大物狙い

更新日 Reconstructed on 2013年 10月 1日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 テーロスがやって来る! 未開の地を闊歩する怪物たちの姿はもう見たかな

 あるものは牙を持ち、あるものは頭を複数持ち、またあるものは神々の地であるニクスの本質をその身に受けて、光輝く。

 古代ギリシャでも「いやはや!」とみんなが言っていたことだろう。

 さあ、怪物も英雄も一緒くたになった集団を手なずけ、味方につけよう。そこから見事なまでの大物が生まれるぞ――挑戦してみるかい?

 よし、やろう。

 本日は、ベン・ビュフォード/Ben Bufordが送ってくれた「信心デッキ」を見ていく予定だ。まずは彼が考え出したリストを見てみよう!

ベン・ビュフォードの「大物」

Download Arena Decklist

 パキッ! ボリボリ! ゴックン! いや、テーロスで人気のシリアルを食べる音じゃないぞ――対戦相手がおやつに見えるくらい余裕だというなら話は別だけど。(朝飯前ってところかな?)

 さっきの音は、このデッキのクリーチャーたちの願望だ――敵をばらばらに引き裂くような強大な怪物を生み出してやろう。一切の遠慮はいらないぞ。

 《エルフの神秘家》のようなマナ加速役――あるいは《カロニアの大牙獣》のようなコストに比べてサイズの大きなクリーチャー――のおかげで、今回のデッキは早い段階でライフ・レースを始めることができる。強大なクリーチャーで素早く対戦相手にプレッシャーをかけることで、クリーチャーへの対処に追われる状況を作り出し、後退させるのだ。

 今回のデッキのかなめは「信心」だ。盤面をクリーチャーで埋め尽くすことで、《狩猟の神、ナイレア》や《恭しき狩人》を運用するための緑マナ・シンボルは十分に稼げるはずだ。ひとたびすべてが整えば、《ニクスの祭殿、ニクソス》が更なるマナを生み、《狩猟の神、ナイレア》の力になるだろう。

狩猟の神、ナイレア恭しき狩人

 ベンが今回のデッキを組んだ時点では、『テーロス』のカード・ギャラリーはまだすべてが公開されていた訳ではなかった。検討できるカードが増えた今、どんなカードが追加されるだろうか? よし、それでは見ていこう……

デッキ詳細

 今回のデッキはどのような動きを見せるのか? それから、残すカードと抜くべきカードは? カードを1枚ずつ通して見て、お話することにしよう!

エルフの神秘家

 マジック黎明期より《ラノワールのエルフ》や《極楽鳥》が様々なカードへ手を貸していたように、1マナのマナ加速役はアグレッシブな緑単色のデッキには欠かせないものだ。《エルフの神秘家》は由緒ある血統を受け継いだ最新のカードで、その能力に衰えはない。1ターン早く動くことができるようになれば、今回のデッキはより調子良く回るだろう。

 《エルフの神秘家》が1マナであることが、実はとても大切なことだと言っておこう。《森の女人像》は2マナ域の枠を奪い、それから私が今回のデッキに求める速度も奪ってしまう。2ターン目に唱えるカードは他にもたくさんあるのだ。1マナのエルフをこれ以上使えないのは悲しいけれど――《エルフの神秘家》があるというのはとても嬉しいね。

実験体

 大型クリーチャーに満ちた今回のデッキでは、《実験体》はゲームの進行に合わせて育ち続けることだろう。今回のデッキにいくつか調整を加えれば、《実験体》が3/3か4/4になるのも珍しくない――さらに1ターン目に繰り出せるカードということで、マナを効率的に使うこともできるぞ! こいつは4枚にこだわりたい。

ドライアドの闘士

 今回のような緑単色のビートダウン・デッキが白ウィニーや赤単と大きく違うのは、小さなクリーチャーで盤面を埋め尽くすよりも大型の脅威を繰り出すのに主眼を置いていることにある。1マナ2/1はアグレッシブな白ウィニー・デッキではこの上ないカードだが、今回のデッキではそれほどでもないのだ。

 《実験体》が許されるのは、それが毎回のように2/2より大きくなるためだ。今回のようなデッキでは採用できる1マナ域が限られているため、《ドライアドの闘士》はこのデッキが求める水準を満たしていない。

