死儀礼の素質

更新日 Reconstructed on 2012年 9月 18日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

 いくつかのカードがプレビューされ、それらをどんなデッキに入れたいかは即座に明らかになった。《議事会の招集》? 確かに、私はセレズニア・デッキで攻撃と居住を行い始めるために3/3トークンを生み出すだろう。《突然の衰微》? ああ、結構。面倒なパーマネントをぶっ飛ばすためにゴルガリデッキにそいつを入れたいね。《火炎収斂》? 噂によるとこのカードは多色呪文と相性がいいらしい。

 プレビュー記事に書かれた他のカードは、考えをもう一捻りしないといけない。これまであまり考慮に値しなかったカード(《境界なき領土》って何だっけ?)を、新しい視点から見ることができ、それを中心に据えた全く新しいデッキを構築できる――《世紀の実験》のような――カードもある。しかしそれらのカードでさえ、デッキを何で満たすのが適切かは伝えてくれるし、あなたにある種の道案内をしてくれる。

 今日のカードに明白さはほぼない。こいつは異なる用途を多く持った何でも屋だ。こいつはマナを加速する。自分のライフを相手の手の届かない位置まで伸ばせる。対戦相手のライフを手の届く範囲に持ってこさせる。《瞬唱の魔道士》をからかう。こいつは墓地を肥やすようにあなたに命じるが――その後どうするかはあなた次第だ。

 この挑戦に応えられるか?

お見せしよう。《死儀礼のシャーマン》だ。

Deathrite Shaman

 ショーン・メイン/Shawn Mainがデザインしたこのカードは、ラヴニカのゴミを拾い集めて有用なものに変えたラヴニカ市民を思い浮かべるよう、トップダウンの「ゴミあさり」カードとして着手された。その能力は開発を通してわずかに変わったものの、カードの中核は変わらないままだった。この生きているミスター・フュージョンはゴミを核燃料とする――大量のゴミを。

(訳注:ミスター・フュージョンはバック・トゥ・ザ・フューチャーに登場しデロリアンに搭載された原子炉エンジン)

 多くのゲームにおいて、不要なゴミからどんな効果を生み出せるかを確認して自分自身で墓地を精査することができる。ゴルガリ・デッキにおいては、3つの能力すべてを活用できることに気づくかもしれない。時には《瞬唱の魔道士》に対処するためにこれをサイドボードから加えるだろう。それ以外のデッキでは、単に1つの能力を使うために投入してもよい――それが混成カードの汎用性だ。

 このカードの柔軟な性質に合わせて、今日は普段通り1つのデッキを見る代わりに3つの異なったデッキを見ていくつもりだ。それぞれでこのカードを少しずつ違った用い方にし、このシャーマンが提供する無数の選択肢を披露する。

 始めようじゃないか!

グレン・マクラフリンの黒緑白中速

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 非常に素直なゴルガリ中速デッキを考えるところから始めようと思う。先週話した石臼に注目したデッキや、あるいは何か攻撃的なゾンビ系のようなものとは異なり、これは単体で良いカードを詰め込んだだけのデッキだ。この構築にはいくつかのシナジーが含まれている――《屍体屋の脅威》の恩恵を受ける《ロッテスのトロール》と活用、そしていくつかのゾンビと共にある《墓所這い》――しかしデッキの大半はただ唱えるだけで対戦相手をしかめ面にさせるたぐいのものだ。

ロッテスのトロール 屍体屋の脅威

 このようなデッキでは、《死儀礼のシャーマン》は何でも屋の性質を重視した使い勝手の良いクリーチャーとしてうまくはまる。これはマナを生み出し、ライフを獲得し、そして時間がたてば止めとなる一撃を与えられる。どのようにシャーマンを始動しようか? そうだな、ある種の自己石臼効果は早い段階で選択肢を広げ、そして次にゲームの展開が普通に進行すればクリーチャー、インスタント、そしてソーサリーが墓地にがっぽり大量投下される。いったんそうなれば、それに向いた状況が発生するたびにそれぞれの能力を個別に利用すればよい。

 このカードにはこのようなデッキにおいて、墓地管理がきわめて重大である証明になる、と言うだけの価値がある。墓地にある土地が1枚のみの場合、いつマナを増やすために使うか決めるのは非常に重要だ。それは《屍体屋の脅威》を1ターン早く出すのがふさわしいか、あるいは次のターンに3マナを2枚使うほうがよいだろうか?

