引き込めなければ、本当に大事な唯一のアドバンテージ――ゲーム・アドバンテージ――を得るのはこちらの方だ。

ダクラの神秘家

 『ニクスへの旅』収録の《ダクラの神秘家》は、小粒ながらもユニークなカードだ。このちょっと珍しい《マーフォークの物あさり》系カードは、対戦相手のデッキ・トップがそれほどの脅威でないならカードをもたらし、強力なものならそれを墓地へ送ることができる。そしてもちろん、今回のデッキなら相手が引く分もこちらのものだ!

 だがしかし、毎ターンマナがかかるというのは、マナ・カーブ通りに展開したいデッキにおいて由々しき問題だ。今回のデッキには、増えたドローで引いたカードや《群れネズミ》など、どのステップでもマナを使う先が豊富なのだ。さらに、《ダクラの神秘家》は《概念泥棒》が機能していれば優秀なカードだが、今回のデッキはすでにそういうカードでいっぱいだ。その点、少なくとも《饗宴の主》は5/5のクリーチャーであり、《クルフィックスの指図》は継続的にマナを必要としない。私としても《ダクラの神秘家》はかなり好みのカードではあるけれど、今回のデッキでは別のものにしよう。

群れネズミ

 『テーロス』でローテーションを迎えて以降、スタンダード環境のどこにでも現れた一団。このネズミの群れは、ゲームを蹂躙する力を持っている。こいつは、今回のデッキが持つふたつの面の片側を担うカードだ――あるゲームでは、《概念泥棒》でドローを盗みつつ優れたカードの数々を駆使していくだろう……そして、またあるゲームでは、《群れネズミ》1体だけで勝利への道を進むだろう。

 それでも時折、ふたつの面はシナジーを作る。増えたドローのおかげで、《群れネズミ》の持つ力はゲーム後半でも序盤と同じように発揮できるのだ。序盤の強力さも然ることながら後半でも強いこのカード、私は喜んで4枚すべて採用しよう。

冒涜の悪魔

 こいつにはパンチ力がある。4マナで6/6というサイズの《冒涜の悪魔》は、よりアグレッシブにゲームを進める場合に大活躍が見込めるだろう。

 ところが、今回のようなデッキではこいつの持つ欠点が大きな問題になる。両プレイヤーともドローが増えるようになると、《冒涜の悪魔》をタップするためのエサが調達しやすくなるのだ。それでもまだ使用に耐えるカードではあるものの、私は同じ4マナ域で他に使いたいものがある――そいつは、とりわけ今回のデッキで最大限の力を発揮してくれるぞ。《運命をほぐす者》だ。

運命をほぐす者

 惜しみなく対戦相手のドローを増やしていくなら、《運命をほぐす者》が……このハッグが魅力的なものになる、と私は思う。中でも《囁く狂気》と組み合わせたときは凶悪極まりない! あるターンに突然対戦相手を仕留める展開も、想像に難くないだろう。《囁く狂気》の強烈な一撃で大量のカードを引かせ、さらに攻撃から「暗号」でもう1回だ! 私は《冒涜の悪魔》と入れ替えて、《運命をほぐす者》を4枚採用したい。

思考囲い

 現在のスタンダードで構築の基本を成すこのカードだが、今回のようなデッキには特に欠かすことができない。除去を抜き去り《群れネズミ》や《概念泥棒》を生かすことが、極めて重要なのだ。対戦相手のドローを増やす可能性がある以上、今回のデッキは《思考囲い》の力を少し削いでしまうけれど、それでも総合的に見て強力なのは変わりない。4枚から減らそうとは思わないね。

囁く狂気

 今回のデッキには《クルフィックスの指図》と《饗宴の主》という期待の新カードがあるけれど、《概念泥棒》から《囁く狂気》と繋ぐだけでも本当に多くのゲームを勝ち取れるはずだ。これら2枚によるワンツー・パンチは、多くのデッキを機能不全に追い込む。コントロールを使う対戦相手が蛮勇を振るい、例えば4ターン目にタップ・アウトで《思考を築く者、ジェイス》を繰り出すなら、《概念泥棒》と《囁く狂気》のコンボがそこでゲームを終わらせてしまうだろう。

 活躍の機会を増やすために、私は《囁く狂気》の枚数を4枚に増やしたい。《概念泥棒》を引き込めなくても、対戦相手のドローを増やしてこちらの手札を《群れネズミ》へと費やした後、カードを補充するのに役立つことだろう。

