無限オレリア

更新日 Reconstructed on 2014年 2月 25日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 本日のデッキは本当に……いやはや、まさに「神啓」を受けた気分だよ。

 予想もつかない方法でカードを駆使するプレイヤーを、私はとても愛している。「 膨れコイルの奇魔と極楽のマントル」とか、「地平線のキマイラ・コンボ」とか、一見ヘンテコな使い方を目にすると、どうにも笑顔になるのを止められないのだ。

 そして本日のデッキも、間違いなくそのカテゴリーに属するものだ。

 早速手がけていこうじゃないか。今回ユニークでエキサイティングなデッキを送ってくれたのは、ハンドルネーム「クォール/Qoarl」で知られる生粋の構築狂だ。

クォールの「戦導者が戦導者を呼ぶ」

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その戦術とは

 さて、一体どういうことだろう?

 今回のデッキの核となるのは、あるコンボだ。見つけられたかな?

 それはちょっと手が込んでいて、新しいレジェンド・ルールの恩恵を受けたコンボだ。こんな風に動くぞ。

 まず、《悪魔の皮の魂結び》を戦場へ。その後2マナ余分に払える状態で《戦導者オレリア》を繰り出す。《戦導者オレリア》と《悪魔の皮の魂結び》で攻撃すると《戦導者オレリア》の能力が誘発し、《悪魔の皮の魂結び》がアンタップされるので、「神啓」のコストを払い《戦導者オレリア》をコピーする。

 ここからがちょっと複雑だ。新しいレジェンド・ルールにより、「コピー元の《戦導者オレリア》を生け贄に捧げ」トークンの方を残すことができる。《悪魔の皮の魂結び》の攻撃が通り、先ほど元の《戦導者オレリア》で得た追加の戦闘フェイズを迎える。続けて戦場に残した《戦導者オレリア》のコピー・トークンで攻撃すると――それは元の《戦導者オレリア》とは別の新しいクリーチャーなので、「このターン最初の攻撃」になり、《戦導者オレリア》の能力が誘発するのだ。以降これと同じ動きを繰り返すことができる!

悪魔の皮の魂結び
戦導者オレリア

 そうだね、普通なら《悪魔の皮の魂結び》の「神啓」のコストを払える分しか繰り返せない……しかし、戦場のクリーチャーだけで2マナ生み出せる状態なら、《戦導者オレリア》がそれらをアンタップするため、無限コンボが成立するのだ! ドカンと一発KOだ。ちなみにクリーチャーだけでは1マナしか用意できなくても、あと1マナ払うごとに3点で攻撃し続けられるぞ。

 本当に恐れいったよ。白状しよう、私が《戦導者オレリア》をデザインしたとき、まさかこんな使われ方をするとはまったく想像できなかった。

 さらに、クォールはただコンボをデッキに仕込んだだけじゃない。私が常々言っているように、デッキにはふたつ以上の軸を持たせるべきだ――クォールはうまくデッキに変化をつけているぞ。今回のデッキはコンボを搭載しているだけでなく、ビートダウンも狙えて《戦導者オレリア》との相性も良い優秀なクリーチャーたちを採用しているのだ。それから、《悪魔の皮の魂結び》の攻撃を確実に通せるように除去も積んである。この時点でほぼ完成形と言ってもいいくらいだ。

 それじゃあ、次に進んでいいかな?

デッキ詳細

 デッキに残せるものと抜かざるを得ないものは、それぞれどのカードだろう? 1枚ずつ通して見て、確認しよう!

