モダン・マスターになるための秘訣

更新日 Reconstructed on 2013年 7月 2日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 モダンは私が今とても夢中になっている構築フォーマットだ。

 私は前々からずっとモダンが大好きだ。(私が別のローテーションしないフォーマット作成に関する影の推進者であることを考慮すれば、当然だろう。)そしてモダンという概念が誕生してから常にこのフォーマットの話題に耳を傾け、現れては消えるあらゆるデッキを観察し、攻略するために幾百ものデッキリストを熟考してきたが、このフォーマットは私を驚喜させ続けている。


 フォーマットが制定されてから2年になるが、フォーマット開始時から利用可能だったカードを用いた新規のデッキリストや独創的なアイデアがいまだに見受けられる。信じがたいことだ!

 モダン週間ということで、取り上げるお題は、モダンにおけるデッキ構築の基本的な方針にしよう。多くのプレイヤーはスタンダードに関するデッキ構築については手法を身につけているだろう。が、デッキ構築の最も有用かつ実践的な手法をモダン・デッキに当てはめる場合、覚えておくべき重要な差がいくつか存在する。今から話す5つの助言は、モダン・デッキを構築する手助けとなるだろう。地元のショップイベント、トーナメント、あるいは今後あるであろう私からのモダン構築の募集についても同様にね。

 準備はいいかな? 取り掛かろう!

    方針その1:積極的であれ!

 つい最近行われたグランプリ・ポートランド(リンク先は英語)のトップ8デッキリストに目を通してくれ。何かに気づいただろうか? もう少し先に進んで9位から16位までのデッキリスト(リンク先は英語)も確認しよう。

 だがこれが全てではない。続けよう。グランプリ・サンディエゴの結果(リンク先は英語)も参照しよう。さて、何が見えてくるかな?

(各グランプリの日本語版デッキリストはこのページの最後にあります。)

 これら24の上位デッキリスト中、23個のデッキが積極的な戦略によるものだ。(唯一の孤独な放浪者サミー・チュークマン/Sammy Tukemanのデッキは赤白青コントロールだが――このデッキですら、速攻でゲームを終わらせようとする大群を打ち砕く主要な手段として《復讐のアジャニ》を採用していた。)

 積極的なデッキとは、対戦相手を果敢に攻撃してゲームを勝ち取ろうとするデッキだ。勝ちきるまでの間に劣勢になりかねないコントロール・デッキとは異なり、終始ゲームを優位に運び続けるのが積極的なデッキの戦略だ。サミーのデッキは別としても、多くのコントロール・デッキでさえ《聖トラフトの霊》や《稲妻の天使》で同様に長期戦を避けている。


 モダンとはおおむねそういうフォーマットだ。このフォーマットには過去10年間に印刷された最も強力なカードが数多く含まれている。そこでは何でもありだ。準備を整えることで対戦相手に時間を与えてしまえば、そのまま負けてしまうだろう――どんなにゲームをコントロールしようと試みてもね。

 10年分に相当するマジックのカードすべての可能性に対処することなどほぼ不可能だ。《出産の殻》で勝とうと試みるデッキや《風景の変容》で試合を決めようとするデッキに相対するかもしれない。いくつかのデッキはジャンドのように消耗戦に引きずり込もうとしてくるだろうし、他のデッキはストームや《欠片の双子》などで3、4ターン目の勝利を狙ってくる。クレイグ・ウェスコー/Craig Wescoeの白黒トークン・デッキや《黄泉からの橋》の悪用に目を向けたデッキとは限らないが、さらに定番ではないローグデッキでさえもが別の角度から攻め込んでくるわけだ。

 これらの異なる戦略すべてに備える最も簡単な方法とは? 自分のデッキに積極的戦略を持たせることだ! テーブルの向かいに座る対戦相手がどんな積極的戦略を用いていようとも、それより早くて柔軟な戦略であれば有利と言えるだろう。

 これはコントロール・デッキを選択する余地がモダンには無いということを意味するだろうか? そんなことはない! サミーが赤白青の強力なデッキで決勝までたどり着けると証明したように、コントロール軸の余地は残されている。私の考えでは誰かがモダンでの最適なコントロール・デッキの道を切り開くのはもはや時間だけの問題だ。これは絶対不変の法則ではなく、デッキを構築するときに考えておかねばならない傾向というだけだ――そして私は傾向を事実上の強制というよりは提案として受け止める。(「ドライクリーニング専用」みたいなもんだ。)


 モダン・デッキを構築したら、「このデッキは積極的に動くのか?」と自問してみるのは重要なことだ。答えが「ほとんど動かない」なら、なぜその方針になってしまったかよく考えてみる必要があるかもしれない。

    方針その2:パワフルであれ!

