勇者の道

更新日 Reconstructed on 2013年 10月 22日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 テーロス。ダブリン。そしてスタンダード。

 これからの話だ。

 数ヶ月ごとに行われるスタンダードの環境変化が起こったのはつい先日のことだ。スタンダード・ローテーション直後のプロツアーは、最高のマジック・プレイヤー達がそれぞれ持ち寄った最強のデッキを対戦テーブルへ持ってくるため、環境に与える影響はその年で最も大きいといってもいいだろう。マジックのプレミア・イベントはどれも必見だが、今回も例外ではないというわけだ。(訳注:この記事はプロツアー「テーロス」前に掲載されたものです)

 プロツアー週間におけるReConstructedの流儀に倣い、競技的なスタンダードのデッキを取り扱う機会だ。このプロツアーに私が初日から実際に参加する体でデッキ調整に取り組んでいこう。

 今回の投稿はブレイン・ジョンソンによる赤白青コントロールのデッキリストだ。確かにこの類のデッキはテーロスが参入したことで採用できる強力カードを多く抱えることになったが、トップレベルのデッキリストは未だに登場したようには思えない。じゃあ見てみようじゃないか!

ブレイン・ジョンソンの「赤白青コントロール」

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    その戦術とは

 中心にあるのは、コントロール・デッキであるということだ。これは現在期待されている数多くの要素を持ち合わせている。除去、ドローカード、プレインズウォーカー、そしてフィニッシャーをね。

 だがこれまで用いてきた従来のコントロール・デッキと比較すると、このデッキの扱い方には少々特徴的な部分がある。展開を膠着させてから26ターン目ぐらいにフィニッシャーを鎮座させようとする大抵のコントロール・デッキとは異なり、このデッキは出し抜けに速攻デッキを絡めとろうとするんだ。多数の強力なインスタントがあるので完全な「タップアウト」コントロール・デッキというわけではないが、《太陽の勇者、エルズペス》を登用することにより、最初に数枚用いるコントロール・カードで攻勢を食い止めた後に勝利をもたらすエルズペスをすぐさま着地させていくことが可能となる。デッキによっては様々なバックアップに支えられた《太陽の勇者、エルズペス》への対処に窮するだろう。

 意識すべき別の事柄は、対策を詰め込んでおくべき大きな引き出しの中身のバランスだ。神々、《嵐の息吹のドラゴン》、《世界を喰らう者、ポルクラノス》、速攻、遅攻、プレインズウォーカー、その他もろもろに対処したい以上、そのために必要な正しい対策すべてのバランスに気を使わなければならないだろう。

 では分析へと移ろうじゃないか。

    デッキ詳細

 デッキを通して何を残し何を外すか決断するときだ。始めよう!

 ああ、エルズペス。選ばれし者だ。この擬似クリーチャー・カードはこのデッキで戦うために選抜された。

 私は総じてエルズペスの大ファンだ。出すのに6マナかかるとはいえ、ゲームにおける影響は明瞭だ。彼女は(《ゴーア族の暴行者》のようなものを除けば)地上クリーチャーを全く寄せ付けず、そしてまた対戦相手が展開するどんな大型クリーチャーもすぐさま狙い打ってくれる。そして、先ほど言及したように、《太陽の勇者、エルズペス》はゲームを素早く進展させる侵略者だ。よくある一連の動きとしては、6ターン目にエルズペスを叩きつけ、3体のトークンを生み出してブロックに回し、アンタップしたら全体除去を撃ってからトークンを生み出すことで、完全に支配的な立場に回れる。

 ブレインは3枚投入としており、それは私も好ましく思う数だ。しかしながら、《英雄の破滅》のようなカードに立て続けに除去されることが容易にありうるコントロールとの対戦のために、さらに4枚目となる勝ち手段を加えたい。何をって? 《霊異種》さ。


 マナを残したままで《霊異種》を戦場に着地させるかぎり、相手がそれに対処するのは事実上不可能だ。《スフィンクスの啓示》を使うような長期戦には最適だ。そしてエルズペスを必要とする場合が多数ある一方で、《霊異種》で危機を脱することができる状況も同様に多い。

 全体除去呪文はコントロールの頼みの綱だ――そして早い段階で戦場に登場しうる《世界を喰らう者、ポルクラノス》のような重量感のあるクリーチャーがいっぱいのスタンダード・フォーマットにおいては、全体除去が必要になるだろう。また白のコントロール・デッキにとって《嵐の息吹のドラゴン》は天敵となる。《至高の評決》はそいつを打ち倒せるカードのうちの1枚だ。4枚に増やして全投入としたい。《至高の評決》は数多くの試合で引きたいカードであり、そう望む対戦において初期に引き入れるのが大切だからだ。

