I Live, I Die, I Live Again

更新日 Reconstructed on 2015年 8月 11日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

 生と死。そしてその後の「生」。

 それこそが屍術師の進むべき道だ。

http://media.wizards.com/2015/images/daily/cardart_ORI_LilianaDefiantNecromancer.jpg

反抗する屍術師、リリアナ》 Karla Ortiz

 リリアナ・ウィークへようこそ! 本日は、『マジック・オリジン』で登場した《異端の癒し手、リリアナ》をフィーチャーした新しいデッキを見ていく。大量のクリーチャーを生け贄に捧げ(これぞリリアナの真髄だ)、それらに再び命を与えよう。リリアナとともにあれば、誰もが「そうそう死んだことにはならない」のさ!

 では、さっそく本日手がけるデッキを見てみようか? よし、いくぞ。

マキヅカ ユリの「黒単信心」

スタンダード
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その戦術とは

 自軍のクリーチャーを生け贄に捧げるっていうのに「信心」まで? 一体どういうことだ!?

 今回のデッキには、やっていることがちくはぐな感じが確かにある。通常の「信心」デッキでは盤面を築いていくことに力を入れるものだが、その動きに「生け贄に捧げる」という動きが噛み合わないのだ。クリーチャーをすべて失った「あとに」《アスフォデルの灰色商人》を唱えるなんて、イヤだ!

 だが、今回のデッキにはその噛み合わない動きを繋ぐ、一風変わったものがある。デッキ内のクリーチャーの多くが自ら戦場へ戻ってきて、また《反抗する屍術師、リリアナ》も墓地からクリーチャーを戻すことができるのだ。一時的に墓地へ落ちるだけならば、生け贄に捧げてもゲーム・プラン上の大きな問題にならないだろう!

 今回のデッキは、アグロからミッドレンジの速度でゲームを進める。序盤にダメージを与え、それから《アスフォデルの灰色商人》や《エレボスのタイタン》といったカードで中盤を制圧してやろう。採用しているクリーチャーのおかげで、今回のデッキは除去に耐性がある。さらに、生け贄に捧げる効果のおかげで、対戦相手の盤面にクリーチャーを残さずにいられるだろう。

 今回のデッキを調整するなら、強力な盤面を築き続けることを目指したい。すべてがうまくいき有利を手にしたとしても、万が一に備えることが大切だ。「信心」を確実に機能させるため、パーマネントをもう少しだけ増やそう。

 それじゃあ、今回のデッキに着手し、変更すべきところを確認しよう!


デッキ詳細

 今回の戦略にぴったりなものと、生け贄に捧げるべきものはどれだろう? カードを1枚ずつ通して見て、確認するぞ!


 今回のデッキの鍵のひとつは、クリーチャーを使い回すことだ。その点で見ると、《血に染まりし勇者》は今回の戦略をしっかり固めるツールと言えるだろう。

 ゲーム序盤にダメージを稼いでくれる? よろしい!

 《肉袋の匪賊》で生け贄に捧げられる軽いクリーチャー? いいね!

 生け贄に捧げても、墓地から平気な顔で戻ってくる? 最高だ!

 こいつは1マナにして今回のデッキを体現し、様々な軸で活躍できるカードだ。「信心」を高めたい場合もクリーチャーを生け贄に捧げたい場合も、こいつはその期待に沿ってくれるだろう。4枚すべて残すぞ。


 『マジック・オリジン』の最新カード《魂の略奪者》にも、やれることがいくつもある。

 2マナで3/1というアグレッシブなサイズを持ちながら、さらにもうふたつ重大な役割があるのだ。

 まず何といっても、「信心」をふたつ稼ぎ出すこと。あらゆる「信心」デッキにとって、「信心」を伸ばしてくれる軽量クリーチャーは欠かせない。黒マナ・シンボルふたつを持った2マナ域が追加されたのは、ありがたいことだ。

 それから、前述の《血に染まりし勇者》と同様に、こいつも墓地から戦場に戻ってくる。そこまで簡単にはいかないかもしれないけれど――この能力を使う際は、のちに《反抗する屍術師、リリアナ》の邪魔にならないように気をつける必要があるだろう――、それでもかなり効果的だ。