カロニアの大牙獣

 今回のデッキが持つ大きな特長はふたつ。コストの割にサイズが大きいアグレッシブなクリーチャーと、それから「信心」だ――《カロニアの大牙獣》はそのどちらも持っている。2マナで3/3という、序盤からプレッシャーをかけられるサイズ。そしてではなくというコストもまた素晴らしい「利点」だ。こいつは《狩猟の神、ナイレア》や《恭しき狩人》のために、マナ・シンボルをふたつ稼ぎ出してくれる。今回のデッキにうってつけのカードだろう。

炎樹族の使者

 信心ということなら、それに役立つカードの話をしよう! すぐには実感できないかもしれないが、混成マナ・シンボルは2色の信心を両方とも高める。《炎樹族の使者》は信心をふたつ稼ぐだけでなくマナも生み出し、さらなる脅威を繰り出すと共に信心も高めることができるのだ。

 《炎樹族の使者》を複数引いたとき何が起こるかについては、もはや言うまでもないだろう。2ターン目《カロニアの大牙獣》、続いて3ターン目《炎樹族の使者》、《炎樹族の使者》、《恭しき狩人》という動きを想像してみてくれ――《恭しき狩人》は8/8になり、3ターン目にして15点ものパワーを戦場に用意できるのだ! 当たり外れのある2/2はこのデッキが本当に求めるものではないけれど、圧倒的なまでの信心の高さとブン回りの可能性は無視できない。《炎樹族の使者》は残すべきカードだ。

漁る軟泥

 《漁る軟泥》は、『基本セット2014』の中で最も話題になっているカードのひとつだ。――それも無理はない。こいつはあっという間に自身のサイズを大きくし、中盤のゲームを大きく変えるカードなのだ。2ターン目ではまだ一流のカードとは言えないものの、その後クリーチャー同士の交換が行われた後であれば、まさに期待通りの働きを見せてくれるだろう。

 あまり序盤に引きたくはないのと、複数引いても1枚目が2枚目の分まで餌を食べてしまうことが多いので、私は《漁る軟泥》を3枚に減らそうと思う――それでも、こいつが見事なカードであることは揺るぎないよ。

恭しき狩人

 こいつは今回のセットの緑への信心を代表するカードだ。他に何もなければ、これ自身は3マナ2/2が基本になる。そうだね、まったく魅力がない。しかし、他に緑マナ・シンボルがひとつあれば、それだけで《恭しき狩人》は3/3だ。今回のような戦場が緑のクリーチャーで埋まるデッキでは、5/5、6/6が当たり前になるだろう。《カロニアの大牙獣》に続いて3ターン目に出ても4/4に「過ぎない」けれど、それでも対戦相手は大いに苦しむことになるだろう。

 こいつ自身は回避能力を持っていないものの、《狩猟の神、ナイレア》と組み合わせればトランプルを得る――最高の組み合わせだね。ベンはこの組み合わせに気づいていて、《恭しき狩人》を4枚採用したのだろう。

反逆の混成体

 《反逆の混成体》にはなかなか派手なことが書いてある――こいつより大きなクリーチャーを出せば、全体が強化されるそうだ。だがそのためにはまず、《反逆の混成体》を進化させなければいけない! 今回のデッキはやや進化には向いておらず、特に《反逆の混成体》を繰り返し進化させるのは難しいのだ。(《恭しき狩人》が+1/+1カウンターを得るのは戦場に出た後のため、進化とは噛み合わないということに注目すべきだろう)。

 《反逆の混成体》を使うこともできるけれど、私はもう少し安定したものを採用したい。ちょうど、今回のデッキにぴったりな強力な緑の3マナ域が『テーロス』で登場した。《加護のサテュロス》だ。で4/2瞬速持ちというのは、それだけでも対戦相手のプランを邪魔できるだろう。

加護のサテュロス

 しかし、《加護のサテュロス》の真の強みはその柔軟性にある。5マナまで届けばインスタント・タイミングで「授与」することができるようになり、対戦相手は手の打ちようがない状況に立たされることだろう。下手にブロックに回ればそのブロッカーが倒され、ブロックしなければしないで、4点ものダメージが襲いかかる。たとえ授与先のクリーチャーがいなくなっても、4/2が戦場に残るのだ! さらに魅力的なことに、《加護のサテュロス》は緑マナ・シンボルをふたつ持ち、信心を高めるのにも役立つ。4枚すべて投入だ!

