火を点けたのは「僕らだ」

更新日 Reconstructed on 2013年 8月 6日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

 炎。あたり一面に広がる炎。荒れ狂う火焔は音をたてて木から岩へと燃え移り、水をも焦がす。眼前の焼け残った地面の上では、燃え盛るシルエットがタンゴを踊っている。

 その勢いは強まるばかりだ。

 私たちは知っている。こんなことをしでかすプレインズウォーカーが、一体誰なのかを。


 決して環境から無くならないアーキタイプというものがある。いくつもの環境を経ても、常にその中心にあり、どんな状況でも構築が可能なアーキタイプのことだ。青白コントロール。白ウィニー。そしてもちろん、赤いデッキもそのひとつだ。

 赤いデッキには素晴らしい要素がたくさんある。例えば、お財布に優しいことだ。また、ダメージを徹底的に追求した赤いデッキは(殿堂顕彰者ジョン・フィンケル/Jon Finkelを含む)偉大なプレイヤーたちの多くが大会で使用した実績を持ち、中にはマジックにおける最も困難な偉業のひとつを達成するために、赤いデッキがいかに適しているかを知らしめたプレイヤーもいる。パトリック・「レインメーカー」・サリヴァン/Patrick "The Rainmaker" Sullivanの名を轟かせた一因は、《》と火力呪文なのだ。赤いデッキでは、その性能の90%を引き出すのは実に簡単だ――だが同時に、残りの10%を引き出すのが極めて難しいデッキでもある。

 そして今、《紅蓮の達人チャンドラ》――それと『基本セット2014』に収録された素敵なカードたち――の到来と共に、赤いデッキが再び大成功を収めるチャンスがやって来た。『ミクロキッズ』の大ファンであるジョン・スワツキー/John Sawatzkyが送ってくれた、本日手がけるデッキを見てみよう。

ジョン・スワツキーの「チャンドラの炎」

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その戦術とは

 世の中には10種類の人がいる。バイナリを理解する人としない人である。これと同様に、アグレッシブな赤デッキには2種類の戦略がある。それらは根本的には似通っている。

 ひとつは、クリーチャー中心の方針だ。スタンダードにおいてはつまり、《ラクドスの哄笑者》や《灰の盲信者》、《流血の家の鎖歩き》、《ボロスの反攻者》のようなカードを積極的に採用するということだ。こういったデッキでは、繰り返し使えるダメージ源となるクリーチャーが精鋭揃いで、対戦相手がわずかに残したライフを火力呪文が取り尽くす(燃やし尽くす?)ようになっている。

ラクドスの哄笑者灰の盲信者

 もうひとつは、スペル重視の方針だ。このデッキでは、対戦相手に次々と差し向けられる火力呪文が大きな役割を担っていて、そこに繰り返し使えるダメージ源としてクリーチャーが添えられる。繰り返し使えるダメージ源を多く採用することはできないものの、それは同時に別の形で恩恵が得られる――対戦相手のクリーチャーとクリーチャー除去を心配せずに済むのだ。たとえ対戦相手が盤面を固めていても、あるいは手札いっぱいに《破滅の刃》を抱えていても、火力呪文はちょうど『スペース・ジャム』のマイケル・ジョーダン/Michael Jordanのようにその頭上を飛び越えていくのだ。


 スワツキーが送ってくれたデッキは、後者の方針をとっている。

 今回のデッキの主なプランは、ダメージを押し通す優秀なクリーチャーを少数使い、対戦相手の額に汗が流れる様を眺めつつ火力呪文を放つ、というものだ。さらに、今回のデッキには新たな「導火線」も隠れている。

『基本セット2014』から新たに加わった《紅蓮の達人チャンドラ》は、このデッキにカード・アドバンテージを繰り返し与えてくれる。もし歴戦の勇者マイケル・J・フローレス/Michael J. Floresが彼の記事「The Philosophy of Fire(火力論)」(リンク先は英語)の原則を石碑に刻んでいるなら、「バーン・デッキのカードは、そのすべてが2点のダメージを生み出すようにするべし」とあるのが読み取れることだろう。

