英雄電撃戦

更新日 Reconstructed on 2013年 11月 5日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 英雄的能力ほど爆発力に優れたクリーチャー・メカニズムはほとんど無い。

 ちょっと想像してみよう。状況はこうだ。相手には1/1、2/1、3/2とクリーチャーが並んでいる。ここで、4つの英雄的能力が誘発し、急に対戦相手のクリーチャーは2倍以上の大きさになって殴ってくる――しかもブロックすらできない。ドーン――お前は死んだ。

アナックスとサイミーディ》 アート:Willian Murai

 英雄的週間を迎えるにあたり、英雄デッキのリストを募集した――そして皆さんは期待を裏切らなかった。英雄的メカニズムを用いた多くのそそられるデッキが送られてきたが、その中でも最も人気だったデッキの1つは――最も英雄カードが前面に出ている――赤白英雄デッキだった。そして、特定のデッキに入れ込む人々が非常に多いのなら、それをもっと考察していくことには意味がある。ReConstructedはデッキ民主主義でありたいね。

 昔からのReConstructed読者、ジョニー・アレクサンドロ/Johnnie Alexandroから送られてきた今回の題材を見てみよう。

ジョニー・アレクサンドロの「テーロスの英雄」

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    その戦術とは

 最もヒーローらしいことを行おう。素早く無慈悲に敵を殴りつけるんだ。(それがヒーローってもんだろう?)

 このデッキでは迅速かつ荒々しく行動したい。この英雄デッキは上限を3マナ域に止めて出来る限り早く対戦相手をバラバラに引き裂いてやるためにリソースを全力でつぎ込む。他のビートダウン・デッキよりももっと早く勝つのだ。

 他の速攻デッキと英雄速攻デッキを区別する重要な要素とは、コンバット・トリックという独自のリソースがある点だ。マジックの歴史上、多くの速攻デッキがコンバット・トリックを披露してきたが、英雄デッキではそれらは通常とは異なる軸で作用する。デッキにコンバット・トリックを過剰に取り入れたいというだけではなく、これらを用いる際には注意深く、かつ対戦相手の動向に応じて適切な選択をしなければならない。

 《アナックスとサイミーディ》の英雄的能力を誘発させるために今コンバット・トリックを用いるべきか、あるいは《密集軍の指揮者》を対象に取れるようになるターンまで待つべきか? また、ブロック不能にして複数のクリーチャーで攻撃したほうがいいのか、それとも《威名の英雄》を大きくするために今は追加のダメージをあきらめるほうがいいのか? これらはこのデッキを用いる場合にいつも考えねばならない問題だ。

 クリーチャーのうちいくつかは他のビートダウン・デッキのものより貧弱かもしれず、英雄クリーチャーは使う価値が無いように思えるかもしれない――だがそれらは隠れ忍んでいるだけなのだ。解き放つべき適切な時期まで伏しておき、対戦相手を窮地に追い込もう。

 プレイングだけでなく、デッキ構築という観点から言えば、英雄クリーチャーと呪文間の適切なバランスを見いだすことも成功するためには重要だ。どちらか一方ではなくそれぞれを引き入れたい。(そしてクリーチャーが無い状態でコンバット・トリック呪文が山とあるなんてのは特に良くないな。)

 2種の平衡を保つ秘訣とは? 続きをどうぞ。

    デッキ詳細

 どのカードが英雄たりえるか、そして何が愚かな行為かを調査する時間だ。デッキをカードごとに分析していこう!



 これは検討を始めるにはおかしな組み合わせのように見えるかもしれない。結局のところ双方英雄的能力を持っている以外にこの2枚のカードに共通点はまるでないのだが、むしろ、確かに共通点など何も無いこれらをなぜ一緒にまとめたのか、というのが要点だ!

 この2枚はどちらも英雄デッキでは強い。《アクロスの十字軍》はさらなるクリーチャーをポロポロと産み落とす1マナ域で、それはとりわけ《アナックスとサイミーディ》のような全体強化効果とかみ合えば強力だ。《密集軍の指揮者》はこちらの全軍を恒久的に強化し、まさに爆発的な突進力をもたらしてくれる。《密集軍の指揮者》は《アクロスの十字軍》とも上手くやれる。それが何か?