 モダンではとても刺激的で楽しいデッキが数多く構築できる。最大限の優位性を得るためにブロックを掛け合わせた相互作用を用いたり、年代が離れたカード間のいかしたコンビネーションを見つけ出すのは、まさに独自のものを繋ぎ合わせる楽しいパズルの探求だ。

 しかしながら、見失ってはいけないモダンの本質がある。「このフォーマットのデッキはおしなべてパワフルである!」

 いくつかのコンボ・デッキは4ターン目に安定してこちらを倒すことができる。《風景の変容》のような「より遅い」コンボ・デッキは、こちらに生き延びられる数ターンを寛大にも差し出してくるが、こちらが何か邪魔できそうな場合は《差し戻し》の支援を受けてゲームを決めにくる。


 ビートダウン・デッキにはそのような寛大さはまるで無い。モダンの高速環境で戦うために編成されたそれらは与えるダメージを最大限にする手段が満載だ。パトリック・サリバン/Patrick SullivanのZooデッキのようないくつかのデッキタイプでは、《アラーラの力》のようなカードを主軸として何でもないところからゲームを決めようとしてくる。親和の《頭蓋囲い》は、ライフを十全なところから《感電破》の射程圏内にまで落とし込む強大な一撃になりかねない。

 中速デッキはもう少しまともな対戦になる――だが思い出してくれ、このフォーマットの「まとも」の定義とは《タルモゴイフ》や《闇の腹心》のことだ。これらのデッキには《稲妻》や《思考囲い》やプレインズウォーカーなど、用いることができる最良のカード群がうんざりするほど詰め込まれている――なんてこった!

 私はモダンのデッキを構築し終えた場合は常に「これはパワフルか?」と自問することにしている。パワフルでないことが織り込み済みの場合は――イニストラードのスピリットを唱えるたびにプリンセス・バブルガム気分を味わいたいから《闇の腹心》の代わりに《脂火玉》を採用する場合とかは――その後に目的を再考することが必要だ。単に楽しむためならそれでいいが、勝ち続けることが目的ならば、その中速デッキがすでに確立されているデッキを採用するよりも良いのはなぜかを問わねばならない。


 時には、王道から外れる理由に対して良い回答ができるだろう――それが「違うデッキにしたいから」ではないことを確認するのは重要だ。デッキパワーの水準をフォーマットの水準と同程度に維持しよう。

    方針その3:周到であれ!

「危険なことはして欲しくないけど、もし出かけるなら、せめて準備はするようにね」

 以前、私の最初のガールフレンドの母親は、嵐の中を私と彼女が車で外出しようとした時にそう伝えてきた。そしてその言葉は常に私の助けとなっている。(だけれども、今にして思えば、その母親の発言は不安を煽る類のものだね。)そして私は、危険な環境を常に進まざるを得ないなら「不利な状況に対してせめて備えだけはしているか?」と自問すると良い、ということに気づいた。

 モダン環境では、備えておかなければならないのは間違いない。

「一人歩きは危険だぜ! こいつを受け取れ。」

 相性の悪い対戦というものもある。過去10年間にわたって投じられた数多くのカードも。その中にはとりわけ対戦相手が用いてくるであろう、こちらのデッキを狙った激烈な対策カードなども存在する。重要なのは、それらにぶち当たってしまう場合を想定して、対処できる何かしらの道具を準備しているかどうかだ。

 上の各デッキリストに戻ってくれ。サイドボードを見てみよう。傾向に気づいただろうか? 多くのスタンダード・デッキとは異なり――あるいは4,4,3,2,2のような配分とは異なり――どのモダンのデッキを取っても1枚や2枚採用のカードがずっと多くなっていることを発見できるだろう。そして《出産の殻》のようなデッキの場合はそれだけに留まらず、1枚挿しを行うためにふんだんに1枚のカードが用意されている。

 なぜだ? 多様性のためだ!

