メタゲームに対応する5つの方法

更新日 Reconstructed on 2014年 1月 21日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 パンチの応酬。次は右からか左からか。良い所に立って決定打を打ち込めば終わりだ――そしてまずい所にいれば、一発もらう羽目になるだろう。

 それがメタゲームの核心だ。

 メタゲームとは何であるかよくわかっていない人々にとって、メタゲームの概念とは、『ゲームの盤面以外でカードとデッキをどう選択するかということ』というくらいの認識ではないだろうか。例として対戦相手の90%が赤のバーンデッキを使ってくると予想できているとする。すぐにでもそれらに対処するためにライフ回復のたぐいを――あるいは大昔ならば《赤の防御円》のようなものを――採用しようと考慮するだろう。それらに対して圧倒的有利になるために、使おうと考えていたデッキとは全然違うもの、例えばライフゲインデッキのようなものを使いたくなるかもしれない。


 もちろん、実際のメタゲームではいつでもそういう決まった形があるわけではない。マジックでは最も環境が支配されている状態でさえ、1つのデッキの使用率が90%なんていかれた領域に届いたりはしない。極端にひどい環境でも20%前後ってところだろう。(とはいえ、割合はともかく、あなたがトーナメント優勝を狙っていて上位プレイヤーのほとんどが特定のデッキを用いるだろうと予想できるなら、そのデッキに備える必要があるだろう。)

 私は毎週毎週大量のデッキリストにある、メタゲームへの適切な対応を――そして不適切な対応をも数多く見てきた。今回は、その複雑な内容の一部を詳しく取り扱っていこう。

 通常私がメタゲームに対応する手法では、いくつかのメタゲームの「段階」を経ていく。1段階目を試み、そしてうまく働かないなら2段階目をというように、最終的に正しいバランスを見つけ出すまで試みるのだ。

 この記事も同様に構成している。最も影響の小さな段階からその戦略を試し始めて、そしてうまくいかなかったら、次の段階へ進むんだ!

 準備はいいか? 始めるぞ!

    第0段階:警戒表示

 メタゲームへの対応が正しくできるのなら、それは極めて有用だ。しかし同様に、対応がまずければ、あなたは危機に陥ることになるだろう。メタゲームへの対応の中で、最もよくみられる誤りは、メタゲームの見通しが単純すぎることにある。


 メタゲームでの対応が必要になるほど、何かしらのデッキが流行している、というわけではないのならば、(とりわけメインデッキから)考慮する必要はないだろう。まあ、あなたの行きつけの店ではその流行度合いというものを自分自身で判断しなければならない。(それが他では一般的でないとしても、その店では白単信心が支配的であるとかね)とはいえ、特定のデッキと複数回対戦する、そしてそのデッキとの対戦が厳しいものであるということが確実に見込まれるのでもない限り、私ならその対戦のためにメインデッキのカードを変えたりはしないだろう。《死の印》が全対戦中の1/4で素晴らしく、残りの3/4では何も出来ないとすれば、それを使う価値は無い。

 付け加えて、その対戦が実際に不利な場合にのみ変更するべきだと注意したことを意識して欲しい。該当のデッキとの対戦が多いとして、すでにそれに対して大いに有利なデッキを使っているなら、2回に1回そのデッキと対戦するとしてもメインデッキにそれ以上の対策は不要だ。その対戦のためにいくつかのカードをサイドボードに用意しておくことは考慮できるが、その場合でも恐らくそれほど多くの対策は必要としないだろう。

 真逆の考え方ではあるが、その対戦が絶望的な場合も対策を試みる価値がないと言える。すべてに対応したいというのは人として自然な欲求だが――ズボンの穴をすべて繕おうと努力しても、知らず知らずのうちに別の穴が6箇所も出来てしまうかもしれない。

 例えば、青単信心との相性が非常に悪いとして、サイドボードに10枚ものカードを用意し、メインデッキからも戦えるように改修することはできる。……しかし、その結果、それ以外の全てのデッキに対して弱くなってしまう。そこで、件のデッキがどのくらい流行っているのか自己判断する必要があるわけだ。その答えが「とても流行っている」であるなら、まさに気球で針山へと突っ込むようなものではないだろうか。もっと言うなら、そうまでして対策するつもりならば青単信心があなたにとって唯一の苦手デッキでなければならない。他のデッキを使うという選択肢はないだろうか?