狩猟の神、ナイレア

 4マナで破壊不能なパワー6を持つ可能性を秘めているというのは、それだけで実に魅力的と言える――それでいて、《狩猟の神、ナイレア》はより多くのことをもたらしてくれるのだ。回避能力を持たない大型クリーチャーに満ちたデッキでは、トランプルがうってつけだ。クリーチャーを強化する能力も、戦闘で対戦相手に悪夢を見せつけることができる。《狩猟の神、ナイレア》が戦場にあり土地が4つ立っていたら、有利なブロックを取るのは極めて難しいだろう……4つの土地のうちひとつが《ニクスの祭殿、ニクソス》なら尚更だ! これには殿堂顕彰者ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasもこんなことを口にするかもしれない。「これがビッグ・ゲームってやつだよな!」

 《狩猟の神、ナイレア》は、伝説のパーマネントでありながらそう簡単に戦場を離れるものでもないので、私はこいつを3枚に留めたい。それでも彼女は、今回のデッキで最も恐れられるカードのひとつであることは間違いないだろう。彼女の怒りを対戦相手に実感させてやれ!

 それぞれの持つ能力はまるで違うものの、私はこれらをひとつのグループにまとめようと思う。なぜなら、これらはみな今回のデッキが持つ大きな目標に適っているからだ――大量のマナからアドバンテージを取る、長いゲームを見据えたカードたちだ。

 もちろんこういったカードを採用するのは嫌いじゃないけれど、今回のデッキにおいては悩みどころもある。これらが活躍する頃には、すでに勝利を手にしていることが多いのだ。「信心」というものが「雪だるま式に繰り出す」メカニズムである――高い信心を達成するならとにかく土地でないパーマネントがたくさん必要になり、前のめりな構成になりがちである――ことを考えると、本音を言えば基本性能が高く大量のマナとも噛み合うカードを使いたい。

 ちょうど、『テーロス』内にぴったりなものがあるんだ。世界の終焉へようこそ。すべては飢えたハイドラが引き起こしたことだ……

世界を喰らう者、ポルクラノス

 《世界を喰らう者、ポルクラノス》は4マナで5/5とそれだけで注目に値するカードなのだが、その上で凶悪な能力も持っている――対戦相手のクリーチャーを薙ぎ払い、ついでにサイズも上がり……さらに効果の大きさは注ぎ込んだマナに比例するのだ!

 他のことで手一杯でなければ、4マナ5/5の《世界を喰らう者、ポルクラノス》がそのサイズを上げて攻撃に向かうことができる。信心があり余るほどに高まり、《ニクスの祭殿、ニクソス》が戦場にあれば、対戦相手の盤面を一掃することもあるだろう! こいつはまさに今回のデッキが求めているものだ。

 《世界を喰らう者、ポルクラノス》は伝説のクリーチャーだが、対戦相手はこいつをすぐに除去しなければ敗北に向かうということ、そしてたとえ手札に余っても活かせる能力を持っていることから、私は4枚採用していいと思う。何はともあれ、手札に余った分はいざというときに役立つ――《世界を喰らう者、ポルクラノス》をプレイして能力を起動し、必要があれば、その後のターンにもう1体を使ってやればいいのだ。新しくなったレジェンド・ルールのおかげで、1体目を墓地へ送りまだ怪物化していない方を戦場に残すことが可能なので、対戦相手のクリーチャーを恐怖で牽制することができるだろう。

 巨大なハイドラといえば、私は今回のデッキの仕上げに《カロニアのハイドラ》を2枚追加しようと思う。わずか5マナにして1回の攻撃で8/8トランプルになるという点に加え、《漁る軟泥》や《恭しき狩人》、《実験体》、それから《世界を喰らう者、ポルクラノス》と、今回のデッキには《カロニアのハイドラ》で倍にできるカウンターを持つものがたくさんあるのだ。マナ・カーブを重いところへ寄せ過ぎないように2枚までの採用に留めたいものの、《カロニアのハイドラ》は喜んで盤面へ突撃させたい強烈なインパクトのあるカードであることは間違いない。