 実例として、グランプリ・ポートランド(リンク先は英語カバレージ)から準優勝者ジョー・デメストリオ/Joe Demestrioの《風景の変容》デッキを取り上げてみよう。サイドボードを見てくれ。すべて1枚か2枚になっている。まあ……そんなものだ。

 これらのカードはすべて多様な働きを担っている。《イゼットの魔除け》はこちらのコンボを妨害から守る手段であり、または《四肢切断》と共に除去呪文でもあるわけだ。《焼却》は《欠片の双子》に対して最高だが、《四肢切断》もまたかなり使える。《塩まき》はウルザトロンと《風景の変容》のどちらに対しても良く効く対策カードだ。これらのカードは状況に対応するために多くの要素を備えている。


 わずかな種類のサイドボード・カードが納まりがちなスタンダードと比べると、モダンは趣が違ってくる。単に《墓掘りの檻》4枚と記入して、考えるのはおしまいという誘惑があるかもしれない――だがおそらくより良い解決策があるだろう。多様性こそがサイドボード戦後の勝利の鍵になりうるものだ。

    方針その4:しなやかであれ!

 モダンは数多くの主力級カードが存在するという特徴があるが、それとはまた別のものも活躍している。主力級カードへの対策となって、環境を抑制しているカードたちだ。

 3ターン目の《聖遺の騎士》によって3ターン目までに出てきた何もかもを叩きのめせる一方で、モダンではかつて生み出された最高級の除去や手札破壊もまた利用できる。1ターン目の《思考囲い》はよく見る光景だし、《流刑への道》や《稲妻》はどちらも主要な除去呪文だ。これらのカードは杓子定規な戦略をズタズタにしてしまう。


 このフォーマットには主要素として構築できる素晴らしい相互作用が数多く存在するが、その鍵となる相互作用が急に消滅してしまった場合にどうなるかを自問しておくのは重要だ。キーカードを《思考囲い》で抜かれたらどうなる?

 モダンで最も成功したいくつかのコンボ・デッキは冗長性という形でその質問に答えた。ストームは要素が非常に多いので1つぐらい失っても変わらずに勝てるし、《欠片の双子》デッキは《やっかい児》《詐欺師の総督》と共に《欠片の双子》と《鏡割りのキキジキ》のどちらをも数多く搭載してあり、どうしても必要に感じるなら《村の鐘鳴らし》という可能性すら存在する。それでも、これらのデッキはやはり《思考囲い》によって著しく動きを阻害されるのだ。

 また他方では《出産の殻》が逆の方向性を取っている。《出産の殻》はコンボを組み立てるための近道ではあるが、このデッキはそれが無くても実用的な中速デッキとして動く。必要とあればいつでも《台所の嫌がらせ屋》や《復活の声》でそのまま攻撃可能だ――そしてそれは対戦相手がコンボに絶対たどり着かないようにと多くの対策カードを費やしてくれたなら効果的と言える。加えて、いつでもカードを引き当ててコンボへと移行できる。


 ビートダウン・デッキの場合でもこれは真実だ。例えば《ファイレクシアの抹消者》の力を最大限発揮するために黒単デッキを組んだとして、多くの呪文が《ファイレクシアの抹殺者》をたやすく除去してしまうなら、このフォーマットで色を黒単色にまで絞る価値があるだろうか? 多分ないだろう。

 選択肢を狭めてなにか1つを中心とする場合は、それが本当によいことかどうかを確認しなければならない。《膨れコイルの奇魔》と《極楽のマントル》のコンボ・デッキはそのリスクを取り――2ターン目に対戦相手を倒すことを可能としたが、それでさえモダンの主流デッキ群に割り込むには不十分だった。

 モダンのデッキを構築する際には、デッキの必須カードが対処された場合にどういう動きになるかを把握しておこう。安定して勝ちにいける方法はまだ残っているだろうか? 願わくば、はいと答えられるように。

    方針その5:土地よあれ……?