 これら2枚をともに扱うには問題があるんだ――その問題はカードの右上隅に位置している。

 《アクロスの十字軍》は1ターン目にが必要だ。そして《密集軍の指揮者》は2ターン目にを必要とする。もし初手に《聖なる鋳造所》が無ければ、1ターン目に《アクロスの十字軍》、次に《密集軍の指揮者》と唱えるのは不可能だ。ビートダウン・デッキを用いるなら一貫性を保たなければならないし、このデッキにそれらをどちらも投入してしまっては高すぎるコストの排除を無意味にしてしまいかねない矛盾となる。

 結論としては、まあ二つのうちどちらかを選ばねばならないだろう。この選択はここでデッキの今後の方向性を決定付ける。《密集軍の指揮者》を選択すると、おそらく《アクロスの十字軍》を抜いて《恩寵の重装歩兵》を入れたり《管区の隊長》などを採用するようにした白偏重の方向へとデッキを導くことになり、逆に《アクロスの十字軍》を選ぶなら色を半々の状態で維持するか最終的により赤に傾くことになるだろう。

 どちらを選ぶかはきわどいところだが、どちらを選ぶとしても実際やってやれないことはない。

 とは言うものの結局のところ、私にとっての判断基準は、このデッキから《アクロスの十字軍》を外したとしても、やはり現状のマナ基盤では2ターン目にを得るのは依然として難しい、というところにある。使いたい支援呪文の多くは赤なので、同じターンに英雄的能力の嵐を生み出すために、複数の呪文を唱えられるだけの十分な赤マナを確保したい。ほぼ白単のウイニーデッキも良い形になりうると思われるが、私はこの記事では赤白英雄デッキというアーキタイプを掘り下げて行きたい。

 判決:この2枚の争いは《アクロスの十字軍》の勝利とあいなった。

 それに関連して、このデッキのためにさらなる1マナ域を加えたいとも考えている。(とりわけ《凱旋の神殿》を用いる場合に関係することだが)適切なマナ・カーブの動きから外れた場合に唱えても良い結果を生み出せる点と、戦場にさらにクリーチャーを並べる動きを確立する助けになるため、1マナ域の存在は大きい。そして多くの合理的な選択肢がある。《ラクドスの哄笑者》、《ボロスの精鋭》、《火飲みのサテュロス》、《万神殿の兵士》、あるいは《ドライアドの闘士》はどれも論じるに値するカードだ。

 私は《ラクドスの哄笑者》対《万神殿の兵士》を検討することとする。《ラクドスの哄笑者》はいいカードだ。タフネス2を誇り――さらにマナの問題に対する助けとしていくつかの平地を《神無き祭殿》にするならば、一貫して1ターン目に1マナの「赤」クリーチャーを唱えられるようになる。しかしながら、《万神殿の兵士》のプロテクション(多色)はスタンダードにおいて適切であり、こちら側に付くべきだと思う。回避能力が加わっているのは速攻デッキでは重視すべきことで、それが《万神殿の兵士》を承認する理由だ。

 先だってこのデッキは速攻で勝ちを目指すということについて述べた――そして《闘技場の競技者》はその助けになる。基本的にこちらのクリーチャーがブロッカーを押しのけるようになるのは非常に重要で、最後のライフを削るのに必要となるダメージを通すことが可能となる。《密集軍の指揮者》が抜けることで2マナ域の枠が空いたので、これを4枚にまで増やせるのは嬉しいね。

 このデッキにおける《剣術の名手》の戦術は、対象に取ることによってあっという間にバットで撲殺できるようになるというものだ。デッキに搭載されているサイズアップ効果により、この名選手はとても簡単に8点以上のヒットを飛ばせる。引きによっては(本質的に)単なる2マナ2/1に過ぎないこともあるが、落胆するほどではない――そしてこれは対戦相手に対応を迫る要因たりえる。4枚挿せるのはいい感じだ。