 これまでの変更をすべて加味すると、デッキはこんな風になるぞ。

ガヴィン・ヴァーヘイの「大物狙い」

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 新スタンダード環境に殴り込みをかけられるものを探しているなら、今回のデッキがぴったりだ。恐るべきサイズのクリーチャーが立ち並ぶこのデッキは、序盤からプレッシャーをかけていく。さらに、《狩猟の神、ナイレア》や《加護のサテュロス》といった単純に対策できないカードの数々――それから《世界を喰らう者、ポルクラノス》のような1枚で強大なカード――のおかげで、自然と全体除去への耐性もあるのだ。

 緑単色の軸から少し離れたいなら、赤をちょっとタッチして《ドムリ・ラーデ》を使うといいだろう。クリーチャーで埋め尽くされた今回のデッキには、《ドムリ・ラーデ》がうってつけだ。このまま今回のデッキを突き詰めたいなら、《森の女人像》を採用して巨大な怪物たちをさらに早く繰り出してやろう――少しだけ攻撃面が削がれるけどね。

ドムリ・ラーデ森の女人像

 ぜひ大型クリーチャーで攻撃する楽しさを実感してくれ!

惜しくも選ばれなかったデッキたち

 今回のデッキは、今週送られてきた多くの「信心デッキ」のひとつに過ぎない。他のものも見てみよう!

ライアン・シュウェンクの「赤単信心」

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ジョシュア・ベイダーの「陰謀団の復活」

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デイヴィッド・スピンドーラの「ハンマー・レッド」

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ケヴィンの「白ウィニー」

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サム・ペイトの「大打撃への信心」

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ジム・ボウルターの「マナバースト・グリーン」

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カイルの「鍛冶場の集結」

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ブライアン・ゲデスの「黒単コントロール」

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Planeswalker (2)
2 闇の領域のリリアナ
ソーサリー (4)
4 思考囲い
インスタント (6)
4 破滅の刃 2 死の国からの救出
アーティファクト (2)
2 不死の霊薬
エンチャント (1)
1 闇の予言
60 カード


(以下のデッキ募集部分は、原文・本日(10月1日)掲載分の記事から抜粋・収録しております。 この節の文責・編集 Yoshikawa)

 来週末にはプロツアー「テーロス」が予定されている! どんな結果が飛び出すか、見るのはとても楽しいものになるだろう。そして、プロツアーは間違いなくスタンダードの大舞台を提供する一方で、私がこの記事を書く段階では、プロツアーで何が起こるのかは皆さんも、私にもわからないだろう。そこで、今週の残りの期間はスタンダードから離れ、『テーロス』を得てエキサイティングになった別のものに焦点を当てるとしよう。モダンだ!

 以下が今回のミッションだ。

フォーマット:『テーロス』導入後のモダン
デッキの制限:少なくとも1枚の『テーロス』のカードに注目してデッキを構築すること。
締め切り:10月8日(火)午前10時(日本時間)

 すべてのデッキリストを英語で、こちらのリンク先のフォームからメールでお送りください。デッキリストの提出時には、以下のようなフォーマットで入力してください。(必ずしも下記のような枚数通りのものでなくてもかまいません。あくまで一般的にデッキリスト記入のレイアウトを示すものです。)

あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)
Standard(フォーマット)
20 Land(土地カード 枚数とカード名・英語で)
20 Land
4 Creature(クリーチャー・カード 枚数とカード名・英語で)
4 Creature
4 Other Spell(その他の呪文カード 枚数とカード名・英語で)
4 Other Spell
4 Planeswalker(プレインズウォーカー・カード 枚数とカード名・英語で)

 『テーロス』を使って皆さんが発想した、モダンの進化を見ることが楽しみでならない! 間違いなく、イカれたやつが飛び出すことだろう……

 それまで、この記事やデッキについて考えたことやフィードバックがあれば、フォーラムへの投稿や私へのツイートを送ってほしい。読むことをお約束する。

 また来週お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey


(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing)

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