世界選手権と、その中心

更新日 Reconstructed on 2013年 8月 13日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 ワールド・ウィークが近づいてきた。

(訳注:元記事が掲載されたのはワールド・ウィーク前日でした)

 全てのマジック・プレイヤーの中でも最も優れたプレイヤー達が、世界一の称号を賭けてとことん戦うためにかの地に集結した。これから数日間行われるアムステルダムでの戦いで、世界一、そしてワールド・マジック・カップ優勝の栄冠が与えられるというわけだ。明日からのマジック・イベントは絶対に見逃せない舞台となるだろう。


 そこで用いられるフォーマットの中でもメジャーなものの1つとは? スタンダードだ。

 世界選手権でのスタンダード、そしてそれとは若干異なるチーム共同デッキ構築・スタンダードとを通して、この週末にかけて数多くのスタンダード・デッキを見ることができる。

 世界選手権でどんなデッキが登場するかは誰にもわからない――現実には、全てのアーキタイプが存在しないであろうこの環境において、選ばれし16人のマジック・プレイヤー達は、独自の細かいメタゲームを展開することになるだろう。そして、それとチーム共同デッキ構築・スタンダードとによって――お目にかかるデッキの総数は自体は少ないだろうが――まさに注目すべき数多くのデッキが現れるに違いない。

 今日のところは、すぐ下に現れているデッキを探っていこうじゃないか。今週用の題材で非常に投稿が多かったアーキタイプを見ていこう。セレズニア・アグロだ!

ジョーの「蘇るアグロ」

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    その戦術とは

 緑と白には、このフォーマットにおける最良のコスト対比サイズを持つカードがいくつかある。《議事会の招集》、《ロクソドンの強打者》、そして《ワームの到来》を通じて一般的なマナカーブを超えるクリーチャーの戦隊を解き放つことが可能だ。


 しかしこのデッキがセレズニア構成員による多くのデッキと少々違うのは、これが頑なにビートダウン・デッキであろうとしていることだ。

 多くのセレズニア・デッキが中速を意識して《修復の天使》のような使い勝手の良いカード、《スラーグ牙》、マナエルフ等々を採用する傾向にあるが、ジョーはもっとクレイグ・ウェスコー/Craig Wescoeを意識した選択を行っている。クレイグのアグレッシブな白緑デッキはプロツアー「ドラゴンの迷路」での優勝をもぎ取った――そして今、ジョーのデッキもクレイグの足跡を継ぐ戦略を組み上げているようだ。

 言うまでもなく、現在の白緑が持つ別の特徴には復帰力がある。《復活の声》のようなカードや《絡み根の霊》はこのデッキが全体除去や単体除去に対して踏みとどまり続けるために役立つ。

 最初からアグレッシブに動ける力と復帰する能力という、スタンダードに影響を与える性能が白緑にあるのは間違いない。さて、カードそれぞれを見ていこう……

    デッキ詳細

 どの議事会構成員が残れるだろうか? 吟味しよう!

 1マナのカードがビートダウン・デッキには必要だ。それらが突撃することでダメージをどんどん与え、即座に圧力をかけ始める。

 《実験体》は大抵1マナパワー2となるだけでなく、ゲームが進むにつれてさらに成長する可能性を持つ。マナ効率の限界を突破したサイズを持つ大量の白緑クリーチャーを伴い、数多くのゲームで3点あるいは4点ダメージを与えるクリーチャーとして相手を噛み砕き始めるだろう。そしてその上、再生能力はこのデッキに復帰力を付け加える。間違いなく4枚のままだな。

 スタンダード筆頭クリーチャーの1つで、このデッキに4枚の《復活の声》を入れることについての異論はない。これはデッキの復帰力を増し、対戦相手は呪文を唱える時期についての方向変換を余儀なくされ、そして2点での攻撃もある。問答無用――4枚で頼むよ!