 また、墓地で有効なカードがあるときにおける問いにも答えなければならない。自分の《墓所這い》や《屑肉の刻み獣》を食い尽くすのはどの時点でなら正しいだろうか? 普段はありえないが、ライフが問題たりうるいくつかの状況ではそれだけの価値はあるだろう。そして次に、言うまでもないことだが、対戦相手の墓地も管理していく。対戦相手が墓地から追放したり手札に戻したりするのはどのカード・タイプが最も多いだろうか? それはシャーマンをタップすることで対応されて《瞬唱の魔道士》を登場させる隙を作るだけの危険に自らを晒す価値があるだろうか? このカードは多くの問いを提示する。

墓所這い
屑肉の刻み獣

 どんな場合でも、このようなデッキにこれを投入するなら、私は断固としてデッキを中速の領域に押し込むだろう。攻撃的にも防御的にも用いられる多くの序盤用クリーチャー、少々の妨害、そして様々な除去、何でも撃退する実用的なそれらの手段がデッキには始めから存在している。またこのデッキの相乗効果の多くは一貫して働かせるのが難しいので、確実で精強なカードを使うことに焦点を当てようと思う。

 こんな感じで試してみたい。

ガヴィン・ヴァーヘイのホワイトロック

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死儀礼のシャーマン》 アート:Steve Argyle

 次のデッキでは、緑を全く含んでいないデッキをちょっと取り上げてみよう! 対戦相手を火にくべる(そして……骨になるような?)状況が好みなのであれば、次に取り上げるラヴニカへの回帰後のバーンを受け持つデッキを確認して欲しい。

カラム・ギルバートの黒赤バーン

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 カラムの赤黒デッキは、赤が提供してくれる最良の火力を効果的なクリーチャーと組み合わせて用いることにより、可能な限り素早く対戦相手をぶっ倒そうと努める。このようなデッキでは、《死儀礼のシャーマン》は2点のライフを毎ターン失わせることで偽《渋面の溶岩使い》として機能する。これでクリーチャーを除去はできないものの、目的が対戦相手の顔面に手持ちの火力を全部単純に投げつけることなら申し分なく真似できる。その上、対戦相手の墓地の土地によってマナ生成にてこ入れできることが時にはあるかもしれない。

 カラムの元のデッキリストは、驚くほどシャーマンがやろうとすることのために構築されていた。ティボルトや《野生の勘》のようなカードは、実際に山ほどの呪文をプレイする過程なしにシャーマンに燃料を与えることを確実にする。毎ターンシャーマンを容易に起動できるように、墓地に十分なインスタントとソーサリーを送り込もう。

悪鬼の血統、ティボルト
野生の勘

 このようなバーン・デッキにおいては、私はできる限りダメージを与えることに照準を絞り、他の分野に浮気はしたくない。デッキを直接ダメージ呪文でいっぱいにするために、直接的なクリーチャー除去、装備品、そしてクリーチャーの一部を減らそうと思う。通常なら《真紅の汚水這い》や《灰の妄信者》のような有能なクリーチャーをまとめてデッキに満載にしたいところだが、呪文によって可能な限り多量のダメージを与えたいがゆえに今回はそれらの利用を控えることにする。ほんのわずかなクリーチャーを――バーン戦略によく合ういくつかを――デッキに残すことにする。

 来たるラヴニカへの回帰後のスタンダードにて人々を燃やし尽くそうとするなら、これを試してみてくれ。

ガヴィン・ヴァーヘイの黒赤バーン

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血の墓所》 アート:Eytan Zana

 我々が取り掛かる3つ目にして最後のデッキもまた対戦相手のライフを失わせるために《死儀礼のシャーマン》を用いる狙いがある――だがそれは赤の重火力デッキとは大きく異なる。加えて、このデッキは結構なことに危機において緑の能力をも利用できる!