悪魔の皮の魂結び

 《戦導者オレリア》コンボの片翼を担う《悪魔の皮の魂結び》は、実のところこいつ単体でも特別弱いわけではない。4マナで3/4というサイズはオリンピックでメダルを獲れるというほどではないけれど、悪いと言うほどでもないのだ。そして、その「神啓」能力の方は極めて実用性が高い。《戦導者オレリア》がいなくても、《カロニアのハイドラ》や《ロクソドンの強打者》をコピーしてやれば強烈なダメージを加えられるのだ。こいつは今回のデッキの肝であり、単体でも悪くないことから、4枚欠かさず使いたい。

戦導者オレリア

 そして、コンボを成立させるもうひとつのパーツがこいつだ! 普段なら6マナで伝説のクリーチャーはあまり数をとりたくないところだが、今回のデッキには強力な相互作用を生むカードやマナ加速をするカードが多く入っていて、またコンボに必要なパーツでもあるため、多く採用するだけの理由は揃っている。

戦導者オレリア》を3枚に減らしても、彼女を引ければ相互作用が活きるし、引けなくても大きな問題になることはないと思う――心配なのは、初手に2枚以上の《戦導者オレリア》が来ることだ。マリガン確定になってしまうからね。それでも、安定して引けるように4枚すべて残そう。《戦導者オレリア》は全力投入だ!


 これらのカードが今回のデッキにおいて担う役目はみな同じだ――つまり最も目的に沿ったものを選ぶ必要がある。スタンダードには他にも採用できるマナ・クリーチャーが豊富にあるが、デッキの動きを最適化できるかどうかが鍵となるだろう。

 今回のマナ・クリーチャーに求められるのは、ビートダウン・プランをとった場合にクリーチャーを素早く出せること、そして《悪魔の皮の魂結び》と《戦導者オレリア》のコンボの助けになることだ。とりわけ重要なのは、コンボのために赤マナを生み出せるものがひとつは必要になることだろう。

 以上を考えると《森の女人像》がぴったりで、まずはこいつを採用したい。除去されにくく、攻撃を受けたときはブロックにも役立ち、どの色のマナでも生み出せるのは理想的だ。

 次に《旅するサテュロス》。こいつも土地をアンタップする能力で赤マナを生み出すことができる。こいつ自身が2マナかかるけれど、コンボを確実に決めるために赤マナを生み出せるマナ・クリーチャーは8枚採用したい。

 一方、《ザル=ターのドルイド》は先に挙げた条件を満たせていない。こいつが生み出すのは緑マナだ。《悪魔の皮の魂結び》がタフネス4の壁を前に立ち往生する、という状況に限っては《ザル=ターのドルイド》で対戦相手を仕留めることができるけれど、自身が2マナでその上赤マナも生み出せないのは望ましくない。

 その代わりに、私は《エルフの神秘家》を採用しようと思う。こいつはビートダウン・プランを支えるなら欠かせないカードで、2ターン目に《ロクソドンの強打者》を繰り出し早い段階で対戦相手にプレッシャーをかけていくことができる。また、こいつが入ることで、キル・ターンも早くなる可能性がある。手札に《エルフの神秘家》、2マナ域のマナ・クリーチャー、《悪魔の皮の魂結び》、《戦導者オレリア》と揃えば、4ターン目に無限コンボが完成するのだ! そんな手札が綺麗に揃うはずがないと思うかもしれないけれど、ときにはそういう手札を引き込むこともあるだろうし、コンボ・スピードが上がるのはぜひ歓迎したい。

エルフの神秘家

 今回のデッキには、《戦導者オレリア》までマナを伸ばす支えとなり、また序盤に脅威を繰り出す助けとなるものを12枚採用したいと私は考えている。《エルフの神秘家》を4枚追加して、《森の女人像》4枚と《旅するサテュロス》4枚と合わせて12枚でいこう。強力なマナ加速12枚体制の完成だ。

ゼナゴスの狂信者

 《ゼナゴスの狂信者》は、対戦相手に実に悩ましい選択肢を突きつける――3マナ3/3速攻か、追加の《ロクソドンの強打者》か。通常のビートダウン・デッキでなら、間違いなく私好みのカードだ。しかしながら、3マナ域に割ける枠はもう余裕がなく、そして今回のデッキではここに相応しい「王」を採用したい。そう、《オレスコスの王、ブリマーズ》を!

オレスコスの王、ブリマーズ

 《オレスコスの王、ブリマーズ》はとにかく強い。なるほど、《エルフの神秘家》からは唱えにくいし、《悪魔の皮の魂結び》との相性も良くないね。それでも《戦導者オレリア》とはうまく噛み合っているし、攻撃にも防御にも優れた強烈なカードなのだ。《ゼナゴスの狂信者》も悪くない選択だけれど、さすがに《オレスコスの王、ブリマーズ》は格が違う。王様バンザイ!

