湧血する獣使い

更新日 Reconstructed on 2013年 3月 19日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 青い呪文はさておいて、遵法の精神は投げ捨てよ。軍用インドリクに乗り込め――そう、今日はグルール特集だ!

闘技》 アート:Matt Stewart

 今週見ていこうと思うグルールのデッキには、君たちが予想しているであろうものと……ひとひねり加えたものが入っている。

 君たちが予想しているもの? それは湧き立つクリーチャーたち――「湧血」というコンバット・トリックの支援を受けた者たちだ。攻撃こそグルールの流儀。グルール特集というせっかくの機会を逃すようなことはしないよ。

 じゃあ、みんながおそらく予想していなかったものは? 実は、こいつがそうだ。

野生の獣使い

 数か月前、私が《野生の獣使い 》デッキを取り挙げ、そのデッキが人気を博したことは覚えてくれていると思う。(そのデッキはお財布にも優しいものだった。そういうデッキを探しているなら、チェックしてみてくれ)。「ギルド門侵犯」で新たに加わったものを使えば、《野生の獣使い》はさらに良いものになるのだ!

 おっと、この記事のネタバレにはまだ早いな。――《野生の獣使い》については、記事を読み進めれば登場するよ。とりあえず、今日手がけるデッキを見てみよう。カイル・ガスコイン/Kyle Gascoigneの「ワイルド・ゲーム」だ!

カイル・ガスコインの「ワイルド・ゲーム」

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その戦術とは

 このデッキは、隙あらば攻撃するというプランを持った超アグレッシブなデッキだ。ほぼ毎ターンクリーチャーたちを攻撃させて、充実したコンバット・トリックでアドバンテージを取りたい。

 そしてコンバット・トリックと言えば――さっきのネタバレをしよう――、《野生の獣使い》についてちょっと触れよう。

 これまで《野生の獣使い》にとって鍵となっていたのは、彼女にこれでもかというほどの強化呪文を使ってから攻撃することによりクリーチャーたちをとんでもない大きさにして、対戦相手を打ちのめすことだった。

「ギルド門侵犯」がすべてを変える! 今回のプランでは、攻撃してから強化呪文を投げ込むのだ!

野生の獣使い》 アート:Kev Walker

 ……オーケー、もちろんそれが全てじゃない。

「ギルド門侵犯」は、このデッキにいくつか素晴らしい新要素を加えた。まずはグルールのかなめ、湧血だ。

 以前は、クリーチャーを強化するために様々なインスタントやソーサリーが必要だった。ところが、《野生の獣使い》と一緒に大きくなるクリーチャーが足りないのに手札が強化呪文で埋まるようなリスクを負いたくない、というのは大きな問題だった。

 湧血はこの問題を見事に解決してくれる! 攻撃して《野生の獣使い》の誘発型能力をスタックに乗せ、それから湧血を使うということができ、能力が解決されるときには湧血後のパワーが計算に入れられるのだ。湧血は、アグレッシブな強化呪文としても使えるクリーチャーたちをもたらしてくれる。いずれにしても《野生の獣使い》を強化したいのは攻撃時だけなので、「攻撃クリーチャー」という制限はまったく問題にならないのだ!

 それから、《炎樹族の使者》というカードが大いに役立つ。こいつは実質マナのかからないクリーチャーだ。つまり、《野生の獣使い》を繰り出す直前に何の問題もなく複数のクリーチャーを戦場へ展開できる、ということなのだ。例えば、1ターン目《東屋のエルフ》、2ターン目《炎樹族の使者》、《炎樹族の使者》、《野生の獣使い》と出せる手札を想像してみてくれ。3ターン目に《殺戮角》か《ゴーア族の暴行者》を1枚《野生の獣使い》に使えば、致命傷となる!

炎樹族の使者殺戮角

 最後に、《ドムリ・ラーデ》だ。《ドムリ・ラーデ》は、除去呪文やコントロールに対する大きな脅威となるだけでなく、安定してクリーチャーの供給を続けることができる――その多くは強化呪文でもあるのだ! 《ドムリ・ラーデ》は、《巨大化》を引く手助けはできない――でも、湧血を持つクリーチャーたちを引くのには頼りになるぞ! グルールのカードが加わることにより、このデッキは以前より大きく様変わりしたような――そして危険極まりない――印象がある。

デッキ詳細

 それじゃあ、変わったところをどこから見ていこうか? このデッキの各カードを通して見て、入れるものと抜くものを確認しよう。

野生の獣使い

 こいつはこのデッキの中核だ。このデッキは彼女を中心に構築して、可能な限り彼女を強化することになる。4枚必須だろう。

東屋のエルフ

 このデッキを同クラスのビートダウン・デッキより強力なものに足らしめる大切な要素は、猛烈なスピードだ。速さを最大化する必要があり、それについては《東屋のエルフ》が見事に応えてくれる。

