爆破墓地

更新日 Reconstructed on 2013年 6月 25日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 発掘/Dredge。

 この単語が持つ響きは、様々な思い出を呼び起こすことだろう――その思い出が良いものか悪いものかは、発掘デッキを使う側だったか使われる側だったかによって印象が変わる。他のどの領域よりも有効に、そしてそこが自身の手札であるかのように墓地を使用するがゆえに、発掘デッキは今も最強デッキの一角を担っている。

壌土からの生命》 アート:Terese Nielsen

『Modern Masters』にアーキタイプを構成する要素が収録されたものは多く、発掘もそのうちのひとつだ。ただし、発掘デッキはモダンでそれほど多くの活躍を見せているわけではない。珍しい結果として、ごくたまに顔を出すくらいだ。かつて悪夢の象徴であった発掘も、今はその名前を歴史へ刻む機会は減った。しかしそれでも、状況を打破するものの訪れを――鍵となるカードが印刷されることを――じっと待っているデッキのひとつであることは間違いない。頂点の座へ駆け上がることを、構築で使用するに耐えるデッキになることを、虎視眈々と狙っているのだ……

 発掘デッキのリストは従来のデッキに寄せたものが大半だが、本日紹介するデッキは私がこれまで見たことのない方向性をとっている。「発掘」というメカニズムが世に出て8年、私が目にしてきた発掘デッキとは完全に一線を画したオリジナル性とユニークさ――そしてそこに秘められた可能性――は、すぐさま私の目を捕らえ、離さなかった。たちまち心を奪われた私はMagic Onlineで今回のデッキを組んで使い、どのような動きを見せるのか確かめたのだ。

 それではリストを見てみよう。

シェザード・アハメドの「唯々発掘」

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    その戦術とは

 発掘デッキとは何だろう?

 まず、「発掘」メカニズムはドローを置換して墓地からカードを「引く」能力だ。そのための「コスト」として、ライブラリーから墓地へカードを置く――ところが、墓地を中心に構築したデッキにおいては、そのコストがまるで負担にならないのだ! 《黄泉からの橋》や《ナルコメーバ》のような、墓地へ置かれることに意味がある変わったカードの数々を詰め込んだこのデッキでは、高速でライブラリーを掘り進めることになる。

[card]Bridge from Below++Narcomoeba[/card]

 通常、発掘デッキでは《戦慄の復活》(《戦慄の復活》が禁止されているモダンでは《堀葬の儀式》)によるリアニメイトか、《黄泉からの橋》で大量のゾンビを生み出し攻撃することでゲームを決める。(《炎の血族の盲信者》を使うものや、リアニメイトと《黄泉からの橋》の両方を採用するものもあるぞ!) ところが今回のデッキは、少し違ったやり方を見せてくれる。

[card]堀葬の儀式++炎の血族の盲信者[/card]

 そう、新たな融合カード《唯々+諾々》を使ってね。

 《唯々》は《垣間見る自然》と異なり、クリーチャーが戦場に出るたびカードを引く。クリーチャー……例えば《ナルコメーバ》や《恐血鬼》、それからゾンビ・トークンが出るたびに! さらに発掘デッキを使っている以上、そのドローはすべて「発掘」に代えられ、さらに多くのカードを墓地へ投げ込める。ひとたびこのデッキが動き出せばその動きは極めて大きく、1ターンにしてライブラリーの大半を墓地に送り、戦場には10体、20体の(あるいはそれ以上の!)ゾンビを送ることになる。

 そこで《爆破基地》の登場だ。

 《爆破基地》にはふたつの役割がある。まず、《恐血鬼》や《ナルコメーバ》を好きなときに生け贄に捧げられるようにすること。自分のクリーチャーを自由に戦場から取り除く手段が欲しい、というのはやや聞き慣れないことかもしれないけれど、発掘は一風変わったデッキなのだ。再び戦場に戻すことができて、そのたびに《黄泉からの橋》がトークンを出すのだから、《恐血鬼》を墓地に送りたくもなるだろう。