 神々と、3つの新しい強力なプレインズウォーカーがスタンダードへと参入してきたため、なんでも追放できるカードの重要性は高まってきた。《拘留の宝球》は対戦相手が用いるほぼすべての脅威に対して、信じられないほど効果的な解決策となる。実際のところあらゆる試合でこれらを引きたい――コントロールが使ってくるプレインズウォーカーと戦う上でも優秀だからね! 《至高の評決》同様、4枚まで増やそう。

 あらゆるものへの解決策について語るなら、ローテーション後の環境でかなりお気に入りなカードが《真髄の針》だ。事実上あらゆるデッキには狙うべきカード名がある。《ドムリ・ラーデ》や《悪夢の織り手、アショク》のようなプレインズウォーカー、神々、対戦相手の《霊異種》、あるいは対戦相手のビートダウンを止めるために《変わり谷》を指名するとしても、《真髄の針》を用いる機会がほぼ必ずあるだろう。メインデッキに1枚、それから《真髄の針》が特に効果的なデッキのためにサイドボードにも入れておきたい。


 私は昔から《マグマの噴流》が好きで、これがテーロスに戻ってきたことにわくわくしている。だが大きな問題として――スタンダードでの2点火力はどの程度有効だろうか?

 答え? 「そこそこ」だな。狙いたいものは間違いなく多く、その点については問題ない。とは言うものの、確実に対処しなければならない相当数のクリーチャーがタフネス3以上の位置にいるのだ。《羊毛鬣のライオン》、《嵐の息吹のドラゴン》、《ロクソドンの強打者》、《ボロスの反攻者》、《カロニアのハイドラ》……リストはまだ続く。

 占術は確かに有用だが、それでは対処できないような前述した脅威のうちいくつかを討ち取れるカードのほうが欲しい。ここで投入したいそのカードとは《ミジウムの迫撃砲》だ。付け加えて言うなら、《ミジウムの迫撃砲》は必要に応じて遅いゲームにおいてさらなる全体除去呪文として役に立つ、という利点も兼ね備えている。プレイヤーには打てないものの、プレインズウォーカーが忠誠度を増やしていく状況でもないかぎりこのデッキにとっては大した問題ではない――そしてそれだけでは《マグマの噴流》を選ぶ理由としては不十分だ。《ミジウムの迫撃砲》を4枚全投入でいいね。

 《スフィンクスの啓示》は昨年からの注目カードの1つであるが、今回のスタンダード・フォーマットにおいても非常に素晴らしい。ブレインがこれを投入したのは間違いなく正しい――唯一の問題は投入数についてだが、正しいのは3枚か4枚か?

 私はこれがよくある議論であり、デッキによって欲しい数が異なるであろうということに気づいた。このデッキでは、どちらかといえば4枚欲しい。デッキには除去が大量にあるので、対戦相手のクリーチャーを積極的に除去して《スフィンクスの啓示》で後押しできればそれでいい。(そして対戦相手がクリーチャーをあまり使わないのならば、その対戦では《スフィンクスの啓示》が4枚欲しいね。)もう1枚増やそう。

 《解消》はテーロスで登場した新しい打ち消し呪文として話題になっている。テーロスにおいては、あらゆる難物をまさに《解消》できるということでもある。《取り消し》は大したものではないと言えば確かにそうだが、占術1の追加によって擬似的なカード・アドバンテージへと繋がる助けになるので、いつでも手に入る《取り消し》の釣り糸に食いつくよりは遥かに魅力的な手段だ。

 しかしながら、《至高の評決》と《思考を築く者、ジェイス》があるため、このデッキは序盤にタップアウトすることがかなり多い。また同様にインスタントも数多く投入されているため、何かのカウンターのためのマナを残していられない――《アゾリウスの魔除け》は呪文を唱えてくる戦闘後メイン・フェイズよりも前にクリーチャーに使う必要があるし、《戦導者のらせん》も《スフィンクスの啓示》もマナを大量に必要とする。《解消》とこのデッキのかみ合わない部分が少々多すぎるようだ。これらを外すことでコントロールに多少弱くなるが、勝率を保つためにサイドボードを用いることができる。このデッキと《解消》は……コンビ解消だ。