 こういった戦略には1マナのエルフがぴったりだ。なぜならそれらはマナ加速をするだけでなく、《野生の獣使い》と共に(ときには文字通り)猪突猛進する際、クリーチャーとして戦力に加わってくれるからだ。そのためにも、1マナのマナ生物はできるだけ多く使いたいところだ。《東屋のエルフ》4枚に加えて《アヴァシンの巡礼者》をフルセット入れても、良くなじむだろう。このデッキでは白マナはいらないけれど、マナ加速ができるだけでも《アヴァシンの巡礼者》を使う理由としては十分だ。

炎樹族の使者

 先ほど述べたように、《野生の獣使い》を使って素早く対戦相手を圧倒したいデッキでは、《炎樹族の使者》はスゴいやつだ。《炎樹族の使者》から《野生の獣使い》という動きはとても強力で、その状況を最大限活用するため確実に4枚フル投入したい。

ゴーア族の暴行者

 ボカッ! 4点!

 2マナで+4/+4の修整とトランプルがついてくるのは実に効率が良く、最高の湧血クリーチャーのひとつとして、こいつはこのデッキにうってつけだ。またこいつ自身、ビートダウンに向かうときには最適なクリーチャーでもあるのだ! 4枚すべてそのままにしておきたいのは間違いないね。

殺戮角

 ボカッ! 4点!

 《ゴーア族の暴行者》ほどではないかもしれないが、《殺戮角》もまたこのデッキでは信じられないくらい強力なコンバット・トリックだ。こいつはさながらビートダウン用のクリーチャーとしても使える《巨大化》、といったところだ。3マナ3/2では大きさの世界記録を樹立するには至らない(ああ、セゴビアでならたぶんできるかもね)ものの、猛攻を仕掛ければ多大なダメージを呼ぶことだろう。(訳注:セゴビアは、通常の次元と比べて100分の1の大きさしかないミニチュアのような次元)

 こいつは2番目に使いたい湧血クリーチャーだ。4枚全部入れたいね。

軍勢の忠節者

 《軍勢の忠節者》が魅力的なのはいくつか理由がある。まず、すべてのクリーチャーにトランプルを与えることだ。《野生の獣使い》と一緒に《軍勢の忠節者》も攻撃させれば、強大になったクリーチャーたちはチャンプ・ブロックすら許さない。次に、《野生の獣使い》がいない場合の通常の戦闘においても、先制攻撃が戦闘の勝利に一役買うことだ。また、エルフを持っていないときに1ターン目の動きができる。

 だがしかし、すべてのカードはコストがかかる。カードがプレイできるということは、他のものは使っていない、ということなのだ。さらに、《軍勢の忠節者》が強い場面はあるものの、こいつが本当に輝くのは勝利が目前にあるときだけだ。強化した《野生の獣使い》で攻撃するなら、いずれにしても良い形になるだろう! 私はもっと安定してこのデッキにとって良いものを使いたい。《軍勢の忠節者》はきっとその忠節を尽くしてくれるだろう――だがグルール一族は彼の居場所ではないのだ。

絡み根の霊

 このデッキの主な強みのひとつは、強大になった《野生の獣使い》とその効果を受けた軍勢で対戦相手を一気に倒すことに加えて、それができない場合も優秀なビートダウン・デッキでいられることだ。《絡み根の霊》のようなカードはその中核となる存在だ。こいつは驚くほどアグレッシブなクリーチャーで、粘り強さもあり、そして《ドムリ・ラーデ》とも良く噛み合う。4枚すべて残したいところだ。

 《絡み根の霊》の他にも、このデッキではもっとビートダウン的な要素を高めていきたいと思う。その傾向にぴったり添っているのではないかと私が見ているカードは、《火打ち蹄の猪》だ。2マナ3/3で速攻をもつ可能性を秘めている《火打ち蹄の猪》は、ビートダウン寄りの引きと爆発力を実現することだろう。

破壊のオーガ

 恐ろしいほどに強力ではあるものの、5マナは少しばかり重い。多くの場合で《ウルフィーの銀心》のようなものを持っていたいと思うだろう。

 最もコストのかかるクリーチャーを抜けば、このデッキは信じられないほど低いマナ・カーブを描き、ほとんど土地がいらなくなる。最大のマナ域が3か4で、1マナ域のマナ加速役が8枚あるなら、土地は20枚か21枚で足りるだろう。(これは《ドムリ・ラーデ》にとっても良いことだ)。破壊ならお手の物とはいえ、《破壊のオーガ》はこのデッキに向いていない。

ドムリ・ラーデ

 《ドムリ・ラーデ》は、カード引くこと、クリーチャーの除去、そして奥義による脅威をあわせ持つマシーンだ。1ターン目に出るマナ加速が8枚あるので、《ドムリ・ラーデ》を2ターン目に唱えられることも多いだろう。戦場に出てしまえば、彼はデッキを掘り進めて重要な部分に近づけ、手札は湧血クリーチャーで――いや、《野生の獣使い》で満たされることだってあるだろう。

