仄暗い箱の底から

更新日 Reconstructed on 2013年 9月 10日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 イニストラード行きの霊柩列車がだんだん見えてきた。スタンダードがローテーションすることによって《瞬唱の魔道士》、《高原の狩りの達人》、そして《終末》といったカードを擁するこのブロックを使える、素晴らしい2年間の最期の時が訪れる。テーロスはイニストラードの存在に代わって新しく素晴らしいものを目いっぱい提供してくれることだろう――もうすぐね――しかし、愛するそれら全てに別れを告げる悲痛もまたあるというわけだ。

 イニストラード・ブロックはマジック史上最も偉大なブロックの1つだ。これは恐怖、怪物、そして正気を失うといったこと全てに関連している。スタンダードでこのブロックについて語ることが可能な最後のチャンスで、名誉ある今週にふさわしい方法となると、恐怖や怪物に抗うよりも、むしろ……狂ってみるか?

 想像力という鍵でこの扉を開くと、そこは異次元の世界。音の広がり、視界の広がり、心の広がり。そこは影と本質、実体と観念の世界。そこへ今、あなたは足を踏み入れた。

 狂気の世界へようこそ。そこに我々は居る。

エディ・テイラーの「がらくた堕ち」

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その戦術とは

 《狂気堕ち》はマジでイカレたカードだ。これは現代における(有名な「スタックス」デッキの)《煙突》のようなもので、何もかもが失われるまで全てのプレイヤーのリソースをゆっくりすり減らしていく。このカードは互いに平等な効果のように思える……しかしマジックの始まりの時より今日に至るまでに、《神の怒り》はこちらにクリーチャーが居なくても対戦相手のクリーチャーを4体破壊できることをプレイヤーが発見してきたように、バランスを崩す方法はある。このデッキも例外ではない。

狂気堕ち神の怒り

 《狂気堕ち》のバランスを崩す手段とは? 余分なパーマネントが大量にあればいい!

 このデッキはその目的を完遂するために、《豊かな成長》、《地の封印》、そして《未練ある魂》といったカードを用いる。最初の2つは実質余分なパーマネントで、いったんカードを引いたあとは後々のための素材になるわけだ。トークン生成は最終的には勝ち手段になりうるし時間を稼ぐために有用である一方で、生け贄に捧げるにも都合が良い――とりわけ《未練ある魂》は、1枚のカードで4つのトークンを生み出してくれるからね!

 一度対戦相手の盤面が瓦解した状態になれば、いまだ未練を残してさまよっているスピリット・トークンやプレインズウォーカーの能力が対戦相手に止めを刺すのも当然のなりゆきだ。

 《狂気堕ち》を引けなかった場合はどうなるか? プランBは単純にゲームをコントロールするよう動くことだ。《終末》や《突然の衰微》といったカードはクリーチャーを制御し続けることが可能な上、プレインズウォーカーがアドバンテージを生み出してくれる。だとしても、このプランBは改善の余地があるので、そこを調べつついくつか調整していこう。

デッキ詳細

 何を残せるか、そしてそのまま残すにはあまりにヤバすぎるのは何か? 見ていこう!

狂気堕ち

 このカードを中心に組んだデッキであり、どの試合でも引きたいので、間違いなく4枚採用したい。毎ターン複数枚の効果を発揮させるか、あるいは、最悪の場合でも最初に置いた《狂気堕ち》のために2枚目以降を手札から捨てられるので、複数引いてもそう悪いものではないだろう。

 その上で、このデッキはどの程度《狂気堕ち》デッキとして機能できるかという疑問がある。いつでも序盤から引けると期待できるわけではない。《狂気堕ち》を加速するために《ストリオン共鳴体》のようなカードを使おうか?

ストリオン共鳴体

 通常は、1枚のカードに著しく焦点を当てたデッキにおいては、常によい予備プランを講じておくほうが私の好みだ。そうすれば最初の20枚分のドローにキーカードが見当たらなくても、まだ十分に戦える。

 それはどういうことか? いくつか勝ち筋を追加するということだ。また同時に、それらが他の戦術と噛み合うようにもしたい。

 多数の良い選択肢がここにある。《スラーグ牙》はライフを得られる上に盤面を安定させて、居なくなってもトークンを与えてくれるのだから、もちろん合わないわけがない。《高まる献身》はブロックか生け贄に使える複数のトークンという恩恵を与えてくれる。