 この墓地から戻る能力を使うのは、1ゲームを通して1回か2回に留まるかもしれない。だがそれだけでも十分だ。何点かダメージを稼ぎ、どこかで対戦相手のクリーチャーと1対1交換して、それから頃合いを見て戦場に戻し、相手を仕留めるだけの「信心」を貯めてやろう。私はこいつを4枚採用するよ。


 さあ、彼女がやってきたぞ。「屍術師」本人のお出ましだ。

 そしてカードとしても、まさに彼女は「屍術師」だ。

 第1面を見ても、黒マナ・シンボルふたつを持つ2/3絆魂、となかなか優秀だ。だが今回のデッキにおける彼女の真価は変身後に表れる。攻撃してクリーチャーと相討ちにしてもよし、あるいは単に《肉袋の匪賊》を使ってもよし、とにかく彼女をひっくり返そう(これについては後でもう少し詳しく話すぞ)。ひとたび変身すれば、彼女は対戦相手の手札を破壊し盤面の優位を築く、対処必須の脅威と化すのだ。また変身に伴いゾンビも連れてくるため、攻撃力も変わらないぞ!

 《異端の癒し手、リリアナ》は、今回のデッキにおいて実に様々な役割を担っている。そんなカードが3マナで出せるなら、もうこれ以上望むことはないだろう。私は絶対にこのカードを4枚に増やしたい。


 やや物足りなさを感じるかもしれないが、これらのよく似た3マナクリーチャーたちは、君たちの予想よりずっと多くスタンダードで見かけることになると、私は期待しているよ。

 《異端の癒し手、リリアナ》と組み合わせれば、これらは対戦相手のクリーチャーを2体生け贄に捧げることができる。1体唱えて自身を生け贄に捧げ、《異端の癒し手、リリアナ》を変身させ(この過程でゾンビ・トークンまで手に入る!)、その後《反抗する屍術師、リリアナ》の2番目の能力を[-3]で起動すれば、墓地から戻ってきてもう一度生け贄に捧げる能力が誘発するってわけだ。相手のクリーチャーが1体しかいなければ、単純に《異端の癒し手、リリアナ》を変身させた後は[+2]能力を起動し、[-3]はもっと恐怖を与えられるときまで取っておけばいい。

 今回のデッキにはとりわけ、生け贄に捧げても戻ってくるクリーチャーが多く採用されている。そのため、生け贄に捧げる能力がより強力なものになり、《血に染まりし勇者》のようなカードの強さも際立つのだ。

 《肉袋の匪賊》と《無慈悲な処刑人》を合わせて5枚採用するというのは、私も賛成だ。この枚数なら多すぎてデッキを圧迫することなく、安定して複数枚引けるようになるだろう。

 ただし、ひとつこれらに手を加えたい部分がある。《無慈悲な処刑人》4枚と《肉袋の匪賊》1枚ではなく、《肉袋の匪賊》4枚と《無慈悲な処刑人》1枚の方が「明らかに良い」。《肉袋の匪賊》はゾンビだ。今回のデッキそのものに直接関係があるわけじゃないけれど(《目覚めし処刑者》などと合わせやすくはなるけどね)、彼女の背景設定的に、そうあるべきだと思うだろう!


 背景設定を紐解いても、リリアナがエレボスに出会ったという事実はない。でもほら、マジックのデッキを作るというのは、自分の妄想を形にするという一面もあるだろう。私の描くマジックの世界では、リリアナとエレボスは相棒なんだ。だからこの素敵なカードを検討しなくちゃね!

 4マナで5/5というサイズだけでも、興味を持って眉を上げる人がいるだろう。そこへふたつもメリットが付いていて――特に今回のデッキは対戦相手のクリーチャーをすべて生け贄に捧げる、という目標を持っていることを鑑みて――、さらに黒マナ・シンボルを3つ持つとなれば、魅力いっぱいのカードと言えるだろう。4マナでマナ・シンボル3つというのは強烈であり、そのまま《アスフォデルの灰色商人》まで繋げば一気に10点ものライフ差が生まれる……なんと戦場に他に何もなくても、その威力なのだ! 《エレボスのタイタン》は4枚すべて欲しいね。


 エレボスと言えば、ここで神自身も登場だ!