 ウィザーズは過去10年間に数多くの偉大な土地を作成してきた。ラヴニカのデュアルランドに始まって、フェッチランド、ミラディンの傷跡のファストランド、基本セットとイニストラードのバディランド、フィルターランド、さらに他の土地までをも用いることで、モダンでのマナ基盤は円滑に運用できる。

 しかしながら、マナ基盤のカードはマナを引き出す以外にも色々なことに使用が可能だ。

 緑や白を使っているなら、もっとカードを引きたい場合に《地平線の梢》を生け贄に捧げることを検討しただろうか? あらゆる危険な基本でない土地はおそらくこちらに引導を渡してくるだろうから、《地盤の際》は対策に向いていそうだ。《変わり谷》や《樹上の村》は君のデッキにぴったりだろ? クリーチャー化する土地について言えば、ワールドウェイクの土地もまた抜きん出ており、クリーチャーの提供と色の安定を同時にやってのける!


 これはガヴィン・「マジで土地は多く入れとけ」・ヴァーヘイからもたらされる話としては驚くことではないかもしれないが、大量の選択肢がある場合はしっかり選ぶように。多くの場合、私のモダン・デッキのマナ基盤を見てみるなら、ちょっと風変わりに思える1枚挿しや2枚挿しがいくつかある――そしてそれは偶然そうなったわけではないのだ。私は多くのゲームの過程において助けとなるように自分のマナ基盤を最大限活用したい。

 これに関連した話として、このフォーマットには非常に多くの素晴らしい土地があるので、デッキに適している呪文のような効果を持つ土地を追加するのは簡単だ。例えば、25枚目の土地として《地平線の梢》やクリーチャー化する土地を入れておけば、わずかながらマナの後押しとなってより初手をキープしやすくなるし、次いで遅いゲームでのドローや攻撃が可能となる。


(以下のデッキ募集部分は、原文・本日(7月2日)掲載分の記事から抜粋・収録しております。 この節の文責・編集 吉川)

    扉の向こうに見えるもの

 さて、新たな挑戦の時間だ! 2週間後は『マジック基本セット2014』の発売週となる。つまり、今回は『マジック基本セット2014』から何らかのカードを中心にデッキを構築し、送っていただきたい! 以下がその要項だ。

フォーマット:スタンダード
デッキの制限:『マジック基本セット2014』から最低1種のカードについて、特に注目してデッキを構築すること。
締め切り:7月10日(水)午前10時(日本時間)

すべてのデッキリストを英語で、こちらのリンク先のフォームからメールでお送りください。デッキリストの提出時には、以下のようなフォーマットで入力してください。(必ずしも下記のような枚数通りのものでなくてもかまいません。あくまで一般的にデッキリスト記入のレイアウトを示すものです。)

あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)
Standard(フォーマット)
20 Land(土地カード 枚数とカード名・英語で)
20 Land
4 Creature(クリーチャー・カード 枚数とカード名・英語で)
4 Creature
4 Other Spell(その他の呪文カード 枚数とカード名・英語で)
4 Other Spell
4 Planeswalker(プレインズウォーカー・カード 枚数とカード名・英語で)

 留意してほしいのは、皆さんの多くはカードギャラリーにてすべてのカードが公開されるのを待ちたいだろうから、わずかながら延長時間を設けていることだ。『マジック基本セット2014』の何が皆さんの心を動かすだろう? 発見したことを見ていこう!

 今回の記事について考えたことがあれば、ぜひ聞いてみたい! フォーラムへの投稿や私へのツイートで、気軽にフィードバックを送ってほしい。

 また来週お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey


(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)


    (参考)グランプリ・ポートランド2013 トップ8デッキ

Mattia Rizzi

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Sam Pardee

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Orie Guo

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Zvi Mowshowitz

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Matt Nass

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Dan Macdonald

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Paul Rietzl

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インスタント (2)
2 感電破
アーティファクト (8)
4 オパールのモックス 4 バネ葉の太鼓
土地 (5)
1 4 墨蛾の生息地
37 カード

Joe Demestrio

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    (参考)グランプリ・ポートランド2013 9~16位デッキ

Andrew Cuneo

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Patrick Sullivan

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