 しかしながら、このデッキには冗長性を持たせるための余分な枠があまり多くはない。だが幸運なことにぴったりなカードがある。《軍勢の集結》だ。

軍勢の集結

 《軍勢の集結》はいくつかの理由から素晴らしいものだ。第一に、これ自体がゲームを完全に支配できる。このデッキは既に時間を稼げるように構築されており、そして《狂気堕ち》と同じく、《軍勢の集結》もいつでも確実な勝利で幕を引いてくれる。《軍勢の集結》の仕組みは《狂気堕ち》に非常に似通っており、したがってこれはデッキの他のカードとも良く噛み合うことになるのだから、デッキは元々これにとって理想的な構築になっているわけだ。

 第二に、両方を同時に展開したならば、まったくイカれたことになる。《軍勢の集結》が《狂気堕ち》で生け贄に捧げるためのトークンを毎ターン生み出すのだ。次いでいったん対戦相手のリソースが根こそぎ失われたならば、こいつは致死量の兵士を生み出せる。

 《軍勢の集結》は赤が含まれるカードだが――《遥か見》、《豊かな成長》、《新緑の安息所》がこのデッキにあり、なおかつ望むなら《予言のプリズム》を利用できるので、赤マナを得ることについては心配していない。

未練ある魂

 イニストラード・ブロックを支配するカードの1つ、《未練ある魂》はこれに素晴らしく適している。時間を稼ぐにしろ《狂気堕ち》の怒りを静めるための4つの生け贄にするにしろ、1枚のカードで多くの力となるだろう。絶対4枚のままだ。

情け知らずのガラク
原初の狩人、ガラク

 これらのプレインズウォーカーは二つの理由でこのデッキにおいて素晴らしい。一つは、いったん《狂気堕ち》がその細工を終えれば勝ち手段になる。二つ目として、これらは毎ターントークンを生むので、黒いエンチャントに継続的にエサを与えられるようにしてくれる。

 私が一つ不満に思うのは一方のガラクのコストが5マナかかるところで、少々マナカーブを引き下げておきたい。都合の良いことに、この色の組み合わせには仕事に最適な別のプレインズウォーカーがいる。《イニストラードの君主、ソリン》だ。イニストラードに別れを告げる時期においてイニストラードの実際の君主を採り上げるのはテーマ的にも適切なうえ、彼はトークンを生成するもう一人の4マナプレインズウォーカーでもある。挙句の果てに、彼の超必殺技は《狂気堕ち》の影響下で極めて効率よく動く――それによってパーマネントがあなたを有利にするべく、来訪してくるのだ!

イニストラードの君主、ソリン

 3ターン目に4マナへと加速する《遥か見》があるので、多分これらのプレインズウォーカーは合計で5、6枚欲しいところだろう。2種類に分けておけば上手く働く。それぞれを1枚ずつ引ければ理想的だ。

遥か見

 そして《遥か見》についての話だが、この緑のソーサリーはこのデッキに絶対4枚必要な要石となるカードだ。これは4、5マナの脅威となるカードを早いターンに出すためにデッキを前進させる。理想的には4ターン目に《狂気堕ち》を唱えたいし、《遥か見》はその動きを完璧にこなすための助けだ。加えて、これは最終的に《狂気堕ち》が稼働中ならそのためのパーマネントを戦場へと持ってくる。

新緑の安息所

 3マナかけて土地1つ分前進させるだけのマナ加速である《新緑の安息所》はとにかくヤバいほど強いというわけではないが、このデッキのためにできることがいくつかある。

 一つ目は、これもやはり4ターン目に5マナに到達させてくれる――それはこのデッキにとって重要な数値だ。4ターン目に《狂気堕ち》(や《軍勢の集結》)を着地させれば実際あっという間に対戦相手は倒されることだろう。

 二つ目に、いったん《狂気堕ち》が動き始めたら、予備のパーマネントになる。これは追放して嬉しいものでもないが――それはおおよそ土地を追放するようなものだが――余分なパーマネントとして追放できる。

 三つ目に、2点のライフを補填する役に立つ。ささやかではあるが、《狂気堕ち》が出なくて立て直そうとしているときは、何点の回復でも重要だ。

 《新緑の安息所》でいっぱいになった初手は望まない(そしてこのデッキの大量のマナ加速は外そうと思えば外せる)が、とはいえ3枚という数はこのデッキで用いるに十分安心できる枚数だ。

豊かな成長

 1マナのキャントリップ(何かしらの小さな効果と共にカードを引けるカード)であり色マナの確保も助けてくれる《豊かな成長》はデッキにあるべき理想的なカードだ。これは切り札となるエンジン・カードに向かってデッキを掘り進むうえ、《狂気堕ち》のためのエサでもある。加えて、カードを引く1マナ呪文ということで、このデッキの土地を少なめにしても大丈夫だろう。

地の封印

 《豊かな成長》のように、《地の封印》も小さな効果を発揮しつつすぐさま代わりのカードを引くために唱えられる(そしてその後追放できる)パーマネントだ。とはいえ、2マナは確かに1マナよりは少々ゲームプラン上の影響が出てしまう。これらをまとめて引いてしまうと、《豊かな成長》のような1マナ呪文と比べて「循環」させるのは遥かに難しくなる。

