焦熱の宿命

更新日 Reconstructed on 2014年 3月 25日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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「運命」

 この言葉には、様々な枕詞がつけられてきた。「定められし」運命、「気まぐれな」運命、「死の」運命。人間の幸と不幸をどちらも想起させ、とりわけ「変えられないもの」であると広く知られている。

 確かに。だけど、私はそれらに対する捉え方を少し変えるようにしているんだ。

 人生においては、個人の手には及ばないものごとが確かにある――それは紛れもない真実だ。交通状況や天候を自在にコントロールするなんて、できっこないだろう。しかし、それらに対する行動や計画は「コントロールできる」のだ。渋滞がひどいなら、その場で進路を変えてやればいい。雨が降っているなら、それに合わせて身支度を整えればいい――あるいは前日の夜に天気予報をチェックして、備えることだってできる。

 その逆もまた然りだ。

 例えばあるパーティで、本当に偶然、大切な出会いがあるかもしれない――だがそれは、元をたどれば家にいるのではなくパーティへ出かけたことによる結果だ。それから、もしかしたら、プロツアー予選決勝でこれしかないというカードをトップデッキして勝利を掴むかもしれない……だが忘れないで欲しい、そのトップデッキは、決勝までのすべてのプレイが実を結んだためであることを。別の世界では、決して起きなかったことかもしれないのだから。

 行動には必ず結果が伴う。何かが起きるのを待つだけじゃダメだ――「こちらから」何かを起こしてやろうじゃないか。

旅する哲人》 アート:James Ryman

 さて、実存主義のお話はここまでだ。こんな哲学的な話をして、どこへ向かっているのかって? それはもちろん、今週の「ReConstructed」へ繋がるに決まっているじゃないか!「宿命的」週間である今週は、送られてきたデッキすべてから手がけるものを完全にランダムに選ぶことにした。ここは運命に身を任せるわけだ。人生が私に何かを投げかける。

 そして、私はそれに対して行動を起こす。デッキを受け取ったら、その色を守りつつできる限り最高のものに仕上げるつもりだ。

 行動。結果。デッキ構築。準備はいいかい?

ジョーダン・フリートの「赤バーン」

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その戦術とは

 運命に任せたデッキには、なんと「宿命的」カードが入っていた。いやはや、こりゃスゴイ。

 まあとにかくこうして私たちの前にあるのは、みんなもよく知っているであろう古くからの戦略――バーンだ! 対戦相手に直接火力を投げつけてできるだけ早く倒す、というのが今回のデッキの持つ作戦だ。巧妙さは持ちあわせていないものの――実用的な戦略と言える。

 バーン・デッキというと、考えることが少なく選択肢もない初心者向けのデッキだ、と思い込む人が実に多い――だがどうか考え直して欲しい。あのジョン・フィンケル/Jon Finkelも、バーン・デッキを手に戦ったことがあるのだ。しかも、世界選手権の舞台で!(リンク先は英語)

 まあ実際、バーン・デッキは85%の力を引き出すのはわりとたやすいデッキだ……しかし、残りの15%を出し切ることができるのは、熟練のバーン使いだけだ。「《》の申し子」であるパトリック・サリヴァン/Patrick Sullivanがバーン・デッキを使うのを見て、幾度となく紙一重の勝負を勝ち切る姿に、私は目から鱗が落ちる思いを感じるよ。そしてもちろんプレイだけでなく、デッキ構築にも同じように感じるのさ。

 今回のようなデッキの力を最大限引き出すために、変更を加えられる部分はたくさんある。その中で鍵となるのはそれぞれのカードの役割を明確にすることであり、またダメージ効率を上げられるカードが他に無いか探し出すことだ。「赤単信心」の形をしたデッキは、これまでにもたっぷりと見てきたことだろう。だから私は、よりバーン戦略に特化した形を推し進めていこうと思う。それじゃあ始めるぞ!