クルフィックスの指図

 《クルフィックスの指図》と《概念泥棒》の組み合わせは、今回のデッキを使用するうえで一番重要だ。その上3ターン目《饗宴の主》と異なり、対戦相手のエンド・ステップに《クルフィックスの指図》、そして迎えたターンに《概念泥棒》と繋ぐと、相手に1枚も引かせることなくコンボが決まるのだ。

 たとえ《クルフィックスの指図》を置くときに《概念泥棒》が手札に無くとも、ライブラリーを掘り進めて引き込む助けになってくれる。そして、1ターンか2ターンそのまま対戦相手のドローを増やさざるを得なくとも、《概念泥棒》を引き込み手札の差が倍にでもなってしまえば、相手を打ち倒すのは時間の問題だ。《クルフィックスの指図》は4枚採用しよう。


 今回のデッキに採用する除去を選ぶ際は、どのデッキと当たることが一番多いかが基準になるところがある。あるメタゲーム内では、2ターン目の《群れネズミ》を除去することが必須になるだろうし、また別のメタゲーム内ではプレインズウォーカーへの対処がより多く求められるだろう。

 ここで私が除去の枠に加えたいのは2枚。《遠隔+不在》と《サイクロンの裂け目》だ。《遠隔+不在》はとりわけゲーム後半に強い青黒の除去だが、必要とあれば序盤にも有効だ。

 《サイクロンの裂け目》の方は厳密に言えば除去呪文ではないけれど、今回のデッキにおいて《サイクロンの裂け目》があると無いとでは大きな違いがある。盤面が膠着し、例えば両プレイヤーとも互いに《群れネズミ》を起動し続けるような状況を、《サイクロンの裂け目》が突破してくれるのだ。また、《囁く狂気》と《概念泥棒》ともコンボを生み出し、対戦相手の土地でないパーマネントを一気に排除できる。忘れずに、こいつも添えておこう!

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サイクロンの裂け目

 以上をひとつにまとめると、デッキは次のようになる。

ガヴィン・ヴァーヘイの「スウィート・ドリームス」

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 ドーン!『ニクスへの旅』を加えた新しい《概念泥棒》デッキの登場だ。

 このデッキが黒単などの今をときめくデッキたちに取って代わるとまでは思わないけれど、使って面白いものであることは確信している。対戦相手が少しだけ期待している「平等な」効果をぶち壊しにするのは、なかなか気分が良いものだ……とりわけ相手が手札をすべて捨て、その分のドローをいただくとなれば、痛快この上ないね!

 メタゲームによって調整を加えるなら、何よりも除去を見直すべきだ。それに加えて、もしコントロール・デッキが多いなら、サイドボードから《ダクラの神秘家》を採用することを検討してもいいだろう。長いゲームの中でより多くのカードを引く手段を追加できると共に、《概念泥棒》とのコンボもあるぞ。

惜しくも選ばれなかったデッキたち

 今回の主役の座を惜しくも《概念泥棒》に奪われてしまったデッキたちには、どんなものがあっただろう? 今週送られてきた素晴らしいデッキの数々を見てみよう。

デレク・ラフォルスの「黒単拷問台ビート」

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ネコマタ師範の「先端生物学者の殺到」

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タイラー・ヴォーンの「ジャンク・コントロール」

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クリーチャー (3)
2 テューンの大天使 1 死盟の天使
ソーサリー (8)
4 思考囲い 4 骨読み
インスタント (8)
4 突然の衰微 4 英雄の破滅
アーティファクト (2)
2 ヘリオッドの槍
エンチャント (7)
2 盲従 4 払拭の光 1 エレボスの指図
60 カード

アンジェリカの「英雄たちの破滅」

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タイラー・ピーコックの「ツノとヒヅメ」

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マーカスの「エスパー船団」

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ザッカリー・ソープの「ボロス・ヒーローズ」

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ジェイムズ・ミランの「エイスリオスへの狂信」

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ポスヴァルキア1の「炎の主」

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ヘイデン・ストックウェルの「無限神啓」

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イトウ カズナリの「グッバイ・ラヴニカ、グッバイ・ラクドス!」

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Planeswalker (4)
4 闇の領域のリリアナ
クリーチャー (8)
4 墓所の怪異 4 残虐の達人
インスタント (4)
4 胆汁病
土地 (24)
4 16 4 血の墓所
60 カード

マーシャル・プルーの「白単信心」

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ナフサリ・ワイスの「ヒトに近きもの」

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レミジェット42の「偽りの隷従」

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テサグリ ヨリの「青単ターボ・フォグ」

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ソーサリー (1)
1 豚の呪い
アーティファクト (3)
3 写本裁断機
エンチャント (4)
4 クルフィックスの指図
土地 (24)
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