 バーン・デッキの目標を「土地を含むすべてのカードが2点のダメージに相当する」という風に設定し、また土地も適量を引きたい場合、ダメージ源となるカードを引けるものが極めて有用だ――ちなみにこの場合、ダメージ源が2点ではまるで足りない。

 バーン戦略の方針はクリーチャー主体の方針より優れているのだろうか? そうとは限らないし、その逆もまた然りだ。ふたつの方針はどちらも探究すべき道であり――探究こそ私たちがすべきことなのだ!

デッキ詳細

 デッキに残すべきものと、火にくべるべきものはどれだろう? それぞれのカードを見て、確認しよう!

チャンドラのフェニックス

 たとえクリーチャー中心の構築でも、今回のようにバーン戦略に寄せた構築でも、このフェニックスは赤いデッキには不可欠なカードだ。3ターン目に空を切り裂き2点のダメージを運び、その後もまるで《硫黄の渦》のように繰り返しクロックを刻むこのカードには、それだけでなく高い除去耐性も備わっている。今回のようなデッキでは、《チャンドラのフェニックス》を墓地から手札へ戻すのにほとんど何の苦労もいらず、つまり……ひたすらにダメージを稼いでくれるのだ。間違いなく4枚すべて残したいカードだ。

ゴブリンの付け火屋

 この小さなゴブリンは、1点のダメージを突き通すのが得意だ。生死に関わらず、どこかに1点飛ばすことができる。とはいえ、こいつが《ラクドスの哄笑者》などと比べて好評価を出せるだけのダメージを稼ぐとは、到底思えない。《ラクドスの哄笑者》は基本的に2/2のクリーチャーであり、それが生み出すダメージ量は《ゴブリンの付け火屋》とは比べ物にならないのだ。

 対戦相手の除去やブロッカーを腐らせるために、火力呪文中心の姿勢を変えずクリーチャーを多く採用することは避けたいと考えていても、《ラクドスの哄笑者》は例外だ。1ターン目に戦場へ繰り出せばまず少なくとも2点はダメージを稼ぎ、対戦相手が攻撃を止めるまでに、6点ものダメージを叩き込むこともあるかもしれない。今回のデッキで攻撃クリーチャーに割り当てられるのはもう1枠くらいなので、私は《流城の貴族》より《ラクドスの哄笑者》を採用しようと思う。《ゴブリンの付け火屋》をすべて《ラクドスの哄笑者》に入れ替えよう。

 また、これはエリック・ラウアー/Erik Lauerに教えてもらったのだが、「哄笑者」という名前のカードをデッキに入れておくと、対戦相手を圧倒したとき「哄笑」しても、許してもらえるぞ。

若き紅蓮術士

 新たに『基本セット2014』に収録されたこの傑作は、スペル満載のデッキでこそ輝きを放つ――まさに今回のようなデッキにうってつけだ。どうやら《若き紅蓮術士》を使って何か突拍子もないことをやってやろう、という人は大勢いるようだけれど――いくつかは記事の最後に載せておいた。「惜しくも選ばれなかったデッキたち」のリストをお見逃しなく――、ここではより「王道的な」使い方がされている。

 《若き紅蓮術士》が戦場にいる場合、こちらが唱える火力呪文に1/1トークンのボーナスがついてくる。トークンたちは小さいながらも対戦相手へのプレッシャーを高め、それだけでなく、ブロックに転じることで火力呪文の数々を撃ち尽くすだけの時間を稼いでくれる。

 《若き紅蓮術士》の数が増えれば、より一層強力になる――戦場に複数いれば、それらは莫大な力を生み出し、とんでもないことになるだろう。その上《若き紅蓮術士》自身も2/1だ! 私は喜んでこいつを4枚にしよう。ようこそ、《若き紅蓮術士》!