ロクソドンの強打者

 《ロクソドンの強打者》は頼りになる3マナ域だ。《エルフの神秘家》から2ターン目に繰り出し、3ターン目に4点で殴りかかるというのは文句のつけようがない。さらに、《悪魔の皮の魂結び》でコピーして盤面に4点のダメージを追加することもできるぞ。《オレスコスの王、ブリマーズ》を採用するために《ゼナゴスの狂信者》を抜いておいて何だけれど――《ロクソドンの強打者》と比べても《オレスコスの王、ブリマーズ》の方が強いのは間違いないけれど――、それでも《オレスコスの王、ブリマーズ》と共に戦う3マナ域が欲しいと私は考えた。そこで選んだのが、《ロクソドンの強打者》だったわけだ。

カロニアのハイドラ

 今回のデッキが持つ第二の戦略へようこそ。こいつは《悪魔の皮の魂結び》と組み合わせるのはもちろん、《戦導者オレリア》と組み合わせても殺人的な力を持つ――マナ・カーブも完璧だ。《カロニアのハイドラ》を(4ターン目か――場合によっては3ターン目に)繰り出し、次のターンに《戦導者オレリア》を続かせる。ハイドラの攻撃で+1/+1カウンターが倍になり、さらにもう一度戦闘フェイズを得ることでさらに倍に――こいつだけでも24点ものダメージを叩き込むのだ(《戦導者オレリア》も合わせれば30点!)。

 《悪魔の皮の魂結び》でコピーした場合も、同じような結果になる。4ターン目(か3ターン目!)《悪魔の皮の魂結び》から、次のターンに攻撃、そして《カロニアのハイドラ》を展開。アンタップで「神啓」が誘発し《カロニアのハイドラ》のコピーを生み出して攻撃へ向かえば、《カロニアのハイドラ》同士がお互いにカウンターを増やし――2体合わせて32点のダメージになる!

 たとえ他のプランを対戦相手に潰されても、《カロニアのハイドラ》はそれ単体で強大な脅威となる。4枚投入にこだわろう。

岩への繋ぎ止め

 今回のデッキは、《悪魔の皮の魂結び》コンボの障害を取り除くために除去が必須となる――《悪魔の皮の魂結び》がブロックで倒されてしまえば、コンボは成立しないのだ。あとは単純にこちらの攻撃を通すためにも必要だ。

 《岩への繋ぎ止め》は素晴らしい選択だと思う。それでも私は除去を散らす方が好みで、《岩への繋ぎ止め》のように(《》を引かなかったり《嵐の息吹のドラゴン》と当たってしまったりと)使えない場面がある場合は尚更だ。そういうわけで、私は《ミジウムの迫撃砲》と2枚ずつ散らそうと思う。今回のデッキでは《ミジウムの迫撃砲》を「超過」するのは難しくなく(とりわけ対戦相手の《オレスコスの王、ブリマーズ》をトークンごと流せるのは素敵だ)、また2マナ域の呪文としても対戦相手が繰り出してくる脅威のほとんどに対処できる優秀な除去なのだ。

バネ葉の太鼓

 今回のデッキにはマナ加速をするカードが大量に採用されている。しかし序盤のクリーチャーがマナを生み出せるようになる《バネ葉の太鼓》は、今回のデッキではあまり意味がないと言えるだろう。なぜなら、今回のデッキの序盤のクリーチャーは、すでにマナ能力を持っているからだ。《悪魔の皮の魂結び》を出したターンにタップして、「神啓」がすぐ使えるという利点はあるけれど、カード枠を割いてまでやるほどのことではないだろう。《バネ葉の太鼓》は抜いてしまおう。

 最後に、今回のデッキにぴったりだと思うカードがもう1枚ある。《獣の統率者、ガラク》だ。6マナでも素早く戦場に繰り出せる今回のデッキではこいつが恐ろしい脅威となり、全体除去を受けた後に立て直す手段としても文句なしだ。6マナ域にはすでに《戦導者オレリア》が4枚入っているので、メインには2枚で留めておく。けれど、サイドボードにもう1枚置いておくのは絶対に検討すべきだ。