 《爆破基地》はまた、1ターンのうちに対戦相手を倒す手段にもなる。

 先ほど述べたように、今回のデッキが動き出せばその動きは極めて大きい。生み出したゾンビをすべて対戦相手に投げ込んでやれば、それだけで相手を倒すには十分だろう。これはいつでもできることではない――ここで動き出した場合どれだけの数のゾンビが出るのか、という見積もりを立てる必要がある――ものの、ゾンビや《恐血鬼》、《ナルコメーバ》を《爆破基地》で投げつけて対戦相手を蜂の巣にできるくらい用意するためのターンは、たっぷりある。(《爆破基地》はクリーチャーが戦場に出るたびにアンタップする、ということを覚えておいてくれ)。

 この派手なコンボに加えて、《ナルコメーバ》と《恐血鬼》、それから2/2ゾンビの群れでただ単純に殴り倒し、「ゴリ押す」ことも可能だ――引き次第だけどね。このデッキを動かすには少し練習が必要だが、すぐに対戦相手を「爆破」できるようになるだろう。

    デッキ詳細

 今回のデッキでは実に様々なことが起こり、それらすべてのピースがひとつの目標に向かって連動している。通して見てみよう。

 《恐血鬼》はこのデッキに不可欠なカードだ。コストがかからず墓地から戦場へ戻るクリーチャーは《唯々》からのドローに役立ち、またゾンビ・トークンを生み出すため生け贄に捧げることが苦にならない。《沸騰する小湖》や《霧深い雨林》のようなフェッチランドがあれば、《恐血鬼》を使い回すことだってできる。《恐血鬼》を墓地から戻し、カードを1枚引き、生け贄に捧げ、ゾンビを生み出し、それから土地を持ってくればもう一度同じことができるのだ! 4枚から減らすわけにはいかないな。

『未来予知』が発売し発掘デッキが真の力に目覚めて以来、《ナルコメーバ》は常にその中心にいた。1/1飛行ではもの足りない感があるかもしれないが、今回のデッキにおいてはコストがかからず戦場に出るクリーチャーは大歓迎だ。《恐血鬼》と同様、《唯々》でカードを引き、《爆破基地》と共に使えばゾンビを生み出す手助けもしてくれる。4枚投入で間違いない。



 これらはクリーチャーとして頼りになるものではなく、またときには戦場へ送ることがあるかもしれないけれど、クリーチャーとしての活躍を期待しているわけでもない。(とはいえ、《ゴルガリの凶漢》は《ナルコメーバ》をライブラリーの一番上に戻すことができるので、かなり便利なものと意識しておくべきだろう)。これらを採用する一番の理由は、その「発掘」メカニズムを発揮してデッキから墓地へカードを送り込むためだ。

 これら8枚はしっかり確保するとして、さらに、もう2枚発掘持ちのカードを採用したい。《ダクムーアの回収場》は《恐血鬼》を戦場に戻すための土地が必要になる今回のデッキに良く噛み合っているので、私は2枚目を追加しようと思う。それから《暗黒破》を1枚挿しておけば、《爆破基地》に代わって自分のクリーチャーを墓地に落としたり、また序盤に引き込めば押し寄せる対戦相手のクリーチャーを抑えたりと、力になってくれるだろう。

 カニさんは一風変わったカードで、こちらを対象にして大量のカードを墓地に送ることができる。1ターン目《面晶体のカニ》に続いてフェッチランドを置けば、6枚のカードが墓地に落ちる。《面晶体のカニ》1枚で12枚、16枚ものカードを掘ることも難しいことじゃないだろう。

 普通ならそれで十分満足するところだが、今回のようなスタイルの発掘デッキでは《面晶体のカニ》がやや力不足であることに私は気づいた。ひとたびこのデッキが動き出せばライブラリーの多くが墓地に送られ、そして墓地が満たされれば数ターンは発掘を使わず、決め手となるカードを引き込みにいきたいと考えるだろう。《面晶体のカニ》を抜くというアイデアは意外に思ったけれど、私はそうすることにした。

 代わりに入れるカードは、もともと追加しようと考えていた《信仰無き物あさり》だ。《入念な研究》は発掘デッキに欠かせないものだったし、《信仰無き物あさり》にはフラッシュバックもついている。序盤にカードを捨てる手段として使ってもドローを「発掘」に回しても、《信仰無き物あさり》はこのデッキの安定性を高めるのに大いに役立つことだろう。(とりわけ、ここぞというときに《唯々》を引きたいならね)。

