不死者は滅びぬ

更新日 Reconstructed on 2013年 1月 15日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 2012年は終わった。それは新しいターンが始まるということ。そして長らく追放領域に置かれていたやつが再び現れようとしている。

2013年へようこそ

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 我々が作るカードは、大抵頭を悩ませるように作成してある。そうすることであなたの実力を試し、その中に隠されたキラリと光るカードを見つけるのだ。そしてカードを実際にプレイして初めて、その秘められた可能性を理解できるようになっている。

 〈幽霊議員オブゼダート〉はそういったカードではない。

 このテキストを読んだ後、最もありそうなあなたの最初の反応は、「ちょっと待って、何か見落とした?」だろう。しかしそうではなく、これに隠されたオラクルテキストはない。ついでに秘密のエラッタもない。こいつはちょうど実際に元となった《オルゾヴァの幽霊議員》と同様に、まったくもってイカレていて、タガの外れた狂気で、そしてどう見ても頭がおかしいんじゃないかと思うだろう。

 今年のマジックはまさにこのスピリットの年になるのかもしれない。

 〈幽霊議員オブゼダート〉まめ知識:私がこれをデザインしたのだが――これをことさら推薦しようとはしなかった。新しい幽霊議員を何か作れるかという穴埋め課題に対する案の提出だったのだが、バランスの良いカードについての提案を私が持ち合わせていないかのように見えるほど馬鹿馬鹿しく強力に思えたため、すんでのところでこのデザインをメールから削除した。

 結局のところ開発部の他の皆もまた、強力なカードが好きってことだな。

 オーケイ、このカードについて、いかに優良であるかを数多く話すことができる。それらを詳しく見ていこう。


 5マナの支払いで、5/5を出せる。いいじゃないか、これだけでも興味深いね。もっと他にも!


 かなり大きいサイズである上に、即座に2点のライフをドレインしてもくれる。

 さて、もしカードのテキストがここまでなら、多分構築においては2枚投入できそうだなんて話題になると思うし、確かにリミテッドでの強力カードたりえるだろう。しかしながら、これを実際にとんでもないものにしているのは最後の能力だ。


 第一に、毎ターン2ライフをドレインできる。もしこれを5ターン目にプレイしたなら、その後6ターン目には攻撃して計9点のダメージを対戦相手に与えられる――そしてその間に4点のライフを得られる。ここまでが、再び〈幽霊議員オブゼダート〉が身を隠す前の出来事だ。まばたきをしないように! こいつにお目にかかることはもう無いかもしれない。

 〈幽霊議員オブゼダート〉はまた、ライフの削りあいにおいてほぼ負けることが無い。《雷口のヘルカイト》が相手でもライフレースに勝てる――こいつを引いてさえいればね!

雷口のヘルカイトスフィンクスの啓示

 第二に、〈幽霊議員オブゼダート〉は除去するのがかなり困難だ。ブロック要員として必要にかられない限り、ソーサリータイミングの除去はこいつに対して使えない。実際、〈幽霊議員オブゼダート〉はその時期に我々のFFLにおいて支配的だった多色《スフィンクスの啓示》デッキに対抗するために作られた部分もある。

(訳注:FFL − フューチャー・フューチャー・リーグ。将来の環境を把握調整するための開発室内対戦環境)

 真剣に、これについて考えてみてくれ。こいつが出てきたとして、どうやって対処する?

 《究極の価格》? やり直し。《ミジウムの迫撃砲》? 駄目だ。《拘留の宝球》? 無理だな。《灼熱の槍》? 2枚あればいいけど。《アゾリウスの魔除け》? 持ってそうだと思ったら、こっちは攻撃しなくてもいいんだぜ!

 皆が使っていてこいつとちゃんと1対1交換できるわずかなカードのうちの1つは《セレズニアの魔除け》だ。((さらなるまめ知識:実を言うと《セレズニアの魔除け》がこいつを除去できるように、我々は〈幽霊議員オブゼダート〉のサイズを4/4から5/5に大きくした。)〈幽霊議員オブゼダート〉が1対1交換のために要求するカードについての良い解答はあまりない。また、たとえ対戦相手がそういったカードを使い始めたとしても、〈幽霊議員オブゼダート〉は意図せずとも対戦相手の解答をズタボロにするのに十分な手札破壊を備えた色でもある。

セレズニアの魔除け

 当然だが、《スフィンクスの啓示》デッキが対処するに当たってこいつが非常に厄介ではあるし、逆にそういったデッキに入れることでも同様にどれほど良い働きをするかということもまた予想だにしなかったかもしれない。ビートダウンに対しての安定性とコントロールに対抗できる切り札を併せ持つということは、コントロールデッキへの投入についても多くの可能性をもたらす!