 《スフィンクスの啓示》は長期戦においてライフを獲得するものだが、《戦導者のらせん》は侵略された状態から復帰する助けになるものだ。序盤のクリーチャー群に対処した後に出てくるさらなる脅威に打ち込むことで優勢に立ち、その侵攻をかなり押し返せるだろう。

 しかし《戦導者のらせん》が輝くのはクリーチャーを除去するときだけではない。対戦相手が用いる《歓楽者ゼナゴス》、《ドムリ・ラーデ》、《思考を築く者、ジェイス》、その他もろもろのプレインズウォーカーを追い払う助けにもなる。

 このデッキにはあまり多くの4マナ域を入れすぎないように気をつけなければならないが、《戦導者のらせん》は喜んでデッキに迎え入れる4マナ域だ。4枚採用しよう。


 この2枚はかなり異なるカードではあるものの、このデッキでは同様の立ち位置を占めている。これらは4マナ域に居座り、どちらもカード・アドバンテージを提供してくれるものだ。このデッキの4マナ域は既に4種類に上り、より重い《スフィンクスの啓示》にも活躍してもらうつもりだ。そのために、2枚2枚という現状からできれば3枚へと減じたい。

 《蒸気占い》はデッキを深く掘り進むには良いもので、デッキから複数のカードを公開して最終的にいくつかのカードを手札に加える手段として役に立つ。とはいえ、望んだものを得られるという保証はなく、さらにこれは《思考を築く者、ジェイス》のような別の効果も持ち合わせていない。どちらか1つを2枚引くよりも汎用性を考えてそれぞれを1つずつ引きたい場合が多いだろうことから《蒸気占い》を1枚は残すつもりだが、《思考を築く者、ジェイス》はほとんどの状況でより優れているだろう。今回は《蒸気占い》を減らそう。


 これらのカードはいずれも攻撃あるいはブロック・クリーチャーに対して強力な2マナ域のカードという枠に納まっている。単純に比較すれば《アゾリウスの魔除け》のほうがより良いカードだ。ドローにも使えるし、クリーチャーをライブラリーの一番上に送る行為は時間を稼ぎたい状況においては除去と同じようなものだからね。(ついでに、対戦相手が引いていたであろう何かが手札に加わる機会を奪い取るというわけだ。)とは言うものの、《天界のほとばしり》は《嵐の息吹のドラゴン》や呪禁クリーチャーを討ち取れる。それはメタゲームに応じて良いものになりうるだろう。

 揺れ動くメタゲームを予測することでこれらを多く採用する結果に落ち着くかもしれないが、基本的にはもっと強力なカードを利用したい。(とりわけどんな状況に直面するかわからないプロツアーにおいてはね。)

 しかしながらこの場合は、序盤における冗長性を補助しつつ《嵐の息吹のドラゴン》の対処も可能な、5枚目のカードをこの枠に加えたい。それに相応しいのは《天界のほとばしり》だろうか?

 そうとも言えない。

 このデッキは赤と青の両方の色を得られるので、似たような役割をこなせる上に別の機能をも持ち合わせている《変化》を《天界のほとばしり》の代わりとして採用しよう。これは2ターン目にマナエルフを除去できて、忠誠度の残り少ないプレインズウォーカーに対する追加の一撃になり、《波使い》のロード能力を失わせることも可能だ。この融合インスタントが最後の5枚目の地位を獲得する。


 超長期戦において対戦相手に止めを刺すことも可能な除去呪文を持っておくのは確かにそそられるが、上手く使うには大量のマナが必要になる。その状況ならほとんど予備の《太陽の勇者、エルズペス》か何かを持っておきたいだろう。

 16点とかそれぐらいの《オレリアの憤怒》による決着打をいつでも使える一方で、《スフィンクスの啓示》のせいでコントロールとの対戦ではゲームを終わらせる手段としては全然当てにならない。良い着眼点ではあるが、枠を確保するほどに他のカードより良いとは言えないだろう。

 《不死の霊薬》は勝つ前にライブラリー・アウトしてしまう心配がある場合に用いる安全弁だ。不死の門を通り抜けられるというのはそそられるが、5点回復だけ見ると採用の価値が無く、さらに序盤からクリーチャーの群れとにらみ合っているときに《不死の霊薬》を引く余裕はない。3枚のエルズペスと《霊異種》1枚(加えて必要になれば2枚のジェイスの超必殺技)を考慮すれば、デッキを使い果たす心配はなさそうだ。したがって《不死の霊薬》は外してもかまわないだろう。

