ニッサのオーロラ

更新日 Reconstructed on 2015年 8月 25日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

 ニッサ・ウィークへようこそ!

 ここまで4週間にわたり『マジック・オリジン』のプレインズウォーカーたちに注目してきたこのサイクルも、ついに緑の出番がやって来た。《巨森の予見者、ニッサ》はもうすでにスタンダードの大会で様々なミッドレンジやランプ系のデッキで見受けられ、その強さを証明しているけれど、本日はそれらとはやや一線を画したものを見ていくぞ――おまけに、ニッサのフレーバーも満載だ!

 今こそ、《大オーロラ》を体験するときだ。

 《大オーロラ》は私がデザインしたカードのひとつで、これはニッサにとって重要な瞬間を表している。ローウィンがシャドウムーアへと変貌する瞬間だ。それは、ちょうど光が闇へと変化するようなものだろう――確かに、《大オーロラ》が飛び出してきたら対戦相手の未来は真っ暗闇だろうね!

 それでは、本日手がけるデッキを見てみよう。

WKMの「オーロラ・ランプ」

スタンダード
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その戦術とは

 ランプ・デッキが目指すところは実にシンプルだ――マナを加速してから、対戦相手を打ち崩す大きな脅威を繰り出し続ける。思惑通りにいけば、大きな脅威を展開するのが間に合ってビートダウン・デッキを止めることができ、またコントロール・デッキを圧倒するだけの手数も持っている。

 今回のデッキはそういった基本を押さえつつも、少し違った動きを見せる。

 もちろん、巨大クリーチャーを続けて送り出すのはひとつのプランだ。《ガイアの復讐者》は、料理番組でシェフがニンジンをさいの目に刻むより速く、対戦相手のライフを刻むことだろう。

 それでも今回のデッキには、ある重い緑のソーサリーを用いた別のプランがある。まさに文字通り「ゲームを変える」1枚だ。それが《大オーロラ》さ。

http://media.wizards.com/2015/images/daily/cardart_ORI_The-Great-Aurora.jpg

大オーロラ》 アート:Sam Burley

 近年よく見受けられるような緑マナ・シンボルを集めて《ニクスの祭殿、ニクソス》が生み出すマナを増やすタイプのランプ・デッキと異なり、今回の形は多くのパーマネントと手札が必要になるものだ。このデッキにも《ニクスの祭殿、ニクソス》は採用されているものの――さすがにこの強力なカードを採用しないわけにはいかないけれど――、今回は単純なマナ量よりも土地の数を伸ばしていきたいのだ。

 では、土地を一面のオーロラのように並べたら次は何をすればいい? もちろん《ガイアの復讐者》をプレイするのさ! 打ち消されず、大抵の除去の対象にならないこのカードは、戦場に着地するなり8点ものダメージを対戦相手に与えてくれることだろう。そして、こちらが《大オーロラ》を扱えるようにデッキを作っていて相手がそうでないのなら、《大オーロラ》を通せばきっとアドバンテージを得られるはずだ。

 さて、そのためにはどのように手を加えていく必要があるだろうか? まず、私は今回のデッキに白が不可欠だとは思わない――他にもっと優先すべきものがあるのだ。また、マナ加速を担うエンジン部分をさらに引き締めて、より強力なものにする手段もあるぞ。

 実際の変更を見ていく準備はいいかな? いくぞ!

デッキ詳細

 デッキに残すべきものと、どこかへ旅立たせるべきものはどれだろう? カードを1枚ずつ通して見て、検討しよう!