 コントロール・デッキは大抵、ゲーム序盤の《ドムリ・ラーデ》を対処するのに必死になるし、ビートダウン・デッキに対しても放っておけばゲームを完全に支配できるだろう。私は《ドムリ・ラーデ》を増やして4枚にしたい。彼は2ターン目に繰り出せる脅威のなかでも強力な1枚なのだ。

巨大化

 あり余る湧血クリーチャーと《ドムリ・ラーデ》を4枚にしたことにより、このデッキにあるクリーチャーでない呪文の数を考える必要がある。私はクリーチャーでない呪文を使いたいとは思うが――数は少なく、効果の高いものでなければならない。

 私がこのデッキに入れたいと考えているカードは、《怨恨》だ。何週間か前のグランプリ・ケベックシティのように《巨大化》の方が良い場面もあるけれど、何度も繰り返し使える《怨恨》の能力は序盤のビートダウン攻勢に使えると同時に、《野生の獣使い》を繰り出したターンでなければわずか1マナで強化できるという事実を作り上げている。このデッキには他に《巨大化》(に似た効果のもの)はたくさん入っているから、変化をつけるのもいいだろう。《怨恨》がまさにそれなのだ!

頭蓋割り

 このデッキにおいて直接ダメージを与えるものは理に適っていると断言できる(私は《灼熱の槍》がいいと思う)が、《ドムリ・ラーデ》によって《怨恨》4枚以外にスペルを入れたくならない。今回のカードの入れ替えは私にとって本当に良いものだったし、その場合《頭蓋割り》はもっとスペルを入れたいと思えるほどのレベルに達していないのだ。

 さて、デッキリストはどうなるだろうか? 最終的にこうなったぞ。

ガヴィン・ヴァーヘイの「ワイルド・グルール」

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 こうして、このデッキは君たちが他のグルール・デッキに求めているであろうたくさんの要素について、軸の外れたものになった。例えば、このデッキには《高原の狩りの達人》は入っていない。こうすればマナ・カーブを非常に低く抑えることができ(唯一普通に唱えるのが厳しい《ゴーア族の暴行者》を除いては、3マナを超えるカードは1枚もない)、デッキの土地の枚数を少なくできるのだ。

 ただし、このデッキで取ることのできる方向性は他にもある。マナ域を広げて《高原の狩りの達人》のようなカードを使うこともできるし(クリーチャーを2体得ることができて、《野生の獣使い》との相性も抜群だ)、《稲妻のやっかいもの》のようなカードを使ってさらにマナ域を低く、速くするのを試すこともできるだろう。《稲妻のやっかいもの》は《野生の獣使い》と《炎樹族の使者》と組み合わせて常識外れのスタートを切ることができるので、そういった組み合わせを使ってさらにマナ域を絞る余地があるのは間違いない。

稲妻のやっかいもの

 とはいえ、君たちが強力なクリーチャーたちで殴りかかったり強大になった《野生の獣使い》率いる群れで攻撃したりしたいなら――そして《ドムリ・ラーデ》以外に神話レアが必要ないデッキを組みたいのなら――このデッキを試してみる価値はあるよ。まずは試して、調整する余地がどれだけあるか確かめてくれ。《野生の獣使い》によるビートダウン、楽しんでくれよ!

惜しくも選ばれなかったデッキたち

 グルール成分が足りないという君たちには、以下に今週私のもとへ送られてきた最高にエキサイティングなグルールのデッキリストを集めた。ぜひ見てくれ!

トニー・ユーセフの「モーと鳴く人形」

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ミワ ユウスケの「人間ステロイド」

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リチャード・コリンズの「狼男」

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トーマス・マティスの「グルール高速アグロ」

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マット・オブライエンの「ランプ・ドール」

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ウィルバー・ハーリーの「グルール・ランド・デストラクション」

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シモン・ディークの「クレンコの奇襲」

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タカハシ カズヤスの「湧血の恐怖」

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リチャード・リンの「終わりの始まり」

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ソーサリー (8)
4 信仰無き物あさり 2 魂の再鍛 2 世界火
インスタント (3)
3 戦いの賛歌
アーティファクト (2)
2 予言のプリズム
エンチャント (4)
4 豊かな成長
60 カード

イタバシ リョウの「ビッグ・グルール」

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(編訳注:今週のデッキ募集はありません。原文記事では、2週間後(翻訳掲載は4週間後)の記事の題材を何にするかの投票が行われております。ご興味のある方は、原文記事の巻末をご参照ください。

 以下に、今回の結辞を掲載いたします。)

 グルール週間を楽しんでくれてありがとう! このデッキについて、それ以外でも何か思ったことがあれば、気軽にツイートなどで私に知らせてほしい。送っていただいたものにはすべて目を通しているよ。

 来週は格安スタンダード・デッキを題材にお送りしよう。新しい格安デッキ記事をお待ちならば、そのときには間違いなくここに戻ってきて確認すことをおすすめする。

 また来週、お話しよう!

Gavin / @GavinVerhey


(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing)

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