 このような2マナのキャントリップ・パーマネントが2枚は確実に欲しい。考慮できる別のカードは《予言のプリズム》で、マナ基盤を少々補助してくれる。《地の封印》が適しているか否かはメタゲーム次第だ。メインじゃない色の呪文を唱える助けとするために《予言のプリズム》に切り替えてマナの問題を解決することにするが、しかしあなたの行きつけのお店で《堀葬の儀式》、《瞬唱の魔道士》、そして《漁る軟泥》のようなカードが多く見受けられるようなら、間違いなく元に戻すだろう。

突然の衰微

 現在のスタンダードには数多くの優良除去の選択肢がある。通常なら《破滅の刃》のような除去を検討するところだが、エディはここでデッキ構成から良い判断を下した。《突然の衰微》はこのデッキに絶対に投入すべきだ。

 なぜか? ある特定のカード――《拘留の宝球》のために、さ。

拘留の宝球

 《狂気堕ち》が出てから《拘留の宝球》を戦場に出してこちらのゲームプランそのものを打ち破るのは簡単なことだ。《拘留の宝球》はそれでもターンごとの浸食の妨げとなるかもしれないが(《狂気堕ち》を出しながら《突然の衰微》用の土地を残せる7マナがあるならともかくね)、こちらのエンチャントが戻ってこないよりはよほどいい。間違いなく4枚全て残しておきたいところだ。

終末

 このデッキには必ず全体除去を搭載しておきたい。何のためかというと、クリーチャーの襲撃を灰燼に帰すためだ。しかしまた、いったん《狂気堕ち》が動いてから対戦相手のパーマネントを除去することで対戦相手の選択肢をさらに狭められるところがとりわけ良い。

 しかしながら、問題がある。《終末》はこのデッキに適した全体除去だろうか?

 奇跡で唱えられるものの、このデッキには自分のターンに用いるであろう数多くのキャントリップが含まれている。そして普通に唱えるための6マナでは少々遅い。幸運にも別の完璧な選択肢がある。《至高の評決》だ。

至高の評決

 《軍勢の集結》同様、これもメインではない色があるものの、このデッキなら早い段階で青マナを確保できると確信している。4枚にさせてくれ!

 これまでの変更全てを加味すると、デッキはこうなる。

ガヴィン・ヴァーヘイの「5色スタックス」

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 何をするにしても、面白さがこれっぽっちもなければ気が狂ってしまう。このデッキは相当イカレてる……だがいったん《狂気堕ち》が動き始めれば、対戦相手は復帰するのに四苦八苦するだろう。いくつかのプレインズウォーカーと《軍勢の集結》の追加により、さらにこのデッキは手堅いプランBも獲得した――あるいは、最低でもこれらにより《狂気堕ち》か《軍勢の集結》が間に合うまでは形勢を維持できる。

 ここでデッキが取りえたいくつかの別の手法というのも間違いなくある。もし望むなら、《レインジャーの道》や《スフィンクスの啓示》のようなカードを備えた、もう少し長期戦向きのビッグマナにもできただろう。もう一つの方向性としては、過剰なほどのキャントリップ(と恐らく《ストリオン共鳴体》)を用いてデッキを引きまくり、素早く《狂気堕ち》を探し出す方針に絞ったバージョンもありうる。

レインジャーの道スフィンクスの啓示

 イニストラードが去るまではあと数週間だ――イニストラードは良いものと、楽しさと、そして狂気が内包されたかのようなセットだった。願わくば、そういったものであるこのデッキを楽しんで欲しい。私はイニストラードが無いことを寂しく思うだろう――しかしテーロスの全てに出会えるのはもうすぐだ!

惜しくも選ばれなかったデッキたち

 そして十分にイカれていたが今週取り上げられる機会をぎりぎり取り逃してしまったデッキとは? ごらんあれ!

セリザワ ユウキの「ワームの道」

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ミッキー・ランズマンの「火力の芸術家」

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アンドラス・クラビオトの「心なき悪魔」

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ブライアン・メリッリの「火炙りデッキ」

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マールテン・ガースベーク・ジャンゼンの「彼方からの呼び声」

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コイレの「実験スフィンクス」

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ジョニー・アレクサンドロの「M13ともお別れ!」

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ケビン・マクヘンリーの「アジャニ's ナイン(×2)ライブ」

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ユーリ・スラヴィッキーの「黒青緑ハートレス」

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ニックの「燃え立つ秘密」

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マックス・ジャフィの「流血の同志」

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トウモン マサヨシの「吸血鬼」

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