 《密集軍の指揮者》同様、《威名の英雄》は唱えるためにを必要とする。とは言うもののこれは3マナなので必要なマナをうまく揃えるための余地がもう少し多いし、3ターン目に《凱旋の神殿》を置くようなことになったとしても2マナ域か何かを展開はできるだろう。《威名の英雄》は英雄戦略を用いる上で信じられないほど強力で、これ1枚でデッキを牽引する。1度の戦闘で12点以上の打撃を与えるのもまったく簡単だ! 間違いなく4枚すべて残したい。

 《アナックスとサイミーディ》も《威名の英雄》同様に赤白英雄デッキを牽引するカードの1つだ。3/2先制攻撃と警戒という基本的な能力は単体でかなり良いものだが、英雄的能力はたたき出すダメージをさらに加速させる。《剣術の名手》や《威名の英雄》のように恐ろしいほどの大ダメージを生み出すカードがあるならトランプルも同様にとりわけ良い。

 ジョニーは――おそらく《アナックスとサイミーディ》が伝説であることから――3枚のみとしていたが、実際のところは4枚でも大丈夫だろう。これを出して次の自分のターンまで除去されなければとりあえず良い調子だし、対戦相手はとにかく《アナックスとサイミーディ》を除去してくるだろうから、2枚目以降を舞台袖に待機させておいても問題ないね。

 英雄を支援する良いカードの1つとして、《統率の取れた突撃》はこのデッキに絶対欲しいカードだ。1マナで2体の英雄的能力を誘発させ、少々の追加ダメージを与え、先制攻撃を持たせる。たった赤1マナがあるだけでこのカードの脅威を常に考慮しなければならないとくれば、こちらの攻撃をブロックするのは難しくなるわけだ。間違いなく4枚全投入だな。

 先ほど言及したように、他の速攻デッキと比較した場合のこのデッキの顕著な特徴は展開速度だ。長期戦を狙うのではなく序盤の爆発力でゲームに勝とうと試みる。またコンバット・トリックを満載しているがゆえに、対戦相手のクリーチャーを除去する呪文はそれほど重要ではなくなる――英雄達がうまくやってくれるだろう。

 というわけで、ここでデッキに投入したいのが《ボロスの魔除け》だ。ゲームをより早く終了するためにあとわずかな支援が必要なら《稲妻の一撃》より1点多いダメージを対戦相手に与え、英雄達を破壊不能にして守り、そしてまた二段攻撃によって対象に取る英雄の能力を誘発させることもできる。4枚採用さ。


 ジョニーは1マナで英雄的能力を誘発させることにこだわっている。できるだけダメージを与えられるように爆発的に能力を誘発させたいが、可能なら別のカードも唱えられるようにしておきたいという点から見れば、それも当然だ。

 とは言うものの、余分なマナを費やす意味がある十分な強さを持った2マナの強力なカードもいくつかある。その上、しばしば止めを刺すために「がむしゃら」に呪文を唱えまくりたいターンは4、5ターン目になるだろう。そしてその場合は2マナ呪文を2つか、《統率の取れた突撃》と2マナ呪文1つを唱えられるという条件が十分に整うはずだ。

 ではここで私がその役割を期待する2種類のカードとは何だろうか?

 最初に取り上げるのは《軍部の栄光》だ。このボロスのカードは英雄的能力を誘発させるのにうってつけだろう。《統率の取れた突撃》はできることなら間違いなく8枚搭載したいカードで、《軍部の栄光》はこれにかなり肉薄している。《統率の取れた突撃》と同じように対象を2つ取れるということは、英雄的能力を2回誘発させられるということだ。そして《統率の取れた突撃》のように、さらなるダメージを追加する。さらにダメージを通すために必要とあれば《巨大化》の代わりにもなるという、《統率の取れた突撃》には無いある種の柔軟性もある。

 《軍部の栄光》は《タイタンの力》の改良版に近いもので、対象の追加は1マナ多く支払う価値がある。このデッキにとっての対象追加はほとんどの場合、カード1枚分の(またはカード半枚分の)効果と同等の価値があるわけで、それを1マナ追加で得られるのだ。