デッキ詳細

 デッキに残せるものと、火葬してやるべきものはどれだろう? デッキのカードを1枚ずつ通して見て、確認しよう。

どぶ潜み

 バーン・デッキを手がける際、私は常に与えられるダメージを最大化できるようにカードを選択している――そして、《どぶ潜み》は着実にダメージを積み重ねてくれるカードだ。今回のデッキが引き起こす火力呪文の嵐に更なるダメージを加え、強烈なブン回りを生み出す可能性がある。

 さて、バーン・デッキにおけるクリーチャーの採用は、いつも悩みの種になる。クリーチャーが少な過ぎても対戦相手の除去に制圧されてしまうし、多過ぎればバーン・デッキではなく「Red Deck Wins」のようなデッキに変わってしまうかもしれない。今回のデッキは、除去1枚で封殺されることのない適切なクリーチャー枚数が確保されている。《どぶ潜み》を採用する余裕はあるから、4枚すべて残そう。

若き紅蓮術士

 《どぶ潜み》と同様に、軽いマナ・コストで火力呪文の効果を高めてくれるカードはそれだけで私の目を引く。《若き紅蓮術士》は、クリーチャーを生み出すという素晴らしい働きをしてくれるぞ。生み出されたトークンたちは攻撃へ向かうだけでなく――もちろんこれだけでも優秀だが――、ありがたいことにブロックにも役立つ。《世界を喰らう者、ポルクラノス》のような序盤に戦場へ現れる大型クリーチャーが幅をきかせるフォーマットでは、対戦相手を火力呪文で焼き尽くすまでの時間を稼いでくれるカードは大歓迎だ。《若き紅蓮術士》は4枚採用にこだわりたい。

サテュロスの火踊り

『神々の軍勢』で新たに登場したこのカードは、きっと大物になるだろう。《焼尽の猛火》は極めて強力なカードであり、この《サテュロスの火踊り》は対戦相手に撃ち込む火力呪文をすべて(実質的な)《焼尽の猛火》へと変えてくれるのだ。

 だがしかし、こいつが成し遂げることより良い動きは多そうだ。デッキ構築における大切なルールとして私はこれからも何度も言い続けるが、使われるカードはすべて、他のカードの犠牲の上に採用されているのだ。《サテュロスの火踊り》は、こいつが手札いっぱいの火力の中で華麗に踊るなら文句なしのカードだ。ところが、それを安定して実現できるだけの枚数分、他のカードを差し置いて《サテュロスの火踊り》を採用する必要があるのだ――私としては、2マナかけたのにマッチアップによっては役に立たないものを使うより、火力呪文か優秀なクリーチャーを採用したいと考えることの方が多いと思う。

 《どぶ潜み》と《若き紅蓮術士》は、どちらも強く推したい。これらはスペルを唱えた時点でアドバンテージを約束してくれるからだ。これで、「活躍するために呪文が必要なクリーチャー」の枠は本格的に埋まりつつある。その枠に《サテュロスの火踊り》を残したいとはあまり思わない。

 そこで、私が採用したいカードがもうひとつある。《サテュロスの火踊り》と(語順は入れ替わっているものの)わずか2文字しか違わないあのカード――《火飲みのサテュロス》だ!

火飲みのサテュロス

 今回のデッキの核はバーン戦略だが、実はここだけの話、クリーチャーはひそかに超バーン向きのカードなのだ。確かに、クリーチャーでは《どぶ潜み》や《若き紅蓮術士》の能力を誘発させられない。それでも、優秀な1マナ域は莫大なダメージを稼ぎ出してくれる。

 現在のスタンダードには《森の女人像》があるため、他の環境と比べてパワー2の1マナ域が活躍しにくい。例えば、《ラクドスの哄笑者》は今回のデッキで喜んで使いたいカードではないだろう。その点、《火飲みのサテュロス》はひと味違うぞ。こいつは《森の女人像》を突破できる能力を持っているのだ。ブロック――できるものならやってみろ!

