進化する青単

更新日 Reconstructed on 2014年 2月 18日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 新セットが発売されることによって、新しい方向性が模索される。時には、常識外れの新カードによって新しいアーキタイプが開拓されることもあるだろう。(先週紹介したエファラデッキのようにね。)またそのほかにも、デッキを完成させるために欲しかったいくつかのパーツが収録されていて、うまくデッキにはまることもある。

 これはその後者の実例の1つだ。

 『テーロス』が発売されて以来、青単信心はスタンダードで最も強いデッキの1つだった。プレイヤーは色を足して変化をつけたものも試してみたが――青単は他の色を足したデッキを全て駆逐してしまった。

 ……今のところはね。

 『神々の軍勢』がやってくるのだから、その認識を改める時かもしれない。数枚の新カードがデッキを別の方向性に伸ばす最後の一押しをしてくれるかもしれないからだ。

 マイケル・レミジャン/Michael Remijanのシミックデッキを見てみよう。(ちょうど上手い具合に、今年のスーパーボウルで優勝したシーホークスのチームカラーでもあるしね!)

マイケル・レミジャンの「青緑シナジーデッキ」

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その戦術とは

 このデッキには強力なカード群と多種多様な戦術が詰め込まれている。

 時には大量の信心を受けた《波使い》や《海の神、タッサ》を早い段階から展開し、対戦相手が持ち直す前に蹂躙してしまえるだろう。別の場合はもっと長期戦になるだろうが、《荒ぶる波濤、キオーラ》や《タッサの二叉槍》などによってカードを引き、アドバンテージを最大限に享受することができる。最初の手札に応じて様々な手を展開していけるわけだ。

 このデッキを改善するための鍵となる要素は2つある。その1つはデッキに単独で強力なカードを満載しつつも、活用できる戦術の多様性を維持することだ。例えば《練達の生術師》から《波使い》へと繋ぐ動きは信じられないほど強力な立ち上がりだ――そしてそれがより発生しやすいように、さらなる方法を追加するだけの価値はあるだろう。

 他方で、その手法のために必要ではあってもそれにしか使えないようでは困ってしまう。マナ加速とクリーチャーが満載のデッキは、《至高の評決》という名の光子魚雷で弱点を撃ちぬかれないよう、最適な展開規模を自身で見つけなければならない。このデッキの最も強い部分を維持して、すぐに復帰できるような要素を付け加えていこう。

 それらを変更する準備はいいかな? やっていこう!

デッキ詳細

 何を残して何を外そうか? デッキのカードをそれぞれ見ていって、何が変更の波に飲まれるか調べていこう。

波使い

 このカードはデッキの基本戦術を構成するものの1つだ。このデッキは真っ当な青単に比べると生成できるトークンの量は少ないかもしれないが、《波使い》を素早く唱えられ、また《練達の生術師》の補助を受けられるというメリットがある。《練達の生術師》は復帰力を加えるという点においてとりわけ重要だ。これにより《波使い》を除去するだけでトークンを全て処理することはできなくなるからだ。

 いずれにしろ、この最強のカードを4枚より減らすことは絶対に無いだろう。このデッキには《波使い》4枚が絶対に必要だ!

 加えて、《波使い》と一緒に使うと非常に強力なカードととして、『神々の軍勢』で登場した《宿命的心酔》がある。さらに大量のエレメンタル・トークンが生まれてその全てがパンプアップされるのだから、ほとんどのゲームはこの2枚の組み合わせで片がつくだろう。《練達の生術師》や《波使い》に用いる《宿命的心酔》はとんでもないことになるだろうね。(それに面白いしね!)言うまでもなく、対戦相手のターンに唱えることで何でもない状況から大きな脅威を作り出せる。これも間違いなく4枚欲しいところだ。

森の女人像
エルフの神秘家

 この2枚はマナ加速のセットだ。このデッキには4マナ域が大量に搭載されており、仮にそれらを減らすとしても、それでもデッキの強いところを素早く展開できる動きには依然として価値がある。