 一見すると弱そうだが、《溺れたルサルカ》は使ってみて感動すら覚えたカードのひとつだ。これまでの発掘デッキの経験から、私は最初、《面晶体のカニ》に感動して《溺れたルサルカ》は枚数を減らすことになるだろうと予想していた――ところがそれはまったくの逆だった。毎ターン《恐血鬼》を戦場に戻せるなら、《溺れたルサルカ》は大量にカードを供給してくれるのだ。

 さらに、こいつは《爆破基地》とは別にクリーチャーを生け贄に捧げることができる。「ゴリ押しモード」に切り替えてクリーチャーとゾンビ・トークンによる攻撃で勝たなければならないゲームでは、《溺れたルサルカ》が重要なサポート役になるだろう。

 このかなり変わったカードが、今回のデッキで鍵となるもののひとつだ。こいつは攻撃に向かわせても良し《爆破基地》で投げつけても良しの軍勢を生み出し、また《唯々》から大量のカードを引くことができる。絶対に4枚すべて投入したいところだ。

 《黄泉からの橋》に関して私から言っておきたい最大のアドバイスは、このカードがどのような挙動をするのかをよく理解しよう、ということに尽きる。こいつは予想だにしない相互作用に溢れたとても不思議なカードだ。もし今回のデッキを大会に持っていこうと考えているなら、《黄泉からの橋》の挙動とスタックの積み方についてしっかりと確かめておいてくれ。

 今回のデッキの最重要カードはもうひとつ、この『ドラゴンの迷路』からの新カードが予想以上の仕事をしてくれる。《諾々》の側は唱えられない(唱えたいと思う状況もなかった)が、《唯々》はこちらが繰り出すクリーチャーたちと組み合わせると、とんでもないカードになる。ぜひもう一度、《唯々》によるドローはすべて「発掘」にも使える、ということを心に刻んでくれ! 毎ゲーム1枚は確実に引きたく、また引きすぎた分を処理する手段は豊富にあるので、4枚すべて残そう。

 《留まらぬ発想》のようなカードは今回のデッキにぴったりで、安定性を上げると同時により多くのカードを墓地へ送ってくれる。《信仰無き物あさり》と《留まらぬ発想》の2枚にかかれば、必要なカードのほとんどが引けると私は確信している。《留まらぬ発想》を3枚に減らすことを検討するのもいいけれど、私は安定性を重視して4枚すべて残そうと思う。

 《爆破基地》は今回のデッキで重要な役割をふたつ担っている。

 ひとつ目は、好きなだけクリーチャーを生け贄に捧げられること。《爆破基地》は戦場へ新たにクリーチャーが出るたびアンタップする。これはつまり、《恐血鬼》やそういったものを墓地に送ってゾンビを生み出したいときに、次々と対戦相手へ投げ込み続けることができる、ということだ。

 しかしながら、こいつを採用している理由はそれだけじゃない。クリーチャーを生け贄に捧げたいだけなら、私は(《唯々》とも良く噛み合う)《落とし子の穴》か《臓物の予見者》を使うだろう。

 そこでふたつ目の役割だ。《爆破基地》ですべてのゾンビを(それに他のクリーチャーも)対戦相手に向けて投げつけることで、相手に一気に致命傷を与えてそのターンのうちに倒すことができるのだ! 1ターンでも早く対戦相手を倒すことができる、というのを私は高く評価している。引きによっては《落とし子の穴》が1ターン早いことがあるかもしれないけれど、それでも私としては、そのターンのうちに対戦相手の息の根を止める方が総合的に見て好ましいので、《爆破基地》の採用を推そうと思う。(必要とあれば対戦相手の厄介なクリーチャーをいつでも除去できる、ということも付け加えておこう!)