紅蓮の達人チャンドラ

 《紅蓮の達人チャンドラ》についてはすでにその利点を述べたが――もう少し詳しく見てみよう。

 彼女の[0]能力は(ほぼ)カードを得るというもので、確かに強力だ。では、他のふたつの能力についてはどうだろうか?

 [+1]能力は、対戦相手のライフをわずかながら減らしつつクリーチャーの攻撃を通しやすくしてくれる、という理に適ったものだ。始めからマナを残さず使うつもりなら、[0]能力ではなくこっちを使うことになる。また、最終奥義に近づくために[+1]を使うこともあるだろう。

 今回のようなデッキでは、《紅蓮の達人チャンドラ》の最終奥義が極めて強力だ。大抵は起動すれば必要なダメージを一気に叩き出し、ゲームに勝利できる。対戦相手がプレインズウォーカーへの解答の無いデッキを使っているなら、私はひたすらに彼女の忠誠カウンターを増やし、対戦相手に最終奥義の鉄槌を下すだろう。

 採用する枚数はどうしようか? そうだな、確かに強力だけれど、《紅蓮の達人チャンドラ》が2枚ある初手はあまり望ましくない――これでは(むしろ当然のことだが)火力不足を感じるだろう。今回のデッキでは3枚が適切だと思う。1枚は引き込めて、手札には詰まりにくい枚数だ。

紅蓮術士の篭手

 《紅蓮術士の篭手》には、なかなか大げさな謳い文句が書かれている。「お使いの火力呪文に強力な追加ダメージを、迅速にご用意いたします」だそうだ。だがしかし、こいつには深刻な問題がある。こいつが戦場に出るのは、火力呪文を撃ち込みたいタイミングが過ぎてからなのだ。火力呪文を手札に抱え続けることもできるけれど、それでは攻撃が遅くなり、マナを効率的に使うことも到底できない。

 戦場に出た《紅蓮術士の篭手》が、その後のゲームで与えるダメージはどれくらいだろうか? 4点? 6点? 準備にかける時間によってはもっと稼げるかもしれないけれど、そうすると明確なリスクが出てくる。こいつは《どぶ潜み》や《雷口のヘルカイト》と比べて、どれだけ優秀なのだろう?

 結論は出た。私は、今回のデッキのゲーム・プランに沿って安定して機能するカードを多く採用しようと思う。さようなら、《紅蓮術士の篭手》!

 ここで、分類すると同じ「火力」に収まるカードをすべてまとめて話そう。そのカードとは《ショック》、《頭蓋割り》、《いかづち》、《灼熱の槍》、《硫黄の流弾》、そして《轟く怒り》だ。

 私が優先するのは、まずダメージ効率の高さだ。続けて、付加効果の良いものはどれか見ていこう。

 ひと目見て私の興味を引いたのは、《硫黄の流弾》、《灼熱の槍》、《頭蓋割り》の3枚だ。


 《灼熱の槍》は2マナで好きなところに3点飛ばせるカードで、構築でも多く使われている。《稲妻》ほどではないものの、十分な性能だ。

 ダメージがプレイヤーにしか飛ばないものの、2マナ3点という同じダメージ効率で《灼熱の槍》に続くのが《頭蓋割り》だ。こいつの効果は、クリーチャーに当てることができないという欠点を補ってなお余りあるものだ。様々なライフゲイン手段が存在する環境では、それらに対抗するツールを持つことが肝要で、《頭蓋割り》は見事にそれを実現する。フレーバーに忠実に、強い影響を与えられるように、そして《スフィンクスの啓示》と《スラーグ牙》の対策カードとなるようにトップダウンでデザインされた《頭蓋割り》は、間違いなくその期待に応えてくれるだろう。