 《絡み根の霊》は、プロツアー「ドラゴンの迷路」がブロック構築であるためにクレイグ・ウェスコーが採用できなかった手段だが、今回のデッキでは間違いなく鉄板の選択肢だ。2ダメージをすぐに与えるために噛み付きにもいけるし、さらに、おそらく最も重要なことだが、復帰力という強力な主題を引き継いでもいる。《炎樹族の使者》と相打ちして戻ってくるにしろ、あるいは単に対戦相手に渋い顔をさせながら《至高の評決》を使わせるにしろ、《絡み根の霊》は良いものであり続ける。4枚投入は確実だ。

 点数で見たマナ・コストで比較したとき、通常のクリーチャーに比べてこのデッキのクリーチャーはサイズが大きい、というところが白緑の主題の1つであると度々繰り返してきたのを見ているだろう。2マナで3/3を出せるのはお買い得だし、1マナ域を出した後に続けることで対戦相手に速攻で圧力をかけ始める。

 2マナ3/3と言えば、《議事会の招集》がここで投入できる唯一のカードというわけではない。基本セット2014で新登場した《カロニアの大牙獣》もまた言及するだけの価値がある。そのマナ・コストは少々異なるものの、同じように登用できる――どのみちこのデッキは緑に大きく寄るだろうからね。これはトークンではないという性質を持っていて――バウンス呪文や《根生まれの防衛》のようなサイドボード・カードの双方を考慮すれば、利点とも欠点とも言える。(《漁る軟泥》のことはともかくとしてね!)

[card]カロニアの大牙獣++漁る軟泥[/card]

 《議事会の招集》を含め、すでに12枚の2マナ域を採用している(そして《セレズニアの魔除け》をまだ数に入れていない)ので、これ以上追加する余地は無い――すでに上限いっぱいになるところだ。最大で14枚だけ採用したいと考えているのだが、となると、この場合はどれがより良いか?

 復帰力についての言及を続けることになるのだが、ゲームが進むにつれて対戦相手を窮地に追い込み続ける助けとなる素晴らしいカードが《漁る軟泥》だ。カードが何枚も何枚もやり取りされてからの終盤にトップデッキしたなら、かなり大きなサイズに成長して対戦相手をまさに窮地に追い込むことができる。さらにリアニメイトのようなデッキとの対戦でも有効だ。

 なぜ《漁る軟泥》を話題に上げたのか? 最終的に2マナ域として《漁る軟泥》を2枚用いたいからだ。ほとんどのゲームで1枚見つけたい、それも出来れば後半にだ――2枚投入ならうまくいくだろう。それは《議事会の招集》にとって何を意味するか? そう、《漁る軟泥》のためのクリーチャーが欲しいということになる。

 《根生まれの防衛》のようなカードをサイドボードする可能性はあるものの、2枚の《漁る軟泥》と《カロニアの大牙獣》間での影響はより高まるだろう。ついでに言えば、《スレイベンの守護者、サリア》をサイドボードに入れようと考えている。15枚以上の緑マナ生成の後押しがあるので、この入れ替えに関わるマナ問題については大丈夫だ。なら使うのは《カロニアの大牙獣》だろう!

 マナ・コストと比較して巨大なサイズという主題を引き継ぎ、《ロクソドンの強打者》はたった3マナで4/4のクリーチャーを供給してくれる。さらには打ち消しや手札破壊に対しての防御という素敵なオマケ付きだ。絶対に4枚を維持したいね。

 2マナ3/3と3マナ4/4が良いものだと思うなら、《ワームの到来》が4マナ5/5を約束することでその目盛を一段階進めてくれる――瞬速とトランプル付きで! 4マナ立っているところへ攻撃を仕掛けるのはスタンダードでは危ういことで、そして《ワームの到来》はその要因の1つと言える。これはマナカーブの頂点となる偉大なカードだ――4枚のままで。