 よし、〈幽霊議員オブゼダート〉の力が我々に示された今、どこに向かおうか? ガヴィンにお任せあれ!

カードパワーによる構築

 今週は、強力なカード単体を主軸としたデッキ構築法について話したい。私は個別のカードを主軸とする構築についての記事(訳注:リンク先は英語)をすでに書いているが、今回は少々異なる。カードが馬鹿馬鹿しいほど強力な場合、勝つためのカードを使いこなすだけでゲームに勝つことができる。そのアーキタイプの支援カードがやや弱いとしても、すこぶる強力なカードの力を最大限引き出すためにそれらを用いる価値はある。

 それで、特定のカード1枚の能力を最大限に発揮するためのデッキを構築するに当たって、どのような段階を踏む必要があるだろうか?

 そうだな、私が最初に調べるのはそれを用いる際に妨げとなる要素だ。どんな欠点がそのカードにあるだろうか? 何が問題となりうるだろうか?

 このカードの場合、最もひっかかりそうな点はここだろう。


 〈幽霊議員オブゼダート〉のカードテキストは何もかも素晴らしい――それを戦場に出せさえすれば。幸運にも、様々な選択肢を採用可能なため、このフォーマットにおけるマナ基盤はかなり良好だ。

 私はそのカードを用いる上での制限が何かを見極めたのち、それを投入できるデッキのリストを調べて試し、どれが最も強力かを判断してから伝えることにしている。

 〈幽霊議員オブゼダート〉から始めるに際してはオルゾフ中速デッキが明らかな開始場所だ。残念ながら、素晴らしいギルド門侵犯の良カードがデッキリストに多く含まれるため、今のところプレビューされていない多くのオルゾフカードがあって見せることができない。しかし同様のやり方ですでに存在を知られているものだけを用いて、こういったものを試してもらえるだろう。

ガヴィン・ヴァーヘイの「オルゾフ中速デッキ」

Download Arena Decklist

 ああ、このリストには〈オルゾフの魔除け〉が含まれている……だがこれは本当に投入すべきなんだ。保証するが、これはこの種のデッキにおいて最高だ!

 《修復の天使》の働きは〈幽霊議員オブゼダート〉のある環境ではかなり良く、望むならドレインのオマケを与えつつ――実際こいつを排除したいであろう対戦相手のいくつかの邪魔っけな除去から助けることも可能だ。それはブロックのために〈幽霊議員オブゼダート〉を残したときにとりわけ関係してくる。もし対戦相手がソーサリータイミングの除去でもって〈幽霊議員オブゼダート〉のブロックを打破できると考えたなら、《修復の天使》はそれが問題とならないよう取り計らってくれるだろう。

修復の天使

 ギルド門侵犯の発売後には、オルゾフデッキを適切に組めるだけのカード群が存在するであろうという理由だけをとっても、純粋なオルゾフ・ギルドでの構築は、オブゼダートデッキを始めるにおいてかなり安定した開始位置である――また、ギルドの支配者としての〈幽霊議員オブゼダート〉の立場からも、この色の組み合わせを用いる意味があるだろう。

 しかし、純粋なオルゾフデッキという枠からは少々外れた、〈幽霊議員オブゼダート〉をフィニッシャーとして用いるエスパーコントロールデッキについてはどうだろうか? 数多くの強力な除去、コントロール要素、そして《スフィンクスの啓示》――言うまでも無くギルド門侵犯から《神無き祭殿》と《湿った墓》も追加され――多くの可能性がここにはある。

 このようなデッキにおける〈幽霊議員オブゼダート〉の威力は安定性だけではない――対戦相手がちょっとでももたつけばそれに乗じることができる。このカードはまさにあなたに様々な勝ち筋を与えてくれるだろう。対戦相手が土地を伸ばし損ねてあなたが5ターン目に〈幽霊議員オブゼダート〉を出したなら、対戦相手はもはや死んだようなものだ。同様に、相手がビートダウンを使っていてこちらが4ターン目に《至高の評決》を用いて5ターン目に〈幽霊議員オブゼダート〉を出すなら、相手はそのゲームで再起するのは難しい。

 こんな感じで試し始められるだろう。

ガヴィン・ヴァーヘイの「オブゼダートコントロール」

Download Arena Decklist

 さっきのデッキでは〈オルゾフの魔除け〉を入れていて、今回は〈ディミーアの魔除け〉が知られていないやつだ。これは何をするかって? まあ、役に立つさ。また言っておこうか。これはこのようなデッキにはばっちり合う効果で……