 どの「信心」デッキにも言えることだが、稼いだ「信心」にしっかりと報いる手段を持つことが大切だ。その点で、《アスフォデルの灰色商人》は《ニクスの祭殿、ニクソス》と組み合わせるのにこの上ない1枚と言える。(今回のデッキに《ニクスの祭殿、ニクソス》が入っていなかったのは不思議でならない。私はこれを加えるつもりだ)。だが「信心」を集めるなら『テーロス』の神々のことを忘れてはならない――《死者の神、エレボス》もまた見事な選択肢に他ならないのだ。

 4マナ域を埋め、条件を満たせばパワー5のクリーチャーとなる《死者の神、エレボス》は、さらに燃料切れも防いでくれる。2枚引いてしまうのはなんとしても避けたいが、1枚引ければ最高だ。私としては2枚目の《死者の神、エレボス》を採用したい。これなら時々引き込めるし、2枚目が手札で腐ることも滅多にないだろう。


 『テーロス』の発売以来、《アスフォデルの灰色商人》は「黒信心」デッキの主力であり続けた。そして、今回もそれは例外じゃない。こいつは容赦なくライフ・ポイントを奪い、《エレボスのタイタン》に続けて繰り出すものとしてもぴったりだ――たとえ《エレボスのタイタン》がなくとも、今回のデッキには黒マナ・シンボルが豊富にあり、苦労なく6点以上を吸い取ることができるだろう。

 今回の戦略においては、《アスフォデルの灰色商人》はさらに強烈なものになっている。《反抗する屍術師、リリアナ》の忠誠度が高まれば、墓地から《アスフォデルの灰色商人》を戻せるのだ。これにより、盤面が膠着したときに、《反抗する屍術師、リリアナ》が勝負の決め手となる期待が持てるだろう。

 《アスフォデルの灰色商人》を4枚すべて採用することに、疑問の余地はないよ。

 とはいえ、今回のデッキはマナ・カーブの頂点となる5マナ域にもう少しカードを入れても大丈夫だ。私はこの枠にもうひとつ、戦場に残って「信心」を稼ぎ、今回のデッキに嬉しいものを加えたい。それは《宮殿の包囲》だ。

 「カン」と「龍」、どちらの能力も優秀だ。毎ターン対戦相手のライフを2点吸い取るのは、手際よくゲームを終わらせる助けになる。そして「カン」の方を選べばもちろん《アスフォデルの灰色商人》との相性は抜群で、死亡した《アスフォデルの灰色商人》を手札に戻し最後の一撃として再び使えるようになる。さらに、《肉袋の匪賊》を毎ターン繰り返し着地させることで「生け贄に捧げる」効果の波が押し寄せ、対戦相手にとっては対処せざるを得ないだろう。

 ぜひ《宮殿の包囲》を2枚採用しよう。


 愛され憎まれながら、《思考囲い》は現在のスタンダード環境の黒の主力であり続けている。対戦相手の手札を破壊しこちらの望み通りの展開を助けるこのカードは、とりわけ今回の戦略にぴったりだ。このカードの助けを借りて「クリーチャーを生け贄に捧げる」能力を最も効果的なタイミングで使うもよし、あるいは「信心」を邪魔されないようにするのもいいだろう。4枚すべて採用だ。


 私は除去呪文が大好きだ。これらのカードもまた、黒のデッキが採用したいもので間違いない。ところが今回の戦略においては、生け贄に捧げたり「信心」を稼いだりするために、盤面を埋められるようパーマネントをしっかり確保することに注意を払う必要がある。加えて、《肉袋の匪賊》と《無慈悲な処刑人》が除去呪文の枠を埋めていることも留意するべきだろう。

 私としては、《胆汁病》と《英雄の破滅》を合わせて3枚デッキから抜き、《胆汁病》2枚と《英雄の破滅》1枚という構成にしたい。《英雄の破滅》の方が汎用性の上で勝るものの、マナ・カーブ的に《胆汁病》の方が今回のデッキに合っている。《胆汁病》は他に何もしない可能性が高い2ターン目に使える呪文であり、3ターン目には《肉袋の匪賊》や《異端の癒し手、リリアナ》にマナを使いたいのだ。