 マジックの登場以来、プレイヤーたちは1ターン目に《》を置きそこから「エルフ」を繰り出し続けてきた。20年以上経った今も、その動きは健在だ。

 今回のデッキでは、使い道に困った《稲妻の一撃》などで簡単に除去されない「安全な」マナ源――つまり土地――が欲しいところだが、それでも《エルフの神秘家》は採用せずにはいられない優秀な1枚だ。2ターン目に強力な3マナ域まで加速できるというのは、今回のデッキを実に効果的に動かす原動力となるだろう。4枚すべて残そう。

 『神々の軍勢』の登場以来、プレイヤーたちは3ターン目に《》を置きそこから「狩猟者」を繰り出し続けてきた。1年以上経った今も、その動きは健在だ。

……うん、エルフと同じようにはいかないね。とはいえ《クルフィックスの狩猟者》がスタンダードにおける緑のデッキの主力であることは変わりなく、とりわけ今回の戦略にはぴったりだ! 今回のデッキでは土地を伸ばしてマナ加速をするため、《クルフィックスの狩猟者》はたくさんのライフをもたらすことだろう。加えて、ライブラリーの一番上から土地をプレイできるということは手札からプレイしなくてもいい、ということであり、《大オーロラ》の効果がさらに大きくなるのだ!

 こいつも絶対に4枚すべて欲しいな。

 マナ加速から繰り出すものを選ぶなら、《ガイアの復讐者》は除去されにくい脅威のひとつと見ることができる。緑同士のミラー・マッチでは別のカードと入れ換えることになるけれど、それ以外なら対処の難しい脅威となってくれるだろう。中でもこいつが今回のマナ加速から繰り出すものとして優れているのは、《大オーロラ》後の強さだ。《大オーロラ》後にこいつが飛び出せば、それに対応するのは極めて難しいだろう。《ガイアの復讐者》は《大オーロラ》を唱えた後に1枚は引き込みたいカードであり、今回の大型クリーチャーの枠として採用したい。そのため、私はこいつを4枚すべて残すつもりだ。

http://media.wizards.com/2015/images/daily/cardart_ORI_Gaeas-Revenge.jpg

ガイアの復讐者》 アート:Kekai Kotaki

 ゲーム序盤のプランを進めてくれる1枚? よろしい! 後半には脅威としても活躍してくれる? いいだろう! この多彩な動きを持つ《巨森の予見者、ニッサ》は、クリーチャーを並べたい場合でもさらにマナ加速をしたい場合でも土地を確保してくれて、その後は対戦相手にとって大きな脅威となる。序盤に2枚は使えないから採用する枚数は3枚で十分だと思うけれど、これ以上減らすつもりはまったくない。ニッサ、君は最高だ!

 私は《世界を喰らう者、ポルクラノス》をこよなく愛している。5点の大打撃を与え、対戦相手のクリーチャーを喰らい、さらにクールに成長する――これらがすべてたった4マナでできるのだから。

 より《ニクスの祭殿、ニクソス》に頼った形のデッキなら、このポール・K・ラノス/Paul K. Ranosが中心的な1枚になったことだろう。だが今回のデッキでは、こいつが必要不可欠だとは私は思わない。このカードは序盤に土地を伸ばして世界を作り変える、というゲーム・プランと噛み合っていないのだ。この枠にダメージを稼げるクリーチャーを採用することには賛成だけれど、私はもっと今回のデッキに合ったカードがあると思っている。それは、《囁きの森の精霊》だ。

 《囁きの森の精霊》は自身を含めて複数のクリーチャーを戦場に出し、たとえ対戦相手がアンタップ後に《英雄の破滅》を差し向けてきても、盤面にクリーチャーを残すことができる。加えて、このカードは《大オーロラ》を唱えるプランとしっかり噛み合い、「さらに」《ガイアの復讐者》も守ってくれる。コストが5マナに増えているけれど、他のデッキと比べて今回の形では、《ニッサの巡礼》のおかげで5マナと4マナの間に大きな差はないのだ。

 今回は、《世界を喰らう者、ポルクラノス》2枚をそのまま《囁きの森の精霊》2枚に入れ換えよう。

 《エルフの神秘家》は、それ自身がわずか1マナであり、1マナから3マナへの加速が今回のデッキを大きく後押しするため、採用に至った。《旅するサテュロス》がそれに匹敵するとは到底言えない。1ターン目や2ターン目にやることがなくなるのは本意ではないけれど、《旅するサテュロス》はそのために採用するほどのカードではないのだ。このサテュロスは、旅に出るときを迎えたようだね。