 ごらんあれ。

ダニー・ジョーダンのゾンビ・デッキ

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 《死儀礼のシャーマン》の3つの方向性すべてを利用できる先ほど見た3色中速デッキとは異なり、これははるかに積極的なデッキだ。しかしまた1つ前の赤いデッキとも異なり、より多くのクリーチャーを用いる。

 このデッキは、おおよそのところ、ゾンビ・デッキの現行スタンダード最新バージョンだ。すでにこのデッキがどれほど強いかは知っているだろう――大いに役立つ軽い除去と手を組んだ高効率、循環的なクリーチャーの働きだ。8体の1マナパワー2、2ターン目に出る新人の《ロッテスのトロール》や《血の芸術家》といった有力者、そして3ターン目には《屑肉の刻み獣》や《ゲラルフの伝書使》が投下されてダメージを与え、対戦相手はすぐに自己が危険な状態にあると気づかされる。

血の芸術家
ゲラルフの伝書使

 《血の芸術家》はうまく相手のライフを射程圏に持ち込みつつライフを回復してくれるが、時おり非クリーチャー・デッキとの対戦においていまいちに感じられるだろう。《死儀礼のシャーマン》を代わりに用いてみる価値がある。

 まず、これのコストは2マナではなく1マナであるという点が、大きな違いを生じさせる。これを搭載することは1マナクリーチャーを12体にまで至らせ、第2ターンにおいて追加のパワー2クリーチャーを展開しつつ1マナ余らせるか、《血の芸術家》をプレイするかのどっちつかずの選択の代わりに、かなり頻繁に1マナ2体を投下可能にすることを意味する。あとは、長期戦において、来るのが遅い0/1の弱い引きの代わりに十分な圧力として対戦相手に対峙することになる。

 確かに、シャーマンを毎ターン使うにはマナが必要だし、貪り食うためのカードを提供しなければならない。おまけに、全体除去に対処できず《殺戮の波》のようなコンボも使えない。欠点は利点を上回るだろうか? そう、確認する方法はただ1つだ!

 《死儀礼のシャーマン》を搭載したラヴニカへの回帰後のゾンビ・デッキをプレイしたいと望むなら、これを見てくれ!

ガヴィン・ヴァーヘイのゾンビ・デッキ

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 新しいシャーマンには多くの役割がある。マナ加速か、ライフ獲得か、ライフ喪失か、はたまたすべての役目を持たされるか。デッキにおいて最も適合するのは? これらの3つのデッキで――そしてあなたが作り上げるデッキすべてで――どう思うか確かめてみてくれ!

冒涜の悪魔》 アート:Jason Chan

惜しくも選ばれなかったデッキたち

 他にも刺激的なラヴニカへの回帰後のデッキリストを探している? 下にあるこれらの投稿をチェックしてくれ!

Mark Ian Allosoのセレズニア・ビートダウン

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Ethanのボーラス・コントロール

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James Humphriesの飛行リアニメイター

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Jackのジャンド

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Denton Chmuraの「似通ったネズミ」

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アゾリウスの大司法官》 アート:Chris Rahn

(以下のデッキ募集部分は、原文・本日掲載分の記事から収録しております(訳文は次々週10月16日掲載予定です)。 この節の文責・編集 yoshikawa)

シアトルへの回帰

 あとわずか数週間のうちに、プロツアー「ラヴニカへの回帰」がシアトルで我々の前に姿を現す! このプロツアーのフォーマットはラヴニカへの回帰入りのモダンだ。まったく新しいセットが、このきわめて多様なフォーマットに何をもたらすのか? では、諸君が思いつく何かを見ていこう!

フォーマット:モダン(ラヴニカへの回帰を含む)

デッキの制限:競技を念頭に置いたモダンのデッキで、少なくとも1枚のラヴニカへの回帰の新カードを含むこと。

締め切り:10月9日(水)午前10時(日本時間)

すべてのデッキリストを英語で、こちらのリンクをクリックした先のフォームからメールでお送りください。

 過去のプロツアー・ウィークと同じように、競技を軸としたデッキ構築に焦点を当てていこうと思う。そのため、ラヴニカへの回帰のカードを1枚以上(ただし新登場のカードのみ、ラヴニカ・デュアルランドは含まないよ!)入れた、競技志向のデッキを送ってほしい。この過程を経て、素晴らしいデッキが見られると思う。

 その間も、気軽に今回のデッキについてコメントや質問をツイッターで共有したり、この記事のフォーラムに書いてほしい。読むことをお約束するよ。

 今週のセット発売を楽しんでほしい! では、また会おう!

Gavin Verhey / @GavinVerhey


(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)


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