 《血の署名》もまた私が好んで使うカードではあるが、パーマネントを唱えることに力を入れるデッキにおいて、その他のカードを唱えるタイミングを見つけるのは難しい。さらに、クリーチャーでない呪文を使うとしても、私は先ほど述べた《思考囲い》や除去呪文の方を使いたい。今回のようなデッキでは、クリーチャーでない呪文の枠は限られているのだ。《死者の神、エレボス》を引き込めば、ゲーム後半での動きも確保できる。リリアナのテーマに合ったカードを抜くのは心が痛むけれど、これは採用しないことにする。


 ここまでの変更をすべて受けて、デッキは以下のようになった。

ガヴィン・ヴァーヘイの「信心深き生け贄」

スタンダード
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 どうだ!「信心」と「生け贄」をひとつにまとめてやったぞ。

 ここからどの方針に進めるだろうか? よし、いくつか紹介するぞ。よりアグレッシブな方針がいいなら、黒の1マナ域を満載し《モーギスの匪賊》で一気に強打を与えよう!

 あるいは、よりコントロールの方向へ向けることもできる。『マジック・オリジン』で登場した《衰滅》により、黒のコントロールは最前線に躍り出るだろう。また、まだ多く見かけるものではないけれど、《光り葉の選別者》の持つポテンシャルには大いに期待できる。パワーとタフネスの数字が一致していないカードは非常に多いため(《クルフィックスの狩猟者》、《包囲サイ》、《棲み家の防御者》、《ヴリンの神童、ジェイス》、《異端の癒し手、リリアナ》、《龍王シルムガル》……などなど、《光り葉の選別者》はかなりの割合で4/3「威迫」持ちの《ネクラタル》と化すだろう。

 まずはこのリストから始めて君たちの好みを確認し、そこからいじってみてくれ。そして何よりも、楽しんでくれよ!


今週のマカトール選

「今週のマカトール選」では毎回、その週に送られてきた最高にクールなデッキの数々をいくつか見ていくことになる。「リリアナ尽くし」のデッキたちをご覧あれ!

フクイ トシキの「マルドゥ・ブレード」

スタンダード
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ガレット・マクビーの「悪魔の濫用」

スタンダード
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モロオカ ジュンの「蘇る戦士の中隊」

スタンダード
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エデュアルドの「ジャンド・リアニメイト」

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ハリ・モハンダスの「黒単リリアナ」

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ハタオ ケントの「黒赤ビッグ・ビート」

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タナカ コウの「ネクロマンス」

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ヤコブ・ミリチッチの「ゾンビ・ジャンボリー」

スタンダード
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(編訳より:8月11日(現地時間)に掲載の本記事のうち、デッキ募集の部分を抜粋してお伝えいたします。本文の日本語訳の掲載日は8月25日、募集したデッキが掲載される記事は9月8日(いずれも日本時間)となります。)

最高を低予算で

 次回は、最近取り上げていなかった人気のリクエストにお応えしよう。低予算構築だ! 低予算でのスタンダードを見ていく。以下が、今週の募集内容だ。

フォーマット:スタンダード

デッキの制限:ある程度の予算内でデッキを構築すること。ゆるい定義だが、レアは少なく、神話レアはもし使うとしてもごく少数、という予算を考慮してほしい。

締め切り:8月18日(火) 午前10時(日本時間)

投稿方法・投稿先reconstructeddecks@gmail.com 宛にメールにて。

 デッキリストは、最初の行に「あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)」、それに続いて各行に1種類のカードを、「枚数(半角数字)」+「半角スペース」+「カード名(英語)」の形式で、以下のように入力していただきたい。

12 Mountain

4 Satyr Firedrinker

3 Ash Zealot

4 Lighting Bolt

 カードの枚数と名前の区切りには半角スペース以外のものを使わないでほしい――「4x Lightning Bolt」などのように。整った書式のデッキリストは、読みやすく、このコラムに取り上げやすくなる。書式が崩れたリストはおそらく受け付けられないだろう。(デッキリストを読めないことには、それについて語ることもできない!)

 予算のことを考えながらマジックをプレイしているなら、今回は普段使っているデッキを送る素晴らしい機会となる。きっと楽しい週になるぞ!

 それまで、この記事について考えたことや質問があれば、ぜひ私に送ってほしい! 皆さんの声を聞くのはいつも素敵なことだ。TwitterまたはTumblrで送っていただければ、必ず目を通すことをお約束する。

 それではまた次回!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

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