 投稿された形では、主に《荒野の確保》(これについては後で詳しく語ろう)のために白がタッチされていたものの、《龍王ドロモカ》も採用されていた。私もマナの注ぎ込み先としての脅威がもう少し欲しい、という意見には賛成だが、メタゲーム上で打ち消し呪文が大流行していないなら、必ずしも《龍王ドロモカ》を他のカードより優先する必要はないと思う。

 代わりに、私は他のカードを採用したい。そのカードとは? 《女王スズメバチ》だ! 《女王スズメバチ》はそれ単体で強力なだけでなく、《大オーロラ》の燃料となるパーマネントを5つも用意してくれる。完璧だ!

 《女王スズメバチ》はデッキに加えることにしたものの、その子分とも言うべき《スズメバチの巣》は今回のデッキにあまり必要とされない。とても可愛らしいけれど、メインデッキに1枚挿しでは活躍の機会も少ないだろう――たとえ持っていて良かったと思える場面があるとしても、サイドボードでいいかな。さようなら、《スズメバチの巣》!

 ニッサ1種類では足りないのか、今回のデッキでは『基本セット2015』版のニッサにも注目しているぞ!《世界を目覚めさせる者、ニッサ》は盤面のパーマネントを増やすカードではないものの(ああ、最終奥義を考慮しなければの話だが)、彼女は優れた点をふたつ持っている。ひとつは、大量の《》を採用した今回のデッキにおいては、マナ加速呪文として機能すること。そしてもうひとつは、《大オーロラ》を唱えた後にすぐさま脅威を追加できることだ。私が欲しいと思う《世界を目覚めさせる者、ニッサ》は1枚だけれども、彼女は先ほど挙げた2つの機能をゲームに添えてくれるだろう。

 こいつはマナを加速してくれる。それから手札枚数を変えずに土地を引っ張ってくれる。そして「魔巧」を達成しているなら、さらにもう1枚カードが増える。おまけに、「ニッサ」の名前まで冠している! このカードは、考えるまでもなく今回のデッキに入るだろう。絶対に4枚すべて採用したい。

 さらに、今回のデッキでは序盤に使えるマナ加速呪文をもう少し増やしてもいいだろう。そこで最適なのが、《爆発的植生》だ。4マナから6マナへ加速することで、手札に土地がもう1枚あれば次のターンに《ガイアの復讐者》をプレイすることができ、また単純に土地を2枚戦場に置くことができる。《ニッサの巡礼》4枚に加えて、《爆発的植生》を2枚採用しよう。

http://media.wizards.com/2015/images/daily/cardart_NissasPilgrimage.jpg

ニッサの巡礼》 アート:Matt Stewart

 《荒野の確保》は《大オーロラ》と相性抜群で、《大オーロラ》を唱える前に大量のパーマネントを送り出す手段となるだけでなく、これ自身がゲームの決め手にもなれる。ところが、こいつはすでに有利な状況でのみ力を発揮する、という問題を抱えている――その上、今回のデッキにはこういったカードを採用する余裕があまりないのだ。デッキに残る白のカードはもうこれだけになっているし、これを抜けばマナ基盤にも余裕ができるだろう。さようなら、《荒野の確保》!

 ついに今回のデッキ名になっているカードの登場だ。このカードをきちんと機能させるための鍵は、盤面と手札で合わせて最低2枚は有利な状況で使うことだ。それを守れば、基本的にさらなる優位を取れるだろう。一度唱えれば、次の《大オーロラ》への備えは対戦相手よりずっと良くなるはずだ。

 他のカード選択の多くがこの《大オーロラ》を念頭に置いたものであるため、このカード自体は深く掘り下げないことにする――とはいえ今回のデッキの根幹を成すのがこのカードであることは間違いない。コストの重さを鑑みて採用は3枚に留めるが、勘違いしないでほしい――このカードは今回の戦略に欠かせないのだ。