 《ひるまぬ勇気》はギャンブル性が高いカードだ。

 うまく働けばライフとダメージの流れを与えてくれるため、あらゆるビートダウンはこれによって苦境に陥ることになる。しかしながら、それは簡単に夢物語となってしまう――これがオーラであるがゆえに巨大なリスクもまた生じてしまうし、コントロール・デッキに対しても同様に強力というわけではない。ほとんどの対戦ではこれは安心できる3ターン目の行動とはならないだろう。あなたが是非ともこれを使いたいと思う対戦のためにサイドボードに移動することを是非とも勧める。

 とは言うものの、3マナ域で何かしらの行動をもう少し行えるようにはしたい。ここで私が使ってみたいカードは《群れの統率者アジャニ》だ。彼はこちらのクリーチャーの育成を手伝ってくれるだけでなく、飛行と二段攻撃による信じられないほど強烈なワンツーパンチを繰り出す役目もある。ターン終了ステップに《ワームの到来》を唱えてからアンタップしてトークンを空に送り出せば、大抵のゲームを制する一撃としては十分だろう。


 《群れの統率者アジャニ》でいっぱいになってしまった手札は御免だし、マナの部分はマナを含むコストを持つカードが大量に名を連ねているこのデッキでは少々扱いにくいかもしれない。メインに1枚から始めて、サイドボードのために2枚目以降を考慮することで私は納得している。

 ああ、結構なもんさ《忘却の輪》は。様々なものの解決策だ。3マナで盤面のあらゆる脅威を取り除くその能力について文句を言うのは難しいな。《忘却の輪》4枚では手札に詰まってしまい、コントロールデッキに対しての攻勢を妨げる可能性が許容できる範囲を少々越えてしまうものの、3枚ならちょうどいい。

 《セレズニアの魔除け》は色々と役立つカードだ。強大な脅威を追放することも、戦場にさらなる圧力を生み出すことも、あるいはクリーチャーの攻撃を押し通す補助としても、いつでも役割を持てるだろう。

 それらのうち2/2生成はいまいちで、このデッキにはまだまだ代わりに入れておきたいクリーチャーが数多くある。そうは言っても、もう2つの選択肢はやはり通常1ゲームに1度は構えておきたいものだ。3枚へとわずかに枚数を減らそう。それでも十分だし――序盤に大量に抱えたくはない。

 述べてきた変更点をすべて当てはめるとデッキはこうなる。

ガヴィン・ヴァーヘイの「競技的セレズニア」

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 このサイドボードはどう利用すればいいのかって? よし、カードごとに簡単な解説を挙げておこう。

 先ほど述べたように、《ひるまぬ勇気》はクリーチャーへの対処が苦手でライフの獲得が大いに影響するような対戦においては最高だ。例えば、赤系デッキに対して《ひるまぬ勇気》は素晴らしい働きを見せる。同様に、大量の除去を持たない類似のビートダウン・デッキに対しても入れ替えたい。

 このデッキはもちろん非クリーチャー呪文が無いわけではないが、《議事会の招集》を《カロニアの大牙獣》へと交換したことで、《スレイベンの守護者、サリア》はぐっと相性が良くなった。《スレイベンの守護者、サリア》はコントロール・デッキのターン進行を遅らせる有効な対策で、遭遇し得るそれ以外の呪文偏重デッキもまた動きが鈍る――パワー2のクリーチャーを戦場へと送り込みつつそれが成されるわけだ。

 《オリヴィア・ヴォルダーレン》はこのデッキにとって大問題となるし、《聖トラフトの霊》一式を備えた呪禁バントとはどちらかというとやり合いたくはない。対戦相手のデッキが問題となる特定の多色パーマネントを備えていたなら、これは対処法として良い選択だ。《ワームの到来》や《セレズニアの魔除け》が生み出すトークンが多色ではないことを思い出してくれ。つまりこれはうっかりそれらを除去することもない。

 《根生まれの防衛》は全体除去を備えたコントロール・デッキに対して持っておきたい優秀なカードだ。極めて中速的なデッキとの対戦では、戦闘によって戦線を壊滅させるべく1枚用いるのもまたありだろう。このデッキはすでに除去呪文に対抗するための準備が施されてはいるが、これは道具箱に潜ませておける別の手段だ。