 これまでの調整の結果、デッキはこうなった。

ガヴィン・ヴァーヘイの「エルズペスにくぎ付け」

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クリーチャー (1)
1 霊異種
ソーサリー (8)
4 ミジウムの迫撃砲 4 至高の評決
アーティファクト (1)
1 真髄の針
エンチャント (4)
4 拘留の宝球
59 カード

 サイドボード・カードを1枚ずつざっと通して説明する代わりに、主な用い方について説明しよう。ビートダウン、ミッドレンジ、そしてコントロールに対してそれぞれどのように使うか、だ。

 ビートダウンやミッドレンジとの対戦は元々こちらが有利だが、さらに対戦相手がほとんどの除去呪文を抜いてくることを考えると、脅威度をもう少し増やすために《テューンの大天使》を加えることでより迅速にゲームを終わらせることができる。これはかなり明快だろう。


 対コントロールの場合はもう少々複雑になる。

 コントロールに対しての1ゲーム目は、その対戦相手のプレイと構築にもよるがやや不利になりがちだ。ありがたいことに、そのためのサイドボードが用意されている。(対戦相手のあらゆる脅威を封じる助けとして《至高の評決》3枚は残しておくとしても)過剰な除去呪文の多くを抜いてもっとコントロールするデッキへと変更可能だ。

 サイドボード後のゲームは打ち消し呪文をどれだけ抱えているか、そしてどんな脅威を持ち合わせているかに大きく影響される傾向にある。とは言うものの、ほとんどのコントロールのフィニッシャーは――プレインズウォーカーであっても《霊異種》であっても――《真髄の針》に封殺されやすい。対戦相手を上回るためにそれらを利用しつつ、こちらの《真髄の針》を排除しようとする《拘留の宝球》などには《摩耗+損耗》を使おう。(言うまでもないが、対戦相手の針は壊すこと!)

 こちらの全体的なゲームプランはフィニッシャーを出すこととそれを守ることを中心とした動きになる。6枚の手堅い打ち消し呪文と《拘留の宝球》に対する回答があることで、上手い具合にやれるだろう。こちらの脅威度をさらに高めるために2枚目の《霊異種》と《記憶の熟達者、ジェイス》も投入できる。(覚えておいて欲しいのは、あなたが《真髄の針》で指定したものはどちらのプレイヤーも使えないので、多様性は助けになるということだ――戦略上自分の針を破壊することもね。)このデッキに黒を採用したようなバージョンなら《思考囲い》を利用してくるだろうから、対戦相手に全てを引き剥がされてしまわないようにそれぞれの密度を十分に高める必要がある。


 いずれにせよ、私がプロツアー「テーロス」に参加するなら間違いなくこのデッキを強く検討するだろう。私は白青基盤の重コントロールが好きで、《戦導者のらせん》と《ミジウムの迫撃砲》の2枚は赤を散らすに足る有力カードだ。

 しかしこれはプロツアー参加者だけに向けたものではない――フライデー・ナイト・マジックで利用してみたい競技的なデッキに興味があるなら、試す価値がある。楽しんでくれ!

    惜しくも選ばれなかったデッキたち

 今週も素晴らしいデッキリストが山のように送られてきた。最も注目したい提案のいくつかを見てみよう。

ジョン=マークの「ずっとメドマイのターン」

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ジョーの「ぐるぐるマナバースト」

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ブラッケンの「無限の価値」

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(制作者不明)の「青緑赤コントロール」

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ノクティスインセンディアの「襲撃のミノタウルス」

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クリスティアンの「明快なボロスの戦略」

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ディオージの「トークンをどうぞ」

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クリーチャー (6)
4 前兆語り 2 霊異種
ソーサリー (9)
2 思考囲い 4 豚の呪い 3 骨読み
インスタント (11)
4 急速混成 4 白鳥の歌 3 英雄の破滅
アーティファクト (4)
4 漸増爆弾
エンチャント (4)
4 集団疾病
土地 (24)
10 6 4 欺瞞の神殿 4 湿った墓
60 カード

ジャック・ウォッタースの「世界を喰らう者・ファイアーズ」

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ジョシュ・トルスコウスキの「堕落した進化」

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デイヴィッド・ベアードの「深き海の信心」

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ポール・ウィルヘルムの「ラクドス信心」

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マシュー・ゴットシャルの「4色コントロール」

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ライアン・インザーナの「ウィー・キマイラ」

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コバヤシ ヒロヤの「モンスター・ジャンド」

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