 《森の女人像》は素晴らしいね。ブロックに使える上、このデッキに入っている《宿命的心酔》のような青のトリプルシンボルのために必要なマナを安定して生み出せるよう色マナを整えてくれる。

 《エルフの神秘家》も良いカードだが緑マナしか生み出せないし、1ターン目に《神秘の神殿》や(デッキに入れるつもりの)ギルド門を戦場に出したいこともあるだろう。しかも1マナから3マナへ加速したい理由も《海の神、タッサ》しかない。

 その枠が《エルフの神秘家》で埋まっているよりは、《キオーラの追随者》だったほうがずっといいね。2マナ域ならマナカーブにもばっちり合うし、マナもうまく整えられる上、信心を高める助けとして極めて重要な青マナシンボルもマナ・コストに含まれている。さらに、攻撃に使えるパワーも2あるんだ! 極めつけには美味なトッピングとして、困ったときに他クリーチャーをアンタップするおまけもあるんだから、こいつが最適だろう。このデッキには《森の女人像》と《キオーラの追随者》を絶対に4枚ずつ入れたいね。

クルフィックスの預言者

 《クルフィックスの預言者》は高い魅力を持つ非常に面白いカードだ――そしてこのデッキでは間違いなくいくつかの強力な動きができる。相手のターン終了ステップに《波使い》? いいね!

 とは言うものの、私は既にこのデッキのマナカーブを引き下げる方法を積極的に探していて、《クルフィックスの預言者》は高いマナカーブを持つデッキでは素晴らしいものの、序盤に5マナ域を引きすぎるのは困る。また《クルフィックスの預言者》はこのデッキの復帰力に関する助けにもならない。(残念ながら《至高の評決》に対応してクリーチャーを唱えても意味がないんだ。)カードを入れる分何かを抜かなければならず、《クルフィックスの預言者》はこのデッキとのつながりが強くないものの1つだ。《クルフィックスの預言者》、さよなら!

海の神、タッサ

 《海の神、タッサ》は非常に強力なカードだ。『テーロス』で唯一の3マナ神であり、2つの強烈な能力を誇り――しかもいったん顕現すれば5/5というサイズで相手を蹴散らす。同系の青単に比べるとこのデッキではややクリーチャー化しにくいかもしれないが、重要なカードへと導く占術能力は極めて強力だ。

 いつもいつもクリーチャー化できるとは限らないこのデッキで4枚投入してしまうと、初期に複数枚引いて死に札となりかねない点が少々気になるね。これまでの青単では、基本的にで5/5という脅威になるため、死に札になることはそれほど気にしなくてもよい。一方、このデッキではクリーチャー化するための信心が揃うまでに、青単よりもさらに多いターンを必要とするかもしれない。なので、枚数を3枚に減らしたいと思う。使えるという点に変わりはないが、手札が《海の神、タッサ》でいっぱいになってしまう危険が減るからだ。

練達の生術師

 先ほど書いたとおり、このデッキで最も強い動きを見せるパーツの一つが《練達の生術師》だ。2ターン目の《キオーラの追随者》から《練達の生術師》を出しての《波使い》で提供されるパワーの合計は20点になるんだ!(しかも《練達の生術師》によるカウンターがあることで、《波使い》を除去してもエレメンタル・トークンごと一掃はできない。)《練達の生術師》の創造主として、私はこのカードがいつだってお気に入りだが、これは理屈で考えても間違いなくデッキに適しているだろう。

 《宿命的心酔》でコピー――した後に《波使い》を着地――するにしても単に唱えたクリーチャーを強化するにしても、《練達の生術師》はこのデッキに大いに適合する。それは4マナ域を少々圧迫するが、マナ加速が助けになるだろう。4枚入れよう!