 1体目が墓地の餌を食い尽くしてから2体目を引くと相当弱いので、通常は《漁る軟泥》を過剰に引きたくないものだが、リアニメイト系に対して4枚持っておけるのはありがたいね。中速に対してサイドボードから3枚にできるのもいい感じだ。

 《漁る軟泥》が対リアニメイトの助けになるのと同じように、これもリアニメイトを食い止められるさらなる追加カードだ。

 中速やコントロール・デッキが相手の際、プレインズウォーカーは素晴らしい対抗手段だ――中速デッキは戦場へ投入できるカードがしばしば種切れになるし、コントロール・デッキはプレインズウォーカーに対処する手段が不足しがちになる。ゲームが長引くほどにアドバンテージを生み出す脅威こそまさに我々が求めるものであり、そのため2枚目の《群れの統率者アジャニ》を用意しようという気を起こさせる。

 これこそが! アグレッシブ・セレズニア・デッキだ。

 あなたが白緑の魔道士でありビートダウンを使いたいなら、これこそやり始めるに相応しい。次の大きなイベントのために考慮する価値が確かにあるアーキタイプだ――地元の大会であろうとワールド・マジック・カップのようなものであろうと等しくね。今週末のカバレッジにチャンネルはそのまま――何かしらの白緑ビートダウン・デッキが上位卓に現れるかもしれないと思うと興奮ものだ!

    惜しくも選ばれなかったデッキたち

 今回取り上げられなかったそのほかの競技的デッキはどんなものだったかって? ご覧あれ!

ウィルヘルム・エリクソンのバント・エルフ

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サミュエル・エラリーのアリストクラッツ・カーテン・コール

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ユーリの「パイロデルバー」

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カイル・ガスコインの緑白呪禁

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ブライアンのグルール・アグロ

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エリオット・デントの「テューンの軍勢」

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ウォルターの赤青緑グロウ

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シータ・ザ・シープのジャンクミッドレンジ

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アンドレ・ジャッドの「ゾンビ弾幕」

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(以下のデッキ募集部分は、原文・本日(8月13日)掲載分の記事から抜粋・収録しております。 この節の文責・編集 Yoshikawa)

    フラッシュバック・スローバック

 信じがたいことに、『テーロス』の最初のプレビュー・ウィークがわずか3週間後に迫っている! 私が話したくて永遠ほども待ってきたこのセットの、素晴らしいカードをいくつか取り上げて、そのすべてを語れる日が待ち遠しい。

 しかしながら、来るセットあれば、去るセットあり。イニストラードに経緯を払うときが来た。『テーロス』がローテーションして入ってくると、イニストラード・ブロックが去っていくことになる――ということは、イニストラードの入ったスタンダードのデッキを投稿する最後の機会だ! 我々が作り出せる狂気を見ていこうではないか。

フォーマット:スタンダード
デッキの制限:少なくとも1枚のイニストラード・ブロックのカードを中心に、デッキを構築すること。
締め切り:8月20日(火)午前10時(日本時間)

すべてのデッキリストを英語で、こちらのリンク先のフォームからメールでお送りください。デッキリストの提出時には、以下のようなフォーマットで入力してください。(必ずしも下記のような枚数通りのものでなくてもかまいません。あくまで一般的にデッキリスト記入のレイアウトを示すものです。)

あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)
Standard(フォーマット)
20 Land(土地カード 枚数とカード名・英語で)
20 Land
4 Creature(クリーチャー・カード 枚数とカード名・英語で)
4 Creature
4 Other Spell(その他の呪文カード 枚数とカード名・英語で)
4 Other Spell
4 Planeswalker(プレインズウォーカー・カード 枚数とカード名・英語で)

 このフォーマットを最後に一望し、我々が行き着く先を見るのが待ちきれない。

 それまで、思ったことがあれば気軽にフィードバックを、フォーラムへの投稿や私へのツイートで送ってほしい。皆さんの声を聞くことはいつだって素晴らしい。

 また来週お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey


( Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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