 そして答えが「そこまで流行ってない」、あるいは「そこそこ流行っている程度」ということならば、その対戦はきっぱり諦めて他に集中するのが最も良いかもしれない。おそらく1度はそれに当たって負けるだろうけど、それ以外の全試合が見込めるならいい話だろうからね。

 メタゲームへの対応は非常に有効な手段だが――そこには注意が伴う。あなたがそれを正しく認識できていることを前提として、メタゲームへの対応に関する各段階を考慮していくことができる。各段階についてだが、まず最初の段階へと改修を試みてそれが上手くいくかを調べ、それが失敗だとわかったならば次の段階へと進むことになる。

    第1段階:サイドボードでのわずかな配慮

 よし、メタゲームに取り組みたくなってきたかな。いいぞ! さて次はどうする?

 メタゲームへの対応に取り組む最初の段階では、特定の対戦における有効打となるようにサイドボードをわずかに調整する。これはその対戦のために極端なサイドボーディングを実行するわけではなく――問題となるデッキに対しても用いられるよう、現行のサイドボードを少々変更するだけだ。

 例えば、速攻デッキに対してその攻撃クリーチャーをしのぐため、サイドボードに《ロクソドンの強打者》が入っているとしよう。それは全体的に見れば仕事をばっちりこなしてくれる。

 しかしながら、最近のトーナメントでは赤単バーンが強力なデッキとして浮上してきており――その対戦においては時々引けるかもしれない4/4はとりわけ効果的というほどではない。代わりに、《ケンタウルスの癒し手》とこれを交換できるだろう。こいつはバーンデッキへの良い対抗策になり、(採用していた理由がパワー4にあるのでなければ)《ロクソドンの強打者》同様に時間稼ぎの役割を果たしてくれるだろう。


    第2段階:数枚のサイドボードカード

 ここからが奥の手を採用し始める段階だ。この段階では特にその対戦のためのサイドボードカードを数枚用意する。あなたにとって理想的な環境であったとすれば、(例えば《死の印》のような)サイドボードカードを投入できそうな相性の良い対戦が数多く存在することになる。しかし例えば、おそらく本当に必要なのは親和に対する切り札だったとすれば、どんなにそれ以外の対戦で役に立たないとしてもその枠には《忍び寄る腐食》を準備しておかなければならないだろう。

 注目すべきなのは、ここの段階にたどり着いて始めて、少量のサイドボードカードを投入するようになったことだ。とは言うものの、この時点では、そのデッキ用に10枚のサイドボードカードを用意するような極端なことはしない。(それについては後で詳しくやるよ。)


    第3段階:メインデッキでのわずかな配慮

 それをメインデッキで行うという点を除けば、第1段階と似ている。

 例えば白青赤コントロールデッキに《マグマの噴流》を入れているとしよう。これはクリーチャーを除去してデッキを少々掘り進めることができる――どちらも良い効果だ。

 しかし急にプレインズウォーカーを用いたコントロールデッキが台頭してきて、それに対処するカードが必要になってくるとする。ここで言うメインデッキでのわずかな配慮とは、《マグマの噴流》を《イゼットの魔除け》に交換することだ。速攻デッキに対しては若干悪くなるが、プレインズウォーカーコントロールがフルタップで唱える非クリーチャー呪文すべてを打ち消せる。このようなメインデッキのわずかな変更は、大抵の対戦では特にその恩恵が変わったりはしないものの、助けが欲しいその対戦においてはより良い結果をもたらす。


    第4段階:数多くのサイドボードカード

 第4段階は警告の赤ランプが点滅し始める段階だ。これまでの段階ではどの変更も本来のデッキにそこまで大きな影響を与えない、かなり合理的なものだった。ここからは後に引けないほど他デッキへの対策が様変わりし始める。

 この時点で自問自答しなければならない。そのデッキは本当に使う価値があるだろうか? そのデッキが環境に存在する他のデッキに優位であり、肝心の流行デッキに対して10枚のカードをサイドボードできたとしても、相性の悪い対戦における弱点すべてを解決する助けにはならないだろう。

 しかしこれが正しい場合もある。昔ローウィンがスタンダードにあってフェアリーデッキが環境を支配していた時期を思い出すよ。私が構築した《目覚ましヒバリ》デッキは圧倒的優位な対戦ばかりだった……厄介なフェアリーとの対戦を除けばね。それ以外の対戦は非常に有利だったので、フェアリーデッキのために13枚のサイドボードを用意すると決めた。