 さらに、デッキにもう少々2マナ域を加えたいので、ミニ《練達の生術師》を用いることにした。クリーチャーに置かれているカウンターをカードに変換できるため全体除去に対して有効で、かつ《練達の生術師》同様に《波使い》との相性がいいため、《ザーメクのギルド魔道士》を2枚採用したい。マナフラッドしても《ザーメクのギルド魔道士》がいれば余ったマナを有効活用することができる。

水深の魔道士

 このデッキは4マナ域が溢れんばかりで、何かを外さねばならない。《水深の魔道士》は確かにカードアドバンテージとして良さそうだが、回り始めるのに時間がかかる――《タッサの二叉槍》や《荒ぶる波濤、キオーラ》が使えるだけになおさら気にかかるところだ。これは少々遅く、他の4マナ域のように強力なドローを堅実に生み出す助けにもならない。デッキ全体の4マナ域を見た中ではこれは抜けても気にならないものだ。《水深の魔道士》、さよなら!

ナイレアの信奉者

 このデッキは青の信心に寄せたいので、このカードで大量のライフを獲得するのは難しいだろう。とりわけ《宿命的心酔》と合わせて時間を稼げるため赤系デッキに対する一時しのぎとしては有効なサイドボードかもしれないが、メインの4マナ域はもう十分だ。これは外せる。

 私が関心を持っているのは青の信心をさらに増やす助けになるカードだ。ほとんどの青単戦略における重要カードは《夜帷の死霊》で――それはここでも同様に良い選択となる。青緑の2色デッキでを支払うことになるが、このデッキの特徴として《》の枚数は非常に少ない。なので、《夜帷の死霊》はすぐに唱えることができるだろう。マナ基盤を調整すれば4枚の《夜帷の死霊》を安定して唱えられるようになると思うよ。(特に色を調整してくれる8枚の2マナ域マナ加速の助けがあればね。)加えて、《森の女人像》搭載の2色デッキなのだから、奪った対戦相手の呪文を唱えるのも青単に比べてもっと楽になるね!

カロニアのハイドラ

 《カロニアのハイドラ》は強力な一撃をお見舞いできる単独クリーチャーだ。これがさらに勝利に貢献するのは間違いないだろうとは認めるが、《練達の生術師》でカウンターが置かれた複数のクリーチャーを得た状態から《カロニアのハイドラ》を絡めて攻撃する状況について、時間を取ってよくイメージするべきだろう。

 その想像を楽しめたかな? よし。その幻想を切り捨てて《カロニアのハイドラ》を外すときだ。残念!

 《カロニアのハイドラ》という極めて除去されやすい単体のクリーチャーは、このデッキが既に直面している除去対策の助けにはならない。マナ加速から素早く展開するものとしては良いのだが、私はマナカーブを引き下げるつもりだ。このデッキは既に4マナ域5マナ域が満載されており、《カロニアのハイドラ》とそれらがまとめて手札に来ては困る。《練達の生術師》が無ければデッキの他の部分と良い相互作用もない。とても面白く爆発力のあるカードではあるが、《カロニアのハイドラ》はこのデッキがまさに求めているものではないということだ。

霊気化
サイクロンの裂け目

 《霊気化》を採用することで速さに追いつくという考えは理解できる。どんな速攻・中速デッキに対しても、こちらが盤面を構築してから、相手が今ならまだ安全に攻撃できると考えた攻撃を《霊気化》してしまえる。しかしながらこれは非常に受身かつ状況よるカードで、4マナが必要だ。数枚の《サイクロンの裂け目》を使えば状況に左右される必要なく《霊気化》と同等の結果をもたらす。

 《サイクロンの裂け目》について言えば、マナ加速を備えた緑系デッキには素晴らしく適している。2枚入れようと思うので、時々1枚引くか、試合が長引けば引くかというところだが、膠着した戦線を打破する素晴らしいカードになるだろう――そして同様にコントロールデッキに対しては《拘留の宝球》がよく使われているので使い道には困らない。