 ここまでの変更をすべて受けて、デッキリストは以下のようになった。

ガヴィン・ヴァーヘイの「爆破墓地」

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 マナ基盤にも少し手を加えている。《ドライアドの東屋》を抜いていることにお気づきだろう。《唯々》や《黄泉からの橋》、それから《溺れたルサルカ》との相性は抜群に思えるけれど、《ドライアドの東屋》を探し出したいと思えるような状況はまったく無かった。そこで私は他のところに枠を割くことにしたのだ。

 もしやや遅めの発掘デッキを使いたいなら、上陸との相性も良い《壌土からの生命》を中心としたエンジンを有効に使う道もある。それなら私は必要なときに《爆破基地》を戻せるよう、《埋没した廃墟》の採用を検討するかな。

[card]Life from the Loam++埋没した廃墟[/card]

 他に検討すべきカードは《思考囲い》だ。サイドボードに積むのはもちろん、枠に空きが作れればメインからの投入も大歓迎だ。今回のデッキは他のコンボ・デッキに対してやや弱い。こちらが5ターンかかるのに対して、モダン環境にあるコンボ・デッキの多くが4ターンで勝負を決めるからだ。《思考囲い》はそのターン差を埋めるのに一役買ってくれるのだ。

 とにもかくにも、こうして君たちは発掘デッキへのユニークな視点をひとつ手に入れた。このデッキの遊びの幅はまだまだ広いぞ。

 私は毎回、どんなモダンのデッキが送られてくるのか楽しみで仕方がない。モダンへの挑戦は、それ自体が素晴らしいごちそうだ。どうか楽しみながら、開拓を続けてくれ!

    惜しくも選ばれなかったデッキたち

 今週も他に類を見ないデッキがいくつも送られてきた。伝統を重んじるもの――ロック・ローム――から(《煙突のインプ》を使ったコンボ・デッキや《訓練場》を用いたレベル・デッキみたいに)ちょっと斬新なものまで様々だ! ぜひ見てみてくれ!

ジョセフ・クジマノフスキーの「煙突のインプ・コンボ」

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ブライス・ネルソンの「黒緑小悪疫」

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エリアス・ルーディンの「赤青緑薬瓶」

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ケイルフロスの「ローム・ロック」

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セドリック・パガヴィーノの「光輝王の昇天フォグ」

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ニック・フレガの「黒赤ゴブリン」

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ヴィンセント・ボーチャードの「訓練場レベル」

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アダム・Hの「無限イゼット」

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(以下のデッキ募集部分は、原文・本日(6月25日)掲載分の記事から抜粋・収録しております。 この節の文責・編集 Yoshikawa)

2014への突入

(英語記事の)来週は『マジック基本セット2014』のプレビュー・ウィークで、たったの2週間後にはセットの全容が知られるようになる! このセットは間違いなくスタンダードを揺るがすだろうが、皆さんがすべてのカードを見る前に何か新しいデッキを作ってもらうよりも、来週はちょっと違ったことを書いてみたい。

 一方、来週に向けて物事は少し変化している。いくつかのプレビュー・カードの配置が動かされ、私のものも変わったのだ! つまり、来週に向けて新たなデッキ投稿が必要になってしまったのだ。今回の締め切りまでが非常に短いことに留意して、すぐにアイデアを送ってほしい!

フォーマット:スタンダード
ッキの制限:特定のクリーチャー・タイプを中心に構築すること。
amp;gt;締めり:6月27日(木)午前10時(日本時間)

すべてのデッキリストを英語で、こちらのリンク先のフォームからメールでお送りください。デッキリストの提出時には、以下のようなフォーマットで入力してください。(必ずしも下記のような枚数通りのものでなくてもかまいません。あくまで一般的にデッキリスト記入のレイアウトを示すものです。)

あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)
Standard(フォーマット)
20 Land(土地カード 枚数とカード名・英語で)
20 Land
4 Creature(クリーチャー・カード 枚数とカード名・英語で)
4 Creature
4 Other Spell(その他の呪文カード 枚数とカード名・英語で)
4 Other Spell
4 Planeswalker(プレインズウォーカー・カード 枚数とカード名・英語で)

 皆さんが何を送ってくれるか、私はわくわくしている!

 それまで、『ドラゴンの迷路』の独特のカードを試す時間がまだ少しだけある――《狩りの仕込み》(原文の今回のテーマ)のように――『マジック基本セット2014』にスポットライトを奪われてしまうまで。今回の記事やデッキについて考えたこと、コメントを、フォーラムへの投稿や私へのツイートでぜひ教えてほしい。いつでも、皆さんの声を聞くことは素晴らしい。

 また来週お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey


(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing)

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