 私は《火飲みのサテュロス》を4枚採用しようと思う。できれば毎ゲーム1ターン目に欲しいカードだし、複数引いてもまったく問題ないからね。

チャンドラのフェニックス

 バーン寄りであってもクリーチャー寄りであっても、《チャンドラのフェニックス》は赤いデッキの主力としてうってつけなカードだ。こいつは速攻を持ち、空から攻撃へ向かい(つまりダメージを通しやすいということだ)、除去にも高い耐性を持つ。最後は火力呪文が締めくくってくれるから、毎ターン2点のダメージでも十分だ。こいつの枚数を減らそうとはまったく思わないね。

火力

稲妻の一撃

 火力呪文はそれぞれを見比べる必要があるため、ひとつにまとめて扱おう。《ショック》、《稲妻の一撃》、《頭蓋割り》、《炬火の炎》、《ケラノスの稲妻》、《宿命的火災》のすべてについて、ここで語っていくぞ。

 今回、火力呪文の検討に使う指針は3つ。マナ・コスト、ダメージ量、そして付加効果だ。とりわけ、今回のデッキではマナ・コストが大きな基準となる――他のバーン・デッキと比べても、特に強く影響するだろう。なぜかって? いいかい、《若き紅蓮術士》と《どぶ潜み》を満載したデッキでは、できるだけ軽い火力呪文を多く使えることが成功に繋がるのだ。

 まず採用一番乗りを決めるのは、《稲妻の一撃》以外にないだろう。2マナで3点のダメージというのは、コストに対するダメージ量の点で十分スタンダードに通用する。絶対に4枚すべて欲しいところだ。

 続けて、私は《頭蓋割り》を採用するつもりだ。《頭蓋割り》はクリーチャーを対象に取れないけれど、そもそもバーン・デッキにおいて、ほとんどの火力呪文は(理想的には)直接撃ち込むものなのだ。さらに、《スフィンクスの啓示》や《アスフォデルの灰色商人》に溢れる環境でライフの回復を防げるのは、ゲームを大きく変えてくれる。《頭蓋割り》も4枚すべて残そう。

稲妻の一撃
頭蓋割り

 そして、先ほど挙げた火力呪文の中から私が最後に採用するのは、《ショック》だ。1マナで2点のダメージより良いものは過去に見たことがあるだろう。でも、それに引きずられてはいけない。《ショック》も現在のスタンダードでは向き合うべきカードであり、また今回のデッキなら《若き紅蓮術士》と《どぶ潜み》の能力も誘発させられるのだ。

 一方、残りの3枚は今回のデッキには居場所がない。

 3マナで3点のダメージは決して効率が良くないし、3マナかけるなら他にやりたいことがたくさんある。例えば、《ボロスの反攻者》などを繰り出すのがいいだろう。私としては、《ケラノスの稲妻》と《炬火の炎》はどちらも今回のデッキから脱落するカードだ。より軽く、効率の良い火力を使いたい。

 《宿命的火災》が抜ける理由はふたつある。ひとつはその4マナというコストで、私は今回のデッキに4マナのカードをたくさん積みたいとはまったく思わない。《紅蓮の達人チャンドラ》だけで十分だ。それからもうひとつの理由は、プレイヤーにダメージを与えられないことだ。なんとか序盤に土地を4枚揃えれば《世界を喰らう者、ポルクラノス》を除去できる、というのはまあ悪くないけれど、実際にそう都合良くプレイできる保証はなく、また今回のデッキの主なゲーム・プランにおいては役に立たないことから、《宿命的火災》は抜けることになる。この選択はまさに、運命のいたずらに導かれた「宿命」だったわけだ……

宿命的火災

 さてそれじゃあ、空いた枠はどうなるんだろう? いいぞガヴィン、いい質問だ!