獣の統率者、ガラク

 こうして、デッキリストは以下のようになった。

ガヴィン・ヴァーヘイの「無限オレリア」

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 これで完成だ! いくつかの変更を経てこのデッキの動きは最適化され、万全の体勢が整った。強力なカードの数々に加え、《戦導者オレリア》による突然死も備えているぞ――とりわけ《カロニアのハイドラ》がいれば、間違いなくゲームを決められるだろう。

 現在のスタンダードなら、多くのミッドレンジ・デッキを出し抜くことができるはずだ――《戦導者オレリア》をインスタント・タイミングで対処できるのは《英雄の破滅》くらいなのだ。対戦相手が《戦導者オレリア》を対処できなければ、彼女が状況をひっくり返してくれるだろう。黒単相手に除去とデーモンをしっかり引かれると厳しいマッチアップになるけれど、デーモンの世界にあっても天使を繰り出す希望を捨てず耐えれば、今回のデッキには大逆転を狙える爆発力があるのだ。

 このデッキをアグレッシブなデッキに強い構成にしたければ、それを強力に対策できる《テューンの大天使》を検討するといいだろう。全体除去を駆使するコントロール・デッキが悩みの種なら、《ボロスの魔除け》が《至高の評決》から自軍を守ってくれるぞ。加えて《獣の統率者、ガラク》を足したり、《ドムリ・ラーデ》も採用すれば、立て直しに役立つことだろう。

テューンの大天使
ボロスの魔除け

 今日はこんなにユニークなデッキを見るチャンスができて、心の底から嬉しかったよ。みんなも楽しんでくれ!

惜しくも選ばれなかったデッキたち

 今週送られてきたクールなデッキの数々には、他にどんなものがあっただろう? 見てみよう!

フィル・セント=アントワーヌの「黒単人間」

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コバヤシ ヒロヤの「静寂の歌コンボ」

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マイク・パドックの「純然たる苦痛」

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ハンター・オカの「苦痛ジャンド」

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アレックス・ボーンの「悪魔の皮の海馬」

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サイモン・ハリスの「青黒苦痛の予見者」

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サイモン・デルマウクスの「キマイラ・トークンをお配りします」

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Planeswalker (2)
2 ラル・ザレック
ソーサリー (2)
2 見えざる糸
インスタント (10)
2 トリトンの戦術 4 保護色 1 無効化 3 解消
アーティファクト (3)
3 魔女の目
エンチャント (3)
3 ケイラメトラの好意
60 カード

アンディ・チェンの「ミノタウロスの咆哮!」

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ヤマモト タカヒロの「無限神啓」

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(以下のデッキ募集部分は、原文・本日(2月25日)掲載分の記事から抜粋・収録しております。 この節の文責・編集 吉川)

 次回はスタンダードを見ていこう。投稿の縛りなしの週だ!

フォーマット:スタンダード
デッキの制限:なし!
締め切り:3月4日(火)午前11時(日本時間)

 すべてのデッキリストを英語で、こちらのリンク先のフォームからメールでお送りください。デッキリストの提出時には、以下のようなフォーマットで入力してください。(必ずしも下記のような枚数通りのものでなくてもかまいません。あくまで一般的にデッキリスト記入のレイアウトを示すものです。)

あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)
Standard(フォーマット)
20 Land(土地カード 枚数とカード名・英語で)
20 Land
4 Creature(クリーチャー・カード 枚数とカード名・英語で)
4 Creature
4 Other Spell(その他の呪文カード 枚数とカード名・英語で)
4 Other Spell
4 Planeswalker(プレインズウォーカー・カード 枚数とカード名・英語で)

 スタンダードではどんなデッキが発掘されずに残っているだろう? 皆さんが思いついたことを、ともに見ていこう!

 この記事についてフィードバックがあれば、気軽に私へのツイートやフォーラムでの投稿を送ってほしい。見ることをお約束しよう。

 また来週お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey


(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing)

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