 このカードは適切に運用すれば、本当にゲームを一変させる1枚だ。序盤ではあまり効率の良いマナ加速呪文とは言えないが、ゲームが進むにつれて大量の土地を展開することができ、《大オーロラ》を絶大な威力にする準備を整えられるのだ。

 そして、このカードにはさらなる伸びしろがある。

 ここで加えたいのが、《ケイラメトラの指図》だ。今回のデッキでこそ《ケイラメトラの指図》が強い理由はいくつかある。まずは、こちらだけ《春の鼓動》の恩恵を受けられる場面が多くあること。《ケイラメトラの指図》を瞬速で繰り出し、それから《大オーロラ》を唱えてやれば、《ケイラメトラの指図》は盤面からなくなる――つまり、対戦相手は《ケイラメトラの指図》によるアドバンテージを享受できないってわけだ。(たとえ《大オーロラ》を唱えるのが1ターン遅れたとしても、相手が戦場に出したものが何であれ《大オーロラ》で取り去ることになるだろう)。

 だが先に述べたように、あまり早い段階でマナだけ加速しても《大オーロラ》にとっては望ましくない。結局《大オーロラ》を唱えるときは、多くのパーマネントや手札が必要になるからだ。ところが、《大オーロラ》はマナ・プールを空にすることはない、ということに注目してくれ――そう、大量の土地が並んだ状態で《ケイラメトラの指図》を瞬速で繰り出せば、《大オーロラ》が訪れた後もマナを浮かせておけるのだ。これならたぶん、手札のほとんどを放出することができるだろう。

 さて、本題のカードに戻ろう。《精霊信者の覚醒》は、《ケイラメトラの指図》と組み合わせることでとんでもない力を発揮するのだ。

 こんな動きを想像してみてくれ。

 「魔巧」が達成されようものなら《精霊信者の覚醒》で出る土地がすぐにアンタップされ、さらにひどいことになるぞ! それから《大オーロラ》と《ケイラメトラの指図》、《精霊信者の覚醒》という組み合わせが繋がって、同じ動きを繰り返せる可能性だってあるだろう。

 とはいえ、《精霊信者の覚醒》の肝はその柔軟性だ。《荒野の確保》――似たような機能を持つX呪文――と比べると、《精霊信者の覚醒》は序盤のマナ加速としても使えるのだ。私はこいつを3枚採用しようと思う。

 ここまでの変更をすべて受けて、デッキは以下のようになった。

ガヴィン・ヴァーヘイの「夜の森で」

スタンダード
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 このデッキには爆発力がある。ひとたびマナ加速エンジンが始動すれば、その速さについていくのは難しいだろう!

 この戦略を使う上で、ひとつだけ大いに気をつけてほしいことがある。《エルフの神秘家》は本当に強いぞ。どうも軽視されがちだが、デッキのマナ・カーブに大きく影響する《エルフの神秘家》は初手に必ず欲しい1枚だ。間違いなく、私のマリガン基準に影響するだろう。

 あとは、このデッキで存分に楽しんでくれ!

今週のマカトール選

「今週のマカトール選」では毎回、私のもとへ送られてきた素晴らしいデッキの数々をいくつか取り挙げる。様々なニッサへの取り組みを見ていこうじゃないか?

ポール・グエンの「LANDS!」

スタンダード
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デイの「ニッサ・グリーン」

スタンダード
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アンドリュー・マクラーレンの「ニッサ・カンパニー」

スタンダード
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シャント・クリコリアンの「革新的なエルフ」

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フロッグの「ニッサへの信心」

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ソノハラ トヨハルの「採掘と渦」

スタンダード
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 この記事を楽しんでくれたなら幸いだ! 質問があれば、私のTwitter、またはTumblrに送ってほしい。必ず目を通すことをお約束する。

 それではまた次回!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(編訳より:今週のデッキ募集はありません。)

(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing)

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