荒ぶる波濤、キオーラ
タッサの二叉槍

 この2枚は似たような役目を持っている。どちらもコントロールデッキに対して有効な4マナの非クリーチャーカードだ。

 クリーチャーがうまく並んでいれば《タッサの二叉槍》は素晴らしい。《タッサの二叉槍》は攻撃陣さえそろっていればカードを引きまくれるが、《荒ぶる波濤、キオーラ》は数ターンごとに1枚ずつ引ける程度にとどまる。別の面から考えると、コントロールと対戦する上で極めて懸念していることは盤面を一掃されることだ――そしてそうなると(特に《変わり谷》無しでは)《タッサの二叉槍》は非常に弱くなってしまう。さらに対コントロールで《荒ぶる波濤、キオーラ》が超必殺技にまで到達すれば勝ったも同然だ。付け加えて、ほとんどの場合マナ加速から3ターン目に《タッサの二叉槍》を置くよりは《荒ぶる波濤、キオーラ》を置くほうがいい。さらにさらに、クリーチャーの多いデッキに対しても《荒ぶる波濤、キオーラ》のほうが役に立つだろう。

 この非クリーチャー4マナ域の枠は3枚分だ。結局のところ、これらのカードはどちらもそれぞれ良いところがあり、1種類を2枚引くよりは2種類を1枚ずつ引きたい。そこで《荒ぶる波濤、キオーラ》2枚と《タッサの二叉槍》1枚に分けて入れようと思う。

 ここまで挙げてきたもの以外に、私がデッキに加えたいカードがあと1つだけある。《タッサの拒絶》だ。《至高の評決》は打ち消せないものの、盤面を保持する打ち消しをいくつか持っておくことで多くの状況で除去からクリーチャーを守る助けになるだろう。3枚入れておけばまあいい感じに1枚見つけるには十分だろうし、そればかり引いてしまうこともないだろうから、大丈夫じゃないかな。そういった全ての変更を踏まえて、かつマナ基盤を整えるためにいくつか空けた枠に土地を入れ、デッキはこうなった。

ガヴィン・ヴァーヘイの「波術師」

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 このデッキはどうやって使いたいかに応じて調整できる部分が色々とある。例えば《ザーメクのギルド魔道士》と呪文2つを抜いて《潮縛りの魔道士》を4枚入れるなんてのも、序盤に信心を確保したいとか緑系デッキが多そうだと思うなら全く妥当な変更だろう。もしくはさらに《荒ぶる波濤、キオーラ》を増やすのも十分納得できる。《タッサの拒絶》はあなたの行きつけの店のメタゲームによって良くも悪くもなるカードだからね。

 とは言うものの、メタゲームを考慮しなくてもこのデッキの基本は最初から強固なものだ。《練達の生術師》からの《波使い》や、《波使い》への《宿命的心酔》は多くのゲームを獲得するだろう。冗談に思えるかもしれないが、私は勝って壇上に行くためにデッキを組んでいるよ。十分に強いカードを揃えてデッキの基盤を支えてやれば、うまくいくさ。

 これは青単より優れているだろうか? それに答えるのは難しいが、確実に言えることがある。使うととても楽しいぞ! 《キオーラの追随者》がこれまでに無かった素晴らしい要素を追加してくれるんだ。

 楽しもうじゃないか!

惜しくも選ばれなかったデッキたち

 今週送られてきたほかの素晴らしいデッキにはどんなものがあったかって? 見てくれ!

ダーヴィト・シュッセルの「ゼナゴスジャンド」

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マイケルの「彩色コントロール」

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マーク・イアン・アローソの「ナヤオーラデッキ」

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ナイルの「オルゾフウイニー」

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エノモト ユウキの「ラクドスビート」

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パウル・ヴィルヘルムの「白雪姫と最後の審判に至る七つの鍵」

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ディラン・ビーザーの「炎が全てを焼き尽くす」

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パトリック・コフマンの「奇妙なアグロ」

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イトウ カズナリの「荒ぶる決闘、キオーラ」

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ヒラノ ヤスヒサの「黒青緑フィナックス」

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jtargonaut77の「『お前のものは俺のもの!』」

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(今週のデッキ募集はありません。編集)


(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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