 もう1枚は《向こう見ずな技術》だ。このデッキはブロックされたくないという目論みもあり、《闘技場の競技者》と合わせて対戦相手のブロックを困難にすることができる。2ターン目の《剣術の名手》から3ターン目の《向こう見ずな技術》、あるいは3ターン目の《威名の英雄》から4ターン目の《向こう見ずな技術》という動きはそれだけでゲームを終わらせることも可能だ。《アクロスの十字軍》に《向こう見ずな技術》という流れも最高さ!

 除去に弱く、このデッキの他の呪文のようにインスタント速度で使えないため、《向こう見ずな技術》を4枚入れたいとは思わない。しかしながら、このデッキがもたらすべき最も荒々しいな流れを生み出すこともできる。3枚でどうかな。

 ここまでの変更を取り入れると、デッキリストはこうなる。

ガヴィン・ヴァーヘイの「アクロス・デック・ウィン」

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 満載された爆発力とビートダウンの確実性により、このデッキはスムーズに動けなかったデッキを徹底的に痛めつけるだろう。対戦相手が除去呪文を握っているとすれば困ったことになるかもしれない――とはいえその場合でも、《威名の英雄》のようないくつかの単独で優秀なカードなら単体でゲームを十分勝ち取れる。

 あなたが圧勝できる――あるいは討ち死にする――ためのデッキを探しているなら、こいつをブン回してみてくれ。容赦なく対戦相手に電撃作戦を仕掛けるのは爽快だ。今日から君もヒーローだ!

    惜しくも選ばれなかったデッキたち

 他の投稿者による別の素晴らしい英雄デッキにはどんなものがあったかって? サンプルを見ていこう!

ポール・トレヴァーの「英雄的先端生物学!」

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イケダ ヒロアキの「トリトン・ザ・ドローエンジン」

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クリス・シップマンの「匠使い」

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アンソニー・イッツォの「英雄的セレズニア」

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コウスケの「英雄的ナヤ」

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トラヴィスの「英雄と精霊」

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ハシモト ショウヘイの「教団の英雄」

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オノヤマ ケイスケの「波濤砕きと炎語り」

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(以下のデッキ募集部分は、原文・本日(11月5日)掲載分の記事から抜粋・収録しております。 この節の文責・編集 Yoshikawa)

    列車に乗って、コンボの街へ!

 次のお題は何だろう? それでは、今までに出したことのない任務を与えようと思う――挑戦の準備ができたら、見ていこう!

フォーマット:スタンダード
デッキの制限:カードのコンビネーションによって有利を得ることに主眼を置いたデッキであること。
締め切り:11月12日(火)午前11時(日本時間)

 すべてのデッキリストを英語で、こちらのリンク先のフォームからメールでお送りください。デッキリストの提出時には、以下のようなフォーマットで入力してください。(必ずしも下記のような枚数通りのものでなくてもかまいません。あくまで一般的にデッキリスト記入のレイアウトを示すものです。)

あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)
Commander(フォーマット)
20 Land(土地カード 枚数とカード名・英語で)
20 Land
4 Creature(クリーチャー・カード 枚数とカード名・英語で)
4 Creature
4 Other Spell(その他の呪文カード 枚数とカード名・英語で)
4 Other Spell
4 Planeswalker(プレインズウォーカー・カード 枚数とカード名・英語で)

「カードのコンビネーション」は、どのように受け止めてくれてもかまわない。即座に勝利できるコンボ・デッキを組みたいのなら、それは素晴らしい。もし、《天上の鎧》と大量のエンチャントが必要条件を満たすと考えるなら、それも気軽に投稿してほしい。注目すべきどんな提案が見られるかが楽しみでならない――皆さんの創造性を見てみたい!

 それまで、この記事について考えたことやフィードバックがあれば、気軽にフォーラムへの投稿や私へのツイートを送ってほしい。必ず見ることをお約束しよう。

 また来週お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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