 《マグマの噴流》は素晴らしい火力呪文だ。2マナという(3マナより使いやすい)コストも然ることながら、「占術」がバーン・デッキにおいてとても貴重な能力なのだ。絶対に土地を余分に引きたくないデッキでは、土地をライブラリーの一番下へ送ることができる(必要なときはライブラリーの一番上にも置ける)「占術」が実に頼もしい。喜んで4枚採用しよう。

 あともうひとつ、《灼熱の血》も採用したい。このカードがコントロール・デッキに対して有効でないのは確かだ。それでもビートダウンやミッドレンジに対しては極めて強力で、採用するに足るだろう。クリーチャーを除去しつつプレイヤーにも3点のダメージを与えられるというのは、かなり強烈だ。こちらのクリーチャーの攻撃も通せるようになるし、相手に直接ダメージも入るのだ。それから、コントロール相手に効かないとはいえ、コントロール側が防御を固めるために《太陽の勇者、エルズペス》をタップ・アウトで繰り出すことも多々あるだろう――ダメージのおまけつきでトークンを除去する、絶好の機会が訪れるわけだ。4枚投入しても問題ないと私は思う。

マグマの噴流
灼熱の血
紅蓮の達人チャンドラ

 この時点で、今回のデッキに残る4マナ域は《紅蓮の達人チャンドラ》だけになった――彼女はデッキに残すべきだ。

 対戦相手がプレッシャーをかけてこないなら、《紅蓮の達人チャンドラ》の[0]能力が止めどなくカード・アドバンテージを稼ぎ出し、相手を焼き尽くす助けとなるだろう。[+1]能力も本当に使いやすく、相手のブロッカーを横目にクリーチャーやトークンたちを攻撃へ送り出すことができる。そして最終奥義に到達するようなことがあれば、間違いなくゲームは終わる。

 私は3枚目の《紅蓮の達人チャンドラ》を加え、それを運用するため土地も1枚追加しようと思う。

 最終的なデッキリストは以下のとおりだ。

ガヴィン・ヴァーヘイの「宿命に抗う火」

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 さあ、バーン・デッキの完成だ! このデッキにおいて気をつけるべきことは多く、複雑でもある。《頭蓋割り》を構えるべきタイミングは?「占術」の使い方は? 3ターン目にプレイしたいのは《どぶ潜み》と《チャンドラのフェニックス》のどちらか? それぞれの選択は慎重に行ってくれ。

 このデッキをさらに発展させたいなら、まずは他の色に手をつけるといいだろう。赤白にすれば《ボロスの魔除け》、《戦導者のらせん》と超強力なカードが採用できるようになり、また《岩への繋ぎ止め》も使える。黒を選べば《苦痛の予見者》や《労苦+苦難》(《苦難》側は当たり外れが大きいけれど、黒を足して《労苦》側も使えれば、メインから4枚投入しても腐りにくいぞ)、それから必要に応じて除去を搭載できるだろう。

 楽しんでくれ!

惜しくも選ばれなかったデッキたち

 今週送られてきたたくさんのデッキには、他にどんな素晴らしいものがあっただろうか? 見てみよう!

ブレイク・マナーの「デイガ・ミッドレンジ」

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タイラー・ホワイトの「土地もクリーチャーなのさ!」

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Planeswalker (2)
2 歓楽者ゼナゴス
ソーサリー (3)
3 ミジウムの迫撃砲
インスタント (6)
3 稲妻の一撃 3 灼熱の血
アーティファクト (2)
2 パーフォロスの槌
エンチャント (3)
3 古きものの目覚め
60 カード

トーマス・スコット・スミスの「おお、責め苛みたまえ!」

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ヤコブ・ヤンセンスの「ダスクマントル・グリクシス」

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ハヤカワ ショウの「3ターンキル・ナヤ」

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エリック・ラヴァンディエの「責め苛むオーラ」

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ネコマタ師範の「果てなきキオーラの展望」

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ダニーの「ネメア・バント」

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クリーチャー (7)
3 羊毛鬣のライオン 4 森の女人像
ソーサリー (8)
4 至高の評決 4 都の進化
インスタント (9)
3 アゾリウスの魔除け 3 中略 3 解消
アーティファクト (1)
1 憑依された板金鎧
エンチャント (6)
4 拘留の宝球 2 ひるまぬ勇気
60 カード

エルロイ・リンメルスパーチャーの「赤白ダブル・ストライク・ブリッツ」

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ユカワ アキノリの「大忙しの商人」

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ルイ・ナスタージの「巨大トークン」

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クォールの「高射砲手」

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イタバシ リョウの「デスタッチ・ピンガーズ」

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