 それはほぼ予想通りに功を奏し、マジック・オンラインでのプレイテストでは大抵フェアリーを打倒でき、そのデッキでプロツアー予選を決勝まで勝ち抜くこととなった。


    第5段階:メインデッキへの対策カード投入

 さて、メタゲームのもっとも深い場所へと到達した。現状は、環境がフェアリーやカウブレードといった荒れた状況にまで陥っているか、またはどうしても使いたいデッキがある、といったところだろう。

 その対戦のためにメインデッキから対策カードを用意するなら、第4段階の事例同様、それが唯一苦手なマッチアップであることが必須だ。たとえ数枚の死に札を引いたとしても――実質的には数回のマリガン後だとしても――その他のデッキを圧倒できるほど、あなたのデッキは強くなければならない。

 例えば、親和がおそらく最も流行しているデッキであるとしよう。そして他のプレイヤーが使うそれ以外のデッキを容易に打破できるデッキを発見した――しかし恐怖のロボット軍団には万が一にも負けたくない。そうだとすれば、対親和との1ゲーム目で絶対必要な有効打としてメインデッキに《忍び寄る腐食》を採用し、そしてそれ以外のデッキには2ゲーム目前のサイドボードで抜くようにするんだ。


    あなたのメタ段階を試そう

 メタゲームの独特な要素は、その環境の変化がどれくらいの早さで進むか分からないところにある。鏡に息を吹きかけると曇りがすぐに生まれてすぐさま消えるように、ある週に新しいデッキが大きな結果を残したかと思えば次の週には追いやられるといったこともあるだろう。心に留めておくべきなのは、他のプレイヤーもまたメタゲームへの対応を行っているということだ。多くの場合、あなたが射手としてその矢で狙いを定めるべきデッキは1つだけではない。流行デッキを打倒するデッキに有効なのは何のカードだろうか? それは深い深いウサギの巣穴へと潜っていくかのような取り組みなのだ……

 しかしこの取り組みはうまくいけばメタゲームの世界に取り掛かる良い開始位置を教えてくれる。これはデッキ構築の手引き同様、単なる提案であり――また例外も存在するだろう。ここから始め、それから好みに応じて自分のデッキを調整していけば良い。

 この知識を実際に試してみるのはいつ頃がいいだろうか? さて、もう何週間かは『テーロス』入りスタンダード環境で行われるイベントに参加して試すことができる――だが『神々の軍勢』入りスタンダード環境はもうすぐだ! 次の記事ではマジックのテーロス・ブロック最新セットのプレビューを開始し、間違いなくメタゲームを揺り動かして確立されたアーキタイプにいくつかの新しいカードを追加させるであろう1枚を紹介する。

 備えるんだ。神々の軍勢はすぐそこまで来ているんだからね。

 私が紹介できる最初の神々の軍勢プレビューカードについては、また来週戻ってくるからそのときに話そう!


(以下のデッキ募集部分は、原文・本日(1月21日)掲載分の記事から抜粋・収録しております。 この節の文責・編集 Yoshikawa)

 間もなく、『神々の軍勢』の全容を知ることができるようになる!(編訳注:最新の情報はカードギャラリーにてご覧いただけます。) 『神々の軍勢』についてより調べがつくようになった今、皆さんが思いつくことをもっと見てみたいと思う。以下が今回のミッションだ。

フォーマット:『神々の軍勢』導入後のスタンダード
デッキの制限:『神々の軍勢』のカードを1枚以上含むこと。
締め切り:1月29日(水)午前11時(日本時間)

 すべてのデッキリストを英語で、こちらのリンク先のフォームからメールでお送りください。デッキリストの提出時には、以下のようなフォーマットで入力してください。(必ずしも下記のような枚数通りのものでなくてもかまいません。あくまで一般的にデッキリスト記入のレイアウトを示すものです。)

あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)
Standard(フォーマット)
20 Land(土地カード 枚数とカード名・英語で)
20 Land
4 Creature(クリーチャー・カード 枚数とカード名・英語で)
4 Creature
4 Other Spell(その他の呪文カード 枚数とカード名・英語で)
4 Other Spell
4 Planeswalker(プレインズウォーカー・カード 枚数とカード名・英語で)

 皆さんは何を思いつくだろう? 見るのが楽しみでならない!

 それまで、考えたことやフィードバックがあれば、気軽に私へ、ツイッターやフォーラムへの投稿を使って送ってほしい。皆さんの意見を聞くことはいつだって素晴らしい!

 また来週お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey


(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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