 このデッキは《スフィンクスの啓示》と多くの全体除去、打ち消し呪文、そして基本的な部分を補助するための単体除去呪文のフルセットを特徴としており、かなりしっかり展開をコントロールできる。もしコントロールデッキの要素すべてを持ち合わせたいなら、これはうってつけだ。

 しかし、それに加え、このデッキはコントロールからビートダウンへと素早く変化できる! 勝ちが近ければ、〈幽霊議員オブゼダート〉と《修復の天使》はタッグを組んで対戦相手のライフを削りきれる。コントロール戦略からビートダウン戦略へと瞬く間に移り変わるこの感覚は、まるでフェアリーデッキのようだ!

 ますます多くのオルゾフカードが公開されるとともに、〈幽霊議員オブゼダート〉の役割もより明らかになってくるだろう。さしあたって、現状でも構築できる多くのデッキがある――今見れるものだけでもね。〈幽霊議員オブゼダート〉にはさらにモダンでの出番があるかもしれない! 5マナはモダンにおいてクリーチャーに支払うにはコストが重い……しかしこの強さだけでその風潮に抗うのには十分かもしれない。このカードはちょうど《出産の殻》での1枚挿しとしてモダンで使われる可能性がある。

出産の殻

 オブゼダートはここにあり――オルゾフ組における最大権力に何を依頼し何を成そうか?

ギルド門侵犯、参戦

 プレビューシーズン真っ盛りの今、残り5つのギルドの秘密は暴かれていくだろう。〈幽霊議員オブゼダート〉は確かにこのセットで最も強力なカードの1つだが、他の多くのカードも同様にスタンダードにすさまじい影響をもたらすことになる。スタンダードの大きな様変わりを待っていたのなら、それはもうすぐ近くだ。

 ずっと前にギルド門侵犯の仕事をして以来、私が大きく関わったセットがついに公表されて興奮ものだ! あなたが現時点までで見れるセット内容のすべてを楽しみ味わってくれると嬉しい。この記事かセット全体に対しての意見や感想があれば、喜んで聞くよ! フォーラムに自由に投稿するか、アカウントがあれば私宛にツイートを飛ばしてみてくれ。

 来週は、統率者戦を題材として別の素晴らしい伝説クリーチャーをプレビューするゼロからのデッキ構築でまた会おう。

 さらなる私の記事やプレビューカードを楽しむためには、今週のLatest Developmentsの記事を見逃す手はない! 私は今週のコラムを担当し、そこでまた別のとても素晴らしいオルゾフカードを取り上げている。見てくれよな!

 さて、私のターンに〈幽霊議員オブゼダート〉のように現れたので少しの間ちらつき消えるかな。だけど心配ない――まもなく戻ってくるよ。そして幸運なことに、追放領域からでも今までどおりツイッターはチェックできる。

 すぐ反応できるさ!


(以下のデッキ募集部分は、原文・本日掲載分の記事から収録しております(訳文は次々週1月29日掲載予定です)。 この節の文責・編集 Yoshikawa)

 それでは、デッキ構築の挑戦課題だ! 編集スタッフとデッキ提出の手順を以前のものに戻せないかどうか相談したところ、ミッションは成功に終わった。ただ一点、締め切りが今回からわずかに前倒しされ、厳しくなっていることに留意していただきたい。

 準備はいいかい? これか今回の課題だ!

フォーマット:『ギルド門侵犯』参入後のスタンダード

デッキの制限:なし!

締め切り:1月21日(月)午前11時(日本時間)

すべてのデッキリストを英語で、こちらのリンクをクリックした先のフォームからメールでお送りください。デッキリストの提出時には、以下のようなフォーマットで入力してください。

Gavin Verhey's Awesome Deck for Awesome People(ローマ字氏名+'s+デッキ名・英語)
59 Island(枚数とカード名・英語で)
1 Forest(以下同じ)

 『ギルド門侵犯』のカードを使った、最大最高にエキサイティングなデッキを見せてほしい! 『ギルド門侵犯』の新たなカードが混ぜ合わされることで、あなたが考えを巡らせる空間はたっぷりと用意される。そしてもう一度、締め切りは1月21日だ。

 皆さんのデッキを見るのが楽しみだ! それまで、今回のデッキや記事、カードなどに質問やコメントが荒れば、気軽にツイートやフォーラムへの投稿を送ってほしい。目を通すことをお約束するよ。

 それでは皆さん、また来週!

Gavin / @GavinVerhey


(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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