 《硫黄の流弾》は3マナ域に属していて、ややコストが高い――だがその威力は凄まじい。《若き紅蓮術士》を中心とした戦略ではクリーチャーが死亡しやすく、陰鬱の達成は難しくない。3マナで初期ライフの4分の1を持っていくというのは、まさにバーン・デッキが求めているものなのだ。私は《硫黄の流弾》を4枚に増やしたい。

 それから、次点として以下の3枚を見てみよう。


 《いかづち》は、《灼熱の槍》や《頭蓋割り》と比べると劣る点が多く見られるだろう……それでも2マナで3点というのは、序盤からクロックをかけ始められるものとして欲しいレベルではある。私はこいつを4枚投入するつもりだ。

 《轟く怒り》は、通常のコストでは高すぎて赤いデッキには向かない。奇跡でプレイできればゲームを変え得るカードである一方、手札に入った場合は非常に弱い。理論上、今回のデッキは《紅蓮の達人チャンドラ》のためにマナ・カーブが高めになるけれど、さすがに6マナまで伸びる保証はない。

 他に採用したいカードの枚数を鑑みて、私は《轟く怒り》の採用を1枚に留めたい。1枚なら初手に来ることはまずないだろうし、ゲーム後半に奇跡でプレイできれば、苦境から抜け出すことができるだろう。奇跡2回のためにリスクを負う必要はまったくない。(たとえ6マナまで届いても、こいつを2回唱える必要はまずないだろう)。

 《ショック》は、私の望むレベルよりやや弱い。《若き紅蓮術士》との相性は良いけれど、私としては《苛立たしい小悪魔》の方を使いたい。《苛立たしい小悪魔》では《若き紅蓮術士》の能力は誘発しないものの、そいつはバーン・デッキの先鋒を任せられるカードだ。

 ここまでの変更をすべて受けて、デッキリストは以下のようになった。

ガヴィン・ヴァーヘイの「紅蓮の赤」

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 もし対戦相手を焼き尽くすようなゲームがしたいなら――あるいは新しいチャンドラの居場所を探しているなら――、こいつはそんな君たちにぴったりなデッキだ。

 《変わり谷》が4枚追加されていることに注目して欲しい! それ自体がダメージ源になる土地はどんな場合でも強力で、気づけば2点、4点、あるいはそれ以上のダメージを稼ぎ出してくれる《変わり谷》は、今回のデッキの貴重な戦力になるだろう。《ボロスの魔除け》や《夜の衝突》といったものを使うために色をタッチすることもできるけれど、《変わり谷》を使えるというのは赤単の大きな利点だ。1枚も持っていないなら絶対に必須だとは言わないが、可能ならなんとか手に入れたい。

 今回のデッキを火力呪文重視でない方向に調整したいなら、いくつか選択肢がある。よりクリーチャー中心の構成にするなら、火力呪文の中でもやや劣るものを抜いて、赤い低マナ域の強力なクリーチャーを入れるといいだろう。他の色に手をつけたいなら、黒をタッチして《夜の衝突》と《ファルケンラスの貴種》を入れたバージョンも悪くない。

 火力と共に楽しんでくれ!

惜しくも選ばれなかったデッキたち

 他に君たちのハートを燃やすような熱いデッキがあるかな? 見てみよう。

シャオ・ミドルの「ストリオンの裁き」

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バークス・ザ・スクラブの「猫育て」

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ラース・S.G.ソルバッケンの「力強い防衛」

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ギルドール・イングロリオンの「エスパー・コントロール」

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エリオット・デントの「白ウィニーに近い何か」

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車輪回しの「秘密の若き紅蓮術士」

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マルフェンの「大天使の塔」

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タカハシ カズヤスの「ヴァルカス・コピー」

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デイヴィッド・スネイヴリーの「火炙り」

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ヤマモト カズアキの「悪魔の力、2の7乗」

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ジョーダン・「ツィッギー」・メランソンの「エンチャント・アグロ」

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ジョナサン・グティエレスの「スフィンクスとグールの啓示」

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マルタの「赤白トークン」

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